遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
この条文の過去問 5問
誤り。違うのは「成年に達しなければ、することができない」の部分である。遺贈は遺言でするものであり、15歳に達した者は遺言をすることができる(961条)。
961条は、15歳に達した者は遺言をすることができると定め、962条は、未成年者の法律行為を定める5条などの規定は遺言には適用しないとする。遺言は本人の最後の意思を実現するためのものであり、代理にはなじまず、取消しで本人を守るよりも本人の意思をそのまま実現させることが大切だからである。そのため、15歳以上であれば、未成年者でも法定代理人の同意なしに単独で有効な遺言ができる。遺贈は遺言によって自分の財産を他人に与えるもの(964条)であり、遺言の内容の一つなので、遺贈ができるかどうかは遺言をする能力で決まる。したがって、15歳に達していれば未成年者でも遺贈をすることができ、成年に達しなければできないとする肢は誤っている。成年年齢は18歳に引き下げられたが、961条の15歳の基準は変わっていない。

十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
誤り。違うのは「15歳に達した未成年者は,遺言の証人となることができる」の部分である。未成年者は年齢にかかわらず遺言の証人となれない(974条1号)。
974条1号は、未成年者を遺言の証人及び立会人となることができない者として掲げ、年齢による例外を設けていない。15歳という線は、961条が遺言能力を認める年齢であり、証人の資格とは関係がない。遺言能力が15歳で認められるのは、遺言が本人の最終意思を尊重する一身専属的な行為で、行為能力の規定が適用されないからである(962条)。これに対し、証人は遺言が本人の真意に基づき方式どおりに作られたことを確かめて担保する役であり、その判断能力が類型的に十分でない者を外す必要がある。そのため974条は未成年者のほか、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族などを欠格者としている。欠格者を証人に数えれば法定の証人数を欠き、遺言は方式違反で無効となる。本肢は遺言能力の年齢を証人の資格に持ち込んでいる点で誤りである。

次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一 未成年者
二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
- 婚姻・協議離婚・縁組:成年被後見人も成年後見人の同意を要しない(738条・764条・799条)
- 認知:未成年者・成年被後見人も法定代理人の同意を要しない(780条)
- 遺言:15歳に達すればできる(961条)。5条・9条・13条・17条は適用しない(962条)
- 遺言の証人・立会人:未成年者はなれない(974条1号)
- 養親:20歳に達した者に限る(792条)
正しい。15歳に達した者は遺言をすることができ、行為能力の制限の規定は遺言に適用されない(961条・962条)。
961条は、15歳に達した者は遺言をすることができると定める。15歳に達していれば、未成年者であっても法定代理人の同意なしに単独で有効な遺言ができる。遺言は相手方のない単独行為で、効力は遺言者の死亡時に生じるから取引の安全を害するおそれが小さく、遺言制度は被相続人の最終意思をできる限り尊重することを目的としている。そのため、財産上の取引について未成年者を守る行為能力の一般原則をそのまま及ぼす必要はなく、意思能力を備えるとみられる年齢として15歳という一律の基準が置かれた。962条はこれを確認して、未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人の行為能力の制限に関する5条・9条・13条・17条を遺言には適用しないとしている。したがって、法定代理人が反対していても遺言の効力は左右されず、取消しもできない。成年被後見人の遺言に医師2人以上の立会いが要る(973条)のは遺言時の意思能力を確かめる手続であり、行為能力の制限とは別の問題である。

十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
- 遺言:15歳に達すればできる(961条)。行為能力の制限の規定は適用しない(962条)
- 普通養子の代諾:養子となる者が15歳未満なら法定代理人が代わって承諾する(797条1項)
- 子の氏の変更:子が15歳未満なら法定代理人が代わってする(791条3項)
- 普通養子の養親:20歳以上(792条)
- 特別養子の養親:25歳以上。夫婦の一方が25歳未満でも20歳以上なら可(817条の4)
- 特別養子の養子:請求時に15歳未満。成立までに18歳に達すれば不可(817条の5第1項)
誤り。違うのは「遺言をすることができない」の部分である。15歳に達した者は遺言をすることができ(961条)、未成年者でも15歳以上であれば遺言をすることができる。
961条は、15歳に達した者は遺言をすることができると定め、962条は、5条・9条・13条・17条の規定は遺言については適用しないと定める。遺言は遺言者の死亡の時に効力を生じるので(985条1項)、その時点では行為能力の制限によって保護すべき本人はもはや存在せず、できる限り遺言者自身の最終の意思を尊重することが望ましいから、財産上の行為の能力とは別に、遺言の意味を理解できる年齢として15歳を基準としたのである。そのため、15歳以上の未成年者は法定代理人の同意を得ずに単独で遺言をすることができ、法定代理人がこれを取り消すこともできない。したがって、未成年者は遺言をすることができないとする本肢は誤りである。なお、未成年者は遺言の証人や立会人となることはできない(974条1号)。

十五歳に達した者は、遺言をすることができる。/第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。
- 婚姻・協議離婚・縁組:成年被後見人も成年後見人の同意不要(738条・764条・799条)。婚姻適齢は18歳(731条)
- 認知:未成年者・成年被後見人も法定代理人の同意不要(780条)
- 遺言:15歳以上でできる(961条)。5条・9条・13条・17条は適用しない(962条)
- 養子縁組:養親は20歳以上(792条)。15歳未満は法定代理人が代諾(797条1項)
誤り。違うのは「成年に達した者でなければ」の部分である。15歳に達した者は遺言をすることができ(961条)、行為能力の制限の規定は遺言には適用されない(962条)。
961条は、15歳に達した者は遺言をすることができると定め、962条は、5条・9条・13条・17条の規定は遺言については適用しないとする。遺言は遺言者の死亡の時に効力を生じるので(985条1項)、その時点では行為能力の制限によって保護すべき本人はもはや存在せず、できる限り遺言者自身の最終の意思を尊重することが望ましいから、財産上の行為の能力とは別に、遺言の意味を理解できる年齢として15歳を基準としたのである。そのため、成年に達していない者であっても、15歳以上であれば、法定代理人の同意を得ずに単独で遺言をすることができ、法定代理人がこれを取り消すこともできない。成年被後見人も、事理を弁識する能力を一時回復した時には、医師2人以上の立会いのもとで遺言をすることができる(973条1項)。出題当時は成年年齢が20歳であったが、15歳以上なら遺言できる点は同じである。したがって、本肢は誤りである。

十五歳に達した者は、遺言をすることができる。/第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。
- 自筆証書遺言(968条):全文・日付・氏名を自書して押印。検認が要る(遺言書保管所に保管されたものは不要)
- 公正証書遺言(969条):証人2人以上の立会い、公証人への口授。検認不要
- 遺言能力(961条):15歳以上でできる
- 証人の欠格(974条):未成年者、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族など
第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。
この条文の過去問 3問
正しい。5条・9条・13条・17条は遺言には適用されない(962条)から、被保佐人は保佐人の同意を得ずに遺言をすることができる。
962条は、5条(未成年者)、9条(成年被後見人)、13条(被保佐人)及び17条(被補助人)の規定は遺言については適用しないと定める。したがって、被保佐人が遺言をするのに保佐人の同意は要らず、同意なくした遺言が13条4項によって取り消されることもない。遺言は遺言者の最終の意思を実現するための行為であり、他人の同意によって内容を左右させるべきではないうえ、遺言の効力は遺言者が死亡した時に生じるから(985条1項)、内容が経済的に合理的でなくても、遺言者が生きている間に本人の財産上の利益が害されることはない。そのため、財産上の取引を前提とする行為能力の制限を遺言には及ぼさないことにしたのである。もっとも、遺言をするには、遺言をする時にその能力を有していなければならず(963条)、15歳に達していることも必要である(961条)。成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時に遺言をするには医師2人以上の立会いが要るが(973条1項)、被保佐人にはそのような方式の加重はない。

第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。
- 婚姻・協議離婚・縁組:成年被後見人も成年後見人の同意不要(738条・764条・799条)。婚姻適齢は18歳(731条)
- 認知:未成年者・成年被後見人も法定代理人の同意不要(780条)。同意なしを理由に取り消せない
- 遺言:15歳以上でできる(961条)。5条・9条・13条・17条は適用しない(962条)。成年被後見人は医師2人以上の立会い(973条)。未成年者は証人になれない(974条1号)
- 養子縁組:養親は20歳以上(792条)。15歳未満は法定代理人が代諾(797条1項)
誤り。違うのは「成年後見人が取り消すことができる」の部分である。行為能力の制限の規定は遺言には適用されない(962条)。
成年被後見人の法律行為は、日用品の購入など日常生活に関する行為を除き、取り消すことができるのが原則である(9条・120条1項)。しかし962条は、5条・9条・13条・17条の規定は遺言については適用しないと定めている。遺言は遺言者の最終の意思を尊重するための行為であって代理になじまず、また遺言が効力を生じる時には遺言者はすでに死亡しているので、行為能力の制度が予定する本人自身の財産的な保護を図る必要がないからである。したがって、成年後見人が9条を根拠に成年被後見人の遺言を取り消すことはできない。もっとも、遺言をする時には遺言能力が必要であり(963条)、成年被後見人が遺言をするには、事理を弁識する能力を一時回復した時に、医師2人以上の立会いのもとでしなければならない(973条)。この方式を欠く遺言は、取消しの問題ではなく無効となる。

第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。
誤り。違うのは「成年に達した者でなければ」の部分である。15歳に達した者は遺言をすることができ(961条)、行為能力の制限の規定は遺言には適用されない(962条)。
961条は、15歳に達した者は遺言をすることができると定め、962条は、5条・9条・13条・17条の規定は遺言については適用しないとする。遺言は遺言者の死亡の時に効力を生じるので(985条1項)、その時点では行為能力の制限によって保護すべき本人はもはや存在せず、できる限り遺言者自身の最終の意思を尊重することが望ましいから、財産上の行為の能力とは別に、遺言の意味を理解できる年齢として15歳を基準としたのである。そのため、成年に達していない者であっても、15歳以上であれば、法定代理人の同意を得ずに単独で遺言をすることができ、法定代理人がこれを取り消すこともできない。成年被後見人も、事理を弁識する能力を一時回復した時には、医師2人以上の立会いのもとで遺言をすることができる(973条1項)。出題当時は成年年齢が20歳であったが、15歳以上なら遺言できる点は同じである。したがって、本肢は誤りである。

十五歳に達した者は、遺言をすることができる。/第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。
- 自筆証書遺言(968条):全文・日付・氏名を自書して押印。検認が要る(遺言書保管所に保管されたものは不要)
- 公正証書遺言(969条):証人2人以上の立会い、公証人への口授。検認不要
- 遺言能力(961条):15歳以上でできる
- 証人の欠格(974条):未成年者、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族など
遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。
この条文の過去問 2問
正しい。5条・9条・13条・17条は遺言には適用されない(962条)から、被保佐人は保佐人の同意を得ずに遺言をすることができる。
962条は、5条(未成年者)、9条(成年被後見人)、13条(被保佐人)及び17条(被補助人)の規定は遺言については適用しないと定める。したがって、被保佐人が遺言をするのに保佐人の同意は要らず、同意なくした遺言が13条4項によって取り消されることもない。遺言は遺言者の最終の意思を実現するための行為であり、他人の同意によって内容を左右させるべきではないうえ、遺言の効力は遺言者が死亡した時に生じるから(985条1項)、内容が経済的に合理的でなくても、遺言者が生きている間に本人の財産上の利益が害されることはない。そのため、財産上の取引を前提とする行為能力の制限を遺言には及ぼさないことにしたのである。もっとも、遺言をするには、遺言をする時にその能力を有していなければならず(963条)、15歳に達していることも必要である(961条)。成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時に遺言をするには医師2人以上の立会いが要るが(973条1項)、被保佐人にはそのような方式の加重はない。

第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。
- 婚姻・協議離婚・縁組:成年被後見人も成年後見人の同意不要(738条・764条・799条)。婚姻適齢は18歳(731条)
- 認知:未成年者・成年被後見人も法定代理人の同意不要(780条)。同意なしを理由に取り消せない
- 遺言:15歳以上でできる(961条)。5条・9条・13条・17条は適用しない(962条)。成年被後見人は医師2人以上の立会い(973条)。未成年者は証人になれない(974条1号)
- 養子縁組:養親は20歳以上(792条)。15歳未満は法定代理人が代諾(797条1項)
誤り。違うのは「遺言能力がなかったことを理由として公正証書遺言の無効を主張することができない」の部分である。遺言者は遺言をする時にその能力を有しなければならず(963条)、公証人が能力を認めて作成した公正証書遺言でも、遺言能力を欠いていれば無効を主張できる。
963条は、遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならないと定める。遺言は遺言者の最終の意思を実現する制度であるから、遺言の時に遺言の内容とその結果を理解する能力がなければ、その遺言は遺言者の真意に基づくものとはいえず、無効となる。公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもとで遺言者が公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成するものであり(969条)、方式の点で信頼性が高いが、公証人が遺言者の様子から遺言能力があると判断したとしても、それは作成時の公証人の認識にすぎず、遺言能力の有無を法的に確定させるものではない。判例も、公証人が口授があったと認めて作成した公正証書遺言について、口授の要件を欠くとして無効としたことがある。そのため、相続人は、後に訴訟で遺言能力がなかったことを主張して遺言の無効を争うことができる。したがって、本肢は誤りである。

遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。
この条文の過去問 2問
誤り。違うのは「成年に達しなければ、することができない」の部分である。遺贈は遺言でするものであり、15歳に達した者は遺言をすることができる(961条)。
961条は、15歳に達した者は遺言をすることができると定め、962条は、未成年者の法律行為を定める5条などの規定は遺言には適用しないとする。遺言は本人の最後の意思を実現するためのものであり、代理にはなじまず、取消しで本人を守るよりも本人の意思をそのまま実現させることが大切だからである。そのため、15歳以上であれば、未成年者でも法定代理人の同意なしに単独で有効な遺言ができる。遺贈は遺言によって自分の財産を他人に与えるもの(964条)であり、遺言の内容の一つなので、遺贈ができるかどうかは遺言をする能力で決まる。したがって、15歳に達していれば未成年者でも遺贈をすることができ、成年に達しなければできないとする肢は誤っている。成年年齢は18歳に引き下げられたが、961条の15歳の基準は変わっていない。

十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
正しい。遺言に停止条件を付し、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は条件が成就した時から効力を生ずる(985条2項)。
遺贈は遺言によって財産を無償で与える単独行為であり(964条)、遺言は遺言者の死亡の時から効力を生ずるのが原則である(985条1項)。もっとも、遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は条件が成就した時からその効力を生ずる(同条2項)。停止条件は法律行為の効力の発生を不確実な事実にかからせるものであり、条件が成就した時から効力を生ずるという127条1項の原則が遺言にもそのまま当てはまるからである。遺言者が死亡しても条件が成就していなければ、受遺者はまだ遺贈の目的物を取得しない。なお、遺言者が死亡する前に条件が成就した場合は、遺言の効力発生時である死亡の時に無条件の遺贈として効力を生ずる。本肢は条件が遺言者の死亡後に成就した場合であるから、遺贈は条件成就の時から効力を生じ、同条2項の内容どおりである。

1 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。/2 遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。
第八百八十六条及び第八百九十一条の規定は、受遺者について準用する。
この条文の過去問 6問
正しい。第三者のためにする契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合でも、そのために効力を妨げられない(537条2項)。
人の権利能力は出生に始まる(3条1項)ので、胎児は原則として権利能力を持たない。しかし本肢で問われているのは、契約の成立の時に受益者が権利能力を持っていなければ契約そのものが無効になるかである。537条2項は、第三者のためにする契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられないと定める。そして第三者の権利は、第三者が債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する(同条3項)。契約が成立する時と受益者が権利を取得する時は別なので、受益者に権利能力が要るのは受益の意思表示の時であり、契約の成立の時ではない。したがって、AとCの間でBに甲土地を無償で与える契約は、成立の時にBが胎児でも有効であり、Bは生まれた後に受益の意思表示をすれば甲土地の給付を請求する権利を取得する。

前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
誤り。違うのは「死因贈与をすることができる」の部分である。胎児を既に生まれたものとみなす規定は損害賠償・相続・遺贈に限られ、契約である死因贈与にはない。
人の権利能力は出生に始まる(3条1項)。胎児を既に生まれたものとみなす例外は、損害賠償の請求権(721条)、相続(886条1項)、遺贈(965条による886条の準用)について明文で定められているだけであり、規定のない場面に広げることはできない。問題は、554条が、贈与者の死亡によって効力を生じる贈与にはその性質に反しない限り遺贈に関する規定を準用するとしていることから、遺贈についての965条も死因贈与に準用されるかである。しかし、遺贈は受遺者の意思表示を要しない単独行為であり、胎児に受遺能力を認める規定もこれを前提としている。これに対し死因贈与は贈与者と受贈者の合意で成立する契約であり、承諾の意思表示ができない胎児はその当事者になれないので、この準用は死因贈与の性質に反する。判例も、554条は死因贈与の効力について遺贈に関する規定に従うことを定めただけで、単独行為であることを前提とする規定は準用しないとしている。したがって、胎児を受贈者として死因贈与をすることはできない。

贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
- 損害賠償の請求権(721条)
- 相続(886条1項)
- 遺贈(965条による886条の準用)
- 上の場面でも、生きて生まれた時に初めて権利を取得するので、出生前に親が胎児を代理することはできない(大判昭7.10.6)
- 死因贈与・認知の訴えには胎児の権利能力を認める規定がない
正しい。胎児が既に生まれたものとみなされるのは損害賠償の請求権・相続・遺贈に限られ、契約である死因贈与にはその規定がないから、胎児を受贈者とすることはできない。
私権の享有は出生に始まり(3条1項)、胎児は原則として権利能力を持たない。例外として胎児を既に生まれたものとみなすのは、損害賠償の請求権(721条)、相続(886条1項)、遺贈(965条による886条の準用)であり、死因贈与にはこれにあたる規定がない。死因贈与は贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与であり、554条によりその性質に反しない限り遺贈に関する規定が準用されるが、遺贈が遺言者の単独行為であるのに対し、死因贈与は贈与者と受贈者の合意で成立する契約であるから、受贈者にも契約の当事者となる権利能力が要る。受遺者の能力に関する965条は、契約の当事者の能力の問題には及ばないと解されている。したがって、胎児を受贈者として死因贈与をすることはできず、本肢は正しい。これに対し、贈与者が第三者と胎児を受益者とする第三者のためにする契約を結ぶことは、受益者がまだ存在しなくても妨げられない(537条2項)。

贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
- 損害賠償の請求権:既に生まれたものとみなす(721条)。出生前に母が代理して和解することはできない
- 相続:既に生まれたものとみなす(886条1項)。死体で生まれたときは適用しない(同条2項)
- 遺贈:886条を受遺者に準用する(965条)
- 死因贈与:みなす規定がなく、胎児は受贈者になれない
- 認知:父は母の承諾を得て胎児を認知できる(783条1項)が、母は胎児を代理して認知の訴えを提起できない
- 第三者のためにする契約:成立の時に第三者が現に存しなくても効力を妨げられない(537条2項)
誤り。違うのは「遺贈をすることはできない」の部分である。965条が886条を受遺者に準用するので、胎児は遺贈について既に生まれたものとみなされ、受遺者になれる。
965条は、886条(相続に関する胎児の権利能力)と891条(相続人の欠格事由)の規定を受遺者について準用する。したがって、胎児は遺贈については既に生まれたものとみなされ、胎児を受遺者として遺贈をすることができる。私権の享有は出生に始まるという3条1項の原則の例外である。遺言者の死亡の時にすでに懐胎されていれば、近いうちに生まれてくることがほぼ確実であり、生まれた時期のわずかな違いで遺贈を受けられるかどうかが決まるのは、遺言者の通常の意思にも合わないからである。もっとも、判例は胎児が生きて生まれたときに遡って権利能力を認めるにとどまるとしており、出生前に母が胎児を代理して遺贈を承認・放棄することはできない。胎児が死体で生まれたときは、886条2項の準用により遺贈は効力を生じない。胎児を受遺者とする遺贈ができない、とする本肢は965条に反する。

第八百八十六条及び第八百九十一条の規定は、受遺者について準用する。
- 損害賠償の請求権:既に生まれたものとみなす(721条)。出生前に母が代理して和解することはできない
- 相続:既に生まれたものとみなす(886条1項)。死体で生まれたときは適用しない(同条2項)
- 遺贈:886条を受遺者に準用する(965条)
- 死因贈与:みなす規定がなく、胎児は受贈者になれない
- 認知:父は母の承諾を得て胎児を認知できる(783条1項)が、母は胎児を代理して認知の訴えを提起できない
- 第三者のためにする契約:成立の時に第三者が現に存しなくても効力を妨げられない(537条2項)
誤り。違うのは「相続人に対してすることができない」の部分である。受遺者になれない者として定められているのは相続欠格事由に当たる者だけであり(965条・891条)、相続人に対しても遺贈をすることができる。
遺贈は、遺言によって無償で財産を与える処分であり、相手方が誰であるかによる制限はない。民法は受遺者になれない者について、相続人の欠格事由を定める891条を準用するにとどまり(965条)、相続人を受遺者から除く規定を置いていない。したがって、遺言者は法定相続人に対しても遺贈をすることができる。相続人に対して法定相続分を超える財産を与えたいとき、遺贈はそのための方法の一つになる。もっとも、相続人に対する遺贈は、相続分の指定(902条)や特定の財産を相続人に承継させる特定財産承継遺言(1014条2項)と働きが近いため、遺言がどの趣旨かが解釈の問題になる。相続人に対する遺贈の目的物の価額は特別受益として持戻しの対象となり(903条1項)、遺留分の算定にも関わる。不動産の遺贈は、相続人に対するものでも登記をしなければ第三者に対抗できない(177条)。したがって、相続人に対して遺贈できないとする肢は誤っている。

第八百八十六条及び第八百九十一条の規定は、受遺者について準用する。
誤り。違うのは「相続人に対してすることができない」の部分である。受遺者になれない者として定められているのは相続欠格事由に当たる者だけであり(965条・891条)、相続人に対しても遺贈をすることができる。
遺贈は、遺言によって無償で財産を与える処分であり、相手方が誰であるかによる制限はない。民法は受遺者になれない者について、相続人の欠格事由を定める891条を準用するにとどまり(965条)、相続人を受遺者から除く規定を置いていない。したがって、遺言者は法定相続人に対しても遺贈をすることができる。相続人に対して法定相続分を超える財産を与えたいとき、遺贈はそのための方法の一つになる。もっとも、相続人に対する遺贈は、相続分の指定(902条)や特定の財産を相続人に承継させる特定財産承継遺言(1014条2項)と働きが近いため、遺言がどの趣旨かが解釈の問題になる。相続人に対する遺贈の目的物の価額は特別受益として持戻しの対象となり(903条1項)、遺留分の算定にも関わる。不動産の遺贈は、相続人に対するものでも登記をしなければ第三者に対抗できない(177条)。したがって、相続人に対して遺贈できないとする肢は誤っている。

第八百八十六条及び第八百九十一条の規定は、受遺者について準用する。
1被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。
2前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。
この条文の過去問 1問
正しい。被後見人が後見の計算の終了前に後見人の利益となるべき遺言をしたときは無効であり(966条1項)、法人の後見人は同条2項の適用除外に当たらない。
966条1項は、被後見人が後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は無効とすると定める。後見の計算が終わるまでは、被後見人は財産を管理してきた後見人の影響の下にあり、その意思がゆがめられて後見人に有利な遺言がされるおそれが大きいから、実際に不当な働きかけがあったかどうかを問わず一律に無効としたのである。ただし同条2項は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には1項を適用しないとする。これらの者はもともと相続人となりうる近親者であり、その者に有利な遺言がされても、被後見人の自然な意思として説明がつくからである。本肢の後見人は法人であり、法人も後見人になることができるが(843条4項参照)、法人は直系血族・配偶者・兄弟姉妹のいずれにも当たらない。したがって、2項の適用除外は働かず、法人である後見人の利益となるべき遺言は1項により無効である。

被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。2 前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。