第539条の2過去問 2
契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。
この条文の過去問 2問
Bが,Eとの間で,売買契約における買主たる地位をEに譲渡する旨の合意をした場合,Aの承諾の有無にかかわらず,買主たる地位はEに移転する。
解説
本肢は誤り。契約上の地位の移転については539条の2が「契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する」と定める。これは、平成29年改正前から解釈上認められていた契約上の地位の移転(契約譲渡)の要件を明文化したものである。
契約上の地位の移転は、譲渡人が有する債権のみならず、譲渡人が負う債務や取消権・解除権といった形成権を含めて包括的に移転させるものである。債権譲渡(466条1項)と異なり債務の移転を伴う以上、誰が債務者となるかについて重大な利害を有する契約の相手方の関与なしにこれを認めることはできない。免責的債務引受において債権者の関与が要求されること(472条2項・3項)と同趣旨であり、そのため相手方の承諾が効力要件とされている。
本肢では、買主Bが代金支払債務を負う立場をEに譲渡するのであるから、売主Aの承諾がなければ買主たる地位はEに移転しない。「Aの承諾の有無にかかわらず」移転するとする本肢は誤りである。
なお、賃貸不動産の譲渡に伴う賃貸人たる地位の移転(605条の2第1項)のように、賃借人の承諾を要しない例外が定められている場面もあるが、本問はこれに当たらない。
対抗力のある賃借権が設定された不動産の譲渡がされた場合において,新所有者が旧所有者の賃貸人としての地位を承継するには,賃借人に対して承継の通知をしなければならない。
解説
本肢は誤り。対抗要件を備えた賃借権の目的である不動産が譲渡された場合、賃貸人たる地位は、その不動産の譲受人に当然に移転する(605条の2第1項)。契約上の地位の移転は本来、契約の相手方の承諾を要するのが原則であるが(539条の2)、賃貸人の義務は目的物の所有者であれば誰でも履行できる没個性的なものであり、賃借人にとって賃貸人が交替しても不利益がないことから、この場合は例外として承諾を要しないとされている。判例も改正前から、対抗力ある賃借権の目的である建物が譲渡された場合、譲受人は建物の所有権取得と同時に当然に賃貸借を承継するのであって、その承継の通知を要しないとしていた(最判昭和33年9月18日)。したがって、承継のために賃借人への通知が必要であるとする本肢は誤りである。もっとも、賃貸人たる地位の移転を賃借人に対抗し、賃料を請求するためには、賃貸物である不動産について所有権移転登記をしなければならない(605条の2第3項)。これは二重に賃料を請求される危険から賃借人を保護する趣旨であり、地位の移転そのものが登記にかからしめられているわけではない点で、通知の要否とは区別して理解すべきである。なお、譲渡人と譲受人が賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨等を合意した場合の処理は605条の2第2項に、対抗力のない賃借権の場合の合意による地位移転は605条の3に定めがある。