売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
この条文の過去問 4問
正しい。一筆の土地の一部にも範囲を特定できれば所有権が成立し(大連判大13.10.7)、債権も契約自由により一筆の土地の一部を目的として成立しうる。
一筆の土地とは、登記簿上一個の土地として扱われる単位であり、所有権の範囲を当然に画するものではない。判例(大連判大13.10.7)は、一筆の土地の一部であっても、その範囲を客観的に特定できる限り、そこに所有権が成立し、当事者間では分筆の登記をする前でもその部分の所有権を移転できるとした。土地は本来連続したものであり、どこで区切るかは取引の必要に応じて決められるから、登記の単位にとらわれる理由はないのである。もっとも、その部分の取得を第三者に対抗するには、分筆したうえで登記を備える必要がある(177条)。他方、債権は当事者の合意によって内容を自由に決められるから(521条2項)、一筆の土地の一部を目的とする売買契約や賃貸借契約を結ぶこともでき、その部分の引渡しを求める債権が成立する。したがって、物権も債権も一筆の土地の一部について成立しうるのであり、本肢は正しい。

契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。
| 論点 | 物権 | 債権 |
|---|---|---|
| 消滅時効 | 所有権は消滅しない。地役権・抵当権など所有権以外は消滅しうる(166条2項・291条・396条) | 消滅しうる(166条1項) |
| 妨害排除 | 物権的請求権 | 対抗要件を備えた不動産賃借権は妨害停止・返還を請求できる(605条の4) |
| 一筆の土地の一部 | 特定できれば所有権が成立する | 一部を目的とする契約もできる |
| 債権を目的とすること | 権利質(362条) | 債権を目的とする契約もできる |
| 取得時効 | 所有権(162条)・その他の物権(163条) | 賃借権も取得できる(163条、最判昭43.10.8) |
誤り。違うのは「目的動産の引渡しを提供したことを請求原因として主張立証しなければならない」の部分である。売買代金請求権は売買契約の成立によって発生し(555条)、引渡しの提供は買主の同時履行の抗弁に対する再抗弁に位置づけられる。
555条は、売買は当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって効力を生ずると定める。売買代金請求権は、この合意、すなわち売買契約の締結によって発生するから、売主が代金を請求する訴訟の請求原因は売買契約の締結で足りる。目的物の引渡義務と代金支払義務とは同時履行の関係にあり(533条)、買主は売主が引渡しを提供するまで代金の支払を拒むことができるが、それは買主が同時履行の抗弁を主張したときにはじめて問題となる。そこで、売主が目的物の引渡しを提供したことは、買主の同時履行の抗弁に対する再抗弁として主張立証すれば足りる。代金請求のたびに売主に引渡しの提供まで主張立証させると、契約によって発生した権利を行使するのに余計な負担を課すことになるからである。本肢は引渡しの提供を請求原因としている点が誤りである。

売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
| 訴訟 | 事実 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 保証債務履行請求 | 主たる債務者への催告 | 被告の催告の抗弁に対する再抗弁(催告の抗弁は権利抗弁) |
| 請負報酬請求 | 目的物の引渡し | 被告の同時履行の抗弁に対する再抗弁(仕事の完成は請求原因) |
| 売買代金請求 | 目的物の引渡しの提供 | 被告の同時履行の抗弁に対する再抗弁 |
| 貸金返還請求に対する相殺の抗弁 | 自働債権の目的物の引渡しの提供 | 相殺の抗弁の要件(同時履行の抗弁権が付いた自働債権では相殺できない) |
誤り。違うのは「これを即日,Bに引き渡した」の部分である。売買代金請求の請求原因は売買契約の締結だけで足り、目的物の引渡しを主張する必要はない。
民法555条によれば、売買は当事者の一方が財産権を移転することを約し、相手方が代金を支払うことを約することによって効力を生ずる諾成契約であり、目的物の引渡しは契約の成立要件ではない。売買契約が成立すれば、特約がない限りその時点で代金支払請求権が発生するから、売主が代金の支払を求める請求原因としては、売買契約の締結の事実を主張すれば足りる。目的物を引き渡したかどうかは、買主が同時履行の抗弁権(民法533条)を主張したときに、売主がそれに対する再抗弁として引渡しの提供や履行を主張する場面で問題になる事実である。請求原因の段階で引渡しまで主張させると、主張立証責任の分配を誤ることになる。肢は請求原因に不要な事実を加えている。

売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
| 段階 | 主張する者 | 要件事実 |
|---|---|---|
| 請求原因 | A | 平成11年1月5日の甲絵画の代金200万円での売買契約の締結 |
| 抗弁(弁済) | B | 本件売買代金債務の履行として200万円を支払ったこと |
| 抗弁(消滅時効) | B | 時効期間の経過(平成21年1月5日の経過)と時効援用の意思表示 |
| 再抗弁(承認) | A | 平成20年1月5日、Bが支払の猶予を求めたこと(債務の承認) |
正しい。代金支払請求権は売買契約の締結によって発生し、他人の物の売買も有効であるから(561条)、原告は目的物が自己の所有であったことを主張する必要はない。
555条は、売買は当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって効力を生ずると定める。売買は諾成契約であり、目的物と代金額について合意すれば代金支払請求権が発生するから、売主である原告は、請求原因として被告との間で売買契約を締結したこと(目的物の特定と代金額の合意)を主張立証すれば足りる。さらに、561条は他人の権利を売買の目的としたときは売主がその権利を取得して買主に移転する義務を負うと定め、他人の物の売買も有効であることを前提としている。したがって、契約締結当時に目的物が売主の所有であったことは代金支払請求権の発生要件ではなく、原告がこれを主張する必要はない。本肢は正しい。

売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
| 段階 | 主張する者 | 要件事実 |
|---|---|---|
| 請求原因 | 売主 | 売買契約の締結(目的物の特定と代金額の合意)。売主の所有や代金不払は不要 |
| 抗弁 | 買主 | 停止条件・期限の合意(附款を可分とみる見解)、同時履行の抗弁の権利主張 |
| 再抗弁 | 売主 | 条件の成就・期限の到来、代金支払を先履行とする合意、自己の債務の履行 |























