債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。
この条文の過去問 5問
正しい。連帯債権では履行の請求が絶対的効力を持つので(432条)、Aの催告によりBの債権についても6か月間時効の完成が猶予される。
432条は、債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができると定める。連帯債権では、一人の債権者の請求はすべての債権者のためにした請求となり、効力は他の債権者にも及ぶ。ここでいう請求は裁判上の請求に限らず、裁判外の催告も含む。催告があったときは、その時から6か月を経過するまで時効は完成しない(150条1項)。100万円の金銭債権は性質上可分であり、AとBは連帯して持っているので432条が当てはまる。したがって、AがCにした催告は、Bの債権についても催告の時から6か月間時効の完成を猶予する。連帯債務では請求は相対的効力にとどまる(441条)のと違う点である。

債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。
| 類型 | 絶対的効力事由 | 成立 |
|---|---|---|
| 連帯債権(432条〜435条) | 請求・弁済・更改・免除・相殺・混同 | 性質上可分で、法令の規定又は意思表示による |
| 不可分債権(428条) | 連帯債権の規定を準用。ただし更改・免除・混同は相対的効力 | 性質上不可分 |
| 連帯債務(436条〜441条) | 弁済・更改・相殺・混同 | 性質上可分で、法令の規定又は意思表示による |
| 不可分債務(430条) | 連帯債務の規定を準用。ただし混同は相対的効力 | 性質上不可分 |
正しい。連帯債権の各債権者は、全ての債権者のために全部の履行を請求でき、他の債権者の同意は要らない(432条)。
432条は、債権の目的がその性質上可分である場合に、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができると定める。A・B・Cは連帯して600万円の金銭債権を持っているので、この連帯債権に当たる。連帯債権では、各債権者がそれぞれ債権の全部について履行を請求する権限を持っており、その行使は自分の権限の行使なので、他の債権者の同意を得る必要はない。したがって、Aは、B及びCの同意を得ずに、Dに600万円全額を請求でき、肢は正しい。これに対し、分割債権であれば、各債権者は自分の割合の部分しか請求できない(427条)。Aが全額を受け取った場合は、内部関係でB・Cに分与されるべき利益を分け与えることになる。

債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。
- 履行の請求(432条):全ての債権者のために効力を生じる
- 更改・免除(433条):その債権者に分与されるべき利益の部分だけ、他の債権者は請求できない
- 債務者の相殺の援用(434条):他の連帯債権者に対しても効力を生じる
- 混同(435条):債務者は弁済をしたものとみなされる
- それ以外の事由(435条の2):相対的効力。時効による消滅も他の債権者に及ばない
正しい。時効による消滅は連帯債権者の一人について生じた事由として相対的効力しかなく、Bは600万円全額を請求できる(435条の2)。
435条の2本文は、432条から435条までに規定する場合を除き、連帯債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の連帯債権者に対してその効力を生じないと定める。他の債権者に効力が及ぶのは、履行の請求(432条)、更改・免除(433条)、相殺(434条)、混同(435条)に限られ、消滅時効の完成はここに挙がっていない。各債権者の権利は別々に時効にかかるものであり、一人の怠慢で他の債権者の権利まで失わせる理由はないからである。したがって、Aの権利が時効で消滅しても、その効果はBとCの権利には及ばない。Bは自分の連帯債権に基づき、全ての債権者のために全部の履行を請求できるので(432条)、Dに600万円の支払を請求できる。肢は正しい。他の連帯債権者の一人と債務者が別段の意思を表示したときは、その者に対する効力はその意思に従う(435条の2ただし書)。

第四百三十二条から前条までに規定する場合を除き、連帯債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の連帯債権者に対してその効力を生じない。ただし、他の連帯債権者の一人及び債務者が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債権者に対する効力は、その意思に従う。
- 履行の請求(432条):全ての債権者のために効力を生じる
- 更改・免除(433条):その債権者に分与されるべき利益の部分だけ、他の債権者は請求できない
- 債務者の相殺の援用(434条):他の連帯債権者に対しても効力を生じる
- 混同(435条):債務者は弁済をしたものとみなされる
- それ以外の事由(435条の2):相対的効力。時効による消滅も他の債権者に及ばない
正しい。現行428条は不可分債権を債権の目的が性質上不可分である場合に限っており、性質上可分な金銭債権を意思表示で不可分債権にすることはできない。
428条は、連帯債権の規定(433条・435条を除く)を、債権の目的がその性質上不可分である場合において数人の債権者があるときに準用すると定める。不可分債権が成立するのは給付の目的が性質上不可分なときだけであり、金銭債権は性質上可分であるから、当事者がどのような意思表示をしても不可分債権にはならない。複数の債権者が各自全部の履行を請求できるようにしたいときは、意思表示によって連帯債権(432条)とすることになる。したがって肢は現行法で正しい。出題当時は、旧428条が債権の目的が性質上又は当事者の意思表示によって不可分である場合を不可分債権としていたので、金銭債権も意思表示で不可分債権にできるとして本肢は誤りとされていた(公式正解は3)。平成29年改正で意思表示による不可分は連帯債権に整理され、結論が変わった。

次款(連帯債権)の規定(第四百三十三条及び第四百三十五条の規定を除く。)は、債権の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債権者があるときについて準用する。
- 分割債権・分割債務(427条):別段の意思表示がなければ等しい割合で分かれる
- 不可分債権・不可分債務(428条・430条):給付の目的が性質上不可分なときに限る
- 連帯債権・連帯債務(432条・436条):性質上可分な給付で、法令の規定又は当事者の意思表示によって成立する
正しい。現行428条は不可分債権を債権の目的が性質上不可分である場合に限っており、性質上可分な金銭債権を意思表示で不可分債権にすることはできない。
428条は、連帯債権の規定(433条・435条を除く)を、債権の目的がその性質上不可分である場合において数人の債権者があるときに準用すると定める。不可分債権が成立するのは給付の目的が性質上不可分なときだけであり、金銭債権は性質上可分であるから、当事者がどのような意思表示をしても不可分債権にはならない。複数の債権者が各自全部の履行を請求できるようにしたいときは、意思表示によって連帯債権(432条)とすることになる。したがって肢は現行法で正しい。出題当時は、旧428条が債権の目的が性質上又は当事者の意思表示によって不可分である場合を不可分債権としていたので、金銭債権も意思表示で不可分債権にできるとして本肢は誤りとされていた(公式正解は3)。平成29年改正で意思表示による不可分は連帯債権に整理され、結論が変わった。

次款(連帯債権)の規定(第四百三十三条及び第四百三十五条の規定を除く。)は、債権の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債権者があるときについて準用する。
- 分割債権・分割債務(427条):別段の意思表示がなければ等しい割合で分かれる
- 不可分債権・不可分債務(428条・430条):給付の目的が性質上不可分なときに限る
- 連帯債権・連帯債務(432条・436条):性質上可分な給付で、法令の規定又は当事者の意思表示によって成立する



