債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
この条文の過去問 11問
正しい。物上保証人は弁済をするについて正当な利益を有する者なので、代位に467条の対抗要件は要らない(500条括弧書)。
499条は、債務者のために弁済をした者は債権者に代位すると定め、代位した者は求償できる範囲で、債権者が持っていた債権と担保を行使できる(501条1項・2項)。500条は、この代位に債権譲渡の対抗要件を定める467条を準用するが、括弧書で、弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除いている。正当な利益を有する者が弁済すれば債権が移ることは債務者や第三者にも予想できるので、通知や承諾で知らせる必要が乏しいからである。物上保証人は、自分の財産に他人の債務の担保を設定しており、弁済しなければ担保権を実行されて財産を失う立場にあるので、保証人や抵当不動産の第三取得者と同じく、弁済をするについて正当な利益を有する者に当たる。したがって、物上保証人が被担保債権を弁済した場合、通知や承諾といった対抗要件を備えなくても、代位により取得した被担保債権を行使でき、肢は正しい。

第四百六十七条の規定は、前条の場合(弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除く。)について準用する。
正しい。現行法では債務者のために弁済をした者は当然に債権者に代位し(499条)、債権者の承諾は要らない。
499条は「債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する」と定めており、有効に弁済した第三者は、弁済について正当な利益を持つかどうかを問わず、法律上当然に債権者に代位する。弁済した者の求償権を確保するために、債権者が持っていた権利を移すのが代位の仕組みであり、そこに債権者の意思を介在させる理由はないからである。正当な利益を持たない者が代位した場合には、債務者や第三者に代位を対抗するために債権譲渡の対抗要件の規定(467条)が準用されるにとどまる(500条)。したがって、債務者の意思に反せず有効に弁済した第三者は、弁済によって当然に債権者に代位する。出題当時は、正当な利益を持たない第三者が代位するには債権者の承諾が必要とされていたので(旧499条1項)、本肢は誤りとされていた(公式正解は1)。

債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
誤り。違うのは「債務者は,弁済による代位によって第一順位の抵当権を取得する」の部分である。弁済による代位は債務者のために弁済をした第三者に認められる制度であり、債務者自身が自分の債務を弁済しても代位は生じない(499条)。
499条は、債務者のために弁済をした者は債権者に代位すると定める。弁済による代位は、保証人や物上保証人、第三取得者など、他人の債務を弁済した者が債務者に対して取得する求償権を確保するため、債権者が持っていた債権や担保権を弁済者に移転させる制度である(501条)。債務者自身が自分の債務を弁済した場合には、求償すべき相手がおらず、確保すべき求償権もないから、代位は生じない。債務者が第一順位の抵当権の被担保債権を弁済すれば、その債権は消滅し、付従性によって第一順位の抵当権も消滅する。その結果、第二順位の抵当権が第一順位に繰り上がることになる。仮に債務者が代位によって第一順位の抵当権を取得するとすれば、後順位抵当権者の順位上昇の期待が奪われることにもなる。したがって、債務者が弁済による代位によって第一順位の抵当権を取得するとする肢は誤っている。

債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
正しい。連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その者は弁済をしたものとみなされ(440条)、他の連帯債務者に対する求償権の範囲内で債権者に代位する(499条・501条)。
債権と債務が同一人に帰属したときは、その債権は混同によって消滅するのが原則である(520条本文)。しかし440条は、連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は弁済をしたものとみなすと定める。連帯債務者の一人が債権を相続した場合、その者は自分の負担部分を超えて債権者の立場で全額を受けたことになるから、他の連帯債務者との関係では全額を弁済したのと同じに扱うのが公平だからである。弁済をしたものとみなされた連帯債務者は、他の連帯債務者に対して負担部分に応じた求償権を取得する(442条1項)。そして、連帯債務者も他の連帯債務者の負担部分については債務者のために弁済をした者に当たるから、債権者に代位し(499条)、求償権の範囲内で連帯債務に係る債権を行使できる(501条1項・2項)。したがって、混同によって債権が消滅した場合でも、その者は求償権の範囲内で代位により債権を取得するとする肢は正しい。

連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。
誤り。違うのは「債権者の承諾がなければ債権者に代位することはできない」の部分である。債務者のために弁済をした者は債権者の承諾なしに当然に債権者に代位し(499条)、抵当権の実行を受けた物上保証人もこれに当たる。
499条は、債務者のために弁済をした者は債権者に代位すると定めており、債権者の承諾は代位の要件ではない。物上保証人は他人の債務のために自分の財産を担保に供した者であり、抵当権が実行されて財産を失えば、債務者のために弁済をしたのと同じく債務者に対して求償権を取得する(372条・351条)。その求償権を確保するため、物上保証人は債権者に代位して、債権者が持っていた原債権やその担保権を行使することができる(501条)。出題当時の民法は、弁済をするについて正当な利益を有する者は当然に債権者に代位し(旧500条)、それ以外の者は債権者の承諾を得て代位する(旧499条)と分けていたが、物上保証人は正当な利益を有する者であるから、当時も承諾なしに代位できた。平成29年改正で任意代位の承諾の要件は削除され、正当な利益を有するかどうかは債務者に対抗するための要件の違いとして残っている(500条)。したがって、承諾がなければ代位できないとする肢は誤っている。

債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
誤り。違うのは「債務者は,弁済による代位によって第一順位の抵当権を取得する」の部分である。弁済による代位は債務者のために弁済をした第三者に認められる制度であり、債務者自身が自分の債務を弁済しても代位は生じない(499条)。
499条は、債務者のために弁済をした者は債権者に代位すると定める。弁済による代位は、保証人や物上保証人、第三取得者など、他人の債務を弁済した者が債務者に対して取得する求償権を確保するため、債権者が持っていた債権や担保権を弁済者に移転させる制度である(501条)。債務者自身が自分の債務を弁済した場合には、求償すべき相手がおらず、確保すべき求償権もないから、代位は生じない。債務者が第一順位の抵当権の被担保債権を弁済すれば、その債権は消滅し、付従性によって第一順位の抵当権も消滅する。その結果、第二順位の抵当権が第一順位に繰り上がることになる。仮に債務者が代位によって第一順位の抵当権を取得するとすれば、後順位抵当権者の順位上昇の期待が奪われることにもなる。したがって、債務者が弁済による代位によって第一順位の抵当権を取得するとする肢は誤っている。

債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
正しい。物上保証人は弁済による代位により債権者が有していた乙土地の第一順位の抵当権を行使でき、その範囲は債務者に対する求償権の範囲内に限られる(499条・501条1項・2項)。
物上保証人所有の甲土地の代価が配当されて被担保債権が消滅すれば、物上保証人は自分の財産で他人の債務を消したことになるから、債務者に対して求償権を取得する(372条・351条)。同時に、物上保証人は弁済をするについて正当な利益を有する者として、当然に債権者に代位する(499条・500条)。代位した者は、債権の効力及び担保として債権者が有していた一切の権利を行使できるが(501条1項)、その行使は自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内に限られる(同条2項)。代位は求償権を確保するための制度だからである。したがって、物上保証人は、求償権の範囲内で、債権者が債務者所有の乙土地に有していた第一順位の抵当権を行使できる。判例(最判昭44.7.3)は、この場合の物上保証人の代位を、乙土地の後順位抵当権者に優先させている。物上保証人は、債務者所有の不動産から先に弁済を受けられると期待して担保を提供したからである。

前項の規定による権利の行使は、債権者に代位した者が自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内(保証人の一人が他の保証人に対して債権者に代位する場合には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をすることができる範囲内)に限り、することができる。
- 全部が債務者所有(又は同一の物上保証人所有):392条を適用し、異時配当では先に競売された不動産の後順位抵当権者が他の不動産の抵当権に代位する
- 債務者所有の不動産が先に競売:後順位抵当権者は物上保証人所有の不動産に代位できない
- 物上保証人所有の不動産が先に競売:物上保証人が債務者所有の不動産の一番抵当権に代位し、その不動産の後順位抵当権者に優先する
誤り。違うのは「その第三者に対して債権者に代位することはできない」の部分である。第三取得者は保証人に対して代位しない一方、保証人は債務者から抵当不動産を譲り受けた第三取得者に対して債権者に代位できる(501条1項・3項1号)。
弁済をした保証人は、債権者に代位して、債権の効力及び担保として債権者が有していた一切の権利を、求償できる範囲内で行使することができる(501条1項・2項)。債務者所有の抵当不動産が第三者に譲渡されても、抵当権は物権としてその不動産についていくから、譲渡によって消えるわけではなく、保証人はその抵当権を代位によって行使できる。そして同条3項1号は、第三取得者は保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しないと定める。抵当権の負担が付いた不動産をあえて取得した者は、その負担を覚悟すべきであり、保証人との関係では劣後させるのが公平だからである。その裏返しとして、保証人は第三取得者に対して代位して抵当権を行使できる。この結論は、第三取得者が保証人の弁済の前に取得したか後に取得したかで変わらない。出題当時は付記登記の要件があったが、判例は弁済前の第三取得者には付記登記なしに代位を対抗できるとしており、結論は同じである。本肢は誤りである。

第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。
- 第三取得者:保証人・物上保証人に対して代位しない(1号)。保証人は第三取得者に代位できる
- 保証人と物上保証人:頭数に応じて代位する(4号)
- 二重資格者(保証人兼物上保証人):1人として頭数に数える(最判昭61.11.27)
- 担保設定後・弁済前の共同相続:弁済時の共有持分権者を各1人と数える(最判平9.12.18)
誤り。違うのは「Cは1000万円の配当を受けることができ、Dは配当を受けることができない」の部分である。物上保証人E所有の乙土地が先に競売されると、Eは代位により甲土地の一番抵当権を取得し、乙土地の後順位抵当権者Dはその抵当権からEに優先して弁済を受ける(最判昭53.7.4)。
物上保証人所有の不動産が先に競売されて共同抵当権者が弁済を受けると、物上保証人は債務者に対する求償権を取得し、弁済による代位によって債務者所有の不動産に対する一番抵当権を取得する(499条・501条1項)。判例は、この抵当権は債務者所有の不動産の後順位抵当権者に優先するとし(大判昭4.1.30)、さらに最判昭53.7.4は、物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者は、物上保証人に移転した一番抵当権から優先して弁済を受けることができるとした。物上保証人は後順位抵当権者のために自ら抵当権を設定した者であるから、その後順位抵当権者に優先して弁済を受けるのは不当であり、後順位抵当権者は消滅した抵当権に代わる物上保証人の権利の上に物上代位と同様の権利を持つと考えられるからである。本肢では、甲土地の競売において、Eが代位した一番抵当権からDが1000万円の配当を受け、第二順位のCは配当を受けられない。したがって、本肢は誤りである。

債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として順位を異にする数個の抵当権が設定されている場合において、物上保証人所有の不動産について先に競売がされ、その競落代金の交付により一番抵当権者が弁済を受けたときは、物上保証人は債務者に対して求償権を取得するとともに代位により債務者所有の不動産に対する一番抵当権を取得するが、後順位抵当権者は物上保証人に移転した右抵当権から優先して弁済を受けることができる
- 全部が債務者所有:392条を適用し、異時配当では先に競売された不動産の後順位抵当権者が他の不動産の抵当権に代位する
- 債務者所有の不動産が先に競売:その後順位抵当権者は物上保証人所有の不動産に代位できない
- 物上保証人所有の不動産が先に競売:物上保証人が債務者所有の不動産の一番抵当権に代位し、その不動産の後順位抵当権者に優先する
- 物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者:物上保証人が代位で取得した抵当権から、物上保証人に優先して弁済を受ける
正しい。連帯保証人Aが全額を弁済すると、Aは債権者Yに代位し、Yが有していた抵当権を求償権の範囲で行使できるので(499条・501条)、Xは抵当権設定登記の抹消を求めることができない。
499条は、債務者のために弁済をした者は債権者に代位すると定め、501条1項は、債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができると定める。判例(最判昭59.5.29)は、弁済による代位の制度は、代位弁済者が債務者に対して取得する求償権を確保するために、弁済によって消滅すべきはずの原債権及びその担保権を代位弁済者に移転させ、代位弁済者がその求償権の範囲内で原債権及びその担保権を行使することを認める制度であるとしている。連帯保証人Aが借入れ債務を全額弁済すると、Aは主たる債務者Xに対して求償権を取得し、その確保のため、Yの債権と抵当権がAに移転する。そのため、弁済によっても抵当権は消滅せず、Aのために存続するから、XはYに対して抵当権設定登記の抹消を求めることはできない。本肢は正しい。

前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。
- 将来債権・条件付債権:被担保債権とすることができ、設定登記の抹消は求められない
- 元本が交付されなかった貸金:被担保債権が発生しておらず、抹消を求められる
- 公序良俗違反の貸金:抵当権の設定だけでは708条の給付に当たらず、抹消を求められる
- 流用登記:流用の前に現れた後順位抵当権者には対抗できない
- 代位弁済:抵当権は代位弁済者に移転して存続し、設定者は抹消を求められない(499条・501条1項)
正しい。後順位抵当権者は先順位の被担保債権を弁済する正当な利益を有し、代位弁済をすれば債権者に代位して先順位抵当権を行使できる(499条・501条1項)。
499条は、債務者のために弁済をした者は債権者に代位すると定め、501条1項は、債権者に代位した者は債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができると定める。後順位抵当権者は、先順位抵当権者が不利な時期に抵当権を実行すると、自己の配当が減るおそれがあるから、先順位の被担保債権を弁済することについて正当な利益を有する。そこで、後順位抵当権者が先順位抵当権者の被担保債権を代位弁済すれば、その債権と先順位抵当権が後順位抵当権者に移転し、後順位抵当権者は求償権の範囲内でその抵当権を行使できる。弁済について正当な利益を有する者であるから、債権者に代位したことを債務者や第三者に対抗するための通知や承諾(500条・467条)も要らない。本肢は正しい。

前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。2 前項の規定による権利の行使は、債権者に代位した者が自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内(保証人の一人が他の保証人に対して債権者に代位する場合には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をすることができる範囲内)に限り、することができる。
- 効果:代位者は求償権の範囲内で、原債権と担保権を行使できる(499条・501条1項・2項)
- 被担保債権:代位で取得した担保権の被担保債権は原債権(最判昭59.5.29)
- 訴訟での主張:原債権を行使するには求償権の成立と内容も主張立証する(最判昭61.2.20)
- 第三取得者:保証人・物上保証人に対して代位しない(501条3項1号)
- 一部代位:債権者の同意を得て債権者とともに行使し、配当では債権者が優先する(502条1項・3項)














