第90条公序良俗過去問 11
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
この条文の過去問 11問
最高裁判所は、学生運動歴等を理由とする私企業による本採用拒否の効力が争われた事件において、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害の態様、程度が社会的に許容し得る範囲にとどまる場合、憲法を適用ないし類推適用せず、私的自治に対する一般的制限規定である民法第1条、第90条等の諸規定の適切な運用によって調整を図るものとした。
解説
本肢は誤り。本肢は三菱樹脂事件(最大判昭和48年12月12日民集27巻11号1536頁)を素材とする。同判決は、憲法19条・14条をはじめとする自由権的基本権の保障規定は、「もつぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない」とし、私人間の関係については憲法規定の直接適用も類推適用も否定した。そのうえで、私人間の関係であっても事実上の支配力の格差から一方が他方の自由や平等を侵害する事態が生じ得ることを踏まえ、「私的支配関係においては、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害またはそのおそれがあり、その態様、程度が社会的に許容しうる限度を超えるとき」には、立法措置による是正のほか、「場合によつては、私的自治に対する一般的制限規定である民法一条、九〇条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によつて」、一面で私的自治の原則を尊重しつつ、他面で許容限度を超える侵害から自由や平等の利益を保護し、両者の適切な調整を図る方途があると判示した(いわゆる間接適用の考え方)。このように、民法の一般条項を通じた調整が問題となるのは、侵害の態様・程度が社会的に許容し得る限度を超える場合である。侵害が社会的に許容し得る範囲にとどまるのであれば、そもそも私的自治が尊重されるべき場面であって、一般条項による是正を図る必要はない。本肢は、この要件を裏返して「社会的に許容し得る範囲にとどまる場合」に民法1条・90条等の運用によって調整を図るとしており、判例の説示と逆になっている。よって本肢は誤りである。
ユニオン・ショップ協定とは、労働協約において、使用者が従業員のうち労働組合に加入しない者及び労働組合の組合員でなくなった者を解雇する義務を負う定めを置くことをいうが、ユニオン・ショップ協定において、使用者が同協定を締結した組合以外の他の労働組合に加入している者を解雇する義務を負うと定めることは、憲法第28条が保障する労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害するため許されない。
解説
本肢は正しい。憲法28条は勤労者の団結権を保障しており、その保障には、労働者がいずれの労働組合に加入するか、又は新たに組合を結成するかを自ら決定する自由(組合選択の自由)が含まれる。ユニオン・ショップ協定は、使用者に対し、協定締結組合に加入しない者及び組合員でなくなった者を解雇する義務を負わせることにより、組合の組織を強化し団結を維持する機能を有するものであって、それ自体が直ちに無効となるわけではない。労働組合法7条1号ただし書も、労働組合が「特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合」には、組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを不当労働行為(黄犬契約の禁止)の例外として許容しており、ユニオン・ショップ協定はこの限度で適法とされている。しかし、その効力を、協定を締結した組合以外の他の労働組合に加入している者にまで及ぼすとすれば、当該労働者は解雇の脅威の下に自らの意思に反して締結組合への加入を強いられることとなり、労働者個人の組合選択の自由を奪うのみならず、当該他の労働組合の団結権をも侵害する結果となる。締結組合の団結権も他の組合の団結権も等しく尊重されるべきものであって、一方の組合の団結強化のために他方の組合の団結を犠牲にすることは許されないからである。判例(最判平成元年12月14日・三井倉庫港運事件)も、ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが他の組合に加入し若しくは新たな組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、憲法28条の趣旨に照らし、民法90条により無効であると解している。よって本肢は正しい。
ユニオン・ショップ協定とは、労働協約において、使用者が従業員のうち労働組合に加入しない者及び労働組合の組合員でなくなった者を解雇する義務を負う定めを置くことをいうが、ユニオン・ショップ協定において、使用者が同協定を締結した組合以外の他の労働組合に加入している者を解雇する義務を負うと定めることは、憲法第28条が保障する労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害するため許されない。
解説
本肢は正しい。憲法28条は勤労者の団結権を保障しており、その保障には、労働者がいずれの労働組合に加入するか、又は新たに組合を結成するかを自ら決定する自由(組合選択の自由)が含まれる。ユニオン・ショップ協定は、使用者に対し、協定締結組合に加入しない者及び組合員でなくなった者を解雇する義務を負わせることにより、組合の組織を強化し団結を維持する機能を有するものであって、それ自体が直ちに無効となるわけではない。労働組合法7条1号ただし書も、労働組合が「特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合」には、組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを不当労働行為(黄犬契約の禁止)の例外として許容しており、ユニオン・ショップ協定はこの限度で適法とされている。しかし、その効力を、協定を締結した組合以外の他の労働組合に加入している者にまで及ぼすとすれば、当該労働者は解雇の脅威の下に自らの意思に反して締結組合への加入を強いられることとなり、労働者個人の組合選択の自由を奪うのみならず、当該他の労働組合の団結権をも侵害する結果となる。締結組合の団結権も他の組合の団結権も等しく尊重されるべきものであって、一方の組合の団結強化のために他方の組合の団結を犠牲にすることは許されないからである。判例(最判平成元年12月14日・三井倉庫港運事件)も、ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが他の組合に加入し若しくは新たな組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、憲法28条の趣旨に照らし、民法90条により無効であると解している。よって本肢は正しい。
最高裁判所は、株式会社の就業規則において女子の定年年齢を男子より低く定める部分が、専ら女子であることのみを理由として差別したことに帰着するものとして、公序良俗に違反し無効であると解するに当たって、個人の尊厳と両性の本質的平等を解釈の基準として定める民法の規定とともに、法の下の平等を定める憲法第14条第1項を参照した。
解説
本肢は正しい。男子の定年を60歳、女子の定年を55歳と定める就業規則の効力が争われた日産自動車事件判決(最判昭和56年3月24日)は、当該会社における女子従業員と男子従業員の担当職務の内容、賃金体系、要求される職務遂行能力等の事情に照らし、企業経営上の観点から定年年齢について女子を差別しなければならない合理的な理由は認められないとした原審の認定判断を是認した。その上で、「上告会社の就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、専ら女子であることのみを理由として差別したことに帰着するものであり、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条の規定により無効であると解するのが相当である(憲法14条1項、民法1条ノ2参照)」と判示した。
ここで参照された民法1条ノ2は、本件当時の規定であり、本法は個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として解釈すべき旨を定めるもので、現行民法2条に当たる。憲法14条1項が私人相互の関係を直接規律するものではないことは三菱樹脂事件(最大判昭和48年12月12日)の説くところであり、同判決も、私法の一般条項である民法90条の解釈を媒介として憲法の趣旨を私人間に及ぼす手法(いわゆる間接適用)を採りつつ、その解釈指針として民法の右規定とともに憲法14条1項を挙げたものである。本肢はこの参照関係を正確に述べており、正しい。
「憲法の人権規定は,公権力の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので,私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない」とする説を前提にすると,私人間における権利・自由の対立については,その侵害の態様,程度が社会的に許容し得る一定の限界を超える場合に,私法規定の解釈を通じてその間の適切な調整を図ることができるとの見解は採り得ない。
解説
本肢は誤り。本肢が引用する説示は、三菱樹脂事件判決(最大判昭和48年12月12日)のものである。同事件は、採用面接に際して学生運動への参加の事実を秘していたことなどを理由に、試用期間中の者について本採用が拒否されたという事案であり、拒否された者が思想・良心の自由(憲法19条)等の侵害を主張したものである。同判決は、憲法第3章の自由権的基本権の保障規定について、「国または公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので、もつぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない」とし、人権規定は私人間には適用されないという立場(いわゆる無適用説)を出発点に据えた。しかし判決はそこで止まらない。私人間の法律関係は原則として私的自治に委ねられ、侵害の態様・程度が社会的に許容しうる一定の限界を超える場合に初めて法が介入して調整を図るという建前がとられていることを確認した上で、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害またはそのおそれがあり、その態様、程度が社会的に許容しうる限度を超えるときは、立法措置による是正を図りうるほか、場合によっては「私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によつて、一面で私的自治の原則を尊重しながら、他面で社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護し、その間の適切な調整を図る方途も存する」と述べているのである。すなわち、憲法の人権規定が私人相互の関係を直接規律しないという前提と、私法規定の解釈を通じた調整という見解とは矛盾しないどころか、後者はまさに前者を出発点として導かれている。間接適用説も、憲法は国家対国民の関係を規律する法であり、私人間は私法によって規律されるという原則自体は維持する見解であるから、無適用説の前提の上に立ちうるものである。したがって、当該見解は採り得ないとする本肢は妥当でない。よって本肢は誤りである。
「憲法の人権規定は,公権力の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので,私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない」とする説を前提にすると,私人間における権利・自由の対立については,その侵害の態様,程度が社会的に許容し得る一定の限界を超える場合に,私法規定の解釈を通じてその間の適切な調整を図ることができるとの見解は採り得ない。
解説
本肢は誤り。本肢が引用する説示は、三菱樹脂事件判決(最大判昭和48年12月12日)のものである。同事件は、採用面接に際して学生運動への参加の事実を秘していたことなどを理由に、試用期間中の者について本採用が拒否されたという事案であり、拒否された者が思想・良心の自由(憲法19条)等の侵害を主張したものである。同判決は、憲法第3章の自由権的基本権の保障規定について、「国または公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので、もつぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない」とし、人権規定は私人間には適用されないという立場(いわゆる無適用説)を出発点に据えた。しかし判決はそこで止まらない。私人間の法律関係は原則として私的自治に委ねられ、侵害の態様・程度が社会的に許容しうる一定の限界を超える場合に初めて法が介入して調整を図るという建前がとられていることを確認した上で、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害またはそのおそれがあり、その態様、程度が社会的に許容しうる限度を超えるときは、立法措置による是正を図りうるほか、場合によっては「私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によつて、一面で私的自治の原則を尊重しながら、他面で社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護し、その間の適切な調整を図る方途も存する」と述べているのである。すなわち、憲法の人権規定が私人相互の関係を直接規律しないという前提と、私法規定の解釈を通じた調整という見解とは矛盾しないどころか、後者はまさに前者を出発点として導かれている。間接適用説も、憲法は国家対国民の関係を規律する法であり、私人間は私法によって規律されるという原則自体は維持する見解であるから、無適用説の前提の上に立ちうるものである。したがって、当該見解は採り得ないとする本肢は妥当でない。よって本肢は誤りである。
憲法第28条は,その性質上,私人間の関係に適用される余地はなく,そのため,判例は,労働組合への加入を強制するために使用者と労働組合との間に締結されるユニオン・ショップ協定の効力を団結権との関係で判断する場合にも,憲法を直接適用していない。
解説
本肢は誤り。憲法28条は、使用者に対して経済的に従属せざるを得ない勤労者の地位を保護することを直接の目的とする権利であり、その名宛人は国家に限られない。通説は、正当な争議行為を理由とする解雇や損害賠償請求が私法上その効力を否定されるという点において、28条は私人間の関係にも直接適用されると解しており、労働組合法7条・8条はこれを確認した規定と位置づけられる。三菱樹脂事件(最大判昭和48年12月12日)が人権規定は私人相互の関係を直接規律するものではないと述べたのも一般論にとどまり、28条のような例外を否定する趣旨とまでは解されていない。したがって、その性質上私人間に適用される余地がないとする本肢前段は妥当でない。また判例(三井倉庫港運事件・最判平成元年12月14日)は、ユニオン・ショップ協定について、締結組合以外の労働組合にすでに加入している者や、締結組合を脱退・除名された後に他の労働組合に加入しもしくは新たな組合を結成した者に関し、使用者に解雇義務を課す部分は、労働者の組合選択の自由および他の労働組合の団結権を侵害するものとして、民法90条により無効であるとした。その判文は「憲法二八条参照」と明示しており、28条の趣旨を私法上の効力判断に取り込んでいる。憲法をおよそ顧慮していないかのようにいう本肢後段の説明も正確とはいえない。
長期間にわたり形成された地方の慣習に根ざした権利である入会権については,その慣習が存続しているときは最大限尊重すべきであるから,権利者の資格を原則として男子孫に限る旨の特定の地域団体における慣習も,直ちに公序良俗に反するとはいえない。
解説
本肢は誤り。判例(最判平成18年3月17日)は、入会部落の会則が入会権者の資格を原則として男子孫に限り、部落民以外の男性と婚姻した女子孫については離婚して旧姓に復しない限り資格を認めないとしていた事案において、この男子孫要件の効力を判断した。判例は、入会権の内容が各地方の慣習によって定まるとされている(民法263条、294条参照)としても、その慣習が民法90条の公序良俗に反する場合には効力を認めることができないという枠組みを前提とする。その上で、各世帯の代表者にのみ入会権者の地位を認める部分については不合理とはいえず公序良俗に反しないとする一方、男子孫要件については、専ら女子であることのみを理由として女子孫を男子孫と別異に取り扱うものであって、入会団体としての統制を維持するという観点からも、入会権の行使における各世帯間の平等という観点からも合理性を欠くとし、遅くとも本件で補償金の請求がされている平成4年以降においては、性別のみによる不合理な差別として民法90条により無効であると判断した。そして同判例は、男女の本質的平等を定める日本国憲法の基本的理念に照らせば、当該入会地の歴史的沿革等の事情を考慮してもなお女子孫に対する差別を正当化することはできないとしており、慣習が長期間にわたり形成されてきたという事実それ自体は差別を正当化する理由とならないことを明らかにしている。なお、憲法14条1項は私人相互の関係を直接規律するものではないが、その趣旨は民法90条等の私法の一般条項の解釈適用を通じて私人間に及ぶ(いわゆる間接適用)。したがって、当該慣習が直ちに公序良俗に反するとはいえないとする本肢は、判例の趣旨に反する。よって本肢は誤りである。
長期間にわたり形成された地方の慣習に根ざした権利である入会権については,その慣習が存続しているときは最大限尊重すべきであるから,権利者の資格を原則として男子孫に限る旨の特定の地域団体における慣習も,直ちに公序良俗に反するとはいえない。
解説
本肢は誤り。判例(最判平成18年3月17日)は、入会部落の会則が入会権者の資格を原則として男子孫に限り、部落民以外の男性と婚姻した女子孫については離婚して旧姓に復しない限り資格を認めないとしていた事案において、この男子孫要件の効力を判断した。判例は、入会権の内容が各地方の慣習によって定まるとされている(民法263条、294条参照)としても、その慣習が民法90条の公序良俗に反する場合には効力を認めることができないという枠組みを前提とする。その上で、各世帯の代表者にのみ入会権者の地位を認める部分については不合理とはいえず公序良俗に反しないとする一方、男子孫要件については、専ら女子であることのみを理由として女子孫を男子孫と別異に取り扱うものであって、入会団体としての統制を維持するという観点からも、入会権の行使における各世帯間の平等という観点からも合理性を欠くとし、遅くとも本件で補償金の請求がされている平成4年以降においては、性別のみによる不合理な差別として民法90条により無効であると判断した。そして同判例は、男女の本質的平等を定める日本国憲法の基本的理念に照らせば、当該入会地の歴史的沿革等の事情を考慮してもなお女子孫に対する差別を正当化することはできないとしており、慣習が長期間にわたり形成されてきたという事実それ自体は差別を正当化する理由とならないことを明らかにしている。なお、憲法14条1項は私人相互の関係を直接規律するものではないが、その趣旨は民法90条等の私法の一般条項の解釈適用を通じて私人間に及ぶ(いわゆる間接適用)。したがって、当該慣習が直ちに公序良俗に反するとはいえないとする本肢は、判例の趣旨に反する。よって本肢は誤りである。
大麻の密売人Aは,Bに対し,Aが売るための大麻をAの所有する土地でBに栽培させるために,その土地を書面によってBに贈与し,Bに引き渡したが,登記名義はAのままであった。その後,Aが大麻を売るのをやめ,Bに対して当該土地の引渡請求をした場合には,Aの請求は認められる。
解説
解説は準備中です。
不法な原因のために,書面によって土地を贈与し,これを受贈者に引き渡した場合において,当事者間で当該贈与契約を解除して当該土地を贈与者に返還する旨の合意をしたときは,この合意は,無効である。
解説
解説は準備中です。