第519条過去問 9
債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は、消滅する。
この条文の過去問 9問
債務の免除の意思表示には、条件を付することができない。
解説
本肢は誤り。債務の免除(519条)は、債権者が債務者に対する一方的意思表示によって債権を無償で消滅させる単独行為である。単独行為に条件を付すことは、相手方の法的地位を一方的に不安定にするため原則として許されないと解されており、相殺について「条件又は期限を付することができない」と明文で定める506条1項後段はその趣旨の現れである。しかし、この制限の根拠は相手方の不利益の防止にあるから、相手方に不利益を及ぼさない単独行為については条件を付すことが妨げられない。免除は債務者の債務を消滅させるだけで債務者に新たな負担を課すものではなく、専ら債務者に利益を与える行為であるから、これに停止条件・解除条件を付しても債務者の地位を不当に不安定にすることはない。したがって、免除の意思表示には条件を付することができると解されており、「条件を付することができない」とする本肢は誤っている。なお、免除は債務者の意思にかかわらず効力を生ずるが、債務を負い続けることに債務者が利益を有する場合(自働債権として相殺したい場合等)もあり、その場合に債務者の意思を無視して債権を消滅させ得るかは別途議論があるものの、条件の可否の結論は左右されない。
Bは,Aの意思に反しては,本件債務を免除することができない。
解説
本肢は誤り。債務の免除は、債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示することによって債権を消滅させる制度であり(民法519条)、債権者の単独行為である。契約ではないから債務者の承諾を要せず、免除の意思表示が債務者に到達すれば(97条1項)、債務者の意思に反していても債権は消滅する。債権者が自らの権利を放棄するにすぎず、債務者は債務を免れるという利益を受けるだけであるから、その意思を問う必要がないというのがその趣旨である。したがって、BはAの意思に反しても本件債務を免除することができ、「Aの意思に反しては免除することができない」とする本肢は誤りである。
もっとも、免除が常に無制限に認められるわけではない。免除により第三者の権利が害される場合、例えば当該債権に質権が設定されているときは、質権者の利益を害する処分として質権者に対抗できない(民法398条参照)。また、債務者の側で債務を負い続けることに正当な利益がある例外的場面では、債務者は免除の利益を放棄し得ると解する見解もあるが、いずれにせよ免除自体が債務者の意思に反しては成立しないという結論を導くものではない。
Bは,Aの意思に反しては,本件債務を免除することができない。
解説
本肢は誤り。債務の免除は、債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示することによって債権を消滅させる制度であり(民法519条)、債権者の単独行為である。契約ではないから債務者の承諾を要せず、免除の意思表示が債務者に到達すれば(97条1項)、債務者の意思に反していても債権は消滅する。債権者が自らの権利を放棄するにすぎず、債務者は債務を免れるという利益を受けるだけであるから、その意思を問う必要がないというのがその趣旨である。したがって、BはAの意思に反しても本件債務を免除することができ、「Aの意思に反しては免除することができない」とする本肢は誤りである。
もっとも、免除が常に無制限に認められるわけではない。免除により第三者の権利が害される場合、例えば当該債権に質権が設定されているときは、質権者の利益を害する処分として質権者に対抗できない(民法398条参照)。また、債務者の側で債務を負い続けることに正当な利益がある例外的場面では、債務者は免除の利益を放棄し得ると解する見解もあるが、いずれにせよ免除自体が債務者の意思に反しては成立しないという結論を導くものではない。
債権者が債務者に免除の意思を表示した場合,免除の効果は,債務者が債権者に対して免除の利益を享受する意思を表示した時に発生する。
解説
本肢は誤り。免除とは、債権者が債務者に対して債権を無償で消滅させる意思表示であり、その法的性質は単独行為である。519条は「債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は、消滅する。」と規定しており、債権消滅という効果は債権者の一方的な意思表示のみによって生じる。契約であれば申込みと承諾の合致が必要となるが(522条1項)、免除はこれと異なり単独行為として構成されているため、免除の意思表示が債務者に到達した時点で(97条1項)直ちに債権は消滅する。債務者の承諾も、免除の利益を享受する旨の意思表示も、効果発生の要件とはされていない。したがって、免除の効果が「債務者が債権者に対して免除の利益を享受する意思を表示した時」に発生するとする本肢は、519条の定める要件を誤るものである。なお、債務者が免除の利益を欲しない場合の処理については議論があるが、通説は519条の文言どおり免除の単独行為性を維持しており、債務者が受領を拒んでも免除の効力自体は妨げられないと解されている。
債務の免除があった場合において,債務者が債務の免除を受けたことを忘れて弁済したときは,債務者はその返還を求めることはできない。
解説
本肢は誤り。債務の免除によって債権は消滅する(519条)。したがって、その後に債務者がした弁済は、存在しない債務に対する給付、すなわち非債弁済であり、債権者は法律上の原因なくして利得したことになるから、原則として不当利得返還義務を負う(703条、悪意であれば704条)。この原則の例外が705条であり、同条は「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と定める。すなわち返還請求が封じられるのは、給付者が給付の時点で債務の不存在を積極的に認識していた場合に限られる。判例も、債務の不存在を知らなかった以上、そのことにつき過失があったとしても705条の適用はなく、不当利得返還請求を認めている(大判昭和16年4月19日)。本肢の債務者は、免除を受けたことを「忘れて」弁済しているのであるから、給付の時点で債務の不存在を認識しておらず、705条は適用されない。よって債務者は不当利得としてその返還を求めることができるのであり、「返還を求めることはできない」とする本肢は誤りである。
債権者が債務者に対してその債務を免除する旨を表示することは,法律行為に当たる。
解説
本肢は正しい。免除とは、債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示することにより、その債権を消滅させる行為である(519条)。債権の消滅という結果は、まさに債権者が表示した意思の内容そのものであるから、免除は表示された意思どおりの法律効果が生じる行為であり、法律行為に当たる。しかも、免除は債権者の一方的な意思表示のみによって効力を生ずる単独行為であって、債務者の承諾を要しない。債務の消滅は債務者にとって利益であり、その意思に反して不利益を課すものではないからである。この点で、当事者双方の合意によって債権を消滅させる免除契約や、給付内容を変更する代物弁済(482条)とは区別される。もっとも、免除は債権という財産権を失わせる処分行為であるから、当該債権について処分権限を有する者がしなければ効力を生じない。また、免除によって第三者の権利を害することはできず、例えば当該債権が質入れされている場合や差押えを受けている場合には、免除をもって質権者や差押債権者に対抗することができない。以上のとおり、免除は典型的な単独行為たる法律行為であり、本肢は正しい。
債権者は,債務者の承諾がなければ,その債務を免除することができない。
解説
本肢は誤り。免除について519条は「債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は、消滅する。」と規定する。すなわち免除は、債権者から債務者に対する一方的意思表示によって効力を生ずる単独行為であり、債務者の承諾を要しない。債務の消滅は債務者にとって利益にほかならず、その意思を問う必要がないからである。したがって、債務者の承諾がなければ免除できないとする本肢は誤っている。
この点、贈与(549条)や、更改・相殺契約のように当事者の合意を要する債権消滅原因とは区別する必要がある。免除はあくまで債権者の単独行為であり、免除の意思表示が債務者に到達すれば(97条1項)その時点で債権は消滅する。
もっとも、免除は債権者が自己の権利を処分する行為であるから、当該債権に質権が設定されている場合など第三者の権利の目的となっているときは、その第三者に対して免除の効力を対抗できないと解される。また、連帯債務者の一人に対する免除は、平成29年改正により相対的効力事由とされ(441条本文)、他の債務者の債務には影響しない(ただし求償の場面につき445条が規律する)。免除が単独行為であることと、その効力範囲が制限される場合があることは別問題である。
債権者は,債務者の承諾がなければ,その債務を免除することができない。
解説
本肢は誤り。免除について519条は「債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は、消滅する。」と規定する。すなわち免除は、債権者から債務者に対する一方的意思表示によって効力を生ずる単独行為であり、債務者の承諾を要しない。債務の消滅は債務者にとって利益にほかならず、その意思を問う必要がないからである。したがって、債務者の承諾がなければ免除できないとする本肢は誤っている。
この点、贈与(549条)や、更改・相殺契約のように当事者の合意を要する債権消滅原因とは区別する必要がある。免除はあくまで債権者の単独行為であり、免除の意思表示が債務者に到達すれば(97条1項)その時点で債権は消滅する。
もっとも、免除は債権者が自己の権利を処分する行為であるから、当該債権に質権が設定されている場合など第三者の権利の目的となっているときは、その第三者に対して免除の効力を対抗できないと解される。また、連帯債務者の一人に対する免除は、平成29年改正により相対的効力事由とされ(441条本文)、他の債務者の債務には影響しない(ただし求償の場面につき445条が規律する)。免除が単独行為であることと、その効力範囲が制限される場合があることは別問題である。
債権者が債務者に対して債務の免除をする場合には,債務者の同意がなければ,免除の効果は発生しない。
解説
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