詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
この条文の過去問 7問
誤り。違うのは「判決が確定した時に、原状に復する」の部分である。
詐害行為取消請求を認める確定判決は、債務者及びそのすべての債権者に対しても効力を持つ(425条)ので、BのCへの弁済が取り消されると、その効力はBにも及ぶ。取消しの対象が金銭の支払であれば、取消債権者は受益者に自分への支払を求めることができる(424条の9第1項)。問題は、弁済が取り消された結果、いったん消えたCのBに対する貸金債権がいつ復活するかである。425条の3は、債務者がした債務の消滅に関する行為が取り消された場合において、受益者が債務者から受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、受益者の債務者に対する債権はこれによって原状に復すると定める。判決の確定だけで債権が復活するのではなく、Cが受け取った500万円を返して初めて復活するのである。返す前に債権だけ復活させると、受益者が給付と債権の両方を持つことになり不公平だからである。

債務者がした債務の消滅に関する行為が取り消された場合(第四百二十四条の四の規定により取り消された場合を除く。)において、受益者が債務者から受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、受益者の債務者に対する債権は、これによって原状に復する。
- 判決の効力:債務者とそのすべての債権者に及ぶ(425条)。受益者と転得者の間の行為は取り消されない
- 受益者の反対給付:財産処分が取り消されたとき、受益者は債務者に反対給付の返還を請求できる(425条の2)
- 受益者の債権の回復:債務消滅行為が取り消されたとき、受益者が給付を返還した時に受益者の債権が原状に復する(425条の3)
- 転得者の権利:受益者なら行使できた反対給付の返還請求権などを、自分が前者にした反対給付の価額を限度に行使できる(425条の4)
誤り。違うのは「確定判決の効力は、Eに及ぶ」の部分である。
転得者Fを被告とする詐害行為取消請求(424条の5第1号)で取り消されるのは、債務者Bがした行為、つまりBE間の贈与であり、受益者Eと転得者Fの間の贈与ではない。EF間の行為はそれ自体は取り消されず、その後も効力を保つ。そして、詐害行為取消請求を認める確定判決の効力が及ぶ範囲は、425条により債務者及びそのすべての債権者とされている。Eは債務者でもBの債権者でもなく、その訴訟の当事者でもないので、確定判決の効力はEには及ばない。取消しは逃げた財産を債務者の責任財産に戻すためのものなので、その目的に必要な範囲、つまり債務者とその債権者の間で効力を持たせれば足りるからである。Fが財産を失う不利益は、425条の4の権利で調整される。本肢はEにも判決の効力が及ぶとする点で425条と異なる。

詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
- 判決の効力:債務者とそのすべての債権者に及ぶ(425条)。受益者と転得者の間の行為は取り消されない
- 受益者の反対給付:財産処分が取り消されたとき、受益者は債務者に反対給付の返還を請求できる(425条の2)
- 受益者の債権の回復:債務消滅行為が取り消されたとき、受益者が給付を返還した時に受益者の債権が原状に復する(425条の3)
- 転得者の権利:受益者なら行使できた反対給付の返還請求権などを、自分が前者にした反対給付の価額を限度に行使できる(425条の4)
正しい。詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する(425条)。
425条は、詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有すると定める。詐害行為取消権は、債務者の責任財産から逸出した財産を取り戻して、全ての債権者のための共同の引当てを回復する制度であるから、判決の効力を訴えた債権者と被告との間だけにとどめるのは制度の趣旨に合わないのである。したがって、CのBに対する詐害行為取消請求を認容する判決が確定すれば、その効力はAとAの他の債権者にも及び、取り戻された財産はAの責任財産に戻って、他の債権者もその財産に強制執行をすることができる。改正前の判例は、取消しの効果は取消債権者と受益者との間で相対的に生じるにすぎず、債務者には及ばないとしていたが、平成29年の改正でこれを改め、判決の効力を債務者にも及ぼすことにした。その代わりに、債務者が知らないうちに判決に縛られることのないよう、債権者は訴えの提起後遅滞なく債務者に訴訟告知をしなければならない(424条の7第2項)。

詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
- 被告(424条の7第1項):受益者又は転得者。債務者は被告にならず、訴訟告知をする(同条2項)
- 取消しの対象(424条1項・424条の6):債務者がした行為。受益者と転得者の間の行為ではない
- 受益者に対する請求(424条の6第1項):財産の返還。返還が困難なら価額の償還
- 判決の効力(425条):債務者とその全ての債権者に及ぶ
- 転得者の権利(425条の4):受益者が取消しで取得したはずの反対給付の返還請求権などを、債務者に対して行使する
誤り。違うのは「Dは,Bに対し,代金の返還を請求することができる」の部分である。転得者を相手に取り消された場合、転得者が権利を行使する相手は債務者であって前主の受益者ではない(425条の4)。
425条の4は、債務者がした行為が転得者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたときは、転得者は、その行為が受益者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとすれば受益者が債務者に対して行使できた反対給付の返還請求権などを、転得者が前者から財産を取得するためにした反対給付の価額を限度として行使することができると定める。転得者が権利を行使する相手は債務者であり、前主である受益者ではない。取消しの判決の効力は債務者とその全ての債権者に及ぶにとどまり(425条)、被告となっていない受益者には及ばないから、判決の確定によって受益者Bとの関係で代金の返還を求める権利が生じるわけではないのである。本問でDがAに対して行使できるのは、AB間の贈与が取り消されたとすればBがAに求めることができた反対給付の返還であるが、AB間は贈与であって反対給付がないから、Dはこの規定による保護も受けられない。したがって、DがBに代金の返還を請求できるとする本肢は誤りである。

債務者がした行為が転得者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたときは、その転得者は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。ただし、その転得者がその前者から財産を取得するためにした反対給付又はその前者から財産を取得することによって消滅した債権の価額を限度とする。一 第四百二十五条の二に規定する行為が取り消された場合 その行為が受益者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとすれば同条の規定により生ずべき受益者の債務者に対する反対給付の返還請求権又はその価額の償還請求権 二 前条に規定する行為が取り消された場合(第四百二十四条の四の規定により取り消された場合を除く。) その行為が受益者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとすれば前条の規定により回復すべき受益者の債務者に対する債権
- 被告(424条の7第1項):受益者又は転得者。債務者は被告にならず、訴訟告知をする(同条2項)
- 取消しの対象(424条1項・424条の6):債務者がした行為。受益者と転得者の間の行為ではない
- 受益者に対する請求(424条の6第1項):財産の返還。返還が困難なら価額の償還
- 判決の効力(425条):債務者とその全ての債権者に及ぶ
- 転得者の権利(425条の4):受益者が取消しで取得したはずの反対給付の返還請求権などを、債務者に対して行使する
正しい。詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する(425条)。
425条は、詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有すると定める。詐害行為取消権は、債務者の責任財産から逸出した財産を取り戻して、全ての債権者のための共同の引当てを回復する制度であるから、判決の効力を訴えた債権者と被告との間だけにとどめるのは制度の趣旨に合わないのである。したがって、CのBに対する詐害行為取消請求を認容する判決が確定すれば、その効力はAとAの他の債権者にも及び、取り戻された財産はAの責任財産に戻って、他の債権者もその財産に強制執行をすることができる。改正前の判例は、取消しの効果は取消債権者と受益者との間で相対的に生じるにすぎず、債務者には及ばないとしていたが、平成29年の改正でこれを改め、判決の効力を債務者にも及ぼすことにした。その代わりに、債務者が知らないうちに判決に縛られることのないよう、債権者は訴えの提起後遅滞なく債務者に訴訟告知をしなければならない(424条の7第2項)。

詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
- 被告(424条の7第1項):受益者又は転得者。債務者は被告にならず、訴訟告知をする(同条2項)
- 取消しの対象(424条1項・424条の6):債務者がした行為。受益者と転得者の間の行為ではない
- 受益者に対する請求(424条の6第1項):財産の返還。返還が困難なら価額の償還
- 判決の効力(425条):債務者とその全ての債権者に及ぶ
- 転得者の権利(425条の4):受益者が取消しで取得したはずの反対給付の返還請求権などを、債務者に対して行使する
誤り。違うのは「Dは,Bに対し,代金の返還を請求することができる」の部分である。転得者を相手に取り消された場合、転得者が権利を行使する相手は債務者であって前主の受益者ではない(425条の4)。
425条の4は、債務者がした行為が転得者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたときは、転得者は、その行為が受益者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとすれば受益者が債務者に対して行使できた反対給付の返還請求権などを、転得者が前者から財産を取得するためにした反対給付の価額を限度として行使することができると定める。転得者が権利を行使する相手は債務者であり、前主である受益者ではない。取消しの判決の効力は債務者とその全ての債権者に及ぶにとどまり(425条)、被告となっていない受益者には及ばないから、判決の確定によって受益者Bとの関係で代金の返還を求める権利が生じるわけではないのである。本問でDがAに対して行使できるのは、AB間の贈与が取り消されたとすればBがAに求めることができた反対給付の返還であるが、AB間は贈与であって反対給付がないから、Dはこの規定による保護も受けられない。したがって、DがBに代金の返還を請求できるとする本肢は誤りである。

債務者がした行為が転得者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたときは、その転得者は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。ただし、その転得者がその前者から財産を取得するためにした反対給付又はその前者から財産を取得することによって消滅した債権の価額を限度とする。一 第四百二十五条の二に規定する行為が取り消された場合 その行為が受益者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとすれば同条の規定により生ずべき受益者の債務者に対する反対給付の返還請求権又はその価額の償還請求権 二 前条に規定する行為が取り消された場合(第四百二十四条の四の規定により取り消された場合を除く。) その行為が受益者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとすれば前条の規定により回復すべき受益者の債務者に対する債権
- 被告(424条の7第1項):受益者又は転得者。債務者は被告にならず、訴訟告知をする(同条2項)
- 取消しの対象(424条1項・424条の6):債務者がした行為。受益者と転得者の間の行為ではない
- 受益者に対する請求(424条の6第1項):財産の返還。返還が困難なら価額の償還
- 判決の効力(425条):債務者とその全ての債権者に及ぶ
- 転得者の権利(425条の4):受益者が取消しで取得したはずの反対給付の返還請求権などを、債務者に対して行使する
誤り。違うのは「贈与契約による所有権移転の効果は,贈与契約締結時にさかのぼって消滅する」の部分である。出題当時の判例では、取消しの効果は取消債権者と受益者の間で相対的に生ずるにとどまり、贈与そのものの効果が消えるわけではなかった(公式正解は誤り)。
出題当時の判例は、詐害行為の取消しは債権者の共同担保を回復するためのものであり、その効果は取消債権者と被告である受益者又は転得者との間で相対的に生ずるにとどまり、債務者と受益者の間の法律行為は有効なままであるとしていた。したがって、贈与契約を取り消す判決が確定しても、贈与による所有権移転の効果が契約締結時にさかのぼって当然に消滅するわけではなく、本肢は誤りとされた(公式正解は誤り)。現行法は、詐害行為取消請求を認容する確定判決は債務者及びその全ての債権者に対しても効力を有すると定め(425条)、判例(最判平30.12.14)も取消しの効果は過去にさかのぼって生ずるとする。もっとも、被告とされなかった転得者などには判決の効力は及ばず、取消しの効果が誰との関係でも当然に生ずるわけではない。現行法の下では、本肢の評価はこの範囲の理解に左右される。

詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
