第513条更改過去問 7
当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。従前の給付の内容について重要な変更をするもの従前の債務者が第三者と交替するもの従前の債権者が第三者と交替するもの
1 従前の給付の内容について重要な変更をするもの
2 従前の債務者が第三者と交替するもの
3 従前の債権者が第三者と交替するもの
この条文の過去問 7問
当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって従前の給付の内容について重要な変更をするものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、消滅する。
解説
本肢は正しい。513条柱書は、当事者が従前の債務に代えて、同条各号に掲げる新たな債務を発生させる契約をしたときは、従前の債務は更改によって消滅する旨を定める。更改は、旧債務の消滅と新債務の成立とが因果的に結合した有因の契約であり、旧債務が消滅する点で債務の同一性を維持する免除・代物弁済や、同一性を保ったまま当事者が交替する債権譲渡・債務引受と区別される。
そして同条1号は、「従前の給付の内容について重要な変更をするもの」を新債務の類型として掲げる。本肢はこの文言をそのまま述べたものであり、正しい。ほかに、同条2号が「従前の債務者が第三者と交替するもの」(債務者の交替による更改。514条)、3号が「従前の債権者が第三者と交替するもの」(債権者の交替による更改。515条)を定める。
なお、平成29年改正前は更改の要件として「債務の要素」の変更が求められ、更改意思(旧債務を消滅させて新債務を成立させる意思)の存否をめぐって免除や債務引受との区別が争われていたが、改正法は「従前の給付の内容について重要な変更」という表現に改め、更改の成否の判断基準を明確化した。実務上は、当事者に旧債務を消滅させる意思が認められない限り、給付内容の変更は更改ではなく単なる債務の変更契約と解されることが多い点にも注意を要する。したがって、条文どおりの記述である本肢は正しい。
債務者の交替による更改は、債権者、更改前の債務者及び更改後に債務者となる者がその旨の契約を締結しなければ、効力を生じない。
解説
本肢は誤り。更改とは、当事者が従前の債務に代えて、給付の内容の重要な変更・債務者の交替・債権者の交替を内容とする新たな債務を発生させる契約であり、これにより従前の債務は消滅する(民法513条)。旧債務と新債務との間に同一性がない点で、債務引受や債権譲渡と区別される。
このうち債務者の交替による更改については、民法514条1項前段が「債務者の交替による更改は、債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる」と定める。すなわち、契約当事者は債権者と新債務者の二者で足り、更改前の債務者を当事者に加えた三面契約であることは要件とされていない。債務者が交替しても債権者にとって不利益が生じないよう債権者が当事者となる一方、旧債務者は債務を免れる立場にすぎず、その関与を要求する必要がないからである。もっとも、旧債務者は自らの債務が消滅する時期を知る必要があるため、同項後段は、更改は「債権者が更改前の債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる」として、通知を効力発生要件としている。免責的債務引受が債権者と引受人の契約によってでき、債権者から旧債務者への通知の時に効力を生ずるとされること(472条2項)と同様の構造である。
したがって、三者による契約締結を効力要件とする本肢は誤りである。なお、平成29年改正前の旧514条ただし書は更改前の債務者の意思に反する場合を除外していたが、現行法にこの制限はない。
Bと第三者Cとは,Aの意思に反しては,Cに債務者を交替する更改をすることができない。
解説
本肢は正しい(出題当時の民法を前提とする)。債務者の交替による更改は、更改前の債務と同一性のない新債務を成立させて旧債務を消滅させるものであり(民法513条2号)、債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる。出題当時の旧514条は、この本文に続けて「ただし、更改前の債務者の意思に反するときは、この限りでない」とのただし書を置いていた。旧債務者にとって、自らの関与なく債務を消滅させられ、その後に更改後の債務者から求償を受ける関係に立たされることを避ける趣旨である。この旧法を前提とすれば、BとCはAの意思に反しては債務者交替の更改をすることができず、本肢は正しいこととなる。
もっとも、現行法(平成29年改正・令和2年施行)では右のただし書は削除された。現行514条1項は、債務者の交替による更改は債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができるとしたうえ、更改は債権者が更改前の債務者に対してその契約をした旨を通知した時に効力を生ずると定めるにとどまる。旧債務者の保護は、意思に反する更改の禁止ではなく、更改後の債務者が更改前の債務者に対して求償権を取得しないこと(同条2項)によって図られている。したがって、現行法を前提とすると、BとCはAの意思に反しても債務者交替の更改をすることができ、本肢の結論は逆となる点に注意を要する。
Bと第三者Cとは,Aの意思に反しては,Cに債務者を交替する更改をすることができない。
解説
本肢は正しい(出題当時の民法を前提とする)。債務者の交替による更改は、更改前の債務と同一性のない新債務を成立させて旧債務を消滅させるものであり(民法513条2号)、債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる。出題当時の旧514条は、この本文に続けて「ただし、更改前の債務者の意思に反するときは、この限りでない」とのただし書を置いていた。旧債務者にとって、自らの関与なく債務を消滅させられ、その後に更改後の債務者から求償を受ける関係に立たされることを避ける趣旨である。この旧法を前提とすれば、BとCはAの意思に反しては債務者交替の更改をすることができず、本肢は正しいこととなる。
もっとも、現行法(平成29年改正・令和2年施行)では右のただし書は削除された。現行514条1項は、債務者の交替による更改は債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができるとしたうえ、更改は債権者が更改前の債務者に対してその契約をした旨を通知した時に効力を生ずると定めるにとどまる。旧債務者の保護は、意思に反する更改の禁止ではなく、更改後の債務者が更改前の債務者に対して求償権を取得しないこと(同条2項)によって図られている。したがって、現行法を前提とすると、BとCはAの意思に反しても債務者交替の更改をすることができ、本肢の結論は逆となる点に注意を要する。
消費貸借契約の成立後,第三者が借主と連帯して債務弁済の責任を負担することを約することは,更改に当たる。
解説
本肢は誤り。更改とは、当事者が従前の債務に代えて、①従前の給付の内容について重要な変更をするもの、②従前の債務者が第三者と交替するもの、③従前の債権者が第三者と交替するもの、のいずれかを内容とする新たな債務を発生させる契約であり、これによって従前の債務は消滅する(513条)。更改の本質は、旧債務の消滅と新債務の成立とが因果関係で結び付いている点にあり、旧債務が存続したままでは更改とはいえない。
本肢のように、消費貸借契約が成立した後に、第三者が借主と連帯して弁済の責任を負う旨を約したにすぎない場合、借主の負う債務はその同一性を保ったまま存続し、給付の内容に重要な変更が加えられるわけでもなければ、債務者が交替するわけでもない。第三者が借主と並んで同一内容の債務を負担することになるだけであるから、これは併存的債務引受(470条1項。引受人は債務者と連帯して同一内容の債務を負担する)に当たり、更改には当たらない。したがって、更改に当たるとする本肢は誤りである。
なお、免責的債務引受(472条)は従前の債務者が債務を免れる点で513条2号の債務者交替による更改と機能が近いが、免責的債務引受では債務の同一性が維持されるのに対し、更改では旧債務が消滅して新債務が成立する点で区別される。出題当時の旧513条1項は「債務の要素を変更する」契約と規定していたが、旧債務を消滅させるものではないという本肢の結論に差異はない。
連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは,他の連帯債務者は従来の債務を免れ,更改によって新たに発生した債務について責任を負わない。
解説
本肢は正しい。更改とは、当事者が従前の債務に代えて、給付の内容について重要な変更をした新たな債務又は債務者・債権者を交替させた新たな債務を発生させる契約であり、これによって従前の債務は消滅する(513条)。そして438条は、連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅すると定め、更改に絶対的効力を認めている。したがって、更改契約の当事者となっていない他の連帯債務者も、従前負担していた連帯債務を免れることになる。他方、更改によって新たに発生した債務は、あくまで更改契約の当事者である債権者と当該連帯債務者との間に生じたものであり、他の連帯債務者はその契約の当事者ではないから、新債務について責任を負う理由はない。441条が相対的効力を原則としつつ、438条(更改)・439条1項(相殺)・440条(混同)のみを例外的な絶対的効力事由としている点を正確に押さえておきたい。なお、出題当時も旧435条が同旨の規定を置いており、結論は現行法と変わらない。
判例によれば,金銭消費貸借契約を締結して1000万円を借り受けた債務者が,貸主との間で,金銭を支払う代わりに債務者所有の1000万円相当の土地を譲り渡す合意をしたときは,この合意の性質を代物弁済又は更改のいずれと解しても,合意成立の時点で旧債務は消滅する。
解説
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