1質権は、財産権をその目的とすることができる。
2前項の質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前三節(総則、動産質及び不動産質)の規定を準用する。
この条文の過去問 6問
誤り。違うのは「質権の目的とすることができない」の部分である。質権は財産権を目的とすることができ(362条1項)、譲渡できる財産権である地上権もこれに当たる。
362条1項は、質権は財産権をその目的とすることができると定め、動産・不動産のほか権利にも質権を設定できるとしている(権利質)。この場合には、性質に反しない限り質権の総則・動産質・不動産質の規定が準用される(同条2項)。地上権は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するためその土地を使用する物権であり(265条)、土地所有者の承諾なしに譲渡できる独立の財産権であるから、362条1項にいう財産権に当たる。民法には地上権を権利質の目的から外す規定はない。地上権に質権が設定されると、質権者は地上権の内容である土地の使用収益の権能を把握し、被担保債権が弁済されなければ地上権から優先弁済を受けることになる。369条2項が地上権を抵当権の目的とすることを明文で認めているのも、地上権が担保に供することのできる財産権だからである。したがって、地上権を質権の目的とすることはできるから、本肢は誤りである。

質権は、財産権をその目的とすることができる。
| 地上権 | 土地の賃借権 | |
|---|---|---|
| 権利の性質 | 物権(265条) | 債権(601条) |
| 譲渡・賃貸(転貸) | 土地所有者の承諾は要らない | 賃貸人の承諾が要る(612条1項) |
| 対価 | 地代は要素でない(無償でもよい。266条1項) | 賃料の支払が要素(601条) |
| 存続期間 | 定めなくてもよい(268条) | 50年を超えられない(604条) |
| 担保の目的 | 抵当権(369条2項)・権利質(362条1項)の目的になる | — |
誤り。違うのは「利息には及ばない」の部分である。債権質の効力は目的債権の利息にも及ぶ。
362条2項は、権利質については、その性質に反しない限り質権の総則・動産質・不動産質の規定を準用すると定め、質権の総則にある350条は、留置権者による果実の収取を定めた297条を質権に準用している。297条1項は、留置権者は留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立ってこれを自己の債権の弁済に充当することができると定める。目的債権乙から生じる利息は元本の使用の対価として受ける法定果実(88条2項)であるから、これらの規定を通じて債権質の効力は利息にも及び、Aは乙の元本だけでなく利息からも優先弁済を受けることができる。利息に効力が及ぶ根拠としては、ほかに、利息債権は元本債権から生じる付随的な債権であるからとする理解や、87条2項を類推する理解もあるが、利息に効力が及ぶという結論に違いはない。元本だけを担保として把握するのでは、目的債権の価値を十分に生かせないからである。したがって、利息には及ばないとする本肢は誤りである。

留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。
- 対抗要件(364条):債権譲渡と同じく第三債務者への通知又はその承諾。第三債務者以外の第三者には確定日付のある証書。法人なら債権譲渡登記でもよい
- 第三債務者の抗弁:対抗要件具備時までに質権設定者に対して生じた事由を質権者に対抗できる(468条1項の適用又は準用)
- 直接取立て(366条1項・2項):質権者が自分の名で取り立てる。金銭債権は被担保債権額に対応する部分に限る
- 目的債権が先に弁済期(366条3項):第三債務者に供託させ、質権は供託金の上に存続する
- 利息:質権の効力は目的債権の利息にも及ぶ(362条2項・350条・297条1項)
誤り。違うのは「利息には及ばない」の部分である。債権質の効力は目的債権の利息にも及ぶ。
362条2項は、権利質については、その性質に反しない限り質権の総則・動産質・不動産質の規定を準用すると定め、質権の総則にある350条は、留置権者による果実の収取を定めた297条を質権に準用している。297条1項は、留置権者は留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立ってこれを自己の債権の弁済に充当することができると定める。目的債権乙から生じる利息は元本の使用の対価として受ける法定果実(88条2項)であるから、これらの規定を通じて債権質の効力は利息にも及び、Aは乙の元本だけでなく利息からも優先弁済を受けることができる。利息に効力が及ぶ根拠としては、ほかに、利息債権は元本債権から生じる付随的な債権であるからとする理解や、87条2項を類推する理解もあるが、利息に効力が及ぶという結論に違いはない。元本だけを担保として把握するのでは、目的債権の価値を十分に生かせないからである。したがって、利息には及ばないとする本肢は誤りである。

留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。
- 対抗要件(364条):債権譲渡と同じく第三債務者への通知又はその承諾。第三債務者以外の第三者には確定日付のある証書。法人なら債権譲渡登記でもよい
- 第三債務者の抗弁:対抗要件具備時までに質権設定者に対して生じた事由を質権者に対抗できる(468条1項の適用又は準用)
- 直接取立て(366条1項・2項):質権者が自分の名で取り立てる。金銭債権は被担保債権額に対応する部分に限る
- 目的債権が先に弁済期(366条3項):第三債務者に供託させ、質権は供託金の上に存続する
- 利息:質権の効力は目的債権の利息にも及ぶ(362条2項・350条・297条1項)
正しい。財産権を目的とする権利質(362条1項)や、地上権・永小作権を目的とする抵当権(369条2項)のように、物権が権利を目的として成立することがある。
物権は物を直接支配する権利であり、その客体は有体物(85条)であるのが原則であるが、民法は権利そのものを客体とする物権を明文で認めている。362条1項は、質権は財産権をその目的とすることができると定めており、債権や株式などの財産権を目的とする権利質が成立する。また369条2項は、地上権及び永小作権も抵当権の目的とすることができると定めており、土地そのものではなく用益物権という権利の上に抵当権が成立する。いずれも、権利にも交換価値があり、それを担保として把握する必要があるからである。このほか205条は、自己のためにする意思をもって財産権を行使する準占有に占有の規定を準用している。肢は物権が権利を目的として成立することがあるとしており、正しい。

質権は、財産権をその目的とすることができる。/地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。
- 一筆の土地の一部:特定できれば所有権が成立し、譲渡・時効取得の対象になる(大連判大13.10.7)
- 集合物:種類・所在場所・量的範囲で特定された集合動産は1個の譲渡担保の目的になる(最判昭54.2.15)
- 財団抵当:工場財団などは多数の物を1個の物とみなして抵当権を設定する
- 権利の上の物権:権利質(362条)、地上権・永小作権を目的とする抵当権(369条2項)
誤り。違うのは「物権は債権を目的とすることはできない」の部分である。質権は財産権を目的とすることができ、債権を目的とする質権も設定できる(362条1項)。
前段について、債権は人に一定の行為を求める権利であり、その行為の内容として別の債権の移転や処分を求めることもできる。たとえば債権を売買の目的としたり、すでにある金銭債務を消費貸借の目的としたりすることができる(588条)から、前段は正しい。後段について、物権は物を直接支配する権利であるのが原則であるが、362条1項は、質権は財産権をその目的とすることができると定め、債権を目的とする質権(権利質)を認めている。債権も財産的な価値を持ち、取り立てたり換価したりして優先弁済に充てることができるから、担保の目的としてふさわしいからである。債権を目的とする質権を設定した質権者は、質入れされた債権を直接取り立てることができる(366条1項)。このように、債権を目的とする物権も存在するから、本肢は物権が債権を目的とすることはできないとしている点が誤りである。

質権は、財産権をその目的とすることができる。
| 論点 | 物権 | 債権 |
|---|---|---|
| 消滅時効 | 所有権は消滅しない。地役権・抵当権など所有権以外は消滅しうる(166条2項・291条・396条) | 消滅しうる(166条1項) |
| 妨害排除 | 物権的請求権 | 対抗要件を備えた不動産賃借権は妨害停止・返還を請求できる(605条の4) |
| 一筆の土地の一部 | 特定できれば所有権が成立する | 一部を目的とする契約もできる |
| 債権を目的とすること | 権利質(362条) | 債権を目的とする契約もできる |
| 取得時効 | 所有権(162条)・その他の物権(163条) | 賃借権も取得できる(163条、最判昭43.10.8) |
正しい。質権は譲り渡すことができない物を目的とすることができないので(343条・362条2項)、性質上譲渡できない債権に質権を設定する契約は、質権者の善意・悪意を問わず無効である。
362条1項は、質権は財産権をその目的とすることができると定め、同条2項はその性質に反しない限り質権の総則等の規定を準用する。343条は、質権は譲り渡すことができない物をその目的とすることができないと定める。質権は、目的物を換価して優先弁済を受けることを本質とする担保物権であるから、譲渡によって換価することのできないものを目的としても、担保としての意味を持たないからである。466条1項ただし書は、債権の性質がこれを許さないときは譲渡できないと定めており、このような債権には質権を設定できない。性質上の譲渡禁止は、当事者の意思表示による譲渡制限と異なり、第三者の善意・悪意によって結論が左右されるものではないから、質権者が善意であっても質権設定契約は無効である。これに対し、譲渡制限の意思表示がされたにとどまる債権には質権を設定でき、その効力は466条2項・3項によって処理される。本肢は正しい。

質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。


















