1弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。債権者が弁済を受領することができないとき。
1 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
2 債権者が弁済を受領することができないとき。
2弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
この条文の過去問 18問
正しい。口頭の提供をしても債権者が受領を拒むことが明確な場合には、弁済者は口頭の提供をせずに直ちに供託できる(大判大11.10.25)。
494条1項1号は、弁済の提供をした場合において債権者がその受領を拒んだときに、弁済者は弁済の目的物を供託できると定めており、受領拒絶を理由とする供託には原則として弁済の提供が先に必要である。債権者があらかじめ受領を拒んでいるときは、弁済の準備をしたことを通知して受領を催告する口頭の提供で足りる(493条ただし書)。しかし判例は、口頭の提供をしても債権者が受領を拒むことが明確な場合には、債務者は口頭の提供をせずに直ちに供託できるとしている(大判大11.10.25)。結果が分かりきっている無駄な行為を弁済者に求める意味はないからである。債権者の受領拒絶の意思が明確なときは口頭の提供をしなくても債務不履行の責任を負わないとする考え方と同じ発想である。肢は正しい。

弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。二 債権者が弁済を受領することができないとき。2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
- 原因(494条):弁済の提供をしたが受領を拒まれた、債権者が受領できない、過失なく債権者を確知できない
- 受領拒絶が明確なとき:口頭の提供なしに直ちに供託できる(大判大11.10.25)
- 効果(494条1項後段):供託した時に債権が消滅する
- 通知(495条3項):遅滞なく債権者に通知する
- 取戻し(496条):債権者の受諾・供託有効判決の確定までは取り戻せる。供託で質権・抵当権が消滅したときは取り戻せない
正しい。弁済者が過失なく債権者を確知できないときは、弁済の目的物を供託できる(494条2項)。
494条2項は、弁済者が債権者を確知することができないときも、1項と同様に供託でき、ただし弁済者に過失があるときはこの限りでないと定める。誰が債権者か弁済者の側では判断できないのに、間違った相手に払う危険を負わせたまま債務不履行の責任まで課すのは酷なので、供託で債務から解放されるようにしたのである。債権者が死亡して相続人が分からない場合や、債権譲渡の効力に争いがある場合などがその例である。もっとも、普通に調べれば債権者が分かったのにそれを怠ったときは、過失があるので供託はできない。本肢は、債権者を確知できず、そのことに過失がない場合であるから、供託できる。肢は正しい。

弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。二 債権者が弁済を受領することができないとき。2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
- 原因(494条):弁済の提供をしたが受領を拒まれた、債権者が受領できない、過失なく債権者を確知できない
- 受領拒絶が明確なとき:口頭の提供なしに直ちに供託できる(大判大11.10.25)
- 効果(494条1項後段):供託した時に債権が消滅する
- 通知(495条3項):遅滞なく債権者に通知する
- 取戻し(496条):債権者の受諾・供託有効判決の確定までは取り戻せる。供託で質権・抵当権が消滅したときは取り戻せない
正しい。供託をした者は、遅滞なく債権者に供託の通知をしなければならない(495条3項)。
495条3項は、494条の規定により供託をした者は、遅滞なく債権者に供託の通知をしなければならないと定めており、肢はこの条文のとおりである。供託は債務の履行地の供託所にすれば足り(495条1項)、債権者は供託があったことを当然には知ることができない。そこで、債権者が供託物の還付を請求して満足を得る機会を確保し、供託を受け入れるかどうかを判断できるようにするため、通知を義務づけたのである。もっとも、通知は供託の効力の要件ではなく、通知がなくても供託は有効であり、債権は供託の時に消滅する(494条1項後段)。通知を怠って債権者に損害が生じたときは、損害賠償の責任を負うことがある。肢は正しい。

前条の規定により供託をした者は、遅滞なく、債権者に供託の通知をしなければならない。
- 原因(494条):弁済の提供をしたが受領を拒まれた、債権者が受領できない、過失なく債権者を確知できない
- 受領拒絶が明確なとき:口頭の提供なしに直ちに供託できる(大判大11.10.25)
- 効果(494条1項後段):供託した時に債権が消滅する
- 通知(495条3項):遅滞なく債権者に通知する
- 取戻し(496条):債権者の受諾・供託有効判決の確定までは取り戻せる。供託で質権・抵当権が消滅したときは取り戻せない
誤り。違うのは「債権者が供託物の還付を受けた時に消滅する」の部分である。債権は弁済者が供託をした時に消滅する(494条1項後段)。
494条1項後段は、弁済者が供託をした場合には、弁済者が供託をした時にその債権は消滅すると定めている。債権が消える時点は供託の時であり、債権者が実際に供託物の還付を受けた時ではない。供託は、債権者が受け取らない、受け取れない、誰か分からないといった事情で弁済できない債務者を、債権者の態度にかかわらず債務から解放する制度であるから、効果の発生を債権者が還付を求めるかどうかにかからせては目的を果たせないからである。供託がされると、債権者は供託物の還付を請求する権利を取得する(498条1項)。肢は還付を受けた時に消滅するとしており、誤っている。なお、弁済者が供託物を取り戻したときは、供託をしなかったものとみなされ、債権は復活する(496条1項後段)。

弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。二 債権者が弁済を受領することができないとき。2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
- 原因(494条):弁済の提供をしたが受領を拒まれた、債権者が受領できない、過失なく債権者を確知できない
- 受領拒絶が明確なとき:口頭の提供なしに直ちに供託できる(大判大11.10.25)
- 効果(494条1項後段):供託した時に債権が消滅する
- 通知(495条3項):遅滞なく債権者に通知する
- 取戻し(496条):債権者の受諾・供託有効判決の確定までは取り戻せる。供託で質権・抵当権が消滅したときは取り戻せない
正しい。供託ができる場合に目的物の保存に過分の費用を要するときは、弁済者は裁判所の許可を得て目的物を競売し、その代金を供託できる(497条3号)。
債権者が受領を拒んだときは、弁済者は弁済の目的物を供託することができる(494条1項1号)。供託は目的物そのものを供託所に預けるのが原則であるが、目的物によっては保管に多くの費用がかかり、現物を供託させるのは弁済者に酷である。そこで497条は、弁済者は、その物が供託に適しないとき(1号)、価格の低落のおそれがあるとき(2号)、その物の保存について過分の費用を要するとき(3号)、その他供託が困難な事情があるとき(4号)には、裁判所の許可を得て弁済の目的物を競売に付し、その代金を供託することができると定めている。裁判所の許可を求めるのは、弁済者が勝手に安く売って債権者の利益を害することを防ぐためである。本肢は債権者が受領を拒み、保存に過分の費用がかかる場合であるから、3号に当たる。肢は正しい。

その物の保存について過分の費用を要するとき。
| 場面 | 裁判所の関与 | 条文 |
|---|---|---|
| 悪意の占有者の有益費償還 | 回復者の請求で相当の期限を許与(善意の占有者は不可) | 196条2項ただし書 |
| 動産質の簡易な弁済充当 | 正当な理由+鑑定人の評価に従い、裁判所に請求 | 354条 |
| 弁済の目的物の自助売却 | 裁判所の許可を得て競売し代金を供託 | 497条 |
| 借地上の建物の譲渡に伴う賃借権の譲渡 | 地主に不利となるおそれがなければ承諾に代わる許可 | 借地借家法19条1項 |
| 未成年者を養子とする縁組 | 家庭裁判所の許可(自己又は配偶者の直系卑属なら不要) | 798条 |
正しい。譲渡制限の意思表示がされた金銭債権が譲渡されたときは、譲受人の善意・悪意を問わず、債務者はその全額に相当する金銭を供託できる(466条の2第1項)。
466条の2第1項は、債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができると定める。この供託の要件は、譲渡制限の意思表示がされた金銭債権が譲渡されたことだけであり、譲受人が善意無過失か、悪意又は重過失かを問わない。債務者は、譲受人が悪意又は重過失であれば譲渡人に弁済してよいが、善意無重過失であれば譲受人に弁済しなければならず、譲受人の主観は債務者には容易に分からないから、判断を誤れば二重に弁済する危険を負う。そこで、調べたり判断したりする負担と危険を債務者に負わせないように、譲受人の主観を問わずに供託によって債務から離れる道を認めたのである。この供託は、受領拒絶や債権者不確知といった494条の供託原因を要しない。供託をした債務者は譲渡人と譲受人に通知しなければならず(466条の2第2項)、供託金の還付を請求できるのは譲受人に限られる(同条3項)。

債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。次条において同じ。)の供託所に供託することができる。
- 譲渡の効力(466条2項):譲渡制限の意思表示があっても譲渡は有効
- 悪意・重過失の譲受人(466条3項):債務者は履行を拒め、譲渡人への弁済を対抗できる。任意に譲受人へ弁済することもできる
- 供託(466条の2・466条の3):金銭債権なら善意悪意を問わず全額供託できる。譲渡人の破産時は、全額を譲り受け第三者対抗要件を備えた譲受人が供託を請求できる
- 差押債権者(466条の4):対抗できない。悪意の譲受人の債権者には拒める
- 預貯金債権(466条の5):悪意・重過失の譲受人には対抗できる。差押債権者には対抗できない
誤り。違うのは「債務者の意思に反するときは,供託することができない」の部分である。弁済をするについて正当な利益を有する第三者は債務者の意思に反しても弁済でき(474条2項反対解釈)、受領を拒まれれば供託することができる。
弁済供託をするのは弁済者であり(494条1項)、有効に弁済をすることができる者であれば第三者でも供託できる。474条2項本文は、弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができないと定めるから、その反対解釈として、物上保証人や抵当不動産の第三取得者のように弁済をするについて正当な利益を有する第三者は、債務者の意思に反しても有効に弁済できる。本肢の利害関係を有する第三者はこれに当たり、債務者の意思に反しても弁済者の立場を失わない。その第三者が弁済の提供をしたのに債権者が受領を拒んだのであれば、494条1項1号の供託の原因がある。したがって、その第三者は債務者の意思に反する場合でも供託でき、本肢は誤りである。出題当時の474条2項は利害関係を有しない第三者は債務者の意思に反して弁済できないと定めていたが、利害関係のある第三者が債務者の意思に反して弁済や供託をできるという結論は改正の前後で変わらない。

弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。
- 受領拒絶(494条1項1号):弁済の提供をしたのに債権者が受領を拒んだとき。受領しないことが明確なら口頭の提供も要らない
- 受領不能(494条1項2号):債権者が弁済を受領することができないとき
- 債権者不確知(494条2項):弁済者が過失なく債権者を確知できないとき。確定日付のある通知の到達の先後が不明な場合など
- 供託の主体:弁済をすることができる者。正当な利益を有する第三者は債務者の意思に反しても供託できる
- 効果(494条1項後段):供託をした時に債権が消滅する
- 取戻し(496条):債権者が受諾せず、供託を有効とする判決も確定しない間は取り戻せ、供託をしなかったものとみなす
正しい。確定日付のある通知の到達の先後が不明であれば、債務者は過失なく債権者を確知することができないから、494条2項により供託することができる。
494条2項は、弁済者が債権者を確知することができないときも供託をすることができ、ただし弁済者に過失があるときはこの限りでないと定める。債権が二重に譲渡された場合、譲受人の間の優劣は、確定日付のある通知が債務者に到達した日時の先後によって決まる(467条2項)。確定日付のある二つの譲渡通知がどちらも債務者に届いたのに、到達の先後が分からないときは、債務者にはどちらの譲受人が優先するかを判断する手段がなく、真の債権者を確知することができない。そしてその状態は債務者の落ち度によるものではないから、494条2項の供託の原因に当たる。判例も、債権差押えの通知と確定日付のある債権譲渡の通知の到達の先後が不明なために債権者を確知できないとしてされた供託について、それが有効であることを前提に、差押債権者と譲受人は債権額に応じて按分した供託金の還付請求権を取得するとしている(最判平5.3.30)。本肢は正しい。肢の指名債権は、現行法では単に債権と呼ばれている。

弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
- 受領拒絶(494条1項1号):弁済の提供をしたのに債権者が受領を拒んだとき。受領しないことが明確なら口頭の提供も要らない
- 受領不能(494条1項2号):債権者が弁済を受領することができないとき
- 債権者不確知(494条2項):弁済者が過失なく債権者を確知できないとき。確定日付のある通知の到達の先後が不明な場合など
- 供託の主体:弁済をすることができる者。正当な利益を有する第三者は債務者の意思に反しても供託できる
- 効果(494条1項後段):供託をした時に債権が消滅する
- 取戻し(496条):債権者が受諾せず、供託を有効とする判決も確定しない間は取り戻せ、供託をしなかったものとみなす
誤り。違うのは「債権者が供託金を受け取った時に」の部分である。弁済者が供託をした時に、その債権は消滅する(494条1項後段)。
494条1項は、供託の原因があるときは、弁済者は債権者のために弁済の目的物を供託することができ、この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は消滅すると定める。債権が消滅するのは供託をした時であり、債権者が供託物を受け取った時ではない。供託によって債権者は供託所に対して供託物の還付を請求する権利を取得するから、債権者はそれで弁済を受けたのと同じ立場に立つのである。もっとも、債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は供託物を取り戻すことができ、この場合には供託をしなかったものとみなされる(496条1項)。取り戻されれば債権は消えなかったことになるが、そのことは供託の時に債権が消滅するという原則を変えるものではない。したがって、債権者が供託金を受け取った時に債務が消滅するとする本肢は誤りである。出題当時の494条は債務者が債務を免れることができると定めていたが、供託の時に債務が消滅する点は改正の前後で同じである。

弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。二 債権者が弁済を受領することができないとき。
- 受領拒絶(494条1項1号):弁済の提供をしたのに債権者が受領を拒んだとき。受領しないことが明確なら口頭の提供も要らない
- 受領不能(494条1項2号):債権者が弁済を受領することができないとき
- 債権者不確知(494条2項):弁済者が過失なく債権者を確知できないとき。確定日付のある通知の到達の先後が不明な場合など
- 供託の主体:弁済をすることができる者。正当な利益を有する第三者は債務者の意思に反しても供託できる
- 効果(494条1項後段):供託をした時に債権が消滅する
- 取戻し(496条):債権者が受諾せず、供託を有効とする判決も確定しない間は取り戻せ、供託をしなかったものとみなす
誤り。違うのは「法律行為に当たる」の部分である。受領の拒絶は意思の通知であり、効果は法律が定めるので準法律行為に当たる。
債権者があらかじめ弁済の受領を拒む旨を表示するとき、確かに債権者の一定の意思は外に表されている。しかし、そこから生じる効果は「受領を拒む」という表示の内容が実現されることではなく、法律がこの表示に結び付けた効果である。すなわち、債権者があらかじめ受領を拒んだときは、債務者は現実の提供をしなくても、弁済の準備をしたことを通知して受領を催告すれば足りる(493条ただし書)。また、弁済の提供をしたのに債権者が受領を拒んだときは、弁済者は供託によって債務を免れることができる(494条1項1号)。このように、表示された意思どおりの効果が生じるのではなく、法定の効果が与えられるにとどまるので、受領の拒絶は意思の通知と呼ばれる準法律行為であり、法律行為ではない。

弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。
- 契約:申込みと承諾の合致で成立する
- 単独行為(法律行為):一方の意思表示だけで表示どおりの効果が生じる(取消し・追認・追認拒絶・解除・相殺・免除・遺言)
- 意思の通知(準法律行為):意思は表示するが、効果は法律が定める(受領の拒絶・制限行為能力者の相手方の催告)
- 観念の通知(準法律行為):事実を知らせるだけで、効果は法律が定める(時効完成前の債務の承認・債権譲渡の通知)
正しい。弁済について正当な利益を持つ第三者は債務者の意思に反しても弁済でき(474条2項)、債権者が受領を拒めば供託できる(494条1項1号)。
債務の弁済は第三者もすることができ(474条1項)、弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は債務者の意思に反して弁済できないとされるので(同条2項)、正当な利益を持つ第三者は、債務者の意思に反しても弁済することができる。そして494条1項1号は、弁済者は、弁済の提供をした場合に債権者がその受領を拒んだときは、債権者のために弁済の目的物を供託することができると定める。供託は弁済に代わって債務を消滅させる手段であるから、弁済できる立場にある者は、供託もすることができるのである。本肢の第三者は弁済について利害関係を持ち、弁済の提供をしたのに債権者が受領を拒んでいるので、債務者の意思に反するときでも、供託をすることができる。出題当時の474条2項は「利害関係を有しない第三者」と定めていたが、現行法の「正当な利益を有する者でない第三者」に読み替えても、結論は変わらない。

弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
二 債権者が弁済を受領することができないとき。
- 供託原因(494条):弁済の提供をして債権者が受領を拒んだとき、債権者が受領できないとき、弁済者が過失なく債権者を確知できないとき
- 効果(494条1項後段):供託をした時に債権が消滅する
- 取戻し(496条1項):債権者が受諾せず、供託を有効とする判決が確定しない間はできる。質権・抵当権が消滅した場合は除く
- 還付(498条):債務者が反対給付と引換えに弁済すべき場合は、債権者はその給付をしなければ受け取れない
誤り。違うのは「過失の有無を問わず」の部分である。債権者を確知できないことを理由とする供託は、弁済者に過失があるときはできない(494条2項ただし書)。
494条2項は、弁済者が債権者を確知することができないときも供託できるとし、ただし書で、弁済者に過失があるときはこの限りでないと定める。債権者が誰か分からない場合に、誤った相手に払って二重払いの危険を負うことから弁済者を解放するための制度であるが、少し調べれば分かったのにそれを怠った弁済者にまで、供託という簡便な方法で債務を消すことを認める必要はないからである。供託されると、債権者は供託所から受け取る手間を負うことになるので、弁済者の側に落ち度がないことを求めたのである。したがって、債権者を確知できないことに過失があれば、その理由による供託はできない。本肢は過失の有無を問わないとしている点で誤りである。出題当時の494条後段も、弁済者が過失なく債権者を確知できないときと定めており、結論は同じである。

弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
- 供託原因(494条):弁済の提供をして債権者が受領を拒んだとき、債権者が受領できないとき、弁済者が過失なく債権者を確知できないとき
- 効果(494条1項後段):供託をした時に債権が消滅する
- 取戻し(496条1項):債権者が受諾せず、供託を有効とする判決が確定しない間はできる。質権・抵当権が消滅した場合は除く
- 還付(498条):債務者が反対給付と引換えに弁済すべき場合は、債権者はその給付をしなければ受け取れない
誤り。違うのは「債権者が供託物を受け取らない限り,債務は消滅しない」の部分である。弁済者が供託をした時に債権は消滅する(494条1項後段)。
494条1項後段は、弁済者が供託をした時に、その債権は消滅すると定める。供託は、債権者が受領を拒んだり受領できなかったりする場合に、弁済者が債務から解放されるための制度であるから、債権者が実際に供託物を受け取るかどうかにかかわらず、供託の時点で債務が消えるとしたのである。債権者は、その後いつでも供託所に対して供託物の還付を請求することができる(498条1項)。したがって、債権者が供託物を受け取らなくても、債務は供託をした時に消滅しており、弁済者はその後の遅延損害金なども負わない。もっとも、債権者が受諾せず、供託を有効と宣告した判決も確定していない間は、弁済者は供託物を取り戻すことができ、取り戻せば供託をしなかったものとみなされる(496条1項)。本肢は債権者の受取りを債務消滅の要件としている点で誤りである。

弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
二 債権者が弁済を受領することができないとき。
- 供託原因(494条):弁済の提供をして債権者が受領を拒んだとき、債権者が受領できないとき、弁済者が過失なく債権者を確知できないとき
- 効果(494条1項後段):供託をした時に債権が消滅する
- 取戻し(496条1項):債権者が受諾せず、供託を有効とする判決が確定しない間はできる。質権・抵当権が消滅した場合は除く
- 還付(498条):債務者が反対給付と引換えに弁済すべき場合は、債権者はその給付をしなければ受け取れない
誤り。違うのは「賃借人の住所地の供託所又は」の部分である。供託は債務の履行地の供託所にしなければならず、賃料債務の履行地は債権者である賃貸人の現在の住所である(495条1項・484条1項)。
弁済者は、弁済の提供をした場合において債権者がその受領を拒んだときは、債権者のために弁済の目的物を供託することができ、供託をした時に債権は消滅する(494条1項1号)。賃貸借の終了をめぐる争いがあって賃貸人が賃料を受け取らない場合、賃借人は賃料を供託して債務不履行の責任を免れることができる。もっとも、495条1項は、供託は債務の履行地の供託所にしなければならないと定める。供託は弁済に代わって債務を消滅させる制度であるから、本来弁済すべき場所で供託させ、債権者が供託物を受け取りやすいようにしたのである。そして、弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡し以外の弁済は債権者の現在の住所においてしなければならない(484条1項)。賃料は金銭であり、特定物ではないから、履行地は賃貸人の現在の住所となる。したがって、賃借人は賃貸人の住所地の供託所に供託すべきであり、自分の住所地の供託所に供託することはできない。

前条の規定による供託は、債務の履行地の供託所にしなければならない。
誤り。違うのは「債権者を確知することができないとの理由により」の部分である。Bは債権者がAであることを知っており、所在が分からないだけなので、確知不能を理由とする供託(494条2項)はできない。
494条2項本文は、弁済者が債権者を確知することができないときも、債権者のために弁済の目的物を供託することができると定める。ここにいう債権者を確知することができないときとは、債権者が誰であるかを弁済者が知ることができない場合をいい、債権者に相続が生じたが相続人が分からない場合や、債権が二重に譲渡されてどちらが債権者か分からない場合がその例である。誰に払えばよいか分からない弁済者に、二重払いの危険を負わせずに債務を免れさせるための制度だからである。本肢のBは、売主Aが債権者であることを知っており、Aの所在が分からないにすぎないから、債権者を確知できない場合には当たらない。したがって、本肢は誤りである。なお、Bは弁済の提供をしてAが応じなかったので、受領の拒絶や受領することができないこと(同条1項各号)を理由とする供託の余地はある。

弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。二 債権者が弁済を受領することができないとき。2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
- 受領拒絶(1項1号):弁済の提供をしたのに債権者が受領を拒んだとき
- 受領不能(1項2号):持参債務で債権者が不在のときなど
- 債権者不確知(2項):相続人が分からない、二重譲渡でどちらが債権者か分からないなど。弁済者に過失があれば供託できない
- 効果:供託をした時に債権が消滅する(1項後段)
正しい。弁済供託の原因は、債権者の受領拒絶、受領不能、弁済者が過失なく債権者を確知できないことである(494条)。
494条1項は、弁済者は、弁済の提供をした場合において債権者がその受領を拒んだとき(1号)、債権者が弁済を受領することができないとき(2号)は、債権者のために弁済の目的物を供託することができると定め、同条2項は、弁済者が債権者を確知することができないときも同様とし、ただし弁済者に過失があるときはこの限りでないと定める。債務者は弁済の提供をすれば債務不履行の責任を免れる(492条)が、債務そのものは消滅しないので、いつまでも目的物を保管し続けなければならない。そこで、債権者の側の事情で弁済ができない場合には、供託所に目的物を預けることで債務を消滅させる途を開いたのである。受領拒絶の場合に弁済の提供を前提とすることは、出題当時の判例を平成29年改正で明文化したものである。本肢は正しい。

弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。二 債権者が弁済を受領することができないとき。/2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
- 供託原因:弁済の提供をしたのに受領を拒まれた、受領できない、過失なく債権者を確知できない(494条)
- 効果:弁済者が供託をした時に債権が消滅する(494条1項後段)
- 場所:債務の履行地の供託所(495条1項)。供託をした者は遅滞なく債権者に通知する(同条3項)
- 取戻し:債権者が受諾せず有効判決も確定しない間はできる。供託で質権・抵当権が消滅したときはできない(496条)
- 供託できる者:弁済者。第三者弁済ができる第三者も含む
誤り。違うのは「債権者が供託物を受領した時に消滅する」の部分である。債権は弁済者が供託をした時に消滅する(494条1項後段)。
494条1項後段は、弁済供託をした場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は消滅すると定める。弁済供託は、債権者の受領拒絶などにより弁済ができない債務者を債務から解放するための制度であるから、債権者が供託物を受け取るかどうかという債権者側の行動に債務の消滅をかからせると、債権者が受け取らない限り債務者はいつまでも債務を負い続けることになり、制度の目的を果たせない。そこで、供託所に目的物を預けた時点で債権を消滅させ、債権者は供託所に対して供託物の還付を請求する権利を取得するという仕組みにしたのである。もっとも、債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は供託物を取り戻すことができ、取り戻したときは供託をしなかったものとみなされる(496条1項)。本肢は誤りである。

弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
- 供託原因:弁済の提供をしたのに受領を拒まれた、受領できない、過失なく債権者を確知できない(494条)
- 効果:弁済者が供託をした時に債権が消滅する(494条1項後段)
- 場所:債務の履行地の供託所(495条1項)。供託をした者は遅滞なく債権者に通知する(同条3項)
- 取戻し:債権者が受諾せず有効判決も確定しない間はできる。供託で質権・抵当権が消滅したときはできない(496条)
- 供託できる者:弁済者。第三者弁済ができる第三者も含む
誤り。違うのは「債務者以外の者は、弁済供託をすることができない」の部分である。供託ができるのは「弁済者」であり(494条1項)、第三者も弁済できる以上(474条1項)、弁済をする第三者も供託できる。
494条1項は、供託をすることができる者を「弁済者」と定めている。そして、474条1項は、債務の弁済は第三者もすることができると定める。弁済供託は弁済に代わって債務を消滅させる制度であるから、弁済をすることができる者であれば、債権者が受領を拒むなどの場合に供託によって債務を消滅させることができると解するのが自然である。債務者に限ると、弁済をしようとする第三者は債権者の受領拒絶に対して何の手段も持たないことになり、第三者弁済を認めた趣旨が損なわれるからである。したがって、弁済をすることができる第三者は、その第三者として弁済供託をすることができる。もっとも、正当な利益を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済できないなどの制限(474条2項・3項)を受けるので、その制限の範囲で供託もできないことになる。本肢は誤りである。

債務の弁済は、第三者もすることができる。
- 供託原因:弁済の提供をしたのに受領を拒まれた、受領できない、過失なく債権者を確知できない(494条)
- 効果:弁済者が供託をした時に債権が消滅する(494条1項後段)
- 場所:債務の履行地の供託所(495条1項)。供託をした者は遅滞なく債権者に通知する(同条3項)
- 取戻し:債権者が受諾せず有効判決も確定しない間はできる。供託で質権・抵当権が消滅したときはできない(496条)
- 供託できる者:弁済者。第三者弁済ができる第三者も含む


