第203条占有権の消滅事由過去問 6
占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。
この条文の過去問 6問
所有権の取得時効は、占有者が他人によって物の占有を奪われたときであっても、占有回収の訴えにより現実にその物の占有を回復したときは、中断しない。
解説
本肢は正しい。164条は、162条による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によって占有を奪われたときは中断すると定めており(いわゆる自然中断。平成29年改正後も条文上「中断」の語が維持されている)、占有の継続が破られれば取得時効の効果は生じない。もっとも203条は、占有権は占有者が占有の意思を放棄し又は占有物の所持を失うことによって消滅するとしつつ、ただし書で、占有者が占有回収の訴え(200条)を提起したときはこの限りでないとする。判例は、占有を奪われた者が占有回収の訴えにより現実にその物の占有を回復した場合には、現実に占有していなかった間も占有を失わず占有が継続していたものと擬制され、取得時効は中断しないとしている(最判昭和44年12月2日)。したがって、占有侵奪という事実があっても、占有回収の訴えによる現実の占有回復があれば、侵奪前後の占有期間は通算される。逆に、占有回収の訴えを提起しなかった場合や、敗訴・取下げにより現実の占有回復に至らなかった場合には、占有喪失時に時効は中断する。なお、占有回収の訴えは侵奪の時から1年以内に提起しなければならない(201条3項)。
所有権の取得時効は、占有者が他人によって物の占有を奪われたときであっても、占有回収の訴えにより現実にその物の占有を回復したときは、中断しない。
解説
本肢は正しい。164条は、162条による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によって占有を奪われたときは中断すると定めており(いわゆる自然中断。平成29年改正後も条文上「中断」の語が維持されている)、占有の継続が破られれば取得時効の効果は生じない。もっとも203条は、占有権は占有者が占有の意思を放棄し又は占有物の所持を失うことによって消滅するとしつつ、ただし書で、占有者が占有回収の訴え(200条)を提起したときはこの限りでないとする。判例は、占有を奪われた者が占有回収の訴えにより現実にその物の占有を回復した場合には、現実に占有していなかった間も占有を失わず占有が継続していたものと擬制され、取得時効は中断しないとしている(最判昭和44年12月2日)。したがって、占有侵奪という事実があっても、占有回収の訴えによる現実の占有回復があれば、侵奪前後の占有期間は通算される。逆に、占有回収の訴えを提起しなかった場合や、敗訴・取下げにより現実の占有回復に至らなかった場合には、占有喪失時に時効は中断する。なお、占有回収の訴えは侵奪の時から1年以内に提起しなければならない(201条3項)。
留置権者が留置物の占有を奪われたとしても、占有回収の訴えによってその物の占有を回復すれば、留置権は消滅しない。
解説
本肢は正しい。留置権は目的物の占有を成立要件かつ存続要件とするため、留置権者が留置物の占有を失えば留置権は消滅する(民法302条本文。ただし債務者の承諾を得て賃貸または質入れした場合は除く)。もっとも、占有を侵奪された場合には、占有者は占有回収の訴えによって物の返還を請求することができ(200条1項)、この場合について203条ただし書は、占有者が占有回収の訴えを提起したときは占有権は消滅しないと定めている。
判例は、この規定の趣旨について、「占有回収の訴を提起して勝訴し、現実にその物の占有を回復したときは、右現実に占有しなかつた間も占有を失わず占有が継続していたものと擬制される」と解しており(最判昭和44年12月2日)、単に訴えを提起しただけでは足りず、勝訴して現実に占有を回復することを要するとする。逆にいえば、現実に占有を回復した以上は侵奪期間中も占有が途切れなかったものと扱われる。
そうすると、留置権者が占有を奪われた後、占有回収の訴えにより目的物の占有を取り戻した場合には、占有の喪失そのものがなかったことになるから、302条本文による留置権の消滅は生じない。したがって留置権は消滅しないとする本肢は正しい。なお、占有回収の訴えは侵奪の時から1年以内に提起しなければならない(201条3項)点にも注意を要する。
留置権者が留置物の占有を奪われたとしても、占有回収の訴えによってその物の占有を回復すれば、留置権は消滅しない。
解説
本肢は正しい。留置権は目的物の占有を成立要件かつ存続要件とするため、留置権者が留置物の占有を失えば留置権は消滅する(民法302条本文。ただし債務者の承諾を得て賃貸または質入れした場合は除く)。もっとも、占有を侵奪された場合には、占有者は占有回収の訴えによって物の返還を請求することができ(200条1項)、この場合について203条ただし書は、占有者が占有回収の訴えを提起したときは占有権は消滅しないと定めている。
判例は、この規定の趣旨について、「占有回収の訴を提起して勝訴し、現実にその物の占有を回復したときは、右現実に占有しなかつた間も占有を失わず占有が継続していたものと擬制される」と解しており(最判昭和44年12月2日)、単に訴えを提起しただけでは足りず、勝訴して現実に占有を回復することを要するとする。逆にいえば、現実に占有を回復した以上は侵奪期間中も占有が途切れなかったものと扱われる。
そうすると、留置権者が占有を奪われた後、占有回収の訴えにより目的物の占有を取り戻した場合には、占有の喪失そのものがなかったことになるから、302条本文による留置権の消滅は生じない。したがって留置権は消滅しないとする本肢は正しい。なお、占有回収の訴えは侵奪の時から1年以内に提起しなければならない(201条3項)点にも注意を要する。
留置権者が目的物の占有を奪われた場合,留置権者が占有回収の訴えを提起して勝訴し,現実の占有を回復すれば,留置権は消滅しない。
解説
本肢は正しい。留置権は占有の喪失によって消滅するのが原則である(302条本文)が、占有喪失が侵奪によるものであるときは、占有権自体につき「占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない」との例外がある(203条ただし書)。この規定の意味について、判例は、占有回収の訴え(200条)を提起して勝訴し、現実にその物の占有を回復したときは、現実に占有していなかった期間についても占有が失われず継続していたものと擬制される、としている(最判昭和44年12月2日)。占有の継続が擬制される以上、留置権の存続要件である占有も失われていないことになり、留置権は消滅しない。逆にいえば、訴えを提起しただけで敗訴した場合や、勝訴しても現実の占有回復に至らない場合には、この擬制は働かず、占有喪失時に留置権は消滅したことになる。本肢は勝訴かつ現実の占有回復という要件をいずれも満たす事案であるから、留置権は消滅しないとする点で正しい。なお、占有を侵奪された留置権者の救済は、原則として占有回収の訴えによることになる。
留置権者が目的物の占有を奪われた場合,留置権者が占有回収の訴えを提起して勝訴し,現実の占有を回復すれば,留置権は消滅しない。
解説
本肢は正しい。留置権は占有の喪失によって消滅するのが原則である(302条本文)が、占有喪失が侵奪によるものであるときは、占有権自体につき「占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない」との例外がある(203条ただし書)。この規定の意味について、判例は、占有回収の訴え(200条)を提起して勝訴し、現実にその物の占有を回復したときは、現実に占有していなかった期間についても占有が失われず継続していたものと擬制される、としている(最判昭和44年12月2日)。占有の継続が擬制される以上、留置権の存続要件である占有も失われていないことになり、留置権は消滅しない。逆にいえば、訴えを提起しただけで敗訴した場合や、勝訴しても現実の占有回復に至らない場合には、この擬制は働かず、占有喪失時に留置権は消滅したことになる。本肢は勝訴かつ現実の占有回復という要件をいずれも満たす事案であるから、留置権は消滅しないとする点で正しい。なお、占有を侵奪された留置権者の救済は、原則として占有回収の訴えによることになる。