補助は、補助開始の審判によって開始する。
1家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、職権で、補助人を選任する。
2第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は、補助人について準用する。
3補助人又はその代表する者と被補助人との利益が相反する行為については、補助人は、臨時補助人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、補助監督人がある場合は、この限りでない。
1家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被補助人、その親族若しくは補助人の請求により又は職権で、補助監督人を選任することができる。
2第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十条、第八百五十一条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、補助監督人について準用する。この場合において、第八百五十一条第四号中「被後見人を代表する」とあるのは、「被補助人を代表し、又は被補助人がこれをすることに同意する」と読み替えるものとする。
1家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。
この条文の過去問 3問
正しい。代理権付与の審判(876条の9第1項)は補助人に代理権を与えるだけで、被補助人の行為能力を制限しないので、被補助人はその法律行為を自らすることができる。
876条の9第1項は、家庭裁判所は、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができると定める。この審判は補助人に本人を代理する権限を与えるものであり、被補助人自身がその行為をする権限や能力を奪うものではない。補助で被補助人の行為が取り消せることになるのは、17条1項の審判で補助人の同意を要するとされた行為を、同意又はこれに代わる許可を得ずにした場合に限られ(17条4項)、代理権付与の審判にはそのような効果は結び付けられていない。したがって、代理権付与の審判だけがされた行為については、被補助人も自分で有効にすることができ、後から取り消すこともできない。肢は正しい。成年後見人が包括的な代理権を持ち(859条1項)、成年被後見人の行為が日用品の購入などを除いて取り消せる(9条)のとは対照的である。

家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
誤り。違うのは「補助開始の審判を取り消さずに後見開始の審判をすることができる」の部分である。後見開始の審判をする場合に本人が被補助人であるときは、補助開始の審判を取り消さなければならない(19条1項)。
19条1項は、後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所はその本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならないと定める。取り消さなければならないとされているから、家庭裁判所の裁量で残しておくことはできず、補助開始の審判をそのままにして後見開始の審判をすることはできない。後見・保佐・補助は、本人の判断能力の衰えの程度に応じて段階的に設けられた類型であり、同じ人について重ねて存在することは予定されていない。仮に両方が並び立つと、成年後見人の代理権・取消権と補助人の同意権・代理権がぶつかり、本人の行為能力がどこまで制限されるのかがはっきりしなくなり、本人も取引の相手方も不安定な立場に置かれるからである。逆に、保佐開始や補助開始の審判をする場合に本人が成年被後見人などであるときも、同じく従前の審判を取り消さなければならない(同条2項)。

後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。
- 後見開始(7条):事理を弁識する能力を欠く常況。本人以外の請求でも本人の同意は不要
- 保佐開始(11条):能力が著しく不十分。本人以外の請求でも本人の同意は不要。代理権付与には本人の同意が要る(876条の4第2項)
- 補助開始(15条):能力が不十分。本人以外の請求なら本人の同意が要る(2項)。同意権付与か代理権付与の審判とともにする(3項)
- 審判相互の関係(19条):別の類型の審判をするときは、従前の審判を取り消さなければならない
正しい。補助開始の審判は同意権付与の審判又は代理権付与の審判とともにすればよく、補助人に当然に代理権が付与されるわけではない(15条3項)。
15条3項は、補助開始の審判は、17条1項の審判(特定の法律行為について補助人の同意を要する旨の審判)又は876条の9第1項の審判(特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判)とともにしなければならないと定める。被補助人は事理を弁識する能力が不十分であるにとどまり、多くの行為を自分で判断できるから、補助人の権限は本人の必要に応じて個別に選ぶ仕組みとされた。同意権だけを付与することも、代理権だけを付与することも、両方を付与することもでき、代理権付与の審判を本人以外の請求でするには本人の同意を要する(876条の9第2項・876条の4第2項)。成年後見人が当然に包括的な代理権を持つ(859条1項)のと異なり、補助人は審判で付与された特定の行為についてのみ代理権を持つ。本肢は正しい。

補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。
- 後見開始(7条):事理を弁識する能力を欠く常況。本人の同意は不要。成年後見人は包括的な代理権を持つ(859条1項)
- 保佐開始(11条):能力が著しく不十分。保佐人への代理権付与には本人の同意が要る(876条の4第2項)
- 補助開始(15条):能力が不十分。本人以外の請求なら本人の同意が要る(15条2項)。同意権付与か代理権付与の審判とともにする(同条3項)
1第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条、第八百六十三条及び第八百七十六条の五第一項の規定は補助の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は補助人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被補助人を代表する場合について準用する。
2第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は補助人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は補助人又は補助監督人と被補助人との間において補助に関して生じた債権について準用する。