第838条過去問 6
後見は、次に掲げる場合に開始する。未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。後見開始の審判があったとき。
1 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
2 後見開始の審判があったとき。
この条文の過去問 6問
父母が離婚した場合において、親権者と定められた父が死亡したときは、生存している母が、直ちに親権者となる。
解説
本肢は誤り。離婚に際して親権者と定められた父が死亡しても、他方の親である母が当然に親権者となる旨の規定はない。この場合は「未成年者に対して親権を行う者がないとき」に当たり、未成年後見が開始する(838条1号)。したがって、家庭裁判所により未成年後見人が選任されるのが原則的な処理であり(840条1項)、生存親が直ちに親権者の地位に復するわけではない。もっとも、生存親が現実に監護しており、その者を親権者とすることが子の利益に適う場合もあるため、実務では819条6項による親権者変更の審判を申し立て、これが認められれば生存親が親権者となる取扱いが定着している(親権者変更を認めた家裁審判例が複数ある)。この場合でも、親権者となる効果は家庭裁判所の審判によって生じるのであって、父の死亡によって当然に生じるものではない。よって、「直ちに親権者となる」とする本肢は誤りである。なお、令和6年改正により父母双方を親権者と定めることが可能となったが、単独親権者と定められた者が死亡した場合の処理について上記の枠組みが変わるものではない。
親権停止の審判があったことによって未成年者に対して親権を行う者がなくなるときは、後見が開始する。
解説
本肢は正しい。未成年後見は、未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないときに開始する(838条1号)。親権停止の審判(834条の2第1項)は、親権者から一定期間(2年を超えない範囲で家庭裁判所が定める期間。同条2項)親権の行使をする資格を奪うものであるから、これによって親権を行使し得る者が存在しなくなる場合には、838条1号の「親権を行う者がないとき」に当たり、後見が開始する。ここでいう「ないとき」は、死亡等により法律上親権者が存在しない場合だけでなく、親権喪失・親権停止・管理権喪失の審判や親権の辞任により現実に親権を行使できる者がいなくなった場合をも含むと解されている。未成年後見人は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求により家庭裁判所が選任する(840条1項)ほか、親権停止の審判があったことによって未成年後見人を選任する必要が生じたときは、その父又は母が遅滞なく未成年後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない(841条)。以上より、本肢は正しい。
父母が離婚した場合において,親権者と定められた母が死亡したときは,生存している父が,直ちに親権者となる。
解説
本肢は誤り。819条は、離婚に際して親権者を定める方法(同条1項ないし5項)と、その後の親権者変更(同条6項)を規律するが、親権者と定められた一方が死亡した場合に他方の親が当然に親権者となる旨の規定は置かれていない。838条1号は「未成年者に対して親権を行う者がないとき」に後見が開始すると定めるところ、単独親権者である母が死亡すれば、生存する父がいても父は現に親権者ではないから、条文上は親権を行う者がない状態となり、未成年後見が開始し、家庭裁判所が未成年後見人を選任することになる(840条1項)。すなわち、生存親が親権者としての地位を自動的に回復するわけではない。もっとも、生存親が親権者として適格である場合にまで一律に未成年後見によらせるのは子の利益に適合しないため、実務では819条6項を類推適用し、子の親族の請求により家庭裁判所が生存親を親権者と定める(親権者変更の)審判を認める取扱いがされている。いずれにせよ家庭裁判所の審判という手続を経る必要があり、その判断基準は「子の利益のため必要があると認めるとき」である。したがって、生存する父が「直ちに」親権者となるとする本肢は誤りである。
親権停止の審判によって未成年者に対して親権を行う者がなくなるときは,後見が開始する。
解説
本肢は正しい。838条1号は、「未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき」に後見が開始すると定める。親権停止の審判(834条の2第1項)は、父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときに、家庭裁判所が2年を超えない範囲で期間を定めて親権の行使を停止させる制度であり、平成23年改正により新設された。従来は親権喪失(834条)しかなく、期間の定めのない強度の効果ゆえに児童虐待事案でも申立てがためらわれるという問題があったため、一時的・段階的な介入手段として設けられたものである。親権停止の審判を受けた親権者は、停止期間中は親権を行うことができない。したがって、単独親権者について停止の審判がされた場合や、共同親権者の双方について停止の審判がされた場合には、「未成年者に対して親権を行う者がない」状態となり、838条1号前段により後見が開始する。もっとも、後見が開始しても未成年後見人が当然に決まるわけではなく、指定未成年後見人(839条)がいないときは、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって家庭裁判所が未成年後見人を選任する(840条1項)。以上より、本肢の記述は838条1号に照らして正しい。
契約を締結した成年者がその後に後見開始の審判を受けたとき,成年後見人は,その契約の当時,既にその成年者につき後見開始の事由が存在していたことを証明して,その成年者のした契約を取り消すことができる。
解説
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未成年後見及び成年後見は,いずれも,家庭裁判所が後見開始の審判をしたときに開始される。
解説
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