1契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
2前項の意思表示は、撤回することができない。
この条文の過去問 8問
誤り。違うのは「契約の解除をすることなく、当該債務は当然にその効力を失う」の部分である。定期行為の時期が経過すれば催告なく解除できるが、解除の意思表示は必要である(542条1項4号・540条1項)。
542条1項4号は、契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したときは、債権者は催告をすることなく直ちに契約の解除をすることができると定める。時期を過ぎれば契約の目的は達せられないので、相当の期間を定めて履行を促す催告(541条)には意味がないからである。もっとも、これは催告なしに解除権が生じるというだけで、契約や債務が自動的に効力を失うわけではない。解除は相手方に対する意思表示によってするものであり(540条1項)、解除の意思表示がなければ契約は存続し、債権者はなお履行を求めることもできる。肢は、解除をしなくても債務が当然に効力を失うとしており、誤っている。商人間の確定期売買では、直ちに履行の請求をしない限り解除をしたものとみなされる(商法525条)。

契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
- 債務の全部の履行が不能であるとき(1号)
- 債務者が債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき(2号)
- 一部の不能・一部の明確な履行拒絶で、残存部分のみでは契約の目的を達することができないとき(3号)
- 定期行為で、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき(4号)
- 催告をしても契約の目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき(5号)
誤り。違うのは「契約の解除がされたものとみなされ,当該債務は当然に消滅する」の部分である。定期行為の時期を経過すれば催告なしに解除できるが(542条1項4号)、解除には意思表示が必要である(540条1項)。
542条1項4号は、契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したときは、債権者は催告をすることなく直ちに契約の解除をすることができると定める。その時期を過ぎてしまえば、催告をして履行の機会を与えても契約の目的は達せられないから、催告を不要としたのである。しかし、この規定が定めるのは催告なしに解除できるということにとどまり、解除そのものは、540条1項により相手方に対する意思表示によってしなければならない。時期が過ぎただけで当然に解除の効果が生じるわけではなく、債権者が解除の意思表示をしない限り契約は続き、債務も当然には消滅しない。債権者は、時期を過ぎた後でも履行を求めるか、解除するかを選ぶことができるのである。商人間の売買では、履行を直ちに請求しない限り解除したものとみなす特則(商法525条)があるが、民法にはそのような規定はない。

契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
- 1号:債務の全部の履行が不能であるとき
- 2号:債務者が債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき
- 3号:一部の履行不能・一部の履行拒絶で、残存する部分のみでは契約の目的を達することができないとき
- 4号:定期行為で、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき
- 5号:催告をしても契約の目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかなとき
- いずれも解除の意思表示(540条1項)が必要。一部の解除は542条2項
誤り。違うのは「Bは、代金の支払を拒むことができない」の部分である。受領遅滞中でも債務者の重過失による滅失は債務者の帰責事由による不能であり、Bは履行に代わる損害賠償債務との同時履行などを理由に代金の支払を拒める。
債権者が受領を拒んだ場合、特定物の引渡しを目的とする債務者は、履行の提供をした時から引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって保存すれば足りる(413条1項)。受領遅滞中に当事者双方の責めに帰することができない事由で履行不能となったときは、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなされ(413条の2第2項)、債権者は反対給付の履行を拒めない(536条2項)。しかし本肢では、甲はAの重過失で滅失しており、自己の財産に対するのと同一の注意すら尽くしていないので、履行不能はAの責めに帰すべき事由による。そのため413条の2第2項は当てはまらず、536条2項によって代金の支払を拒めなくなることもない。Bは、Aに履行に代わる損害賠償を請求でき(415条2項1号)、その債務と代金債務は同時履行の関係に立つので(533条)、代金の支払を拒むことができる。催告なしに解除して代金債務を免れることもできる(542条1項1号)。肢は誤っている。

債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。
- 引渡し前・売主の帰責:買主は解除と損害賠償ができる
- 引渡し前・双方無責:買主は代金の支払を拒める(536条1項)。代金債務を消すには解除が要る
- 引渡し前・買主の帰責:買主は代金の支払を拒めず、解除もできない(536条2項・543条)
- 引渡し後・双方無責:買主は追完・減額・損害賠償・解除ができず、代金も払う(567条1項)
- 適合物の提供を拒んだ後・双方無責:引渡し後と同じく買主の負担(567条2項・413条の2第2項)
正しい。解除の意思表示は撤回することができない(540条2項)。
540条1項は、契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は相手方に対する意思表示によってすると定め、同条2項は、その意思表示は撤回することができないと定めており、肢はこの条文のとおりである。解除の意思表示が相手方に届けば、相手方の同意がなくても契約は解消され、各当事者は原状回復の義務を負う(545条1項)。相手方は契約がなくなったことを前提に、受け取った物を返す準備をしたり、別の取引を始めたりする。それなのに解除した者が自由に撤回できるとすると、いったん消えた契約が復活して相手方の立場が不安定になり、法律関係も複雑になる。そこで、解除の意思表示の撤回を禁じた。もっとも、解除の意思表示に錯誤や詐欺があれば取り消すことはでき、当事者双方の合意で契約を復活させることもできる。肢は正しい。

契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
2 前項の意思表示は、撤回することができない。
| 意思表示 | 撤回 | 条文 |
|---|---|---|
| 選択権の行使 | 相手方の承諾がなければできない | 407条2項 |
| 解除 | できない | 540条2項 |
| 相続の承認・放棄 | 熟慮期間内でもできない(取消しは別) | 919条1項 |
| 遺贈の承認・放棄 | できない(取消しは別) | 989条1項 |
| 遺言 | いつでも遺言の方式でできる。撤回権の放棄はできない | 1022条・1026条 |
誤り。違うのは「Aは,贈与の撤回を取り消すことができる」の部分である。書面によらない贈与の解除(出題当時の撤回)は単に義務を免れる行為であり、未成年者でも同意なく単独でできるので、取り消すことはできない(5条1項ただし書・550条)。
550条は、書面によらない贈与は各当事者が解除をすることができると定める。贈与者であるAは、贈与契約によって100万円を給付する義務を負っており、解除はその義務を消滅させるだけであるから、5条1項ただし書の単に義務を免れる法律行為に当たる。未成年者に不利益がないことが明らかな行為については、法定代理人の同意で保護する必要がないので、未成年者が単独でしても有効であり、5条2項による取消しの対象にならない。また、解除の意思表示はいったんすれば撤回することができない(540条2項)。肢は同意がないことを理由に取り消せるとしており、誤っている。出題当時の旧550条はこれを撤回と呼んでいたが、平成29年改正で解除に改められた。なお、本問は19歳で親権に服するAを前提とするが、平成30年改正(令和4年4月施行)で成年年齢が18歳となり、現在は19歳の者は成年なので、この前提は成り立たない。Aを未成年者に置き換えれば正誤は変わらない。

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。/書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
- 単に権利を得、又は義務を免れる行為:負担のない贈与の承諾・債務の免除を受けること・書面によらない贈与の解除(5条1項ただし書)
- 処分を許された財産:目的を定めて許した財産はその目的の範囲内で、目的を定めないで許した財産は自由に処分できる(5条3項)
- 許された営業に関する行為:その営業に関しては成年者と同一の行為能力を有する(6条1項)。営業に関しない行為は取り消せる
- 身分行為:認知は法定代理人の同意を要しない(780条)
誤り。違うのは「Aは,贈与の撤回を取り消すことができる」の部分である。書面によらない贈与の解除(出題当時の撤回)は単に義務を免れる行為であり、未成年者でも同意なく単独でできるので、取り消すことはできない(5条1項ただし書・550条)。
550条は、書面によらない贈与は各当事者が解除をすることができると定める。贈与者であるAは、贈与契約によって100万円を給付する義務を負っており、解除はその義務を消滅させるだけであるから、5条1項ただし書の単に義務を免れる法律行為に当たる。未成年者に不利益がないことが明らかな行為については、法定代理人の同意で保護する必要がないので、未成年者が単独でしても有効であり、5条2項による取消しの対象にならない。また、解除の意思表示はいったんすれば撤回することができない(540条2項)。肢は同意がないことを理由に取り消せるとしており、誤っている。出題当時の旧550条はこれを撤回と呼んでいたが、平成29年改正で解除に改められた。なお、本問は19歳で親権に服するAを前提とするが、平成30年改正(令和4年4月施行)で成年年齢が18歳となり、現在は19歳の者は成年なので、この前提は成り立たない。Aを未成年者に置き換えれば正誤は変わらない。

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。/書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
- 単に権利を得、又は義務を免れる行為:負担のない贈与の承諾・債務の免除を受けること・書面によらない贈与の解除(5条1項ただし書)
- 処分を許された財産:目的を定めて許した財産はその目的の範囲内で、目的を定めないで許した財産は自由に処分できる(5条3項)
- 許された営業に関する行為:その営業に関しては成年者と同一の行為能力を有する(6条1項)。営業に関しない行為は取り消せる
- 身分行為:認知は法定代理人の同意を要しない(780条)
正しい。解除権が発生しても、その行使前に債務者が遅延賠償とともに債務の本旨に従った履行をすれば、解除権は消滅する(大判大6.7.10)。
解除は相手方に対する意思表示によってするものであり(540条1項)、意思表示があるまでは契約は存続している。そのため、債務不履行で解除権が生じた後でも、解除権が行使される前に債務者が遅延賠償とともに債務の本旨に従った履行又はその提供をすれば、解除権の基礎である不履行の状態がなくなり、解除権は消滅する(大判大6.7.10)。既に履行を済ませた債務者に契約の巻戻しという不利益を負わせるのは公平でなく、債務不履行の拘束から債権者を解放するという解除の目的も既に果たされているからである。もっとも、消滅させるには元本だけでなく遅延賠償も含めた履行が必要である。本肢では、売主が解除権を行使する前に買主が債務を履行しているので、売主は解除権を行使できない。肢は正しい。

契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。2 前項の意思表示は、撤回することができない。
正しい。解除権が発生しても、その行使前に債務者が遅延賠償とともに債務の本旨に従った履行をすれば、解除権は消滅する(大判大6.7.10)。
解除は相手方に対する意思表示によってするものであり(540条1項)、意思表示があるまでは契約は存続している。そのため、債務不履行で解除権が生じた後でも、解除権が行使される前に債務者が遅延賠償とともに債務の本旨に従った履行又はその提供をすれば、解除権の基礎である不履行の状態がなくなり、解除権は消滅する(大判大6.7.10)。既に履行を済ませた債務者に契約の巻戻しという不利益を負わせるのは公平でなく、債務不履行の拘束から債権者を解放するという解除の目的も既に果たされているからである。もっとも、消滅させるには元本だけでなく遅延賠償も含めた履行が必要である。本肢では、売主が解除権を行使する前に買主が債務を履行しているので、売主は解除権を行使できない。肢は正しい。

契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。2 前項の意思表示は、撤回することができない。








































































