同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。
1抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
この条文の過去問 6問
誤り。違うのは「Cの合意を要しない」の部分である。BとDの順位を入れ替えると中間のCに先立つ者の債権額が変わり、Cの配当に影響するので、Cも順位の変更に合意しなければならない(374条1項)。
374条1項は、抵当権の順位は各抵当権者の合意によって変更することができ、利害関係を有する者があるときはその承諾を得なければならないと定め、同条2項は、順位の変更は登記をしなければ効力を生じないとする。順位の変更は、当事者の間でだけ効力を持つ順位の譲渡や放棄と違い、順位そのものを入れ替えるものなので、変更によって立場に影響を受ける抵当権者全員の合意が要る。本肢では、B・C・Dの順位をD・C・Bに変えようとしており、Cは形の上では第二順位のままである。しかし、Cより先に配当を受ける者がBからDに替わるので、BとDの債権額が違えば、Cに回ってくる配当額が増えたり減ったりする。Cは実質的に影響を受けるので、Cの合意も必要である。肢は誤っている。

抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
| 処分 | 効果 | 要件 |
|---|---|---|
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 一般債権者が譲渡人の優先弁済枠で先に取る(譲渡)・按分する(放棄) | 当事者の合意。主たる債務者等への対抗は通知・承諾(377条1項) |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 譲受人が先に取る(譲渡)・債権額に応じて按分する(放棄) | 当事者の合意。他の者には影響しない |
| 順位の変更(374条) | 順位そのものが入れ替わる | 影響を受ける各抵当権者の合意・利害関係人の承諾・登記 |
正しい。抵当権の順位の変更は、登記をしなければ効力を生じない(374条2項)。
374条1項は、抵当権の順位は各抵当権者の合意によって変更することができ、利害関係を有する者があるときはその承諾を得なければならないと定め、同条2項は、順位の変更はその登記をしなければその効力を生じないとする。376条の順位の譲渡や放棄が処分の当事者の間でだけ配当の分け方を変えるのに対し、順位の変更は抵当権の順位そのものを誰に対しても入れ替えるものである。そのため、権利関係をはっきりさせるよう、登記を対抗要件ではなく効力の要件とした。したがって、BF間で順位の変更を合意しても、その登記がされるまでは変更の効力は生じず、肢は正しい。順位の変更には各抵当権者の合意が要るので、第一順位のBと第三順位のFを入れ替える場合は、間にいる第二順位のEも合意に加わる必要がある。

抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
| 処分 | 相手 | 効果 | 効力・対抗 |
|---|---|---|---|
| 転抵当(376条1項) | 抵当権者の債権者 | 抵当権を自己の債務の担保にする | 合意で効力。債務者等には通知・承諾(377条1項) |
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の無担保債権者 | 譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上 |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の後順位抵当権者 | 当事者の配当額の合計を、譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上。他の抵当権者に影響しない |
| 順位の変更(374条) | 各抵当権者の合意 | 順位そのものを入れ替える | 登記が効力要件(374条2項) |
誤り。違うのは「その登記をしなければ譲渡の効力は生じない」の部分である。順位の譲渡は当事者の合意で効力を生じ、登記を効力要件とするのは順位の変更(374条2項)だけである。
376条1項は、抵当権者は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権の順位を譲渡することができると定める。順位の譲渡は、先順位の抵当権者が後順位の抵当権者に自分の優先する地位を譲るものであり、その効果は処分の当事者の間でだけ生じ、中間のGが受ける配当には影響しない。そのため民法は、順位の変更(374条2項)のように登記を効力の要件とする規定を置いておらず、順位の譲渡は処分者Bと受益者Hの合意によって効力を生じる。登記は対抗要件にとどまり、債務者・保証人・抵当権設定者などに対しては467条に従った通知又は承諾が対抗要件となる(377条1項)。肢は、順位の変更についての374条2項の規律を順位の譲渡に当てはめており、誤っている。順位の譲渡がされると、BとHが本来受ける配当額の合計から、まずHが自分の債権額まで弁済を受け、残りがBに配当される。

前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
| 処分 | 相手 | 効果 | 効力・対抗 |
|---|---|---|---|
| 転抵当(376条1項) | 抵当権者の債権者 | 抵当権を自己の債務の担保にする | 合意で効力。債務者等には通知・承諾(377条1項) |
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の無担保債権者 | 譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上 |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の後順位抵当権者 | 当事者の配当額の合計を、譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上。他の抵当権者に影響しない |
| 順位の変更(374条) | 各抵当権者の合意 | 順位そのものを入れ替える | 登記が効力要件(374条2項) |
誤り。違うのは「Cに1000万円,Dに1500万円」の部分である。順位の変更は順位そのものを入れ替えるから、第一順位のDに2000万円、第二順位のCに残りの500万円が配当され、Bには配当がない。
抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができ、利害関係を有する者があるときはその承諾を得なければならない(374条1項)。順位の変更は、その登記をしなければ効力を生じない(同条2項)。376条の処分が当事者の間でだけ効力を持つのと違い、順位の変更は抵当権の順位そのものを入れ替えるものであり、そのために順位が動くすべての抵当権者の合意が必要とされている。したがって、配当は変更後の順位どおりに計算すればよい。本問では、Dが第一順位、Cが第二順位、Bが第三順位となるから、2500万円は、まず第一順位のDに債権額の全部である2000万円が配当され、次に第二順位のCに残りの500万円が配当され、第三順位のBには配当がない。Cは自分の順位が変わっていないのに配当が減るので、合意が必要とされているのである。正しくはDに2000万円、Cに500万円であり、本肢は誤りである。本肢の数字は、BがDに順位を譲渡した場合の結果である。

抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
| 処分 | 配当 | しくみ |
|---|---|---|
| BがEに抵当権を譲渡 | E500、B0、C1000、D1000 | Bの優先枠をEが取得する |
| BがEのために抵当権を放棄 | B100、E400、C1000、D1000 | Bの500をBとEの債権額(1対4)で按分する |
| BがDに順位を譲渡 | D1500、B0、C1000 | BとDの合計1500からDが先に取る |
| BがDのために順位を放棄 | B300、D1200、C1000 | BとDの合計1500を債権額(1対4)で按分する |
| 順位の変更(D・C・Bの順) | D2000、C500、B0 | 順位そのものが入れ替わり、全員の合意と登記が要る |
誤り。違うのは「合意のみによって効力を生ずるが,それを第三者に対抗するためには,その登記をしなければならない」の部分である。順位の変更は登記をしなければ効力を生じない(374条2項)。
抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができ、利害関係を有する者があるときはその承諾を得なければならない(374条1項)。そして同条2項は、順位の変更はその登記をしなければその効力を生じないと定めている。順位の変更の登記は、第三者に対抗するための要件ではなく、変更の効力そのものを生じさせる要件なのである。順位の変更は、当事者の間だけでなく、後順位の抵当権者や一般債権者を含めた配当の秩序全体を組み替えるものであるから、登記上の順位と実際の優劣が食い違う状態が生じないよう、登記を効力の要件とした。したがって、合意だけで効力を生じ、登記は対抗要件にすぎないとする本肢は誤りである。これに対し、抵当権の順位の譲渡・放棄(376条1項)は処分の当事者の間で優劣を変えるにとどまるので、主たる債務者への通知又はその承諾が対抗要件とされている(377条1項)。

抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
正しい。譲渡担保権によって担保される債権の範囲は、強行法規又は公序良俗に反しない限り当事者間で自由に定めることができ、抵当権の375条のような制約を受けない(最判昭61.7.15)。
判例(最判昭61.7.15)は、譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する規定(現375条)又は根抵当権に関する398条の3の規定に準ずる制約を受けないとした。抵当権では、利息その他の定期金と遅延損害金は満期となった最後の2年分についてのみ優先弁済を受けられる(375条)。これは、後順位抵当権者など、同じ不動産について後から担保を取る第三者が、登記から優先弁済の額を予測できるようにするための制限である。これに対し、譲渡担保は登記上は所有権の移転という形をとるから、同じ目的物について後順位の担保権者が登場することは実際上考えにくく、こうした第三者を保護する必要が小さい。そのため、375条のような制限を及ぼす理由がないのである。本肢は判例の内容どおりである。

譲渡担保権によつて担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する民法三七四条又は根抵当権に関する同法三九八条ノ三の規定に準ずる制約を受けない
- 効力の及ぶ範囲:借地上の建物の譲渡担保は原則として敷地の賃借権に及ぶ(最判昭51.9.21)
- 被担保債権の範囲:公序良俗等に反しない限り自由に定められ、375条のような制限はない(最判昭61.7.15)
- 弁済期後の処分:帰属清算型でも処分清算型でも処分権能を取得する(最判昭57.1.22・最判平6.2.22)
- 受戻権の放棄:清算金の支払を請求できない(最判平8.11.22)
- 弁済後の譲渡担保権者からの譲受人:背信的悪意者でない限り、設定者は登記がなければ対抗できない(最判昭62.11.12)
1抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
2前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。
この条文の過去問 14問
誤り。違うのは「最後の2年分についてのみ」の部分である。
本肢が述べるのは普通抵当権についての375条1項の規律である。同項は、抵当権者は利息その他の定期金を請求する権利を有するときは満期となった最後の2年分についてのみ抵当権を行使できると定める。普通抵当権の登記では元本の額は示されても、利息や遅延損害金がどこまで優先されるかが後順位の権利者に分からないので、優先の範囲を区切ったのである。これに対し根抵当権では、極度額が登記で示され、それが優先弁済の上限となる。398条の3第1項は、根抵当権者は確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使できると定める。後順位の者は極度額までの負担を覚悟しているので、利息などを2年分に限る必要がないのである。

根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
誤り。違うのは「通算して最後の2年分に限定される」の部分である。
普通抵当権では、375条1項が、利息その他の定期金は満期となった最後の2年分についてのみ抵当権を行使できると定め、遅延損害金も同様とする(同条2項)。登記で公示されるのは債権額だけなので、利息などが無制限に優先すると後順位の権利者の予測を害するからである。これに対し根抵当権では、極度額が登記で示され、根抵当権者がそれを超えて優先弁済を受けられないことが第三者にも明らかなので、期間で制限して後順位者を守る必要がない。そこで398条の3第1項は、根抵当権者は確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使できると定めている。元本確定後も、利息や損害金は2年分に限られず極度額まで担保される。設定者の側は、確定後に極度額の減額を請求できる(398条の21)。

根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
誤り。違うのは「通算して最後の2年分に限定される」の部分である。
普通抵当権では、375条1項が、利息その他の定期金は満期となった最後の2年分についてのみ抵当権を行使できると定め、遅延損害金も同様とする(同条2項)。登記で公示されるのは債権額だけなので、利息などが無制限に優先すると後順位の権利者の予測を害するからである。これに対し根抵当権では、極度額が登記で示され、根抵当権者がそれを超えて優先弁済を受けられないことが第三者にも明らかなので、期間で制限して後順位者を守る必要がない。そこで398条の3第1項は、根抵当権者は確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使できると定めている。元本確定後も、利息や損害金は2年分に限られず極度額まで担保される。設定者の側は、確定後に極度額の減額を請求できる(398条の21)。

根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
誤り。違うのは「満期となった最後の2年分についてのみ」の部分である。最後の2年分の制限は抵当権の規定(375条)であり、質権は利息を制限なく担保する(346条)。
346条は、質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保すると定め、設定行為に別段の定めがない限り、利息の範囲を限っていない。利息を満期となった最後の2年分に限るのは抵当権についての375条1項である。抵当権は目的物を設定者の手元に置いたまま登記で公示する担保であり、後順位の抵当権者や差押債権者が現れることが多いので、それらの者がどこまで優先されるかを予測できるよう、利息の範囲を限っている。これに対し、動産質権は質権者が質物を占有し続けるので、同じ物について後から利害関係に入る者が現れることはまれであり、利息を限る必要が乏しい。したがって、動産質権者は利息の全部について質権を行使でき、肢は抵当権の規定を質権に当てはめている点で誤っている。

質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
| 動産質 | 抵当権 | |
|---|---|---|
| 目的物の占有 | 質権者が占有する(344条・345条) | 設定者のもとにとどまる |
| 対抗要件 | 質物の継続占有(352条) | 登記(177条) |
| 利息の範囲 | 制限なし(346条) | 満期となった最後の2年分(375条) |
| 順位 | 設定の前後(355条) | 登記の前後(373条) |
正しい。譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲は、強行法規又は公序良俗に反しない限り、当事者間で自由に定めることができる(最判昭61.7.15)。
抵当権では、利息や遅延損害金について優先弁済を受けられるのは最後の2年分に限られ(375条)、根抵当権では極度額が上限とされる(398条の3)。これらの制限は、後順位の抵当権者などの第三者が、登記で示された債権額を見て残りの担保価値を評価できるようにするためのものである。判例は、譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができるとした(最判昭61.7.15)。譲渡担保は当事者の合意によって作られる担保であり、契約の自由が働くうえ、所有権の移転という形をとるだけで、元本や利息、損害金の範囲が登記で示されるわけではないから、登記を信頼する第三者を守るという375条や398条の3の前提が当てはまらないのである。したがって、譲渡担保権の被担保債権の範囲は、強行法規や公序良俗に反しない限り、元本、利息及び遅延損害金について当事者が自由に定めることができる。

譲渡担保権によつて担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する民法374条又は根抵当権に関する同法398条ノ3の規定に準ずる制約を受けない
- 弁済期前に弁済:所有権は設定者に戻る。弁済が先履行で、返還との同時履行はない(最判平成6年9月8日)
- 弁済期後・換価処分の完結前:全額を弁済して受け戻せる(最判昭和57年1月22日)
- 弁済期後に第三者へ譲渡:譲受人が確定的に所有権を取得し、受け戻せない。清算金の請求だけが残る
- 借地上の建物の譲渡担保:特別の事情がない限り効力は土地の賃借権に及ぶ(最判昭和51年9月21日)
- 被担保債権の範囲:強行法規・公序良俗に反しない限り当事者が自由に定められる(最判昭和61年7月15日)
正しい。譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲は、強行法規又は公序良俗に反しない限り、当事者間で自由に定めることができる(最判昭61.7.15)。
抵当権では、利息や遅延損害金について優先弁済を受けられるのは最後の2年分に限られ(375条)、根抵当権では極度額が上限とされる(398条の3)。これらの制限は、後順位の抵当権者などの第三者が、登記で示された債権額を見て残りの担保価値を評価できるようにするためのものである。判例は、譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができるとした(最判昭61.7.15)。譲渡担保は当事者の合意によって作られる担保であり、契約の自由が働くうえ、所有権の移転という形をとるだけで、元本や利息、損害金の範囲が登記で示されるわけではないから、登記を信頼する第三者を守るという375条や398条の3の前提が当てはまらないのである。したがって、譲渡担保権の被担保債権の範囲は、強行法規や公序良俗に反しない限り、元本、利息及び遅延損害金について当事者が自由に定めることができる。

譲渡担保権によつて担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する民法374条又は根抵当権に関する同法398条ノ3の規定に準ずる制約を受けない
- 弁済期前に弁済:所有権は設定者に戻る。弁済が先履行で、返還との同時履行はない(最判平成6年9月8日)
- 弁済期後・換価処分の完結前:全額を弁済して受け戻せる(最判昭和57年1月22日)
- 弁済期後に第三者へ譲渡:譲受人が確定的に所有権を取得し、受け戻せない。清算金の請求だけが残る
- 借地上の建物の譲渡担保:特別の事情がない限り効力は土地の賃借権に及ぶ(最判昭和51年9月21日)
- 被担保債権の範囲:強行法規・公序良俗に反しない限り当事者が自由に定められる(最判昭和61年7月15日)
誤り。違うのは「最後の2年分の利息債権を弁済すれば,本件抵当権を消滅させることができる」の部分である。最後の2年分の制限は他の債権者との関係で優先弁済の範囲を限るものであり、物上保証人が抵当権を消滅させるには利息の全額を弁済しなければならない(大判大4.9.15)。
375条1項本文は、抵当権者は利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ抵当権を行使できると定める。この制限は、後順位抵当権者や一般債権者が、先順位の抵当権でどれだけ優先されるかを予測できるようにするための規定であり、被担保債権の範囲そのものを縮めるものではない。そのため、優先弁済の争いが生じない債務者や抵当権設定者との関係では375条の制限は働かず、抵当権を消滅させるには元本のほか利息の全額を弁済しなければならない(大判大4.9.15)。物上保証人のCは抵当権設定者であるから、元本と最後の2年分の利息を払っただけでは抵当権を消滅させることはできない。肢は誤っている。

抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
誤り。違うのは「その定めに従い他の債権者に優先して抵当権を行使することができる」の部分である。利息その他の定期金は満期となった最後の2年分についてのみ抵当権を行使でき(375条1項)、設定行為で広げることはできない。
375条1項本文は、抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができると定める。利息が年々たまって抵当権の優先枠が際限なく広がるのを防ぎ、登記からは分からない利息の額によって後順位抵当権者や一般債権者の期待が害されないようにするためである。この制限は他の債権者を守るためのものであるから、当事者の合意で外すことはできず、設定行為で利息の全額を被担保債権とすると定めても、他の債権者との関係でその定めどおりに優先することはできない。法律の認める物権に法律と違う内容を与えることはできないからである(175条)。もっとも、2年分を超える定期金でも、満期後に特別の登記をすれば、その登記の時から抵当権を行使できる(375条1項ただし書)。登記で公示されれば後順位者の予測を害さないからである。

抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
正しい。根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務不履行による損害賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使できる(398条の3第1項)。
398条の3第1項は、根抵当権者は確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができると定める。普通の抵当権では、利息その他の定期金と遅延損害金は満期となった最後の2年分についてのみ抵当権を行使でき(375条1項・2項)、後順位抵当権者や一般債権者が、登記から読み取れる範囲で優先弁済の額を予測できるようにしている。これに対し根抵当権は、極度額という優先弁済の上限が登記されるので、後順位の者はその額を前提に担保価値を計算でき、最後の2年分という制限を設ける必要がない。そのため、利息や損害金も2年分に限られず、元本と合わせて極度額に達するまで全部担保される。本肢は同条1項の内容どおりである。

根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
| 普通抵当権 | 根抵当権 | |
|---|---|---|
| 利息・定期金 | 満期となった最後の2年分(375条1項) | 全部(398条の3第1項) |
| 遅延損害金 | 最後の2年分。利息と通算して2年分まで(375条2項) | 全部(398条の3第1項) |
| 上限 | 被担保債権額 | 極度額 |
正しい。根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務不履行による損害賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使でき、2年分の制限はない(398条の3第1項)。
398条の3第1項は、根抵当権者は確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度としてその根抵当権を行使することができると定める。普通の抵当権では、利息その他の定期金や遅延損害金は満期となった最後の2年分についてのみ抵当権を行使でき(375条)、後順位の者が登記から優先弁済の額を予測できるようにしている。これに対し根抵当権は、優先弁済の上限である極度額が登記されるので、後順位の者はその額を前提に担保価値を計算でき、2年分という制限を設ける必要がない。そのため、元本確定後の根抵当権は、極度額に達するまで、2年を超える利息や遅延損害金も担保する。もっとも、元本確定後は、設定者が、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息・損害金を加えた額まで極度額を減らすよう請求できる(398条の21第1項)。本肢は同条1項の内容どおりである。

根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
| 普通抵当権 | 根抵当権 | |
|---|---|---|
| 利息・定期金 | 満期となった最後の2年分(375条1項) | 全部(398条の3第1項) |
| 遅延損害金 | 最後の2年分。利息と通算して2年分まで(375条2項) | 全部(398条の3第1項) |
| 上限 | 被担保債権額 | 極度額 |
正しい。譲渡担保権によって担保される債権の範囲は、強行法規又は公序良俗に反しない限り当事者間で自由に定めることができ、抵当権の375条のような制約を受けない(最判昭61.7.15)。
判例(最判昭61.7.15)は、譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する規定(現375条)又は根抵当権に関する398条の3の規定に準ずる制約を受けないとした。抵当権では、利息その他の定期金と遅延損害金は満期となった最後の2年分についてのみ優先弁済を受けられる(375条)。これは、後順位抵当権者など、同じ不動産について後から担保を取る第三者が、登記から優先弁済の額を予測できるようにするための制限である。これに対し、譲渡担保は登記上は所有権の移転という形をとるから、同じ目的物について後順位の担保権者が登場することは実際上考えにくく、こうした第三者を保護する必要が小さい。そのため、375条のような制限を及ぼす理由がないのである。本肢は判例の内容どおりである。

譲渡担保権によつて担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する民法三七四条又は根抵当権に関する同法三九八条ノ三の規定に準ずる制約を受けない
- 効力の及ぶ範囲:借地上の建物の譲渡担保は原則として敷地の賃借権に及ぶ(最判昭51.9.21)
- 被担保債権の範囲:公序良俗等に反しない限り自由に定められ、375条のような制限はない(最判昭61.7.15)
- 弁済期後の処分:帰属清算型でも処分清算型でも処分権能を取得する(最判昭57.1.22・最判平6.2.22)
- 受戻権の放棄:清算金の支払を請求できない(最判平8.11.22)
- 弁済後の譲渡担保権者からの譲受人:背信的悪意者でない限り、設定者は登記がなければ対抗できない(最判昭62.11.12)
正しい。普通抵当権は、利息その他の定期金について、満期となった最後の2年分についてのみ行使できる(375条1項本文)。
375条1項本文は、抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができると定め、同条2項は、債務不履行による損害賠償についても通算して2年分を超えることができないとする。抵当権は目的物の占有を伴わず、後順位の抵当権者や一般債権者が登記を見て担保余力を判断するから、利息が際限なく積み上がって優先弁済の範囲が膨らむと、後順位者の利益を害する。そこで、優先弁済を受けられる利息の範囲を最後の2年分に限り、後順位者が予測できる範囲に収めたのである。もっとも、この制限は後順位者など第三者との関係のものであり、債務者や設定者に対しては全額について抵当権を行使できると解されている。また、それ以前の定期金についても満期後に特別の登記をすれば、その登記の時から抵当権を行使できる(同条1項ただし書)。本肢は正しい。

抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
| 担保物権 | 利息・定期金 | 根拠 |
|---|---|---|
| 普通抵当権 | 満期となった最後の2年分に限る(特別の登記で延長可) | 375条 |
| 根抵当権 | 確定した元本と利息・損害金の全部を極度額まで | 398条の3第1項 |
| 不動産質権 | 利息を請求できない(使用収益と見合い) | 358条 |
| 留置権 | 債権の全部の弁済を受けるまで目的物の全部を留置 | 296条 |
誤り。違うのは「満期となった最後の2年分について」の部分である。根抵当権は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び損害賠償の全部について、極度額を限度として行使できる(398条の3第1項)。
398条の3第1項は、根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができると定める。根抵当権では、極度額として優先弁済の上限が登記によって公示されているから、後順位者は極度額を見て担保余力を判断することができる。普通抵当権のように利息を2年分に制限しなくても、後順位者が予測できない負担を負うことはないからである。そのため、元本確定後も、利息や損害金は2年分に限られず、元本と合わせて極度額の範囲で全部担保される。普通抵当権の375条の制限は根抵当権には適用されない。本肢は根抵当権に2年分の制限を当てはめている点で誤りである。

根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
| 担保物権 | 利息・定期金 | 根拠 |
|---|---|---|
| 普通抵当権 | 満期となった最後の2年分に限る(特別の登記で延長可) | 375条 |
| 根抵当権 | 確定した元本と利息・損害金の全部を極度額まで | 398条の3第1項 |
| 不動産質権 | 利息を請求できない(使用収益と見合い) | 358条 |
| 留置権 | 債権の全部の弁済を受けるまで目的物の全部を留置 | 296条 |
誤り。違うのは「最後の2年分に限定される」の部分である。根抵当権者は、確定した元本と利息・損害金の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使できる(398条の3第1項)。
398条の3第1項は、根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができると定める。普通抵当権では、375条により利息や損害金は満期となった最後の2年分に限って担保されるが、これは後順位抵当権者や一般債権者が、登記された債権額に加えてどこまで優先されるかを予測できるようにするための制限である。根抵当権では、優先弁済を受けられる額があらかじめ極度額として登記されているので、極度額の範囲内であれば利息・損害金の全部を担保させても、後順位者の予測を害することはない。そのため375条は根抵当権に適用されず、元本が確定した後も同じである。したがって本肢は誤りである。

根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
- 設定者の確定請求(398条の19第1項):設定から3年経過後にでき、請求から2週間で確定します
- 根抵当権者の確定請求(398条の19第2項):いつでもでき、請求の時に確定します
- 第三者の競売手続の開始・滞納処分(398条の20第1項3号):知った時から2週間で確定します
- 確定後の被担保債権(398条の3第1項):確定した元本と利息・損害金の全部を、極度額まで担保します
- 極度額の減額請求(398条の21):設定者が、現に存する債務額と以後2年間の利息・損害金を加えた額まで減額を請求できます
- 消滅請求(398条の22):物上保証人・第三取得者などが、極度額相当額を払い渡し又は供託してできます
1抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
2前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。
この条文の過去問 16問
誤り。違うのは「Cは、Dの同意を得ないでしたα債権の弁済をDに対抗することができる」の部分である。
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とすることができる(376条1項。転抵当)。377条1項は、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、処分を主たる債務者・保証人・抵当権設定者及びその承継人に対抗できないと定める。通知・承諾の相手は主たる債務者であり、物上保証人である抵当権設定者への通知やその承諾は要件ではない。主たる債務者に通知すれば、設定者を含めて対抗できるのである。そのうえで同条2項は、主たる債務者が通知を受け又は承諾をしたときは、処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済はその受益者に対抗できないとする。本肢ではAが主たる債務者Bに転抵当を通知しているので、Dの同意なくされたα債権の弁済は、物上保証人Cによるものでも、Dに対抗できない。

前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。2 主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。
誤り。違うのは「Cは、Dの同意を得ないでしたα債権の弁済をDに対抗することができる」の部分である。
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とすることができる(376条1項。転抵当)。377条1項は、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、処分を主たる債務者・保証人・抵当権設定者及びその承継人に対抗できないと定める。通知・承諾の相手は主たる債務者であり、物上保証人である抵当権設定者への通知やその承諾は要件ではない。主たる債務者に通知すれば、設定者を含めて対抗できるのである。そのうえで同条2項は、主たる債務者が通知を受け又は承諾をしたときは、処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済はその受益者に対抗できないとする。本肢ではAが主たる債務者Bに転抵当を通知しているので、Dの同意なくされたα債権の弁済は、物上保証人Cによるものでも、Dに対抗できない。

前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。2 主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。
正しい。398条の11が禁じるのは元本確定前の根抵当権者が自ら処分をすることであり、先順位の抵当権者から順位の放棄を受けることはできる。
398条の11第1項本文は、元本の確定前においては、根抵当権者は376条1項の規定による根抵当権の処分をすることができないと定め、ただし書で転抵当だけを例外とする。元本確定前の根抵当権は被担保債権が決まっていない枠の支配にとどまり、これを譲渡・放棄・順位の譲渡や放棄の方法で処分させると法律関係が複雑になるからである。もっとも、この規定が禁じているのは根抵当権者が自分の根抵当権について処分をすることであり、他の抵当権者から処分を受けることではない。先順位の普通抵当権者が根抵当権者に順位を放棄しても、処分をするのは普通抵当権者であって、根抵当権の内容そのものが変わるわけではない。398条の15も、根抵当権者が抵当権の順位の譲渡や放棄を受けることを前提とした規定である。したがって、元本確定前でも根抵当権者は順位の放棄を受けることができる。

元本の確定前においては、根抵当権者は、第三百七十六条第一項の規定による根抵当権の処分をすることができない。ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
正しい。抵当権の処分は、主たる債務者に通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、主たる債務者や抵当権設定者に対抗できない(377条1項)。
376条1項は、抵当権者は同一の債務者に対する他の債権者の利益のために、その抵当権を譲渡することができると定める。BがAの一般債権者Cに抵当権を譲渡すれば、Cは、Bが受けるはずだった優先弁済の枠の中で、Bより先に配当を受けられる。そして377条1項は、この場合には467条に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗できないと定める。抵当権の処分があると、債務者は誰に弁済すべきかに影響を受けるので、債権譲渡と同じく債務者への通知・承諾を対抗要件にしたのである。本肢のAは主たる債務者で抵当権設定者でもあるから、Bの通知又はAの承諾がなければ、CはAに抵当権の譲渡を対抗できない。肢は正しい。

前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
| 処分 | 効果 | 要件 |
|---|---|---|
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 一般債権者が譲渡人の優先弁済枠で先に取る(譲渡)・按分する(放棄) | 当事者の合意。主たる債務者等への対抗は通知・承諾(377条1項) |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 譲受人が先に取る(譲渡)・債権額に応じて按分する(放棄) | 当事者の合意。他の者には影響しない |
| 順位の変更(374条) | 順位そのものが入れ替わる | 影響を受ける各抵当権者の合意・利害関係人の承諾・登記 |
誤り。違うのは「BとCの抵当権の順位が入れ替わる」の部分である。順位の放棄では放棄者と受益者が同順位に立ち、両者の配当額の合計を債権額に応じて按分するので、順位が入れ替わるわけではない(376条1項)。
376条1項は、抵当権者は同一の債務者に対する他の債権者の利益のために、その抵当権の順位を譲渡し、又は放棄することができると定める。順位の譲渡では、譲渡人と譲受人が受けるはずの配当額の合計から、まず譲受人が自分の債権額まで受け、残りを譲渡人が受けるので、二人の間では順位が入れ替わったのと同じ結果になる。これに対し順位の放棄は、放棄者が受益者に対して優先する立場を主張しないというものにとどまり、二人は同じ順位に立って、両者の配当額の合計を債権額の割合で分け合う。本肢のBはCのために順位を放棄しているので、BとCは同順位となり、配当を按分することになる。順位が入れ替わってCが第一順位になるわけではない。肢は誤っている。

抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
| 処分 | 効果 | 要件 |
|---|---|---|
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 一般債権者が譲渡人の優先弁済枠で先に取る(譲渡)・按分する(放棄) | 当事者の合意。主たる債務者等への対抗は通知・承諾(377条1項) |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 譲受人が先に取る(譲渡)・債権額に応じて按分する(放棄) | 当事者の合意。他の者には影響しない |
| 順位の変更(374条) | 順位そのものが入れ替わる | 影響を受ける各抵当権者の合意・利害関係人の承諾・登記 |
正しい。転抵当も抵当権の処分であり、主たる債務者Aへの通知又はAの承諾がなければAに対抗できない(377条1項)。
376条1項は、抵当権者はその抵当権を他の債権の担保とすることができると定めており、BがCに対する債務の担保として甲土地の抵当権に転抵当権を設定するのは、この抵当権の処分に当たる。377条1項は、抵当権の処分は、467条の規定に従い主たる債務者に通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないと定める。Aは被担保債権の主たる債務者であり、甲土地の抵当権設定者でもあるので、この規定の対象になる。通知や承諾を求めるのは、転抵当を知らない債務者がBに弁済してしまうと、転抵当権者Cが害されるからであり、通知を受け又は承諾をした債務者がCの承諾なくした弁済はCに対抗できない(同条2項)。したがって、通知も承諾もなければ、Cは転抵当権の設定をAに対抗できず、肢は正しい。

前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
2 主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。
| 処分 | 相手 | 効果 | 効力・対抗 |
|---|---|---|---|
| 転抵当(376条1項) | 抵当権者の債権者 | 抵当権を自己の債務の担保にする | 合意で効力。債務者等には通知・承諾(377条1項) |
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の無担保債権者 | 譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上 |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の後順位抵当権者 | 当事者の配当額の合計を、譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上。他の抵当権者に影響しない |
| 順位の変更(374条) | 各抵当権者の合意 | 順位そのものを入れ替える | 登記が効力要件(374条2項) |
正しい。抵当権の譲渡は抵当権者Bと受益者Dの契約で効力を生じ、Aの承諾は要らない(376条1項)。Aへの通知・承諾は対抗要件にとどまる(377条1項)。
376条1項は、抵当権者は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権を譲渡することができると定める。抵当権の譲渡は、抵当権者が同じ債務者に対する担保を持たない債権者に、自分の優先弁済を受ける枠を譲るものであり、Aの一般債権者Dはその受益者になれる。この処分は抵当権者Bと受益者Dの契約で効力を生じ、Aは契約の当事者ではない。抵当権を譲渡しても、Aが負う責任の総額は変わらず、優先して弁済を受ける者が入れ替わるだけなので、Aの承諾を効力の要件とする理由がない。Aへの通知又はAの承諾は、処分を主たる債務者や抵当権設定者などに対抗するための要件にすぎない(377条1項)。したがって、抵当権の譲渡にAの承諾は要らず、肢は正しい。譲渡がされると、配当ではBが受けるはずの額の範囲で、まずDが自分の債権額まで弁済を受ける。

抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
| 処分 | 相手 | 効果 | 効力・対抗 |
|---|---|---|---|
| 転抵当(376条1項) | 抵当権者の債権者 | 抵当権を自己の債務の担保にする | 合意で効力。債務者等には通知・承諾(377条1項) |
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の無担保債権者 | 譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上 |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の後順位抵当権者 | 当事者の配当額の合計を、譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上。他の抵当権者に影響しない |
| 順位の変更(374条) | 各抵当権者の合意 | 順位そのものを入れ替える | 登記が効力要件(374条2項) |
誤り。違うのは「その登記をしなければ譲渡の効力は生じない」の部分である。順位の譲渡は当事者の合意で効力を生じ、登記を効力要件とするのは順位の変更(374条2項)だけである。
376条1項は、抵当権者は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権の順位を譲渡することができると定める。順位の譲渡は、先順位の抵当権者が後順位の抵当権者に自分の優先する地位を譲るものであり、その効果は処分の当事者の間でだけ生じ、中間のGが受ける配当には影響しない。そのため民法は、順位の変更(374条2項)のように登記を効力の要件とする規定を置いておらず、順位の譲渡は処分者Bと受益者Hの合意によって効力を生じる。登記は対抗要件にとどまり、債務者・保証人・抵当権設定者などに対しては467条に従った通知又は承諾が対抗要件となる(377条1項)。肢は、順位の変更についての374条2項の規律を順位の譲渡に当てはめており、誤っている。順位の譲渡がされると、BとHが本来受ける配当額の合計から、まずHが自分の債権額まで弁済を受け、残りがBに配当される。

前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
| 処分 | 相手 | 効果 | 効力・対抗 |
|---|---|---|---|
| 転抵当(376条1項) | 抵当権者の債権者 | 抵当権を自己の債務の担保にする | 合意で効力。債務者等には通知・承諾(377条1項) |
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の無担保債権者 | 譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上 |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の後順位抵当権者 | 当事者の配当額の合計を、譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上。他の抵当権者に影響しない |
| 順位の変更(374条) | 各抵当権者の合意 | 順位そのものを入れ替える | 登記が効力要件(374条2項) |
誤り。違うのは「IがBに優先する」の部分である。順位の放棄では、BとIが受ける配当額の合計を債権額に応じて按分し、IがBに優先するのではない。
抵当権の順位の放棄(376条1項)は、先順位の抵当権者が後順位の抵当権者に対して自分の優先する地位を主張しないとする処分である。その効果として、放棄した者と受益者は、当事者の間ではあたかも同じ順位であるかのように扱われ、両者が本来受けるはずの配当額の合計を、それぞれの債権額の割合で分け合う。これに対し、順位の譲渡では受益者が処分者に優先し、配当額の合計からまず受益者が自分の債権額まで弁済を受ける。たとえば、競売代金が3000万円で、Bの債権額とIの債権額がそれぞれ2000万円なら、処分がなければBが2000万円、Iが1000万円を受ける。Bが順位を放棄すると、合計3000万円を1対1で分け、BとIがそれぞれ1500万円を受ける。肢は、順位の放棄によってIがBに優先するとしており、順位の譲渡の効果と取り違えているので誤っている。

抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
| 処分 | 相手 | 効果 | 効力・対抗 |
|---|---|---|---|
| 転抵当(376条1項) | 抵当権者の債権者 | 抵当権を自己の債務の担保にする | 合意で効力。債務者等には通知・承諾(377条1項) |
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の無担保債権者 | 譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上 |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の後順位抵当権者 | 当事者の配当額の合計を、譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上。他の抵当権者に影響しない |
| 順位の変更(374条) | 各抵当権者の合意 | 順位そのものを入れ替える | 登記が効力要件(374条2項) |
誤り。違うのは「その順位を譲渡することができる」の部分である。元本の確定前は、根抵当権者は376条1項の処分(順位の譲渡など)をすることができない(398条の11第1項本文)。
398条の11第1項は、元本の確定前においては、根抵当権者は376条1項の規定による根抵当権の処分をすることができないとし、ただし書で、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げないと定める。376条1項の処分には、抵当権の譲渡・放棄、順位の譲渡・放棄が含まれる。これらは処分をする抵当権者の被担保債権が決まっていることを前提に、その優先弁済の枠を他の債権者と融通し合う制度である。元本確定前の根抵当権は、極度額という枠が決まっているだけで、被担保債権は生じたり消えたりを繰り返しているので、順位の譲渡などを認めると配当の関係が決まらず、極めて複雑になる。そこで確定前は転根抵当を除いて376条1項の処分を禁じた。したがって、BはCに順位を譲渡することはできず、肢は誤っている。確定前の根抵当権は、これに代えて、設定者の承諾を得て全部譲渡・分割譲渡・一部譲渡ができる(398条の12・398条の13)。

元本の確定前においては、根抵当権者は、第三百七十六条第一項の規定による根抵当権の処分をすることができない。ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
- 被担保債権の範囲・債務者の変更(398条の4):確定前に限りできる。後順位抵当権者の承諾は要らないが、確定前に登記しないと変更しなかったものとみなされる
- 確定期日の定め・変更(398条の6):後順位抵当権者の承諾は要らない。定め又は変更した日から5年以内
- 極度額の変更(398条の5):利害関係を有する者の承諾が必要
- 確定前の債権譲渡・代位弁済(398条の7):譲受人・代位弁済者は根抵当権を行使できない
- 確定前の376条1項の処分(398条の11):できない。転根抵当だけはでき、確定前の弁済に377条2項は適用しない
- 数個の不動産の根抵当権(398条の16・398条の18):設定と同時に共同担保の登記をした共同根抵当を除き、各不動産の極度額まで優先権を行使できる
正しい。判例は、原抵当権が仮装であることについて善意で転抵当権の設定を受けた者は、94条2項の善意の第三者に当たるとした(最判昭55.9.11)。
転抵当の設定を受けた者は、仮装された原抵当権があることを前提として、新たに担保権という法律上の利害関係を取得した者であるから、94条2項の第三者に当たる。転抵当を主たる債務者や抵当権設定者に対抗するには、主たる債務者への通知か承諾が必要である(377条1項)。判例(最判昭55.9.11)は、原抵当権が虚偽仮装のものであることについて善意で転抵当権の設定を受けた者は、377条1項の要件をまだ備えておらず、転抵当権そのものを行使し、又は権利取得の効果を原抵当権設定者に主張することができない場合でも、94条2項の関係では、すでに有効な転抵当権設定契約に基づき一定の法律上の地位を取得した者として善意の第三者に当たり、原抵当権設定者はその者に対して原抵当権が仮装であることを主張できないとした。377条1項の要件を欠く場合でさえ保護されるのであるから、転抵当権の登記まで備えた本肢のCが保護されるのは当然である。Aは原抵当権の設定の無効をCに主張できず、本肢は正しい。

原抵当権が虚偽仮装のものであることにつき善意で転抵当権の設定を受けた者は、たとえ右転抵当権の取得につき民法三七六条一項所定の要件を未だ具備しておらず、したがつて、右権利そのものを行使し、又は権利取得の効果を原抵当権設定者に主張することができない場合であつても、民法九四条二項の関係では、すでに有効な転抵当権設定契約に基づき一定の法律上の地位を取得した者として同条項にいう善意の第三者に該当するものということを妨げないと解すべきであるから、原抵当権設定者は、これに対する関係では、右原抵当権が虚偽仮装のものであることを主張することができない
- 仮装譲受人から抵当権の設定を受けた者:当たる
- 目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者:当たる(最判昭和48年6月28日)
- 仮装の抵当権から転抵当権の設定を受けた者:当たる(最判昭和55年9月11日)
- 仮装譲受人と売買予約をした者:当たる。善意は予約完結権を行使した時で判断する(最判昭和38年6月7日)
- 仮装譲受人からの転得者:当たる。善意かどうかは転得者自身について判断する(最判昭和45年7月24日)
- 差押えをしていない仮装譲受人の金銭債権者:当たらない
- 仮装譲受人の相続人:包括承継人なので当たらない
- 土地の仮装譲受人が建てた建物の賃借人:当たらない(最判昭和57年6月8日)
正しい。抵当権の譲渡は、Bの優先弁済の枠を一般債権者Eに取得させるものであり、他の抵当権者には影響しないから、Eに500万円、Cに1000万円、Dに1000万円となる(376条1項)。
376条1項は、抵当権者は、同一の債務者に対する他の債権者の利益のために、その抵当権若しくはその順位を譲渡し、又は放棄することができると定める。抵当権の譲渡とは、抵当権者が自分の持つ優先弁済の枠を、抵当権を持たない一般債権者に取得させる処分である。処分の効力は処分をした当事者の間で順位を入れ替えるだけであり、処分に関わらない他の抵当権者の配当は変わらない。本問で処分がなければ、2500万円は第一順位のBに500万円、第二順位のCに1000万円、第三順位のDに残りの1000万円が配当され、担保を持たないEには配当がない。BがEのために抵当権を譲渡すると、Bの優先枠500万円がそのままEに移り、Eが500万円を受け、Bは配当を受けない。処分の当事者でないCとDは変わらず、Cに1000万円、Dに1000万円が配当される。本肢は正しい。なお、処分を主たる債務者などに対抗するには、主たる債務者への通知か承諾が要る(377条1項)。

抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
| 処分 | 配当 | しくみ |
|---|---|---|
| BがEに抵当権を譲渡 | E500、B0、C1000、D1000 | Bの優先枠をEが取得する |
| BがEのために抵当権を放棄 | B100、E400、C1000、D1000 | Bの500をBとEの債権額(1対4)で按分する |
| BがDに順位を譲渡 | D1500、B0、C1000 | BとDの合計1500からDが先に取る |
| BがDのために順位を放棄 | B300、D1200、C1000 | BとDの合計1500を債権額(1対4)で按分する |
| 順位の変更(D・C・Bの順) | D2000、C500、B0 | 順位そのものが入れ替わり、全員の合意と登記が要る |
正しい。抵当権の放棄は、Bが受けるべき500万円をBとEの債権額の割合(1対4)で分けるものであるから、Bに100万円、Eに400万円となり、CとDは変わらない(376条1項)。
376条1項の抵当権の放棄とは、抵当権者が、一般債権者である受益者との関係でだけ自分の優先弁済権を主張しないという処分である。譲渡と違って優先枠をすべて明け渡すのではなく、処分をした者と受益者が同じ順位として扱われるから、処分をした者が本来受けるはずであった配当額を、両者の債権額に応じて按分することになる。この場合も処分の効力は当事者の間に限られ、他の抵当権者の配当は影響を受けない。本問では、処分がなければBは第一順位として500万円を受けるはずであり、この500万円を、Bの債権額500万円とEの債権額2000万円の割合、つまり1対4で分けるから、Bに100万円、Eに400万円が配当される。処分の当事者でないCには1000万円、Dには残りの1000万円が配当される。したがって、本肢は正しい。

抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
| 処分 | 配当 | しくみ |
|---|---|---|
| BがEに抵当権を譲渡 | E500、B0、C1000、D1000 | Bの優先枠をEが取得する |
| BがEのために抵当権を放棄 | B100、E400、C1000、D1000 | Bの500をBとEの債権額(1対4)で按分する |
| BがDに順位を譲渡 | D1500、B0、C1000 | BとDの合計1500からDが先に取る |
| BがDのために順位を放棄 | B300、D1200、C1000 | BとDの合計1500を債権額(1対4)で按分する |
| 順位の変更(D・C・Bの順) | D2000、C500、B0 | 順位そのものが入れ替わり、全員の合意と登記が要る |
誤り。違うのは「Cに500万円,Dに2000万円」の部分である。順位の譲渡は、BとDが受けるべき合計1500万円からDが先に取るものであり、Cは影響を受けないから、Cに1000万円、Dに1500万円となる。
376条1項の抵当権の順位の譲渡とは、先の順位の抵当権者が後の順位の抵当権者のためにする処分であり、処分の当事者二人が処分がなければ受けるはずであった配当の合計額から、まず受益者が先に配当を受け、残りがあれば譲渡した者が受けるというかたちで、当事者の間でだけ順位を入れ替えるものである。他の抵当権者の配当が変わらない点は、抵当権の譲渡や放棄と同じである。本問で処分がなければ、Bに500万円、Cに1000万円、Dに1000万円が配当される。BがDのために順位を譲渡すると、BとDが受けるはずだった合計1500万円から、まずDが配当を受ける。Dの債権額は2000万円であるから、1500万円の全部がDに配当され、Bは配当を受けない。処分の当事者でないCは1000万円のままである。したがって、正しくはCに1000万円、Dに1500万円であり、本肢は誤りである。本肢の数字は、Dの抵当権を第一順位とする順位の変更をした場合の結果である。

抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
| 処分 | 配当 | しくみ |
|---|---|---|
| BがEに抵当権を譲渡 | E500、B0、C1000、D1000 | Bの優先枠をEが取得する |
| BがEのために抵当権を放棄 | B100、E400、C1000、D1000 | Bの500をBとEの債権額(1対4)で按分する |
| BがDに順位を譲渡 | D1500、B0、C1000 | BとDの合計1500からDが先に取る |
| BがDのために順位を放棄 | B300、D1200、C1000 | BとDの合計1500を債権額(1対4)で按分する |
| 順位の変更(D・C・Bの順) | D2000、C500、B0 | 順位そのものが入れ替わり、全員の合意と登記が要る |
誤り。違うのは「Dに1500万円」の部分である。順位の放棄は、BとDが受けるべき合計1500万円を債権額の割合(1対4)で分けるものであるから、Bに300万円、Dに1200万円、Cに1000万円となる。
376条1項の抵当権の順位の放棄とは、先の順位の抵当権者が後の順位の抵当権者との関係で自分の優先的な地位を主張しない処分である。両者は同じ順位として扱われるから、処分の当事者が処分がなければ受けるはずであった配当の合計額を、両者の債権額に応じて按分する。受益者が合計額から先に取る順位の譲渡とは、この点が違う。この場合も処分の効力は当事者の間に限られ、他の抵当権者の配当は変わらない。本問で処分がなければ、Bに500万円、Cに1000万円、Dに1000万円が配当される。BがDのために順位を放棄すると、BとDの合計1500万円を、Bの債権額500万円とDの債権額2000万円の割合、つまり1対4で分けるから、Bに300万円、Dに1200万円が配当される。Cは処分の当事者でないから1000万円のままである。したがって、Dに1500万円とする本肢は誤りであり、本肢の数字は順位の譲渡の場合の結果である。

抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
| 処分 | 配当 | しくみ |
|---|---|---|
| BがEに抵当権を譲渡 | E500、B0、C1000、D1000 | Bの優先枠をEが取得する |
| BがEのために抵当権を放棄 | B100、E400、C1000、D1000 | Bの500をBとEの債権額(1対4)で按分する |
| BがDに順位を譲渡 | D1500、B0、C1000 | BとDの合計1500からDが先に取る |
| BがDのために順位を放棄 | B300、D1200、C1000 | BとDの合計1500を債権額(1対4)で按分する |
| 順位の変更(D・C・Bの順) | D2000、C500、B0 | 順位そのものが入れ替わり、全員の合意と登記が要る |
正しい。抵当権の順位の譲渡は、467条の規定に従い主たる債務者に通知すれば、保証人にも対抗することができる(377条1項)。
376条1項は、抵当権者は、同一の債務者に対する他の債権者の利益のために、その抵当権若しくはその順位を譲渡し、又は放棄することができると定め、377条1項は、その場合には、467条の規定に従い主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないとする。抵当権の処分を知らないまま主たる債務者が弁済すると、処分の利益を受けた者の地位が害されるので、債権譲渡と同じく主たる債務者を基準に対抗要件を定め、通知や承諾があれば、保証人などにも別に通知することなく対抗できるとしたのである。本肢では、AがDへの順位の譲渡を主たる債務者Bに467条に従って通知しているので、DはCに対し順位の譲渡を受けたことを対抗できる。したがって、本肢は正しい。

前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
1前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
2主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。
この条文の過去問 10問
誤り。違うのは「Cは、Dの同意を得ないでしたα債権の弁済をDに対抗することができる」の部分である。
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とすることができる(376条1項。転抵当)。377条1項は、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、処分を主たる債務者・保証人・抵当権設定者及びその承継人に対抗できないと定める。通知・承諾の相手は主たる債務者であり、物上保証人である抵当権設定者への通知やその承諾は要件ではない。主たる債務者に通知すれば、設定者を含めて対抗できるのである。そのうえで同条2項は、主たる債務者が通知を受け又は承諾をしたときは、処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済はその受益者に対抗できないとする。本肢ではAが主たる債務者Bに転抵当を通知しているので、Dの同意なくされたα債権の弁済は、物上保証人Cによるものでも、Dに対抗できない。

前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。2 主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。
誤り。違うのは「Cは、Dの同意を得ないでしたα債権の弁済をDに対抗することができる」の部分である。
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とすることができる(376条1項。転抵当)。377条1項は、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、処分を主たる債務者・保証人・抵当権設定者及びその承継人に対抗できないと定める。通知・承諾の相手は主たる債務者であり、物上保証人である抵当権設定者への通知やその承諾は要件ではない。主たる債務者に通知すれば、設定者を含めて対抗できるのである。そのうえで同条2項は、主たる債務者が通知を受け又は承諾をしたときは、処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済はその受益者に対抗できないとする。本肢ではAが主たる債務者Bに転抵当を通知しているので、Dの同意なくされたα債権の弁済は、物上保証人Cによるものでも、Dに対抗できない。

前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。2 主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。
正しい。抵当権の処分は、主たる債務者に通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、主たる債務者や抵当権設定者に対抗できない(377条1項)。
376条1項は、抵当権者は同一の債務者に対する他の債権者の利益のために、その抵当権を譲渡することができると定める。BがAの一般債権者Cに抵当権を譲渡すれば、Cは、Bが受けるはずだった優先弁済の枠の中で、Bより先に配当を受けられる。そして377条1項は、この場合には467条に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗できないと定める。抵当権の処分があると、債務者は誰に弁済すべきかに影響を受けるので、債権譲渡と同じく債務者への通知・承諾を対抗要件にしたのである。本肢のAは主たる債務者で抵当権設定者でもあるから、Bの通知又はAの承諾がなければ、CはAに抵当権の譲渡を対抗できない。肢は正しい。

前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
| 処分 | 効果 | 要件 |
|---|---|---|
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 一般債権者が譲渡人の優先弁済枠で先に取る(譲渡)・按分する(放棄) | 当事者の合意。主たる債務者等への対抗は通知・承諾(377条1項) |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 譲受人が先に取る(譲渡)・債権額に応じて按分する(放棄) | 当事者の合意。他の者には影響しない |
| 順位の変更(374条) | 順位そのものが入れ替わる | 影響を受ける各抵当権者の合意・利害関係人の承諾・登記 |
正しい。転抵当も抵当権の処分であり、主たる債務者Aへの通知又はAの承諾がなければAに対抗できない(377条1項)。
376条1項は、抵当権者はその抵当権を他の債権の担保とすることができると定めており、BがCに対する債務の担保として甲土地の抵当権に転抵当権を設定するのは、この抵当権の処分に当たる。377条1項は、抵当権の処分は、467条の規定に従い主たる債務者に通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないと定める。Aは被担保債権の主たる債務者であり、甲土地の抵当権設定者でもあるので、この規定の対象になる。通知や承諾を求めるのは、転抵当を知らない債務者がBに弁済してしまうと、転抵当権者Cが害されるからであり、通知を受け又は承諾をした債務者がCの承諾なくした弁済はCに対抗できない(同条2項)。したがって、通知も承諾もなければ、Cは転抵当権の設定をAに対抗できず、肢は正しい。

前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
2 主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。
| 処分 | 相手 | 効果 | 効力・対抗 |
|---|---|---|---|
| 転抵当(376条1項) | 抵当権者の債権者 | 抵当権を自己の債務の担保にする | 合意で効力。債務者等には通知・承諾(377条1項) |
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の無担保債権者 | 譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上 |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の後順位抵当権者 | 当事者の配当額の合計を、譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上。他の抵当権者に影響しない |
| 順位の変更(374条) | 各抵当権者の合意 | 順位そのものを入れ替える | 登記が効力要件(374条2項) |
正しい。抵当権の譲渡は抵当権者Bと受益者Dの契約で効力を生じ、Aの承諾は要らない(376条1項)。Aへの通知・承諾は対抗要件にとどまる(377条1項)。
376条1項は、抵当権者は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権を譲渡することができると定める。抵当権の譲渡は、抵当権者が同じ債務者に対する担保を持たない債権者に、自分の優先弁済を受ける枠を譲るものであり、Aの一般債権者Dはその受益者になれる。この処分は抵当権者Bと受益者Dの契約で効力を生じ、Aは契約の当事者ではない。抵当権を譲渡しても、Aが負う責任の総額は変わらず、優先して弁済を受ける者が入れ替わるだけなので、Aの承諾を効力の要件とする理由がない。Aへの通知又はAの承諾は、処分を主たる債務者や抵当権設定者などに対抗するための要件にすぎない(377条1項)。したがって、抵当権の譲渡にAの承諾は要らず、肢は正しい。譲渡がされると、配当ではBが受けるはずの額の範囲で、まずDが自分の債権額まで弁済を受ける。

抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
| 処分 | 相手 | 効果 | 効力・対抗 |
|---|---|---|---|
| 転抵当(376条1項) | 抵当権者の債権者 | 抵当権を自己の債務の担保にする | 合意で効力。債務者等には通知・承諾(377条1項) |
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の無担保債権者 | 譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上 |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の後順位抵当権者 | 当事者の配当額の合計を、譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上。他の抵当権者に影響しない |
| 順位の変更(374条) | 各抵当権者の合意 | 順位そのものを入れ替える | 登記が効力要件(374条2項) |
誤り。違うのは「その登記をしなければ譲渡の効力は生じない」の部分である。順位の譲渡は当事者の合意で効力を生じ、登記を効力要件とするのは順位の変更(374条2項)だけである。
376条1項は、抵当権者は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権の順位を譲渡することができると定める。順位の譲渡は、先順位の抵当権者が後順位の抵当権者に自分の優先する地位を譲るものであり、その効果は処分の当事者の間でだけ生じ、中間のGが受ける配当には影響しない。そのため民法は、順位の変更(374条2項)のように登記を効力の要件とする規定を置いておらず、順位の譲渡は処分者Bと受益者Hの合意によって効力を生じる。登記は対抗要件にとどまり、債務者・保証人・抵当権設定者などに対しては467条に従った通知又は承諾が対抗要件となる(377条1項)。肢は、順位の変更についての374条2項の規律を順位の譲渡に当てはめており、誤っている。順位の譲渡がされると、BとHが本来受ける配当額の合計から、まずHが自分の債権額まで弁済を受け、残りがBに配当される。

前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
| 処分 | 相手 | 効果 | 効力・対抗 |
|---|---|---|---|
| 転抵当(376条1項) | 抵当権者の債権者 | 抵当権を自己の債務の担保にする | 合意で効力。債務者等には通知・承諾(377条1項) |
| 抵当権の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の無担保債権者 | 譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上 |
| 順位の譲渡・放棄(376条1項) | 同一債務者の後順位抵当権者 | 当事者の配当額の合計を、譲渡は受益者が先に取り、放棄は債権額で按分する | 同上。他の抵当権者に影響しない |
| 順位の変更(374条) | 各抵当権者の合意 | 順位そのものを入れ替える | 登記が効力要件(374条2項) |
正しい。元本の確定前にした弁済には377条2項が適用されないので、通知を受けたAも、Dの承諾なくBに弁済できる(398条の11第2項)。
元本の確定前でも、根抵当権者は根抵当権を他の債権の担保とする転根抵当を設定できる(398条の11第1項ただし書)。通常の抵当権の転抵当では、主たる債務者が通知を受け又は承諾をしたときは、転抵当権者の承諾を得ないでした弁済を転抵当権者に対抗できない(377条2項)。転抵当権者がつかんだ担保の価値が、元の被担保債権の弁済で消えてしまうのを防ぐためである。しかし398条の11第2項は、元本の確定前にした弁済については377条2項を適用しないと定める。根抵当権は極度額の枠の中で生じては消える不特定の債権を担保するものであり、確定前に個々の債権が弁済されても根抵当権そのものは消えず、枠は残る。そのため、確定前の弁済で転根抵当権者Dの担保の価値が害されることはなく、Dの承諾を求める必要がない。したがって、BからAへ転根抵当権設定の通知がされていても、元本の確定前であれば、AはDの承諾を得ずにBに弁済でき、肢は正しい。

第三百七十七条第二項の規定は、前項ただし書の場合において元本の確定前にした弁済については、適用しない。
- 被担保債権の範囲・債務者の変更(398条の4):確定前に限りできる。後順位抵当権者の承諾は要らないが、確定前に登記しないと変更しなかったものとみなされる
- 確定期日の定め・変更(398条の6):後順位抵当権者の承諾は要らない。定め又は変更した日から5年以内
- 極度額の変更(398条の5):利害関係を有する者の承諾が必要
- 確定前の債権譲渡・代位弁済(398条の7):譲受人・代位弁済者は根抵当権を行使できない
- 確定前の376条1項の処分(398条の11):できない。転根抵当だけはでき、確定前の弁済に377条2項は適用しない
- 数個の不動産の根抵当権(398条の16・398条の18):設定と同時に共同担保の登記をした共同根抵当を除き、各不動産の極度額まで優先権を行使できる
正しい。判例は、原抵当権が仮装であることについて善意で転抵当権の設定を受けた者は、94条2項の善意の第三者に当たるとした(最判昭55.9.11)。
転抵当の設定を受けた者は、仮装された原抵当権があることを前提として、新たに担保権という法律上の利害関係を取得した者であるから、94条2項の第三者に当たる。転抵当を主たる債務者や抵当権設定者に対抗するには、主たる債務者への通知か承諾が必要である(377条1項)。判例(最判昭55.9.11)は、原抵当権が虚偽仮装のものであることについて善意で転抵当権の設定を受けた者は、377条1項の要件をまだ備えておらず、転抵当権そのものを行使し、又は権利取得の効果を原抵当権設定者に主張することができない場合でも、94条2項の関係では、すでに有効な転抵当権設定契約に基づき一定の法律上の地位を取得した者として善意の第三者に当たり、原抵当権設定者はその者に対して原抵当権が仮装であることを主張できないとした。377条1項の要件を欠く場合でさえ保護されるのであるから、転抵当権の登記まで備えた本肢のCが保護されるのは当然である。Aは原抵当権の設定の無効をCに主張できず、本肢は正しい。

原抵当権が虚偽仮装のものであることにつき善意で転抵当権の設定を受けた者は、たとえ右転抵当権の取得につき民法三七六条一項所定の要件を未だ具備しておらず、したがつて、右権利そのものを行使し、又は権利取得の効果を原抵当権設定者に主張することができない場合であつても、民法九四条二項の関係では、すでに有効な転抵当権設定契約に基づき一定の法律上の地位を取得した者として同条項にいう善意の第三者に該当するものということを妨げないと解すべきであるから、原抵当権設定者は、これに対する関係では、右原抵当権が虚偽仮装のものであることを主張することができない
- 仮装譲受人から抵当権の設定を受けた者:当たる
- 目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者:当たる(最判昭和48年6月28日)
- 仮装の抵当権から転抵当権の設定を受けた者:当たる(最判昭和55年9月11日)
- 仮装譲受人と売買予約をした者:当たる。善意は予約完結権を行使した時で判断する(最判昭和38年6月7日)
- 仮装譲受人からの転得者:当たる。善意かどうかは転得者自身について判断する(最判昭和45年7月24日)
- 差押えをしていない仮装譲受人の金銭債権者:当たらない
- 仮装譲受人の相続人:包括承継人なので当たらない
- 土地の仮装譲受人が建てた建物の賃借人:当たらない(最判昭和57年6月8日)
正しい。抵当権の順位の譲渡は、467条の規定に従い主たる債務者に通知すれば、保証人にも対抗することができる(377条1項)。
376条1項は、抵当権者は、同一の債務者に対する他の債権者の利益のために、その抵当権若しくはその順位を譲渡し、又は放棄することができると定め、377条1項は、その場合には、467条の規定に従い主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないとする。抵当権の処分を知らないまま主たる債務者が弁済すると、処分の利益を受けた者の地位が害されるので、債権譲渡と同じく主たる債務者を基準に対抗要件を定め、通知や承諾があれば、保証人などにも別に通知することなく対抗できるとしたのである。本肢では、AがDへの順位の譲渡を主たる債務者Bに467条に従って通知しているので、DはCに対し順位の譲渡を受けたことを対抗できる。したがって、本肢は正しい。

前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
正しい。抵当権の譲渡も、467条の規定に従い主たる債務者に通知すれば、保証人に対抗することができる(377条1項)。
376条1項は、抵当権者は、同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権を譲渡することができると定める。抵当権の譲渡は、抵当権者が無担保の債権者に対し、自らの抵当権の優先弁済を受ける地位を譲るもので、譲渡を受けた債権者は、その抵当権の範囲で抵当権者に優先して弁済を受けることになる。377条1項は、この処分についても、467条の規定に従い主たる債務者に通知し、又は主たる債務者が承諾しなければ、主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないとする。逆にいえば、主たる債務者への通知があれば、保証人に別に通知しなくても保証人に対抗できる。主たる債務者が処分を知っていれば、その弁済の扱いを通じて保証人も影響を受けるので、主たる債務者を基準にすれば足りるからである。本肢では、AがEへの抵当権の譲渡をBに通知しているので、EはCに対抗でき、本肢は正しい。

抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。/前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
この条文の過去問 9問
正しい。378条により、抵当不動産の所有権を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する。
378条は、抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅すると定める。代価弁済の制度である。本肢では、Aから甲土地を買ったDが、Bの請求に応じて代価をBに弁済しているので、Bの抵当権はDのために消える。要件は、第三者が所有権又は地上権を買い受けたことと、抵当権者からの請求があり、それに応じて弁済したことである。抵当権消滅請求(379条以下)が第三取得者の側から始める制度であるのに対し、代価弁済は抵当権者の側から求める点が違う。抵当権者は、競売の手間をかけずに代価から回収でき、第三取得者は抵当権の負担のない所有権を確保できるので、双方の利益になる。

抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
- 代価弁済:抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば抵当権が消滅する(378条)
- 抵当権消滅請求:第三取得者だけができ、主たる債務者・保証人とその承継人はできない(379条・380条)。差押えの効力発生前にする(382条)
- 費用償還:必要費・有益費を代価から他の債権者より先に償還を受ける(391条)
- 買受け:競売で買受人となることができる(390条)
正しい。抵当不動産の所有権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する(378条)。
378条は、抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅すると定める。これを代価弁済という。本肢のCは、抵当権が設定された甲土地を買い受けた第三取得者であり、抵当権者Bの請求に応じて代価を弁済しているので、Bの抵当権は消滅する。代価弁済は抵当権者の請求から始まるのが特徴であり、代価が被担保債権額より少なくても、早く確実に回収したい抵当権者は請求を選ぶことができる。これに対し、第三取得者の側から抵当権の消滅を求めるのが抵当権消滅請求(379条以下)である。代価弁済で抵当権が消えても、被担保債権の残りがあれば、Bは債務者Aに無担保の債権として請求できる。肢は正しい。

抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
正しい。代価弁済は所有権だけでなく地上権を買い受けた第三者もでき、抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば、抵当権はその第三者のために消滅する(378条)。
378条は、抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅すると定める(代価弁済)。主体は所有権の買受人に限られず、地上権の買受人も条文に明記されているから、本肢は条文どおりである。代価弁済は、抵当権者の請求から始まり、第三者が買受けの代価を抵当権者に支払うことで効果が生じる点で、第三取得者の側から書面で申し出る抵当権消滅請求(379条以下)とは仕組みが異なる。抵当権者は代価で満足するかどうかを自ら選べ、第三者も請求に応じる義務はない。その第三者のために消滅するとは、その第三者との関係で抵当権が消えるという意味であり、地上権の買受人が代価弁済をしたときは、抵当権そのものが消えるのではなく、地上権が抵当権に優先する権利として存続することになる。本肢は正しい。

抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば、抵当権はその第三者のために消滅する
- 抵当権消滅請求(379条・380条):所有権を取得した第三取得者ができる。主たる債務者・保証人・これらの承継人はできない
- みなし承諾(384条):書面の送付から2か月以内に競売の申立てがないときなど
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を196条の区別に従い、抵当不動産の代価から他の債権者より先に償還される
誤り。違うのは「その請求に応じなければならない」の部分である。代価弁済は第三取得者が抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときに抵当権を消滅させる制度であり、応じるかどうかは第三取得者の自由である(378条)。
378条は、抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者に代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅すると定める。代価弁済は、抵当権者が売買代金で満足することにして抵当権を消滅させる道を第三取得者に与える制度であり、抵当権者の請求と第三取得者の弁済という双方の意思が合わさって初めて効果が生じる。第三取得者は被担保債権の債務者ではないから、抵当権者に代価を支払う義務を負う理由はなく、請求に応じずに抵当権の負担付きのまま所有を続けることも、抵当権消滅請求(379条)をすることもできる。応じたときは、売主に支払うべき代金をその限度で抵当権者に支払ったことになる。肢は第三取得者に請求に応じる義務があるとしている点で誤っている。

抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じて代価を弁済すると抵当権が消滅する。応じる義務はない
- 抵当権消滅請求(379条〜386条):抵当不動産の所有権を取得した第三取得者がする。主たる債務者・保証人とその承継人はできない
- 抵当権消滅請求の時期(382条):競売による差押えの効力が発生する前
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を196条の区別に従い、他の債権者より先に償還される
誤り。違うのは「その請求に応じなければならない」の部分である。代価弁済は第三取得者が抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときに抵当権を消滅させる制度であり、応じるかどうかは第三取得者の自由である(378条)。
378条は、抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者に代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅すると定める。代価弁済は、抵当権者が売買代金で満足することにして抵当権を消滅させる道を第三取得者に与える制度であり、抵当権者の請求と第三取得者の弁済という双方の意思が合わさって初めて効果が生じる。第三取得者は被担保債権の債務者ではないから、抵当権者に代価を支払う義務を負う理由はなく、請求に応じずに抵当権の負担付きのまま所有を続けることも、抵当権消滅請求(379条)をすることもできる。応じたときは、売主に支払うべき代金をその限度で抵当権者に支払ったことになる。肢は第三取得者に請求に応じる義務があるとしている点で誤っている。

抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じて代価を弁済すると抵当権が消滅する。応じる義務はない
- 抵当権消滅請求(379条〜386条):抵当不動産の所有権を取得した第三取得者がする。主たる債務者・保証人とその承継人はできない
- 抵当権消滅請求の時期(382条):競売による差押えの効力が発生する前
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を196条の区別に従い、他の債権者より先に償還される
正しい。抵当不動産を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する(378条、代価弁済)。
378条は、抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者に代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅すると定める。代価弁済と呼ばれる制度であり、肢はその内容をそのまま述べている。要件は、抵当不動産の所有権又は地上権を買い受けた第三者であること、抵当権者からの請求があること、その請求に応じて代価を抵当権者に支払ったことである。抵当権者が売買代金で満足することにして抵当権を消滅させる仕組みであり、抵当権者の側から始まる点で、第三取得者の側から手続を始める抵当権消滅請求(379条以下)と対になっている。効果は抵当権がその第三者のために消滅することであり、地上権を買い受けた者の場合は、その地上権を抵当権者に対抗できるようになる。代価が被担保債権額に足りないときでも抵当権は消滅し、残額は無担保の債権として残る。第三取得者に請求に応じる義務はない。したがって肢は正しい。

抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じて代価を弁済すると抵当権が消滅する。応じる義務はない
- 抵当権消滅請求(379条〜386条):抵当不動産の所有権を取得した第三取得者がする。主たる債務者・保証人とその承継人はできない
- 抵当権消滅請求の時期(382条):競売による差押えの効力が発生する前
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を196条の区別に従い、他の債権者より先に償還される
正しい。抵当不動産を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する(378条、代価弁済)。
378条は、抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者に代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅すると定める。代価弁済と呼ばれる制度であり、肢はその内容をそのまま述べている。要件は、抵当不動産の所有権又は地上権を買い受けた第三者であること、抵当権者からの請求があること、その請求に応じて代価を抵当権者に支払ったことである。抵当権者が売買代金で満足することにして抵当権を消滅させる仕組みであり、抵当権者の側から始まる点で、第三取得者の側から手続を始める抵当権消滅請求(379条以下)と対になっている。効果は抵当権がその第三者のために消滅することであり、地上権を買い受けた者の場合は、その地上権を抵当権者に対抗できるようになる。代価が被担保債権額に足りないときでも抵当権は消滅し、残額は無担保の債権として残る。第三取得者に請求に応じる義務はない。したがって肢は正しい。

抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じて代価を弁済すると抵当権が消滅する。応じる義務はない
- 抵当権消滅請求(379条〜386条):抵当不動産の所有権を取得した第三取得者がする。主たる債務者・保証人とその承継人はできない
- 抵当権消滅請求の時期(382条):競売による差押えの効力が発生する前
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を196条の区別に従い、他の債権者より先に償還される
正しい。抵当不動産の所有権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する(378条)。
378条は、抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅すると定める。代価弁済と呼ばれる制度であり、第三取得者は売買代金を売主ではなく抵当権者に支払うことで抵当権の負担のない不動産を手に入れ、抵当権者は競売を経ずに早く回収できる。Fは抵当不動産である土地の所有権を買い受けた第三者であり、AF間の売買契約で定めた代価をBの請求に応じてBに支払っているから、378条の要件を満たし、Bの抵当権はFのために消滅する。したがって、肢は正しい。代価弁済は抵当権者からの請求があって初めて成り立つ点で、第三取得者の側から申し出る抵当権消滅請求(379条以下)とは仕組みが異なる。代価が被担保債権に足りないときは、残りの債権は債務者Aに対して存続する。

抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
正しい。抵当不動産の所有権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する(378条)。
378条は、抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅すると定める。代価弁済と呼ばれる制度であり、第三取得者は売買代金を売主ではなく抵当権者に支払うことで抵当権の負担のない不動産を手に入れ、抵当権者は競売を経ずに早く回収できる。Fは抵当不動産である土地の所有権を買い受けた第三者であり、AF間の売買契約で定めた代価をBの請求に応じてBに支払っているから、378条の要件を満たし、Bの抵当権はFのために消滅する。したがって、肢は正しい。代価弁済は抵当権者からの請求があって初めて成り立つ点で、第三取得者の側から申し出る抵当権消滅請求(379条以下)とは仕組みが異なる。代価が被担保債権に足りないときは、残りの債権は債務者Aに対して存続する。

抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
この条文の過去問 6問
正しい。抵当権消滅請求ができるのは第三取得者に限られ(379条)、抵当権設定者Aは担保を供して抵当権の消滅を請求できない。
379条は、抵当不動産の第三取得者は383条の定めるところにより抵当権消滅請求をすることができると定め、請求できる者を第三取得者に限っている。Aは自分で甲土地に抵当権を設定した所有者であり、後から抵当不動産を取得した第三取得者ではないので、抵当権消滅請求はできない。抵当権消滅請求は、抵当権の付いた不動産を買った第三者について、負担を金銭で清算して権利関係を整理し、取引を円滑にする制度である。自分で担保を差し出した設定者は、被担保債権を弁済して抵当権を消すべき立場にあり、この制度で保護する必要がない。また、相当の担保を供して担保権の消滅を請求できるとする規定は留置権にはある(301条)が、抵当権にはない。したがって、AはBに相当の担保を供して抵当権の消滅を請求することはできない。

抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
- 代価弁済:抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば抵当権が消滅する(378条)
- 抵当権消滅請求:第三取得者だけができ、主たる債務者・保証人とその承継人はできない(379条・380条)。差押えの効力発生前にする(382条)
- 費用償還:必要費・有益費を代価から他の債権者より先に償還を受ける(391条)
- 買受け:競売で買受人となることができる(390条)
誤り。違うのは「譲渡担保権の実行前であっても,抵当権消滅請求をすることにより」の部分である。譲渡担保権者は、実行して確定的に所有権を取得するまでは抵当権消滅請求をすることができない(最判平7.11.10)。
379条は、抵当不動産の第三取得者は抵当権消滅請求をすることができると定める。抵当権消滅請求は、第三取得者が自分で評価した額を抵当権者に示し、抵当権者が競売を申し立てなければその額を払うなどして抵当権を消滅させる制度であり(383条〜386条)、抵当権者に重い負担を課すから、請求できる者は限られる。主たる債務者・保証人とその承継人はこれをすることができず(380条)、停止条件付きで取得した者も条件の成否が決まるまではできない(381条)。譲渡担保権者は、形式上は不動産の所有権の移転を受けるが、実質は債権の担保であり、設定者は債務を弁済して不動産を取り戻すことができる。判例は、改正前の滌除について、譲渡担保権者は、譲渡担保権を実行して確定的に目的不動産の所有権を取得しない限り第三取得者として滌除をすることはできないとし(最判平7.11.10)、この考え方は抵当権消滅請求にも当てはまる。したがって、実行前のDはBの抵当権を消滅させることができない。

抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときに抵当権が消滅する
- 抵当権消滅請求の主体(379条〜381条):抵当不動産の所有権を取得した第三取得者。主たる債務者・保証人・承継人、停止条件の成否未定の間の者、実行前の譲渡担保権者はできない
- 抵当権消滅請求の時期(382条):競売による差押えの効力が発生する前
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を他の債権者より先に償還される
誤り。違うのは「譲渡担保権の実行前であっても,抵当権消滅請求をすることにより」の部分である。譲渡担保権者は、実行して確定的に所有権を取得するまでは抵当権消滅請求をすることができない(最判平7.11.10)。
379条は、抵当不動産の第三取得者は抵当権消滅請求をすることができると定める。抵当権消滅請求は、第三取得者が自分で評価した額を抵当権者に示し、抵当権者が競売を申し立てなければその額を払うなどして抵当権を消滅させる制度であり(383条〜386条)、抵当権者に重い負担を課すから、請求できる者は限られる。主たる債務者・保証人とその承継人はこれをすることができず(380条)、停止条件付きで取得した者も条件の成否が決まるまではできない(381条)。譲渡担保権者は、形式上は不動産の所有権の移転を受けるが、実質は債権の担保であり、設定者は債務を弁済して不動産を取り戻すことができる。判例は、改正前の滌除について、譲渡担保権者は、譲渡担保権を実行して確定的に目的不動産の所有権を取得しない限り第三取得者として滌除をすることはできないとし(最判平7.11.10)、この考え方は抵当権消滅請求にも当てはまる。したがって、実行前のDはBの抵当権を消滅させることができない。

抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときに抵当権が消滅する
- 抵当権消滅請求の主体(379条〜381条):抵当不動産の所有権を取得した第三取得者。主たる債務者・保証人・承継人、停止条件の成否未定の間の者、実行前の譲渡担保権者はできない
- 抵当権消滅請求の時期(382条):競売による差押えの効力が発生する前
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を他の債権者より先に償還される
正しい。主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない(380条)。
抵当権消滅請求は、抵当不動産の第三取得者が自ら評価した金額を抵当権者に提供し、抵当権者が2か月以内に競売を申し立てないときなどに、その金額の支払によって抵当権を消滅させる制度である(379条・383条・384条・386条)。380条は、主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができないと定める。これらの者は、もともと被担保債権の全額を支払う義務を負う立場にあるから、抵当不動産を取得したのをきっかけに、被担保債権の額に満たない金額を提供して抵当権の負担を免れることを認めるのは公平でないからである。主たる債務者の承継人も、主たる債務者と同じく全額を支払うべき立場を引き継いでいるから、同じ理由で抵当権消滅請求はできない。したがって、本肢は正しい。

主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば、抵当権はその第三者のために消滅する
- 抵当権消滅請求(379条・380条):所有権を取得した第三取得者ができる。主たる債務者・保証人・これらの承継人はできない
- みなし承諾(384条):書面の送付から2か月以内に競売の申立てがないときなど
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を196条の区別に従い、抵当不動産の代価から他の債権者より先に償還される
誤り。違うのは「その債務の連帯保証人は,抵当権消滅請求を行うことができる」の部分である。主たる債務者だけでなく保証人も抵当権消滅請求をすることができず、連帯保証人も保証人に含まれる(380条)。
抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をすることができる(379条)。これは、抵当権の負担付きで不動産を取得した者が、自ら評価した代価を抵当権者に提供して抵当権を消滅させることを認め、第三取得者の地位を安定させる制度である。しかし380条は、主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は抵当権消滅請求をすることができないと定める。主たる債務者や保証人は、もともと被担保債権の全額を弁済する義務を負っている者であり、全額を払わずに自分が評価した金額で抵当権を消滅させることを認めるのは、債務を全部履行すべき立場と矛盾するからである。連帯保証人は保証人の一種であり、むしろ主たる債務者と同様に全額の支払義務を負う立場にあるから、同条により抵当権消滅請求をすることができない。本肢は主たる債務者について述べた前段は正しいが、連帯保証人に抵当権消滅請求を認める後段が誤りである。

主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときに抵当権が消滅する
- 抵当権消滅請求の主体(379条〜381条):抵当不動産の所有権を取得した第三取得者。主たる債務者・保証人・承継人はできない
- 抵当権消滅請求の時期(382条):競売による差押えの効力が発生する前
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を他の債権者より先に償還される
正しい。抵当権消滅請求ができるのは抵当不動産の所有権を取得した第三取得者に限られ(379条)、地上権の設定を受けた者はすることができない。
379条は、抵当不動産の第三取得者は、383条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができると定める。抵当権消滅請求は、抵当不動産を取得した者が、自ら評価した代価又は金額を抵当権者に提供して抵当権の消滅を求める制度であり、抵当権者がこれに応じなければ、2か月以内に競売を申し立てなければならない。ここでいう第三取得者は、抵当不動産の所有権を取得した者をいう。平成15年改正前の滌除の制度では、地上権や永小作権を取得した者も請求できたが、抵当権者に対する濫用的な請求が多かったことから、改正で請求できる者を所有権の取得者に限定した。所有権を取得した者は、抵当権が実行されれば不動産そのものを失うから、抵当権の負担から解放される手段を与える必要が大きいからである。地上権者は、代価弁済(378条)の方法によることはできる。本肢は正しい。

抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
この条文の過去問 4問
誤り。違うのは「被担保債権の連帯保証人であるときであっても、抵当権消滅請求をすることができる」の部分である。
380条は、主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができないと定める。連帯保証人は催告の抗弁や検索の抗弁を持たない(454条)点で通常の保証人と異なるが、被担保債権について保証債務を負う者であることに変わりはないので、同条の保証人に含まれる。主たる債務者や保証人は、もともと被担保債権の全額を弁済すべき立場にある。それなのに、抵当不動産を取得したのをきっかけに、自分で申し出た金額を払うだけで抵当権を消し、担保のない債務だけを残すことを認めるのは、債権者との関係で不当だからである。同じ考え方から、停止条件付きの第三取得者も条件の成否が未定の間は抵当権消滅請求ができない(381条)。連帯保証人である第三取得者に抵当権消滅請求を認める本肢は380条に反する。

主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
- 代価弁済:抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば抵当権が消滅する(378条)
- 抵当権消滅請求:主たる債務者・保証人とその承継人はできない(380条)。差押えの効力発生前にする(382条)
- 費用償還:必要費・有益費を代価から他の債権者より先に償還を受ける(391条)
- 買受け:競売で買受人となることができる(390条)
誤り。違うのは「被担保債権の連帯保証人であるときであっても、抵当権消滅請求をすることができる」の部分である。
380条は、主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができないと定める。連帯保証人は催告の抗弁や検索の抗弁を持たない(454条)点で通常の保証人と異なるが、被担保債権について保証債務を負う者であることに変わりはないので、同条の保証人に含まれる。主たる債務者や保証人は、もともと被担保債権の全額を弁済すべき立場にある。それなのに、抵当不動産を取得したのをきっかけに、自分で申し出た金額を払うだけで抵当権を消し、担保のない債務だけを残すことを認めるのは、債権者との関係で不当だからである。同じ考え方から、停止条件付きの第三取得者も条件の成否が未定の間は抵当権消滅請求ができない(381条)。連帯保証人である第三取得者に抵当権消滅請求を認める本肢は380条に反する。

主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
- 代価弁済:抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば抵当権が消滅する(378条)
- 抵当権消滅請求:主たる債務者・保証人とその承継人はできない(380条)。差押えの効力発生前にする(382条)
- 費用償還:必要費・有益費を代価から他の債権者より先に償還を受ける(391条)
- 買受け:競売で買受人となることができる(390条)
正しい。主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない(380条)。
抵当権消滅請求は、抵当不動産の第三取得者が自ら評価した金額を抵当権者に提供し、抵当権者が2か月以内に競売を申し立てないときなどに、その金額の支払によって抵当権を消滅させる制度である(379条・383条・384条・386条)。380条は、主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができないと定める。これらの者は、もともと被担保債権の全額を支払う義務を負う立場にあるから、抵当不動産を取得したのをきっかけに、被担保債権の額に満たない金額を提供して抵当権の負担を免れることを認めるのは公平でないからである。主たる債務者の承継人も、主たる債務者と同じく全額を支払うべき立場を引き継いでいるから、同じ理由で抵当権消滅請求はできない。したがって、本肢は正しい。

主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば、抵当権はその第三者のために消滅する
- 抵当権消滅請求(379条・380条):所有権を取得した第三取得者ができる。主たる債務者・保証人・これらの承継人はできない
- みなし承諾(384条):書面の送付から2か月以内に競売の申立てがないときなど
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を196条の区別に従い、抵当不動産の代価から他の債権者より先に償還される
誤り。違うのは「その債務の連帯保証人は,抵当権消滅請求を行うことができる」の部分である。主たる債務者だけでなく保証人も抵当権消滅請求をすることができず、連帯保証人も保証人に含まれる(380条)。
抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をすることができる(379条)。これは、抵当権の負担付きで不動産を取得した者が、自ら評価した代価を抵当権者に提供して抵当権を消滅させることを認め、第三取得者の地位を安定させる制度である。しかし380条は、主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は抵当権消滅請求をすることができないと定める。主たる債務者や保証人は、もともと被担保債権の全額を弁済する義務を負っている者であり、全額を払わずに自分が評価した金額で抵当権を消滅させることを認めるのは、債務を全部履行すべき立場と矛盾するからである。連帯保証人は保証人の一種であり、むしろ主たる債務者と同様に全額の支払義務を負う立場にあるから、同条により抵当権消滅請求をすることができない。本肢は主たる債務者について述べた前段は正しいが、連帯保証人に抵当権消滅請求を認める後段が誤りである。

主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときに抵当権が消滅する
- 抵当権消滅請求の主体(379条〜381条):抵当不動産の所有権を取得した第三取得者。主たる債務者・保証人・承継人はできない
- 抵当権消滅請求の時期(382条):競売による差押えの効力が発生する前
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を他の債権者より先に償還される
抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。
この条文の過去問 2問
誤り。違うのは「譲渡担保権の実行前であっても,抵当権消滅請求をすることにより」の部分である。譲渡担保権者は、実行して確定的に所有権を取得するまでは抵当権消滅請求をすることができない(最判平7.11.10)。
379条は、抵当不動産の第三取得者は抵当権消滅請求をすることができると定める。抵当権消滅請求は、第三取得者が自分で評価した額を抵当権者に示し、抵当権者が競売を申し立てなければその額を払うなどして抵当権を消滅させる制度であり(383条〜386条)、抵当権者に重い負担を課すから、請求できる者は限られる。主たる債務者・保証人とその承継人はこれをすることができず(380条)、停止条件付きで取得した者も条件の成否が決まるまではできない(381条)。譲渡担保権者は、形式上は不動産の所有権の移転を受けるが、実質は債権の担保であり、設定者は債務を弁済して不動産を取り戻すことができる。判例は、改正前の滌除について、譲渡担保権者は、譲渡担保権を実行して確定的に目的不動産の所有権を取得しない限り第三取得者として滌除をすることはできないとし(最判平7.11.10)、この考え方は抵当権消滅請求にも当てはまる。したがって、実行前のDはBの抵当権を消滅させることができない。

抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときに抵当権が消滅する
- 抵当権消滅請求の主体(379条〜381条):抵当不動産の所有権を取得した第三取得者。主たる債務者・保証人・承継人、停止条件の成否未定の間の者、実行前の譲渡担保権者はできない
- 抵当権消滅請求の時期(382条):競売による差押えの効力が発生する前
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を他の債権者より先に償還される
誤り。違うのは「譲渡担保権の実行前であっても,抵当権消滅請求をすることにより」の部分である。譲渡担保権者は、実行して確定的に所有権を取得するまでは抵当権消滅請求をすることができない(最判平7.11.10)。
379条は、抵当不動産の第三取得者は抵当権消滅請求をすることができると定める。抵当権消滅請求は、第三取得者が自分で評価した額を抵当権者に示し、抵当権者が競売を申し立てなければその額を払うなどして抵当権を消滅させる制度であり(383条〜386条)、抵当権者に重い負担を課すから、請求できる者は限られる。主たる債務者・保証人とその承継人はこれをすることができず(380条)、停止条件付きで取得した者も条件の成否が決まるまではできない(381条)。譲渡担保権者は、形式上は不動産の所有権の移転を受けるが、実質は債権の担保であり、設定者は債務を弁済して不動産を取り戻すことができる。判例は、改正前の滌除について、譲渡担保権者は、譲渡担保権を実行して確定的に目的不動産の所有権を取得しない限り第三取得者として滌除をすることはできないとし(最判平7.11.10)、この考え方は抵当権消滅請求にも当てはまる。したがって、実行前のDはBの抵当権を消滅させることができない。

抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときに抵当権が消滅する
- 抵当権消滅請求の主体(379条〜381条):抵当不動産の所有権を取得した第三取得者。主たる債務者・保証人・承継人、停止条件の成否未定の間の者、実行前の譲渡担保権者はできない
- 抵当権消滅請求の時期(382条):競売による差押えの効力が発生する前
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を他の債権者より先に償還される
抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。
この条文の過去問 1問
誤り。違うのは「競売による差押えの効力が生じた後であっても」の部分である。
382条は、抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に抵当権消滅請求をしなければならないと定める。差押えの効力が生じた後は、もう抵当権消滅請求はできない。抵当権消滅請求は、第三取得者が申し出た金額について、抵当権者が承諾するか競売を申し立てるかを選ぶ仕組みであり(383条・384条)、抵当権の実行がすでに始まって差押えの効力が生じた後にこれを認めると、進んでいる競売手続を混乱させるからである。第三取得者は、差押えの前であれば、抵当権者に申出額を払うことで抵当権を消すことができる。本肢のEはAから甲土地を買った第三取得者であるが、競売による差押えの効力が生じた後なので、Bに抵当権消滅請求をすることはできない。

抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。
- 代価弁済:抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば抵当権が消滅する(378条)
- 抵当権消滅請求:第三取得者だけができ、主たる債務者・保証人とその承継人はできない(379条・380条)。差押えの効力発生前にする(382条)
- 費用償還:必要費・有益費を代価から他の債権者より先に償還を受ける(391条)
- 買受け:競売で買受人となることができる(390条)
抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面
1 取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
2 抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)
3 債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面
この条文の過去問 1問
正しい。抵当権消滅請求ができるのは抵当不動産の所有権を取得した第三取得者に限られ(379条)、地上権の設定を受けた者はすることができない。
379条は、抵当不動産の第三取得者は、383条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができると定める。抵当権消滅請求は、抵当不動産を取得した者が、自ら評価した代価又は金額を抵当権者に提供して抵当権の消滅を求める制度であり、抵当権者がこれに応じなければ、2か月以内に競売を申し立てなければならない。ここでいう第三取得者は、抵当不動産の所有権を取得した者をいう。平成15年改正前の滌除の制度では、地上権や永小作権を取得した者も請求できたが、抵当権者に対する濫用的な請求が多かったことから、改正で請求できる者を所有権の取得者に限定した。所有権を取得した者は、抵当権が実行されれば不動産そのものを失うから、抵当権の負担から解放される手段を与える必要が大きいからである。地上権者は、代価弁済(378条)の方法によることはできる。本肢は正しい。

抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第三号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす。その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。第一号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。第一号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第百八十八条において準用する同法第六十三条第三項若しくは第六十八条の三第三項の規定又は同法第百八十三条第一項第二号ニに掲げる文書が提出された場合における同条第二項の規定による決定を除く。)が確定したとき。
1 その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。
2 その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。
3 第一号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。
4 第一号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第百八十八条において準用する同法第六十三条第三項若しくは第六十八条の三第三項の規定又は同法第百八十三条第一項第二号ニに掲げる文書が提出された場合における同条第二項の規定による決定を除く。)が確定したとき。
第三百八十三条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、前条第一号の申立てをするときは、同号の期間内に、債務者及び抵当不動産の譲渡人にその旨を通知しなければならない。
登記をしたすべての債権者が抵当不動産の第三取得者の提供した代価又は金額を承諾し、かつ、抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託したときは、抵当権は、消滅する。
1登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
2抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。
この条文の過去問 7問
正しい。387条1項により、登記をした賃貸借が抵当権者に対抗するには、先順位の抵当権者全員の同意に加えて同意の登記が必要である。
不動産の賃貸借は登記をすれば第三者に対抗できる(605条)が、抵当権設定登記の後に登記された賃貸借は抵当権者に劣後し、競売で消えるのが原則である。もっとも、優良な賃借人がいることがかえって不動産の価値を保つ場合もあるので、387条1項は、登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができると定める。賃貸借の登記、先順位の抵当権者全員の同意、同意の登記の三つがそろって初めて対抗できる。同意の内容を登記で示さなければ、後に抵当権を譲り受ける者や買受人が賃借権の優先を知ることができないからである。抵当権者が同意するには、その抵当権を目的とする権利を持つ者などの承諾も要る(同条2項)。本肢は同意の登記がなければ対抗できないとしており、条文のとおりである。

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
誤り。違うのは「引渡しにより対抗要件を具備した建物の賃貸借」について、抵当権者全員の同意だけで買受人に対抗できるとする部分である。
抵当権設定登記の後に対抗要件を備えた賃借権は、抵当権者や競売の買受人に対抗できないのが原則である。387条1項はその例外として、登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつその同意の登記があるときは、同意をした抵当権者に対抗できると定める。要件の一つは、賃貸借そのものが登記されていること(605条)であり、建物の引渡しや借地上の建物の登記で対抗力を得たにすぎない賃借権は含まれない。もう一つは、抵当権者全員の同意に加えて同意の登記がされていることであり、同意しただけでは足りない。同意の内容を登記で示さなければ、後に抵当権を譲り受ける者などが賃借権の優先を知り得ないからである。本肢の賃貸借は引渡しで対抗力を得ただけで賃借権の登記がなく、同意の登記も挙げられていないので、賃借人は買受人に賃借権を対抗できない。

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
誤り。違うのは「引渡しにより対抗要件を具備した建物の賃貸借」について、抵当権者全員の同意だけで買受人に対抗できるとする部分である。
抵当権設定登記の後に対抗要件を備えた賃借権は、抵当権者や競売の買受人に対抗できないのが原則である。387条1項はその例外として、登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつその同意の登記があるときは、同意をした抵当権者に対抗できると定める。要件の一つは、賃貸借そのものが登記されていること(605条)であり、建物の引渡しや借地上の建物の登記で対抗力を得たにすぎない賃借権は含まれない。もう一つは、抵当権者全員の同意に加えて同意の登記がされていることであり、同意しただけでは足りない。同意の内容を登記で示さなければ、後に抵当権を譲り受ける者などが賃借権の優先を知り得ないからである。本肢の賃貸借は引渡しで対抗力を得ただけで賃借権の登記がなく、同意の登記も挙げられていないので、賃借人は買受人に賃借権を対抗できない。

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
誤り。違うのは「その登記がなくても,建物の引渡しがあったときは」の部分である。387条1項の同意の登記による対抗は、登記をした賃貸借に限られる。
387条1項は、登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができると定める。この制度は、抵当権と賃借権の優劣を当事者の合意で入れ替えるものであるから、どのような内容の賃貸借が抵当権に優先することになったのかが登記簿の上で明らかでなければ、後順位抵当権者や競売の買受希望者などの第三者が不測の損害を受ける。そこで、対象を登記をした賃貸借に限っている。建物の賃貸借は建物の引渡しによって第三者に対抗できるが(借地借家法31条)、この対抗要件では387条1項の要件を満たさない。したがって、建物の引渡しがあれば同意と同意の登記によって抵当権者に対抗できるとする本肢は誤りである。引渡しを受けただけの建物賃借人は抵当権に劣後し、競売の買受人に対抗できず、395条1項の明渡猶予を受けられるにとどまる。

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
- 387条の同意の登記:登記をした賃貸借であること、先に登記した抵当権者全員の同意、同意の登記の三つが要る
- 395条の明渡猶予:建物に限られ、競売手続の開始前からの使用などが要件で、買受けの時から6か月
- 猶予期間中の対価:買受人に支払う。1か月分以上の催告に応じなければ猶予を失う(395条2項)
誤り。違うのは「賃貸借契約を理由にして拒むことができる」の部分である。抵当権設定登記に後れて登記された賃借権は、抵当権者の同意の登記(387条1項)がない限り、競売による売却で効力を失う。
抵当権と賃借権の優劣は、対抗要件を備えた時の先後で決まる。不動産競売では、抵当権は売却によって消滅し、消滅する抵当権に対抗できない権利も売却によって効力を失う(民事執行法188条・59条1項・2項)。Dの賃借権は、Bの抵当権設定登記より後に登記されたものであるから、登記を備えていてもBに対抗できず、Cが買い受けた時に効力を失う。抵当権者は設定の時の担保価値を把握しており、その後の賃貸借によって価値が下がることを受け入れる理由がないからである。例外として、387条1項は、登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権者全員が同意し、かつその同意の登記があるときは、同意をした抵当権者に対抗できるとするが、肢にはBの同意もその登記もない。また、395条の明渡猶予は建物の使用者を対象とし、土地の賃借人には及ばない。したがって、Dは引渡しを拒めず、肢は誤りである。

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
- 抵当権設定登記より前に対抗要件を備えた賃借権:買受人に対抗できる
- 抵当権設定登記の後に登記した賃借権:売却で効力を失い、買受人に対抗できない(民事執行法59条2項)
- 387条の同意の登記:登記をした賃貸借であること、先に登記した抵当権者全員の同意、同意の登記の三つが要る
- 395条の明渡猶予:建物に限られ、競売手続の開始前からの使用などが要件で、買受けの時から6か月
誤り。違うのは「賃貸借契約を理由にして拒むことができる」の部分である。抵当権設定登記に後れて登記された賃借権は、抵当権者の同意の登記(387条1項)がない限り、競売による売却で効力を失う。
抵当権と賃借権の優劣は、対抗要件を備えた時の先後で決まる。不動産競売では、抵当権は売却によって消滅し、消滅する抵当権に対抗できない権利も売却によって効力を失う(民事執行法188条・59条1項・2項)。Dの賃借権は、Bの抵当権設定登記より後に登記されたものであるから、登記を備えていてもBに対抗できず、Cが買い受けた時に効力を失う。抵当権者は設定の時の担保価値を把握しており、その後の賃貸借によって価値が下がることを受け入れる理由がないからである。例外として、387条1項は、登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権者全員が同意し、かつその同意の登記があるときは、同意をした抵当権者に対抗できるとするが、肢にはBの同意もその登記もない。また、395条の明渡猶予は建物の使用者を対象とし、土地の賃借人には及ばない。したがって、Dは引渡しを拒めず、肢は誤りである。

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
- 抵当権設定登記より前に対抗要件を備えた賃借権:買受人に対抗できる
- 抵当権設定登記の後に登記した賃借権:売却で効力を失い、買受人に対抗できない(民事執行法59条2項)
- 387条の同意の登記:登記をした賃貸借であること、先に登記した抵当権者全員の同意、同意の登記の三つが要る
- 395条の明渡猶予:建物に限られ、競売手続の開始前からの使用などが要件で、買受けの時から6か月
誤り。違うのは「すべての者が同意をすれば」対抗できるとする部分である。抵当権者全員の同意に加えて、その同意の登記がなければ、同意をした抵当権者に対抗できない(387条1項)。
387条1項は、登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができると定める。抵当権設定登記に後れる賃借権は、本来抵当権者に対抗できず、競売によって効力を失う。しかし、優良な賃借人が入居していることでかえって不動産の価値が高まる場合もあるから、抵当権者全員が同意すれば賃借権を存続させる途を開いたのである。もっとも、抵当権の実行で不動産を買い受けようとする者や、後に抵当権の譲渡を受ける者などは、賃借権が抵当権者に対抗できるかどうかを登記によって知る必要がある。そこで、当事者間の同意だけでなく、同意の登記を要件として権利関係を公示させたのである。本肢は同意の登記を欠いても対抗できるとしている点で誤りである。

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
- 抵当権設定登記より前に対抗要件を備えた賃借権:買受人に対抗できる
- 抵当権設定登記の後に登記した賃借権:売却で効力を失い、買受人に対抗できない
- 387条の同意の登記:登記をした賃貸借、先に登記した抵当権者全員の同意、同意の登記の三つが要る
- 395条の明渡猶予:建物に限られ、競売手続の開始前からの使用などが要件で、買受けの時から6か月
土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
この条文の過去問 18問
誤り。違うのは、抵当権設定の当時すでにあった乙建物について「甲土地とともに乙建物を競売することができる」とする部分である。
389条1項本文は、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときに限って、抵当権者が土地とともにその建物を競売することを認める。更地に抵当権を設定した後に建物が建てられると、土地だけを競売しても買受人は建物の収去を求めるほかなく、買い手がつきにくいので、土地と建物を一緒に競売できるようにしたのである。抵当権者がつかんでいるのは土地の価値なので、優先して受け取れるのは土地の代価に限られる(同項ただし書)。これに対し、抵当権を設定した当時すでに建物があった場合は、抵当権者は建物があることを前提に土地の担保価値を評価しているはずであり、要件を満たせば法定地上権が成立して建物は存続できる(388条)。一括競売を認める必要がないのである。本肢は設定当時からあった建物についても一括競売できるとする点で389条1項に反する。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
正しい。土地を単独で所有する建物の共有者の一人が土地に抵当権を設定した場合、競売されれば法定地上権が成立する(最判昭46.12.21)。
法定地上権(388条)が成立するには、抵当権設定当時に土地の上に建物があること、その当時土地と建物が同一の所有者に属すること、土地又は建物に抵当権が設定されたこと、競売で土地と建物の所有者が別になったことが必要である。本肢では土地はAの単独所有で、建物はAとBの共有なので、同一の所有者という要件を形の上では満たさないようにも見える。しかし最判昭46.12.21は、建物の共有者の一人がその敷地を単独で所有する場合においては、その者は自己のみならず他の建物共有者のためにも土地の利用を認めているものというべきであるから、その者が土地に抵当権を設定し、抵当権の実行で第三者が土地を競落したときは、388条の趣旨により、抵当権設定当時に土地と建物を単独で所有していた場合と同様に法定地上権が成立するとした。建物の取壊しを避け、他の共有者を害さないためである。

建物の共有者の一人がその建物の敷地たる土地を単独で所有する場合においては、同人は、自己のみならず他の建物共有者のためにも右土地の利用を認めているものというべきであるから、同人が右土地に抵当権を設定し、この抵当権の実行により、第三者が右土地を競落したときは、民法三八八条の趣旨により、抵当権設定当時に同人が土地および建物を単独で所有していた場合と同様、右土地に法定地上権が成立する
誤り。違うのは「地代を支払うことを要しない」の部分である。
388条前段は、土地とその上の建物が同一の所有者に属する場合に、その土地又は建物に抵当権が設定され、その実行により所有者が別になったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなすと定める。建物を取り壊させないために法が認めた地上権であり、法定地上権と呼ばれる。もっとも、法定地上権はただで土地を使える権利ではない。同条後段は、この場合において地代は当事者の請求により裁判所が定めると明記しており、建物の所有者が土地の所有者に地代を払うことを当然の前提としている。無償なら地代を裁判所が定める規定を置く意味がないからである。法定地上権は建物の存続を図る制度であるが、土地所有者の利益をただで奪うことまでは予定していない。地代の額について協議が調わなければ、当事者の請求で裁判所が定める。

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
誤り。違うのは「地代を支払うことを要しない」の部分である。
388条前段は、土地とその上の建物が同一の所有者に属する場合に、その土地又は建物に抵当権が設定され、その実行により所有者が別になったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなすと定める。建物を取り壊させないために法が認めた地上権であり、法定地上権と呼ばれる。もっとも、法定地上権はただで土地を使える権利ではない。同条後段は、この場合において地代は当事者の請求により裁判所が定めると明記しており、建物の所有者が土地の所有者に地代を払うことを当然の前提としている。無償なら地代を裁判所が定める規定を置く意味がないからである。法定地上権は建物の存続を図る制度であるが、土地所有者の利益をただで奪うことまでは予定していない。地代の額について協議が調わなければ、当事者の請求で裁判所が定める。

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
正しい。土地と建物が同一所有者に属するという要件は抵当権設定時で判断され、その後に建物が第三者に譲渡されても法定地上権は成立する(大連判大12.12.14)。
388条は、土地とその上の建物が同一の所有者に属する場合に、その土地又は建物に抵当権が設定され、その実行で所有者が別になったときに、建物のために地上権が設定されたものとみなすと定める。同一の所有者に属するかどうかは、抵当権の設定の時を基準に判断される。土地の抵当権者は、設定の時に土地の上に同じ所有者の建物があれば、法定地上権の負担がつくことを前提に土地の価値を評価しているはずだからである。判例も、土地の抵当権の設定当時に土地と建物の所有者が同じであれば、その後に建物が譲渡され、競売の時に所有者が別になっていても法定地上権は成立するとしている(大連判大12.12.14)。建物を壊させずに使い続けられるようにするという388条の趣旨にも合う。肢は正しい。

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 土地に抵当権設定後、建物を第三者に譲渡 | 大連判大12.12.14 | 成立する |
| 設定時に所有者が別、実行時に同一 | 最判昭44.2.14 | 成立しない |
| 土地の1番抵当権設定時に別、2番抵当権設定時に同一(1番が残る) | 最判平2.1.22 | 成立しない |
| 建物の1番抵当権設定時に別、2番抵当権設定時に同一 | 大判昭14.7.26 | 成立する |
| 土地の登記名義が前主のまま | 最判昭53.9.29 | 成立する |
誤り。違うのは「法定地上権が成立する」の部分である。抵当権設定当時に土地と建物の所有者が別であれば、実行の際に同一人に帰していても法定地上権は成立しない(最判昭44.2.14)。
最判昭44.2.14は、抵当権設定当時において土地及び建物の所有者が各別である以上、その土地又は建物に対する抵当権の実行による競落の際、たまたまその土地及び建物の所有権が同一の者に帰していたとしても、388条の規定が適用又は準用されるいわれはないとした。388条の要件は抵当権の設定の時を基準に判断される。本肢では、乙建物に抵当権が設定された当時、甲土地はA、乙建物はBの所有であり、乙建物は土地の賃借権に基づいて建っていた。建物の抵当権者は、設定の時には賃借権付きの建物として価値を評価しており、その後に偶然所有者が同じになったことで、より強い地上権が生まれるとするのは、土地所有者の負担を不当に重くする。したがって、法定地上権は成立しない。肢は誤っている。

抵当権設定当時において土地および建物の所有者が各別である以上、その土地または建物に対する抵当権の実行による競落のさい、たまたま、右土地および建物の所有権が同一の者に帰していたとしても、民法三八八条の規定が適用または準用されるいわれはな(い)
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 土地に抵当権設定後、建物を第三者に譲渡 | 大連判大12.12.14 | 成立する |
| 設定時に所有者が別、実行時に同一 | 最判昭44.2.14 | 成立しない |
| 土地の1番抵当権設定時に別、2番抵当権設定時に同一(1番が残る) | 最判平2.1.22 | 成立しない |
| 建物の1番抵当権設定時に別、2番抵当権設定時に同一 | 大判昭14.7.26 | 成立する |
| 土地の登記名義が前主のまま | 最判昭53.9.29 | 成立する |
正しい。建物の一番抵当権設定時に所有者が別でも、同一人に帰属した後に建物に後順位抵当権が設定されていれば、一番抵当権の実行でも法定地上権が成立する(大判昭14.7.26)。
判例は、建物について一番抵当権が設定された当時は土地と建物の所有者が異なっていても、その後両者が同一人に帰属し、その状態で建物に後順位抵当権が設定された場合には、一番抵当権の実行による競売についても388条の適用があるとしている(大判昭14.7.26)。土地に抵当権がある場合と違い、建物の抵当権では、法定地上権が成立しても一番抵当権者が把握した価値は損なわれない。敷地を使う権利が賃借権であるより法定地上権である方が建物の価値は高く、一番抵当権者に不利益はないからである。土地の抵当権について法定地上権を否定した最判平2.1.22も、建物の抵当権ではこのように考えている。本肢では乙建物に第二順位の抵当権が設定された時に土地と建物がBに帰属しているので、法定地上権が成立する。肢は正しい。

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 土地に抵当権設定後、建物を第三者に譲渡 | 大連判大12.12.14 | 成立する |
| 設定時に所有者が別、実行時に同一 | 最判昭44.2.14 | 成立しない |
| 土地の1番抵当権設定時に別、2番抵当権設定時に同一(1番が残る) | 最判平2.1.22 | 成立しない |
| 建物の1番抵当権設定時に別、2番抵当権設定時に同一 | 大判昭14.7.26 | 成立する |
| 土地の登記名義が前主のまま | 最判昭53.9.29 | 成立する |
誤り。違うのは「甲建物のために乙土地上に地上権が成立する」の部分である。土地共有者の一人の持分の抵当権が実行されても、特段の事情がない限り法定地上権は成立しない(最判平6.12.20)。
判例は、土地とその上の建物がいずれも同一人らの共有に属し、土地共有者の一人の持分に設定された抵当権が実行された事案で、他の共有者らがその持分に基づく土地の使用収益権を事実上放棄し、土地共有者の処分に委ねていたことなどにより法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができる特段の事情がない限り、共有土地について法定地上権は成立しないとした(最判平6.12.20)。法定地上権が成立すると、抵当権の設定に関わっていない他の土地共有者の持分まで地上権の負担を負うことになり、その共有者が害されるからである。強制競売で土地共有者の一人の持分が売却された場合に民事執行法81条の地上権が成立しないとした判例(最判平6.4.7)も同じ考え方に立つ。本肢では乙土地のAの持分にだけ抵当権が設定され、Bが容認していたなどの特段の事情も示されていないので、法定地上権は成立しない。建物だけが共有で土地が単独所有の場合は、土地共有者を害しないので成立する。

他の共有者らがその持分に基づく土地に対する使用収益権を事実上放棄し、右土地共有者の処分にゆだねていたことなどにより法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができるような特段の事情がある場合でない限り、共有土地について法定地上権は成立しないといわなければならない
| 共有の形 | 結論 | 理由 |
|---|---|---|
| 土地が共有(土地共有者の一人の持分に抵当権) | 成立しない(特段の事情がない限り) | 他の土地共有者が地上権の負担を負わされる |
| 建物が共有(土地は共有者の一人の単独所有) | 成立する | 土地所有者は建物共有者全員の利用を容認している |
誤り。違うのは「法定地上権が成立する」の部分である。土地の共有者の一人が自己の持分に抵当権を設定して実行されても、他の共有者の持分まで地上権の負担に服させることはできず、法定地上権は成立しない(最判昭29.12.23)。
最判昭29.12.23は、388条により地上権を設定したものとみなすべき事由が土地の共有者の一人だけについて生じたとしても、そのために他の共有者の意思にかかわらずその者の持分までが無視されるべきいわれはなく、その共有土地については地上権を設定したとみなすべきでないとした。地上権は土地全体を利用する権利であり、共有地に地上権を設定するには本来共有者全員の同意が要る。抵当権の設定に関わっていないBが、Aの持分の抵当権の実行という自分と無関係な事情で土地全体に地上権の負担を負わされるのは不当である。本肢では、Aが自己の共有持分にだけ抵当権を設定し、Bが地上権の負担を容認していた事情もないので、乙建物のために法定地上権は成立しない。肢は成立するとしており、誤っている。これに対し、土地が単独所有で建物が共有の場合は成立する。

地上権を設定したものと看做すべき事由が単に土地共有者の一人だけについて発生したとしても、これがため他の共有者の意思如何に拘わらずそのものの持分までが無視さるべきいわれはないのであつて、当該共有土地については地上権を設定したと看做すべきでない
- 土地と建物の双方に抵当権を設定し土地だけ競売:成立する
- 更地に抵当権を設定した後に建物を建築(抵当権者の承諾があっても):成立しない
- 1番抵当権の設定時は更地、2番抵当権の設定時は建物あり:成立しない(最判昭47.11.2)
- 1番抵当権が消滅し、2番抵当権の設定時に同一所有者:成立する(最判平19.7.6)
- 土地の所有権移転登記がない:成立する(最判昭53.9.29)
- 土地が共有で、共有者の一人の持分に抵当権:成立しない(最判昭29.12.23)
- 共同抵当の建物を取り壊して再築:特段の事情がない限り成立しない(最判平9.2.14)
誤り。違うのは「法定地上権が成立する」の部分である。土地の共有者の一人が自己の持分に抵当権を設定して実行されても、他の共有者の持分まで地上権の負担に服させることはできず、法定地上権は成立しない(最判昭29.12.23)。
最判昭29.12.23は、388条により地上権を設定したものとみなすべき事由が土地の共有者の一人だけについて生じたとしても、そのために他の共有者の意思にかかわらずその者の持分までが無視されるべきいわれはなく、その共有土地については地上権を設定したとみなすべきでないとした。地上権は土地全体を利用する権利であり、共有地に地上権を設定するには本来共有者全員の同意が要る。抵当権の設定に関わっていないBが、Aの持分の抵当権の実行という自分と無関係な事情で土地全体に地上権の負担を負わされるのは不当である。本肢では、Aが自己の共有持分にだけ抵当権を設定し、Bが地上権の負担を容認していた事情もないので、乙建物のために法定地上権は成立しない。肢は成立するとしており、誤っている。これに対し、土地が単独所有で建物が共有の場合は成立する。

地上権を設定したものと看做すべき事由が単に土地共有者の一人だけについて発生したとしても、これがため他の共有者の意思如何に拘わらずそのものの持分までが無視さるべきいわれはないのであつて、当該共有土地については地上権を設定したと看做すべきでない
- 土地と建物の双方に抵当権を設定し土地だけ競売:成立する
- 更地に抵当権を設定した後に建物を建築(抵当権者の承諾があっても):成立しない
- 1番抵当権の設定時は更地、2番抵当権の設定時は建物あり:成立しない(最判昭47.11.2)
- 1番抵当権が消滅し、2番抵当権の設定時に同一所有者:成立する(最判平19.7.6)
- 土地の所有権移転登記がない:成立する(最判昭53.9.29)
- 土地が共有で、共有者の一人の持分に抵当権:成立しない(最判昭29.12.23)
- 共同抵当の建物を取り壊して再築:特段の事情がない限り成立しない(最判平9.2.14)
正しい。更地として評価して抵当権を設定した後に建物が建てられた場合は、抵当権者が建築を承諾していても法定地上権は成立しない(最判昭36.2.10)。
388条は、土地とその上の建物が同一の所有者に属する場合に、その土地又は建物に抵当権が設定され、その実行で所有者が別々になったときは、建物について地上権が設定されたものとみなすと定める。判例は、法定地上権が成立するには抵当権の設定時に土地の上に建物が存在することを要し、設定後に建物を築造した場合は原則として388条の適用がないとする。最判昭36.2.10は、抵当権者が建物の築造をあらかじめ承諾していた場合でも、土地を更地として評価して抵当権の設定を受けたものである以上、法定地上権は成立しないとした。抵当権者の利益を考える必要はないとしても、競売の買受人は登記を見て法定地上権の成否を判断するところ、抵当権者の承諾は登記に現れないので、承諾を理由に法定地上権を認めると、更地と信じて買い受けた者を害するからである。本肢はこの判例のとおりである。

民法三八八条により法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時において地上に建物が存在することを要するものであつて、抵当権設定後土地の上に建物を築造した場合は原則として同条の適用がないものと解するを相当とする。
- 更地に抵当権を設定した後に建物を建築:抵当権者が承諾していても成立しない(最判昭36.2.10)
- 一番抵当権の設定時は更地、二番抵当権の設定時には建物あり:成立しない(最判昭47.11.2)
- 建物の保存登記がない:成立する(大判昭14.12.19)
- 共同抵当の建物を取り壊して再築:新建物に同順位の共同抵当権が設定されたなど特段の事情があれば成立する(最判平9.2.14)
誤り。違うのは「地代を支払う義務を負わない」の部分である。法定地上権の地代は当事者の請求により裁判所が定めるとされ、法定地上権者は地代を支払う義務を負う(388条後段)。
388条前段は、土地及びその上の建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物に抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなすと定め、後段は、この場合において地代は当事者の請求により裁判所が定めると規定する。法定地上権は、建物を取り壊さずに存続させるため、設定契約がなくても法律上当然に成立させる権利であるが、土地所有者に無償で土地の使用を我慢させれば、土地所有者に過大な犠牲を強いることになる。そこで、地代の支払によって双方の利益を調整することにしたのであり、同条後段は法定地上権が有償であることを前提としている。地代の額について当事者の協議が調わなければ、当事者の請求によって裁判所が定める。本肢は、法定地上権者が地代を支払う義務を負わないとしている点が誤りである。

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
正しい。判例は、法定地上権が成立するためには抵当権設定当時に地上に建物が存在することを要し、抵当権設定後に建物を築造した場合には原則として388条の適用はないとした(最判昭36.2.10)。
388条は、土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなすと定める。最判昭36.2.10は、同条により法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時において地上に建物が存在することを要し、抵当権設定後に土地の上に建物を築造した場合は原則として同条の適用がないとした。更地に抵当権を設定した抵当権者は、地上権の負担のない更地として土地の担保価値を評価しているのであり、後から建てられた建物のために法定地上権を認めると、土地の価値が大きく下がり、抵当権者が予期しない損害を受けるからである。本肢では、更地としての評価に基づいて抵当権が設定された後に建物が建てられているので、法定地上権は成立しない。したがって、本肢は正しい。

民法388条により法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時において地上に建物が存在することを要するものであつて、抵当権設定後土地の上に建物を築造した場合は原則として同条の適用がないものと解するを相当とする。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 更地に抵当権を設定した後に建物を建築 | 最判昭36.2.10 | 成立しない |
| 設定時は所有者が別で、後に同一の所有者になった | 最判昭44.2.14 | 成立しない |
| 土地と建物の双方に抵当権を設定し土地だけ競売 | 最判昭37.9.4 | 成立する |
| 設定後に建物を第三者に譲渡 | 大連判大12.12.14 | 成立する |
| 共同抵当の建物を取り壊して再築 | 最判平9.2.14 | 特段の事情がない限り成立しない |
正しい。判例は、抵当権設定当時に土地と建物の所有者が別であれば、その後同一の者に帰属したとしても388条は適用されないとした(最判昭44.2.14)。
388条は、抵当権設定の時に土地と建物が同一の所有者に属していることを法定地上権の要件としている。最判昭44.2.14は、抵当権設定当時において土地及び建物の所有者が各別である以上、その土地又は建物に対する抵当権の実行による競落の際に、たまたま土地及び建物の所有権が同一の者に帰していたとしても、388条の規定が適用又は準用されるいわれはないとした。抵当権設定当時に土地と建物の所有者が別であれば、建物のためには使用借権や賃借権などの約定の利用権が設定されているはずであり、抵当権者もその利用権を前提として土地の担保価値を評価しているのだから、後の所有者の変動によって法定地上権という強い権利の負担を負わせるのは抵当権者の予期に反するからである。本肢では、抵当権設定当時は土地がA、建物がDの所有であったので、法定地上権は成立しない。したがって、本肢は正しい。

抵当権設定当時において土地および建物の所有者が各別である以上、その土地または建物に対する抵当権の実行による競落のさい、たまたま、右土地および建物の所有権が同一の者に帰していたとしても、民法388条の規定が適用または準用されるいわれはなく
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 更地に抵当権を設定した後に建物を建築 | 最判昭36.2.10 | 成立しない |
| 設定時は所有者が別で、後に同一の所有者になった | 最判昭44.2.14 | 成立しない |
| 土地と建物の双方に抵当権を設定し土地だけ競売 | 最判昭37.9.4 | 成立する |
| 設定後に建物を第三者に譲渡 | 大連判大12.12.14 | 成立する |
| 共同抵当の建物を取り壊して再築 | 最判平9.2.14 | 特段の事情がない限り成立しない |
正しい。判例は、土地と建物の双方に抵当権が設定された場合でも、土地の抵当権だけが実行されて所有者が別になれば、388条により法定地上権が成立するとした(最判昭37.9.4)。
388条は、土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、建物について地上権が設定されたものとみなすと定める。同条の「土地又は建物」には、土地と建物の双方に抵当権が設定された場合も含まれ、判例も、土地建物の両方が同時に抵当権の目的となっている場合でも同条の適用は妨げられないとしている(最判昭37.9.4)。土地だけが競売されれば、土地と建物の所有者が別になり、建物は敷地の利用権を持たないまま取り壊しを迫られることになるので、建物の存続という社会経済上の利益を守る必要は、土地だけに抵当権が設定された場合と変わらないからである。抵当権者も、建物が存続する限り法定地上権の負担を予期できる。本肢では、土地の抵当権だけが実行されてCが土地の所有者になったので、法定地上権が成立する。したがって、本肢は正しい。

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 更地に抵当権を設定した後に建物を建築 | 最判昭36.2.10 | 成立しない |
| 設定時は所有者が別で、後に同一の所有者になった | 最判昭44.2.14 | 成立しない |
| 土地と建物の双方に抵当権を設定し土地だけ競売 | 最判昭37.9.4 | 成立する |
| 設定後に建物を第三者に譲渡 | 大連判大12.12.14 | 成立する |
| 共同抵当の建物を取り壊して再築 | 最判平9.2.14 | 特段の事情がない限り成立しない |
正しい。判例は、抵当権設定時に土地と建物が同一の所有者に属していれば、その後に一方の所有者が変わっても法定地上権が成立するとした(大連判大12.12.14)。
388条の要件である土地と建物の同一所有者への帰属は、抵当権設定の時を基準として判断される。判例は、抵当権設定時に目的の土地と建物が同一の所有者に属していた場合には、抵当権の実行時までにその一方又は両方の所有者が変わっていても、388条の適用があるとした(大連判大12.12.14)。抵当権設定の時に土地と建物が同一人の所有であった以上、抵当権者は将来の競売で法定地上権が成立することを予期して土地を評価しているのであり、その後に建物が譲渡されたかどうかによって結論を変える理由はないからである。本肢では、抵当権設定時に土地と建物はいずれもAの所有であり、その後AがDに建物を譲渡して土地の賃貸借契約を結んでいるが、抵当権の実行によってCが土地の所有者となった場合、建物のために法定地上権が成立する。賃借権は抵当権に対抗できないので、法定地上権を認めて建物の存続を図るのである。したがって、本肢は正しい。

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 更地に抵当権を設定した後に建物を建築 | 最判昭36.2.10 | 成立しない |
| 設定時は所有者が別で、後に同一の所有者になった | 最判昭44.2.14 | 成立しない |
| 土地と建物の双方に抵当権を設定し土地だけ競売 | 最判昭37.9.4 | 成立する |
| 設定後に建物を第三者に譲渡 | 大連判大12.12.14 | 成立する |
| 共同抵当の建物を取り壊して再築 | 最判平9.2.14 | 特段の事情がない限り成立しない |
正しい。抵当権設定当時に土地と建物の所有者が別であれば、その後に同一人に帰属しても法定地上権は成立しない(最判昭44.2.14)。
388条は、土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなすと定める。判例(最判昭44.2.14)は、抵当権設定当時において土地及び建物の所有者が別であった以上、抵当権の実行による競落の際にたまたま土地及び建物の所有権が同一の者に帰していたとしても、388条が適用又は準用されることはないとした。設定当時に所有者が別であれば、建物のためにはすでに借地権などの土地利用権が設定されているはずであり、抵当権者もその利用権を前提に担保価値を評価しているから、法定地上権を新たに成立させる必要がないからである。本肢では、抵当権設定時に甲建物はA、土地はBの所有であったから、後にBが建物を買い受けても法定地上権は成立しない。本肢は正しい。

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
- 土地と建物の双方に抵当権を設定し土地だけ競売:成立する
- 設定後に建物を第三者に譲渡:成立する
- 更地に抵当権を設定した後に建物を建築(抵当権者の承諾があっても):成立しない
- 設定時は所有者が別で、後に同一の所有者になった:成立しない(最判昭44.2.14)
- 土地が共有で、共有者の一人の持分に抵当権:成立しない
誤り。違うのは「法定の用益物権は存在しない」の部分である。民法は法定の用益物権として法定地上権を定めている(388条)。
民法は、当事者の合意によらず法律上当然に成立する担保物権として留置権(295条)と先取特権(303条)を定めており、法定の担保物権は存在する。用益物権も、地上権が設定契約によって取得されることが多いとはいえ、法律上当然に成立するものがある。388条は、土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物に抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなすと定める。同一所有者のもとでは自己の土地に利用権を設定できないので、競売で土地と建物の所有者が分かれると建物が土地利用権を持たないまま取り壊しを迫られることになり、それを防ぐために法律が地上権を成立させたのである。したがって法定の用益物権も存在し、本肢は誤りである。

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
1抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
2前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。
この条文の過去問 11問
正しい。389条1項ただし書により、一括競売をしても抵当権者の優先権は土地の代価についてのみ行使できる。
更地に抵当権を設定した後に建てられた建物は、土地とは別の不動産なので、土地の抵当権の効力は建物に及ばない(370条)。法定地上権も抵当権設定当時に建物があることを要するので成立せず、土地だけを競売すると買受人は建物の収去を求めるほかなく、買い手がつきにくい。そこで389条1項本文は、抵当権者が土地とともに建物を競売することを認める。しかし、建物には抵当権が及んでいない以上、建物の代価から優先弁済を受ける理由はないので、同項ただし書は優先権を土地の代価に限っている。建物の代価は建物の所有者に交付される。一括競売は抵当権者の権利であって義務ではなく、建物の所有者が抵当権者に対抗できる占有権原を持つときはできない(同条2項)。本肢は同項ただし書のとおりである。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
正しい。389条1項ただし書により、一括競売をしても抵当権者の優先権は土地の代価についてのみ行使できる。
更地に抵当権を設定した後に建てられた建物は、土地とは別の不動産なので、土地の抵当権の効力は建物に及ばない(370条)。法定地上権も抵当権設定当時に建物があることを要するので成立せず、土地だけを競売すると買受人は建物の収去を求めるほかなく、買い手がつきにくい。そこで389条1項本文は、抵当権者が土地とともに建物を競売することを認める。しかし、建物には抵当権が及んでいない以上、建物の代価から優先弁済を受ける理由はないので、同項ただし書は優先権を土地の代価に限っている。建物の代価は建物の所有者に交付される。一括競売は抵当権者の権利であって義務ではなく、建物の所有者が抵当権者に対抗できる占有権原を持つときはできない(同条2項)。本肢は同項ただし書のとおりである。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
誤り。違うのは、抵当権設定の当時すでにあった乙建物について「甲土地とともに乙建物を競売することができる」とする部分である。
389条1項本文は、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときに限って、抵当権者が土地とともにその建物を競売することを認める。更地に抵当権を設定した後に建物が建てられると、土地だけを競売しても買受人は建物の収去を求めるほかなく、買い手がつきにくいので、土地と建物を一緒に競売できるようにしたのである。抵当権者がつかんでいるのは土地の価値なので、優先して受け取れるのは土地の代価に限られる(同項ただし書)。これに対し、抵当権を設定した当時すでに建物があった場合は、抵当権者は建物があることを前提に土地の担保価値を評価しているはずであり、要件を満たせば法定地上権が成立して建物は存続できる(388条)。一括競売を認める必要がないのである。本肢は設定当時からあった建物についても一括競売できるとする点で389条1項に反する。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
誤り。違うのは「Bは乙建物の売却代金からも優先弁済を受けることができる」の部分である。一括競売をしても、抵当権者の優先権は土地の代価についてだけ行使できる(389条1項ただし書)。
389条1項本文は、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができると定める。更地に抵当権を設定した後に建物が建っても法定地上権は成立しないので、土地だけ売ると建物を取り壊させることになり、買い手もつきにくい。そこで建物も一緒に売ることを認めたのである。しかし、抵当権が把握しているのはもともと土地の価値だけであり、後から建った建物には抵当権の効力は及ばない。そのため同項ただし書は、抵当権者の優先権は土地の代価についてのみ行使することができるとしている。建物の売却代金は建物の所有者Aに渡され、Aの一般債権者の引当てとなる。肢はBが乙建物の売却代金からも優先弁済を受けられるとしており、誤っている。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
正しい。抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができる(389条1項本文)。
389条1項は、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができ、ただしその優先権は土地の代価についてのみ行使することができると定める(一括競売)。建物は土地とは別の不動産であり、土地に付加して一体となっている物(370条)には当たらないから、更地に設定された抵当権の効力は後から建った建物に及ばない。しかし、土地だけを競売すると、買受人は建物の収去を求める手間を負うことになって買い手が付きにくく、土地の担保価値が実現しない。そこで、抵当権者に土地と建物をまとめて売却することを認め、換価をしやすくしたのである。建物には抵当権が及んでいないから、抵当権者が優先して弁済を受けられるのは土地の代価だけであり、建物の代価は建物の所有者に帰属する。建てた者が設定者か第三者かは問わないが、建物の所有者が抵当地の占有を抵当権者に対抗できる権利を持つ場合は除かれる(同条2項)。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。2 前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。
- 対象の建物:抵当権の設定後に抵当地に築造された建物(築造した者は問わない)
- できない場合:設定の当時から建物があった場合、建物の所有者が抵当地の占有を抵当権者に対抗できる権利を持つ場合(389条2項)
- 優先弁済の範囲:土地の代価だけ(389条1項ただし書)
- 建物所有者の承諾:要らない
正しい。抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができる(389条1項本文)。
389条1項は、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができ、ただしその優先権は土地の代価についてのみ行使することができると定める(一括競売)。建物は土地とは別の不動産であり、土地に付加して一体となっている物(370条)には当たらないから、更地に設定された抵当権の効力は後から建った建物に及ばない。しかし、土地だけを競売すると、買受人は建物の収去を求める手間を負うことになって買い手が付きにくく、土地の担保価値が実現しない。そこで、抵当権者に土地と建物をまとめて売却することを認め、換価をしやすくしたのである。建物には抵当権が及んでいないから、抵当権者が優先して弁済を受けられるのは土地の代価だけであり、建物の代価は建物の所有者に帰属する。建てた者が設定者か第三者かは問わないが、建物の所有者が抵当地の占有を抵当権者に対抗できる権利を持つ場合は除かれる(同条2項)。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。2 前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。
- 対象の建物:抵当権の設定後に抵当地に築造された建物(築造した者は問わない)
- できない場合:設定の当時から建物があった場合、建物の所有者が抵当地の占有を抵当権者に対抗できる権利を持つ場合(389条2項)
- 優先弁済の範囲:土地の代価だけ(389条1項ただし書)
- 建物所有者の承諾:要らない
正しい。抵当権設定後に抵当地に建物が築造されたときは、建物所有者が抵当権者に対抗できる占有権原を持たない限り、その承諾なしに土地と建物を一括して競売できる(389条)。
389条1項は、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができ、ただし優先権は土地の代価についてのみ行使できると定める。更地に抵当権を設定した後に建物が建っても法定地上権は成立せず、建物は取り壊されることになるが、土地だけを競売しても買い手がつきにくいので、建物も一緒に売ることを認めたのである。建物を建てたのが抵当権設定者以外の者でもよく、建物所有者の承諾は要件ではない。ただし、建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗できる権利を持つ場合は、一括競売はできない(同条2項)。本肢のDの賃借権は抵当権の登記の後に設定されており、Aに対抗できないので、AはDの承諾の有無にかかわらず甲土地と乙建物を一括して競売できる。肢は正しい。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。2 前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。
正しい。抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、築造したのが第三者であっても、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができる(389条1項本文)。
389条1項は、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができるが、その優先権は土地の代価についてのみ行使することができると定める。更地に抵当権を設定した後に建物が建てられると、その建物には法定地上権が成立しないから、土地だけを競売すれば、買受人は建物を取り壊させることになり、社会経済上の損失が大きい。また、建物が建ったままの土地は買い手がつきにくく、抵当権者にとっても不都合である。そこで、土地と建物を一括して競売することを認めたのである。建物を築造したのが抵当権設定者か第三者かは問われない。ただし、建物の所有者が抵当地の占有について抵当権者に対抗できる権利を持つ場合には一括競売はできず(同条2項)、建物の代金は建物所有者に帰属するので、抵当権者が優先弁済を受けられるのは土地の代価だけである。本肢は同条1項本文の内容どおりである。

1 抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。/2 前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。
誤り。違うのは「抵当権に基づく優先権を土地及び建物の代価について行使することができる」の部分である。抵当地の上の建物を土地とともに競売しても、優先権は土地の代価についてのみ行使できる(389条1項ただし書)。
389条1項本文は、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができると定める。土地と建物は別個の不動産であり、土地の抵当権は地上の建物に及ばないが(370条)、土地だけを競売すると買受人は建物の収去を求めることになり、建物が無駄になるうえ土地の売却価格も下がるから、一括して競売することを認めたのである。もっとも、建物は抵当権が把握した担保価値に含まれていないから、建物の代金からまで抵当権者が優先して弁済を受ける理由はない。そこで同項ただし書は、その優先権は土地の代価についてのみ行使することができるとする。建物の代金は建物の所有者に帰属し、他の債権者への配当にも充てられる。したがって、Bは土地と建物を一括して競売できるが、建物の代価についてまで優先権を行使できるとする肢は誤りである。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
誤り。違うのは「抵当権に基づく優先権を土地及び建物の代価について行使することができる」の部分である。抵当地の上の建物を土地とともに競売しても、優先権は土地の代価についてのみ行使できる(389条1項ただし書)。
389条1項本文は、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができると定める。土地と建物は別個の不動産であり、土地の抵当権は地上の建物に及ばないが(370条)、土地だけを競売すると買受人は建物の収去を求めることになり、建物が無駄になるうえ土地の売却価格も下がるから、一括して競売することを認めたのである。もっとも、建物は抵当権が把握した担保価値に含まれていないから、建物の代金からまで抵当権者が優先して弁済を受ける理由はない。そこで同項ただし書は、その優先権は土地の代価についてのみ行使することができるとする。建物の代金は建物の所有者に帰属し、他の債権者への配当にも充てられる。したがって、Bは土地と建物を一括して競売できるが、建物の代価についてまで優先権を行使できるとする肢は誤りである。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
正しい。一括競売ができるのは抵当権の設定後に抵当地に建物が築造された場合に限られるので(389条1項)、設定当時から建物があった場合は、建物所有者に対抗できる権利がなくても一括競売はできない。
389条1項本文は、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができると定める。土地と建物は別個の不動産であるから、土地の抵当権の効力は地上の建物には及ばないのが原則である(370条)。しかし、更地として抵当権を設定した後に建物が建てられると、土地だけを競売しても買受人は建物を収去させなければならず、買い手がつきにくくなる。そこで、抵当権設定後に築造された建物については、抵当権者が土地と一緒に競売できるとし、土地の価値の実現を図ったのである。これに対し、抵当権設定の当時からすでに建物があった場合は、抵当権者はその建物の存在を前提に土地の担保価値を評価しているから、一括競売を認める理由がない。そのため、建物所有者が土地の占有について抵当権者に対抗できる権利を持たないとしても、一括競売はできない。本肢は正しい。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
- 対象の建物:抵当権の設定後に抵当地に築造された建物(築造した者は問わない)
- できない場合:設定の当時から建物があった場合、建物の所有者が抵当地の占有を抵当権者に対抗できる権利を持つ場合(389条2項)
- 優先弁済の範囲:土地の代価だけ(389条1項ただし書)
抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。
この条文の過去問 2問
誤り。違うのは「その競売において買受人となることができない」の部分である。
390条は、抵当不動産の第三取得者はその競売において買受人となることができると定める。第三取得者はすでに目的不動産の所有者なので、自分で買い受けるのは意味がないとも考えられる。しかし、抵当権の負担のない完全な所有権を確保するために買受けを望むことは十分にあり得るし、第三取得者を買受人から外す理由もない。買受けの申出ができる者を広く認めれば適正な価格での換価が促され、抵当権者と債務者の双方の利益にもなる。そこで同条は、疑いを避けるために買受けができることを確認的に定めた。第三取得者が同時に債務者である場合には、債務者として買受けの申出ができない制限を受けるが、これは第三取得者であることによる制限ではない。本肢は390条に正面から反する。

抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。
- 代価弁済:抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば抵当権が消滅する(378条)
- 抵当権消滅請求:主たる債務者・保証人とその承継人はできない(380条)。差押えの効力発生前にする(382条)
- 費用償還:必要費・有益費を代価から他の債権者より先に償還を受ける(391条)
- 買受け:競売で買受人となることができる(390条)
誤り。違うのは「その競売において買受人となることができない」の部分である。
390条は、抵当不動産の第三取得者はその競売において買受人となることができると定める。第三取得者はすでに目的不動産の所有者なので、自分で買い受けるのは意味がないとも考えられる。しかし、抵当権の負担のない完全な所有権を確保するために買受けを望むことは十分にあり得るし、第三取得者を買受人から外す理由もない。買受けの申出ができる者を広く認めれば適正な価格での換価が促され、抵当権者と債務者の双方の利益にもなる。そこで同条は、疑いを避けるために買受けができることを確認的に定めた。第三取得者が同時に債務者である場合には、債務者として買受けの申出ができない制限を受けるが、これは第三取得者であることによる制限ではない。本肢は390条に正面から反する。

抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。
- 代価弁済:抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば抵当権が消滅する(378条)
- 抵当権消滅請求:主たる債務者・保証人とその承継人はできない(380条)。差押えの効力発生前にする(382条)
- 費用償還:必要費・有益費を代価から他の債権者より先に償還を受ける(391条)
- 買受け:競売で買受人となることができる(390条)
抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第百九十六条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。
この条文の過去問 5問
正しい。391条により、第三取得者は支出した必要費を、抵当不動産の代価から他の債権者より先に償還を受けることができる。
391条は、抵当不動産の第三取得者が抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、196条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができると定める。必要費は支出した金額の全額、有益費は価格の増加が現存する限りで支出額か増価額のいずれかの償還を受ける。第三取得者は自分の物として費用を支出しているのに優先権が与えられるのは、その支出が抵当不動産の価値を維持し又は増やし、抵当権者を含む債権者全体の利益になるからである。共益費用の先取特権と同じ考え方に立つ法定の優先権であり、抵当権者にも優先する。したがって、必要費を支出した第三取得者は、配当の場面で抵当権者より先に償還を受けることができる。

抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第百九十六条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。
- 代価弁済:抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば抵当権が消滅する(378条)
- 抵当権消滅請求:主たる債務者・保証人とその承継人はできない(380条)。差押えの効力発生前にする(382条)
- 費用償還:必要費・有益費を代価から他の債権者より先に償還を受ける(391条)
- 買受け:競売で買受人となることができる(390条)
正しい。391条により、第三取得者は支出した必要費を、抵当不動産の代価から他の債権者より先に償還を受けることができる。
391条は、抵当不動産の第三取得者が抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、196条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができると定める。必要費は支出した金額の全額、有益費は価格の増加が現存する限りで支出額か増価額のいずれかの償還を受ける。第三取得者は自分の物として費用を支出しているのに優先権が与えられるのは、その支出が抵当不動産の価値を維持し又は増やし、抵当権者を含む債権者全体の利益になるからである。共益費用の先取特権と同じ考え方に立つ法定の優先権であり、抵当権者にも優先する。したがって、必要費を支出した第三取得者は、配当の場面で抵当権者より先に償還を受けることができる。

抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第百九十六条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。
- 代価弁済:抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば抵当権が消滅する(378条)
- 抵当権消滅請求:主たる債務者・保証人とその承継人はできない(380条)。差押えの効力発生前にする(382条)
- 費用償還:必要費・有益費を代価から他の債権者より先に償還を受ける(391条)
- 買受け:競売で買受人となることができる(390条)
正しい。抵当不動産の第三取得者が支出した必要費は、抵当不動産の代価から他の債権者より先に償還を受けることができ(391条)、最先順位の抵当権者にも優先する。
391条は、抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、196条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができると定める。ここでいう他の債権者には抵当権者も含まれ、最先順位の抵当権者よりも先に償還を受ける。第三取得者が支出した費用によって目的不動産の価値が保たれ、又は増えているから、その利益は競売の代金という形で抵当権者にも及んでいる。費用を出した者を最後に回せば、誰も抵当不動産を維持管理しなくなり、かえって抵当権者の担保の価値が損なわれる。必要費は支出した額の全部が償還の対象となり、有益費は価格の増加が残っている場合に限り、支出額か増価額が対象となる。不動産の保存の費用には不動産保存の先取特権も成立するが、抵当権に優先させるには登記が要る(337条・339条)のに対し、391条は登記なしで優先を認める。本肢は正しい。

抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第百九十六条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。
- 代価弁済(378条):所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済すれば、抵当権はその第三者のために消滅する
- 抵当権消滅請求(379条・380条):所有権を取得した第三取得者ができる。主たる債務者・保証人・これらの承継人はできない
- みなし承諾(384条):書面の送付から2か月以内に競売の申立てがないときなど
- 費用の償還(391条):必要費・有益費を196条の区別に従い、抵当不動産の代価から他の債権者より先に償還される
誤り。違うのは「果実を取得したときであっても」優先して償還を受けられるとする部分である。第三取得者の費用償還は196条の区別に従うから、果実を取得したときは通常の必要費は自ら負担し、償還を受けられない(391条・196条1項ただし書)。
391条は、抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、196条の区別に従い、抵当不動産の代価から他の債権者より先にその償還を受けることができると定める。第三取得者が支出して不動産の価値を保ち又は高めた利益は、競売の代金として抵当権者などの債権者に帰するから、その費用を最優先で償還させるのが公平だからである。もっとも、償還の範囲は196条の区別に委ねられているから、196条1項ただし書もそのまま及ぶ。すなわち、第三取得者が抵当不動産から果実を取得したときは、通常の必要費は第三取得者の負担に帰し、償還を求める権利そのものが生じない。償還を求める権利がない以上、代価から優先して償還を受けることも問題にならない。したがって、果実を取得したときでも通常の必要費について優先して償還を受けられるとする肢は誤っている。有益費は、価格の増加が現存する限り、果実の取得とかかわりなく196条2項の区別に従って優先償還を受けられる。

抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第百九十六条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。
- 占有者(196条):必要費は償還。果実を取得したときは通常の必要費は自己負担。有益費は回復者の選択
- 留置権者・質権者(299条・350条):必要費は通常のものも償還。有益費は所有者の選択で、期限の許与あり
- 抵当不動産の第三取得者(391条):196条の区別に従い代価から優先して償還
- 事務管理者(702条):有益な費用の償還と代弁済。本人の意思に反すれば現に利益を受けている限度
誤り。違うのは「果実を取得したときであっても」優先して償還を受けられるとする部分である。第三取得者の費用償還は196条の区別に従うから、果実を取得したときは通常の必要費は自ら負担し、償還を受けられない(391条・196条1項ただし書)。
391条は、抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、196条の区別に従い、抵当不動産の代価から他の債権者より先にその償還を受けることができると定める。第三取得者が支出して不動産の価値を保ち又は高めた利益は、競売の代金として抵当権者などの債権者に帰するから、その費用を最優先で償還させるのが公平だからである。もっとも、償還の範囲は196条の区別に委ねられているから、196条1項ただし書もそのまま及ぶ。すなわち、第三取得者が抵当不動産から果実を取得したときは、通常の必要費は第三取得者の負担に帰し、償還を求める権利そのものが生じない。償還を求める権利がない以上、代価から優先して償還を受けることも問題にならない。したがって、果実を取得したときでも通常の必要費について優先して償還を受けられるとする肢は誤っている。有益費は、価格の増加が現存する限り、果実の取得とかかわりなく196条2項の区別に従って優先償還を受けられる。

抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第百九十六条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。
- 占有者(196条):必要費は償還。果実を取得したときは通常の必要費は自己負担。有益費は回復者の選択
- 留置権者・質権者(299条・350条):必要費は通常のものも償還。有益費は所有者の選択で、期限の許与あり
- 抵当不動産の第三取得者(391条):196条の区別に従い代価から優先して償還
- 事務管理者(702条):有益な費用の償還と代弁済。本人の意思に反すれば現に利益を受けている限度
1債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
2債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
この条文の過去問 12問
正しい。同時に代価を配当するときは各不動産の価額に応じて債権の負担を按分し(392条1項)、この規定は後順位抵当権者がいない場合にも適用される(大判昭10.4.23)。
392条1項は、債権者が同一の債権の担保として数個の不動産に抵当権を持つ場合に、同時にその代価を配当すべきときは、各不動産の価額に応じてその債権の負担を按分すると定める。共同抵当権者がどの不動産から弁済を受けるかを自由に選べるとすると、特定の不動産の後順位抵当権者などが不当に害されるので、各不動産が負う額を客観的に決めておく趣旨である。問題は、保護すべき後順位抵当権者がいない場合にもこの按分をするかである。判例は、392条1項の文言は後順位抵当権者がいることを適用の要件にしていないとして、後順位抵当権者がいない場合にも同項が適用されるとした(大判昭10.4.23)。各不動産の負担額を決めておくことは、その後の一般債権者の差押えなどとの関係でも意味があるからである。本肢では、甲土地と乙土地がいずれもBの所有で後順位抵当権者はいないが、同時に配当する以上、各土地の価額に応じてα債権の負担が按分される。

債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 甲乙とも債務者所有・同時配当(後順位抵当権者なし) | 大判昭10.4.23 | 392条1項で価額に応じて按分する |
| 甲(債務者)・乙(物上保証人)、甲が先に実行 | 大判昭4.1.30 | 甲の後順位抵当権者は乙に代位できない |
| 甲(債務者)・乙(物上保証人)、乙が先に実行 | 最判昭44.7.3 | 物上保証人が甲の一番抵当権を代位取得し、甲の後順位抵当権者に優先する |
| 甲乙とも債務者所有、共同抵当権者が乙の抵当権を放棄 | 最判昭44.7.3 | 放棄がなければ後順位抵当権者が代位できた限度で、共同抵当権者は優先できない |
| 甲乙とも同一の物上保証人所有、甲が先に実行 | 最判平4.11.6 | 甲の後順位抵当権者は392条2項後段で乙に代位できる |
誤り。違うのは「Dは、乙土地についてAに代位してその抵当権を行使することができる」の部分である。392条2項は債務者所有の数個の不動産の共同抵当についての規定で、一部が物上保証人所有の場合には適用されない(大判昭4.1.30)。
392条2項後段は、共同抵当の目的不動産の一つだけの代価を配当して共同抵当権者が債権の全部の弁済を受けたときは、その不動産の次順位の抵当権者は、同時配当なら共同抵当権者が他の不動産から受けられた額を限度として、共同抵当権者に代位して他の不動産の抵当権を行使できると定める。しかし判例は、この規定は債務者が所有する数個の不動産に共同抵当が設定された場合についてのものであり、物上保証人が所有する不動産が債務者所有の不動産とともに共同抵当の目的となっている場合には適用されないとした(大判昭4.1.30)。物上保証人は、まず債務者の不動産から回収されることを期待してよく、自分の不動産が先に売られれば弁済による代位で債務者の不動産の抵当権を取得できる立場にある。本肢では債務者Bの甲土地から全額が弁済されたので、物上保証人Cは負担を免れるべきであり、甲土地の後順位抵当権者Dは乙土地に代位できない。

債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 甲乙とも債務者所有・同時配当(後順位抵当権者なし) | 大判昭10.4.23 | 392条1項で価額に応じて按分する |
| 甲(債務者)・乙(物上保証人)、甲が先に実行 | 大判昭4.1.30 | 甲の後順位抵当権者は乙に代位できない |
| 甲(債務者)・乙(物上保証人)、乙が先に実行 | 最判昭44.7.3 | 物上保証人が甲の一番抵当権を代位取得し、甲の後順位抵当権者に優先する |
| 甲乙とも債務者所有、共同抵当権者が乙の抵当権を放棄 | 最判昭44.7.3 | 放棄がなければ後順位抵当権者が代位できた限度で、共同抵当権者は優先できない |
| 甲乙とも同一の物上保証人所有、甲が先に実行 | 最判平4.11.6 | 甲の後順位抵当権者は392条2項後段で乙に代位できる |
誤り。違うのは「乙土地についてAに代位してその抵当権を行使することができない」の部分である。甲・乙が同一の物上保証人の所有であれば、甲の後順位抵当権者は392条2項後段により乙に代位できる(最判平4.11.6)。
最判平4.11.6は、共同抵当権の目的たる甲・乙不動産が同一の物上保証人の所有に属し、甲不動産に後順位の抵当権が設定されている場合において、甲不動産の代価のみを配当するときは、後順位抵当権者は、392条2項後段の規定に基づき、先順位の共同抵当権者が同条1項の規定に従い乙不動産から弁済を受けることができた金額に満つるまで、先順位の共同抵当権者に代位して乙不動産に対する抵当権を行使することができるとした。両方の不動産が同じ物上保証人のものであれば、債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産の間のような負担の順序は問題にならず、物上保証人が一方の不動産の負担だけを免れる理由がない。そして後順位抵当権者は、先順位の負担が甲・乙の価額に応じて配分されれば甲に余りが出ることを期待して抵当権の設定を受けるのが通常であり、どちらが先に実行されるかという偶然でその期待が害されるのは相当でないからである。したがって、Dは乙土地についてAに代位して抵当権を行使できる。

共同抵当権の目的たる甲・乙不動産が同一の物上保証人の所有に属し、甲不動産に後順位の抵当権が設定されている場合において、甲不動産の代価のみを配当するときは、後順位抵当権者は、民法392条2項後段の規定に基づき、先順位の共同抵当権者が同条1項の規定に従い乙不動産から弁済を受けることができた金額に満つるまで、先順位の共同抵当権者に代位して乙不動産に対する抵当権を行使することができる
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 甲乙とも債務者所有・同時配当(後順位抵当権者なし) | 大判昭10.4.23 | 392条1項で価額に応じて按分する |
| 甲(債務者)・乙(物上保証人)、甲が先に実行 | 大判昭4.1.30 | 甲の後順位抵当権者は乙に代位できない |
| 甲(債務者)・乙(物上保証人)、乙が先に実行 | 最判昭44.7.3 | 物上保証人が甲の一番抵当権を代位取得し、甲の後順位抵当権者に優先する |
| 甲乙とも債務者所有、共同抵当権者が乙の抵当権を放棄 | 最判昭44.7.3 | 放棄がなければ後順位抵当権者が代位できた限度で、共同抵当権者は優先できない |
| 甲乙とも同一の物上保証人所有、甲が先に実行 | 最判平4.11.6 | 甲の後順位抵当権者は392条2項後段で乙に代位できる |
正しい。設定と同時に共同担保の登記をした共同根抵当を除き、数個の不動産の根抵当権者は各不動産の代価について各極度額まで優先権を行使できる(398条の18)。
通常の抵当権では、同一の債権のために数個の不動産に抵当権を設定すると共同抵当となり、各不動産の価額に応じた割付けや次順位抵当権者の代位の規定が当てはまる(392条・393条)。これに対し398条の16は、392条及び393条の規定は、根抵当権については、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り適用すると定める。そして398条の18は、数個の不動産につき根抵当権を有する者は、398条の16の場合を除き、各不動産の代価について各極度額に至るまで優先権を行使することができるとする。根抵当権では、それぞれの不動産に別々の極度額の根抵当権があるものとして扱う累積式が原則であり、共同根抵当として扱われるのは設定と同時に共同担保の登記をした場合だけである。したがって、その登記がされたときを除き、Bは各不動産の代価からそれぞれの極度額まで優先弁済を受けられ、肢は正しい。

数個の不動産につき根抵当権を有する者は、第三百九十八条の十六の場合を除き、各不動産の代価について、各極度額に至るまで優先権を行使することができる。
- 被担保債権の範囲・債務者の変更(398条の4):確定前に限りできる。後順位抵当権者の承諾は要らないが、確定前に登記しないと変更しなかったものとみなされる
- 確定期日の定め・変更(398条の6):後順位抵当権者の承諾は要らない。定め又は変更した日から5年以内
- 極度額の変更(398条の5):利害関係を有する者の承諾が必要
- 確定前の債権譲渡・代位弁済(398条の7):譲受人・代位弁済者は根抵当権を行使できない
- 確定前の376条1項の処分(398条の11):できない。転根抵当だけはでき、確定前の弁済に377条2項は適用しない
- 数個の不動産の根抵当権(398条の16・398条の18):設定と同時に共同担保の登記をした共同根抵当を除き、各不動産の極度額まで優先権を行使できる
正しい。同時配当では、Aの債権600万円を甲土地と乙土地の価額に応じて按分し(392条1項)、甲土地200万円・乙土地400万円となり、Cは甲土地の残り300万円を受ける。
392条1項は、共同抵当の目的である数個の不動産の代価を同時に配当すべきときは、各不動産の価額に応じてその債権の負担を按分すると定める。どの不動産から先に配当するかという偶然の事情で後順位抵当権者の取り分が変わらないよう、共同抵当権者の負担を各不動産に割り振るのである。本問では、甲土地の配当可能額が500万円、乙土地が1000万円であるから、Aの債権600万円は1対2の割合で割り振られ、Aは甲土地から200万円、乙土地から400万円の配当を受ける。甲土地の第二順位の抵当権者Cは、甲土地の500万円からAの200万円を引いた残りの300万円の配当を受けることができる。Cの債権は400万円であるが、Cは乙土地に抵当権を持たないので、乙土地の残りから配当を受けることはできない。本肢はこの計算のとおりである。

債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
- 同時配当(392条1項):Aの600万円を甲500万円・乙1000万円の価額に応じて按分し、甲から200万円・乙から400万円。Cは甲の残り300万円
- 甲を先に配当(392条2項):Aは甲から500万円。Cは同時配当ならAが乙から受けた400万円を限度に代位するが、Aの完済が先なので、乙からAが100万円、Cが300万円
- 乙を先に配当:Aは乙から600万円の全額を受けて債権が消滅し、甲の一番抵当権も消える。Cは甲から400万円の全額
- Aが乙の抵当権を放棄:Cが代位できた300万円の限度でAは優先できず、甲からCが300万円、Aが200万円(大判昭11.7.14)
正しい。異時配当でCは同時配当ならAが乙土地から受けた400万円を限度に代位するが(392条2項後段)、Aが完済を受けるのが先なので、乙土地からAは100万円、Cは300万円を受ける。
392条2項は、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、共同抵当権者はその代価から債権の全部の弁済を受けることができ、この場合、次順位の抵当権者は、同時配当であれば共同抵当権者が他の不動産から弁済を受けるべき金額を限度として、共同抵当権者に代位して抵当権を行使できると定める。本問では、Aは甲土地から500万円の配当を受け、同時配当ならAが乙土地から受けたはずの400万円が、Cの代位の限度となる。判例は、後順位抵当権者が現実に代位できるのは先順位の共同抵当権者が完済を受けたときであるとする(大連判大15.4.8)。そこで乙土地の抵当権が実行されると、まずAが残りの100万円の配当を受けて完済となり、Cは400万円からその100万円を引いた300万円の配当を受ける。本肢はこの計算のとおりである。

債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
- 同時配当(392条1項):Aの600万円を甲500万円・乙1000万円の価額に応じて按分し、甲から200万円・乙から400万円。Cは甲の残り300万円
- 甲を先に配当(392条2項):Aは甲から500万円。Cは同時配当ならAが乙から受けた400万円を限度に代位するが、Aの完済が先なので、乙からAが100万円、Cが300万円
- 乙を先に配当:Aは乙から600万円の全額を受けて債権が消滅し、甲の一番抵当権も消える。Cは甲から400万円の全額
- Aが乙の抵当権を放棄:Cが代位できた300万円の限度でAは優先できず、甲からCが300万円、Aが200万円(大判昭11.7.14)
誤り。違うのは「Cは300万円の配当を受けることができる」の部分である。Aが乙土地から全額の弁済を受けて甲土地の一番抵当権も消滅するので、Cは甲土地から債権全額の400万円の配当を受ける。
ある不動産の代価のみを配当すべきときは、共同抵当権者はその代価から債権の全部の弁済を受けることができる(392条2項前段)。本肢では、乙土地の配当可能額は1000万円であるから、Aは乙土地から600万円の全額の配当を受け、その被担保債権は消滅する。被担保債権が消滅すれば、付従性により甲土地に設定されたAの抵当権も消滅し、Cの抵当権は順位が上がって甲土地の第一順位となる。そのため、その後に甲土地の抵当権が実行されたときは、Cは甲土地の500万円から、自己の債権400万円の全額の配当を受けることができる。同時配当の場合にCが受ける300万円は、Aの債権の一部が甲土地に割り振られるからこそ生じる額であり、Aの債権がすでに消えている本肢には当てはまらない。乙土地の残りの400万円は所有者Bに交付される。

債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
- 同時配当(392条1項):Aの600万円を甲500万円・乙1000万円の価額に応じて按分し、甲から200万円・乙から400万円。Cは甲の残り300万円
- 甲を先に配当(392条2項):Aは甲から500万円。Cは同時配当ならAが乙から受けた400万円を限度に代位するが、Aの完済が先なので、乙からAが100万円、Cが300万円
- 乙を先に配当:Aは乙から600万円の全額を受けて債権が消滅し、甲の一番抵当権も消える。Cは甲から400万円の全額
- Aが乙の抵当権を放棄:Cが代位できた300万円の限度でAは優先できず、甲からCが300万円、Aが200万円(大判昭11.7.14)
正しい。共同抵当権者が一方の抵当権を放棄したときは、後順位抵当権者が代位できた限度で優先できないので(大判昭11.7.14)、甲土地からCは300万円、Aは200万円を受ける。
判例は、共同抵当権者が共同抵当の一つを放棄した場合、392条と504条を類推して、放棄がなければ後順位抵当権者が放棄された抵当権に代位できた限度で、共同抵当権者は後順位抵当権者に優先権を行使できないとする(大判昭11.7.14)。共同抵当権者が自らの都合で抵当権を放棄し、後順位抵当権者の代位の期待を奪うことは許されないからである。本問で放棄がなく甲土地が先に配当されたとすると、Cは乙土地について、同時配当ならAが乙土地から受けたはずの400万円を限度に代位でき、乙土地からAが残りの100万円を受けた後の300万円を確保できた。したがって、Aはこの300万円の限度でCに優先できず、甲土地の500万円のうち、Cが300万円、Aが残りの200万円の配当を受ける。本肢はこの計算のとおりである。

債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
- 同時配当(392条1項):Aの600万円を甲500万円・乙1000万円の価額に応じて按分し、甲から200万円・乙から400万円。Cは甲の残り300万円
- 甲を先に配当(392条2項):Aは甲から500万円。Cは同時配当ならAが乙から受けた400万円を限度に代位するが、Aの完済が先なので、乙からAが100万円、Cが300万円
- 乙を先に配当:Aは乙から600万円の全額を受けて債権が消滅し、甲の一番抵当権も消える。Cは甲から400万円の全額
- Aが乙の抵当権を放棄:Cが代位できた300万円の限度でAは優先できず、甲からCが300万円、Aが200万円(大判昭11.7.14)
正しい。共同抵当の目的不動産がいずれも同一の物上保証人の所有である場合も、異時配当では392条2項後段が適用され、先に競売された甲土地の後順位抵当権者は乙土地の抵当権に代位できる(最判平4.11.6)。
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産に抵当権を有する場合、同時に配当するときは各不動産の価額に応じて債権の負担を按分し(392条1項)、ある不動産の代価のみを配当するときは、抵当権者はその代価から債権全部の弁済を受けられるが、次順位の抵当権者は、同時配当なら抵当権者が他の不動産から受けるべきであった金額を限度として、抵当権者に代位して抵当権を行使できる(同条2項)。先に競売された不動産の後順位抵当権者が、配当の順序という偶然で不利益を受けないようにするためである。判例(最判平4.11.6)は、共同抵当の目的不動産がいずれも同一の物上保証人の所有に属する場合に異時配当がされたときにも、同条2項後段の適用があるとした。目的不動産が同じ人の財産である以上、債務者所有と物上保証人所有が混在する場合のように物上保証人の代位と衝突することはなく、按分負担の原則をそのまま及ぼしてよいからである。

債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
- 全部が債務者所有(又は同一の物上保証人所有):392条を適用し、異時配当では先に競売された不動産の後順位抵当権者が他の不動産の抵当権に代位する
- 債務者所有の不動産が先に競売:後順位抵当権者は物上保証人所有の不動産に代位できない
- 物上保証人所有の不動産が先に競売:物上保証人が債務者所有の不動産の一番抵当権に代位し、その不動産の後順位抵当権者に優先する
誤り。違うのは「Cは1000万円の配当を受けることができる」の部分である。同時配当では、Aの債権の負担は各土地の価額に応じて按分され(392条1項)、Aが甲土地から500万円を受けるので、Cが受けられるのは残りの500万円である。
392条1項は、債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じてその債権の負担を按分すると定める。共同抵当権者は、どの不動産から弁済を受けるかを自由に選べるとすると、たまたま選ばれた不動産の後順位抵当権者だけが不利益を受けるので、同時配当では各不動産の価額の割合で負担を割り振り、後順位抵当権者の間の公平を図ったのである。本肢では、甲土地と乙土地の配当可能額はいずれも1000万円であるから、Aの1000万円の債権は各土地に500万円ずつ割り振られる。甲土地の代価1000万円からAが500万円の配当を受け、第二順位のCは残りの500万円の配当を受けることになる。したがって、Cが1000万円の配当を受けられるとする本肢は誤りである。

債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
- 全部が債務者所有:392条を適用し、異時配当では先に競売された不動産の後順位抵当権者が他の不動産の抵当権に代位する
- 債務者所有の不動産が先に競売:その後順位抵当権者は物上保証人所有の不動産に代位できない
- 物上保証人所有の不動産が先に競売:物上保証人が債務者所有の不動産の一番抵当権に代位し、その不動産の後順位抵当権者に優先する
- 物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者:物上保証人が代位で取得した抵当権から、物上保証人に優先して弁済を受ける
正しい。甲土地のみが競売されるとAは甲土地から1000万円全額の弁済を受けるが、Cは同時配当ならAが乙土地から受けるべきであった500万円を限度としてAに代位でき(392条2項)、乙土地からCとDが500万円ずつ配当を受ける。
392条2項は、共同抵当で、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者はその代価から債権の全部の弁済を受けることができ、この場合において、次順位の抵当権者は、その抵当権者が同条1項に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができると定める。異時配当では、共同抵当権者が先に競売された不動産から全額の弁済を受けられる一方、後順位抵当権者には同時配当の場合と同じ結果を保障するための規定である。本肢では、甲土地の代価1000万円はAが全額受け取り、Cは何も受けられないが、同時配当であればAは乙土地から500万円を受けたはずであるから、Cはその500万円を限度としてAの乙土地の抵当権に代位する。乙土地の競売では、Cが代位により500万円、Dが残りの500万円の配当を受け、同時配当と同じ結果になる。したがって、本肢は正しい。

債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
- 全部が債務者所有:392条を適用し、異時配当では先に競売された不動産の後順位抵当権者が他の不動産の抵当権に代位する
- 債務者所有の不動産が先に競売:その後順位抵当権者は物上保証人所有の不動産に代位できない
- 物上保証人所有の不動産が先に競売:物上保証人が債務者所有の不動産の一番抵当権に代位し、その不動産の後順位抵当権者に優先する
- 物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者:物上保証人が代位で取得した抵当権から、物上保証人に優先して弁済を受ける
正しい。392条2項は、債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産が共同抵当の目的とされた場合には適用されないので(大判昭4.1.30)、債務者B所有の甲土地が先に競売されてもCは乙土地に代位できず、乙土地ではDが1000万円の配当を受ける。
判例は、392条2項は、同一の債権の担保として債務者所有の数個の不動産に抵当権が設定された場合の規定であり、第三者所有の不動産が債務者所有の不動産とともに抵当権の目的とされた場合を定めたものではないとしている(大判昭4.1.30)。物上保証人は、自らの不動産で弁済すれば債務者に求償でき、弁済による代位で債務者所有の不動産の抵当権を取得することを期待して担保を提供している(499条・501条1項)。債務者所有の不動産の後順位抵当権者に物上保証人の不動産への代位を認めると、本来債務者が負うべき負担が物上保証人に転嫁され、この期待が害されるからである。本肢では、債務者B所有の甲土地が先に競売され、Aは1000万円全額の弁済を受けてCには何も残らないが、Cは物上保証人E所有の乙土地のAの抵当権に代位できない。Aの抵当権は消滅し、乙土地の競売ではDが1000万円の配当を受けるので、本肢は正しい。

債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
- 全部が債務者所有:392条を適用し、異時配当では先に競売された不動産の後順位抵当権者が他の不動産の抵当権に代位する
- 債務者所有の不動産が先に競売:その後順位抵当権者は物上保証人所有の不動産に代位できない
- 物上保証人所有の不動産が先に競売:物上保証人が債務者所有の不動産の一番抵当権に代位し、その不動産の後順位抵当権者に優先する
- 物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者:物上保証人が代位で取得した抵当権から、物上保証人に優先して弁済を受ける
前条第二項後段の規定により代位によって抵当権を行使する者は、その抵当権の登記にその代位を付記することができる。
1抵当権者は、抵当不動産の代価から弁済を受けない債権の部分についてのみ、他の財産から弁済を受けることができる。
2前項の規定は、抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、適用しない。この場合において、他の各債権者は、抵当権者に同項の規定による弁済を受けさせるため、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる。
この条文の過去問 2問
正しい。抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、他の債権者は、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる(394条2項)。
394条1項は、抵当権者は抵当不動産の代価から弁済を受けない債権の部分についてのみ、他の財産から弁済を受けることができると定める。抵当権者が抵当不動産から優先弁済を受けずに一般財産にかかっていくと、担保を持たない他の債権者の取り分が減るから、まず抵当不動産から弁済を受けさせる趣旨である。もっとも、他の債権者が先に債務者の一般財産に強制執行するなど、抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、抵当権者もその配当に加わることができ、同条1項は適用されない(同条2項前段)。そのうえで同条2項後段は、他の各債権者は、抵当権者に1項の規定による弁済を受けさせるため、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができるとする。供託させておけば、抵当権者はまず抵当権を実行し、それでも足りない部分だけを供託金から受け取ることになり、残りは他の債権者に配当されるから、1項の趣旨が守られるのである。肢は394条2項のとおりであり正しい。

抵当権者は、抵当不動産の代価から弁済を受けない債権の部分についてのみ、他の財産から弁済を受けることができる。2 前項の規定は、抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、適用しない。この場合において、他の各債権者は、抵当権者に同項の規定による弁済を受けさせるため、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる。
正しい。抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、他の債権者は、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる(394条2項)。
394条1項は、抵当権者は抵当不動産の代価から弁済を受けない債権の部分についてのみ、他の財産から弁済を受けることができると定める。抵当権者が抵当不動産から優先弁済を受けずに一般財産にかかっていくと、担保を持たない他の債権者の取り分が減るから、まず抵当不動産から弁済を受けさせる趣旨である。もっとも、他の債権者が先に債務者の一般財産に強制執行するなど、抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、抵当権者もその配当に加わることができ、同条1項は適用されない(同条2項前段)。そのうえで同条2項後段は、他の各債権者は、抵当権者に1項の規定による弁済を受けさせるため、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができるとする。供託させておけば、抵当権者はまず抵当権を実行し、それでも足りない部分だけを供託金から受け取ることになり、残りは他の債権者に配当されるから、1項の趣旨が守られるのである。肢は394条2項のとおりであり正しい。

抵当権者は、抵当不動産の代価から弁済を受けない債権の部分についてのみ、他の財産から弁済を受けることができる。2 前項の規定は、抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、適用しない。この場合において、他の各債権者は、抵当権者に同項の規定による弁済を受けさせるため、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる。
1抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。競売手続の開始前から使用又は収益をする者強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
1 競売手続の開始前から使用又は収益をする者
2 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
2前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。
この条文の過去問 4問
誤り。違うのは「直ちに買受人に甲建物を引き渡さなければならない」の部分である。
395条1項は、抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当建物を使用又は収益をする者で、競売手続の開始前から使用又は収益をする者(1号)などは、その建物の競売における買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しないと定める。抵当権者に対抗できない賃借権は競売で消えるが、住んでいる人に突然の退去を強いるのは酷なので、引っ越しの準備期間として引渡しを猶予したのである。平成15年改正で、濫用が問題になっていた短期賃貸借の保護をやめ、その代わりにこの明渡猶予の制度が置かれた。猶予の間も、使用の対価は買受人に払わなければならず、相当の期間を定めて催告しても払わないときは猶予を受けられなくなる(同条2項)。本肢は競売手続の開始前から使っている者についても直ちに引き渡さなければならないとする点で395条1項に反する。

抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者 二 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
誤り。違うのは「抵当権の目的である土地を使用収益する者」の部分である。395条1項の明渡猶予は抵当権の目的である建物の使用者に限られ、土地の使用者には認められない。
395条1項は、抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者のうち、競売手続の開始前から使用又は収益をする者などは、その建物の競売における買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しないと定める。猶予の対象は建物に限られ、土地には適用がない。この制度は、平成15年改正で短期賃貸借の保護の制度が廃止された際に、抵当権に劣後する建物の賃借人が競売によってすぐに住まいや営業の場所を失わないよう、転居先を探すための猶予を与えるために設けられたものであり、その必要が特に大きい建物の使用者に限ったのである。したがって、土地の使用収益者に明渡猶予を認める本肢は誤りである。なお、明渡猶予は引渡しを猶予するだけで、賃貸借を買受人に対抗できるようにするものではなく、猶予期間中の使用の対価は買受人に支払わなければならない(同条2項)。

抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者 二 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
- 387条の同意の登記:登記をした賃貸借であること、先に登記した抵当権者全員の同意、同意の登記の三つが要る
- 395条の明渡猶予:建物に限られ、競売手続の開始前からの使用などが要件で、買受けの時から6か月
- 猶予期間中の対価:買受人に支払う。1か月分以上の催告に応じなければ猶予を失う(395条2項)
誤り。違うのは「使用の対価を支払うことなく」の部分である。競売手続の開始前からの建物使用者は買受けの時から6か月間明渡しを猶予されるが、その間の使用の対価は買受人に支払わなければならない(395条)。
395条1項は、抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって、競売手続の開始前から使用又は収益をする者などは、その建物の競売における買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しないと定める。抵当権者に対抗できない賃借人は、本来は買受人に直ちに建物を明け渡さなければならないが、突然住まいや営業の場所を失う不利益を和らげるため、引っ越しの準備期間として明渡しを猶予したのである。しかし、この猶予は買受人との間に賃貸借関係を生じさせるものではなく、使用者は、猶予期間中の使用の対価を不当利得として買受人に支払わなければならない。同条2項は、買受人が相当の期間を定めて1か月分以上の対価の支払を催告し、その期間内に支払がないときは猶予の規定を適用しないとしており、対価の支払義務があることを前提としている。本肢は対価を支払わなくてよいとしている点が誤りである。

前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。
正しい。抵当権者に対抗できない賃貸借により建物を使用する者で競売手続の開始前から使用する者は、買受けの時から6か月を経過するまで買受人への引渡しを猶予される(395条1項1号)。
395条1項は、抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって、競売手続の開始前から使用又は収益をする者(1号)などは、その建物の競売における買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しないと定める。抵当権設定登記に後れる賃借権は、競売によって効力を失い、賃借人は買受人に対抗できないのが原則である。しかし、建物の賃借人は生活や営業の本拠を置いているから、買受け後直ちに明け渡さなければならないとすると、移転先を探す時間もなく著しい不利益を受ける。そこで、平成15年改正で短期賃貸借の保護の制度を廃止する代わりに、建物に限って6か月の明渡猶予を設けたのである。猶予期間中の使用の対価は買受人に支払わなければならず、1か月分以上の不払があれば猶予は失われる(同条2項)。本肢は正しい。

抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者
- 抵当権設定登記より前に対抗要件を備えた賃借権:買受人に対抗できる
- 抵当権設定登記の後に登記した賃借権:売却で効力を失い、買受人に対抗できない
- 387条の同意の登記:登記をした賃貸借、先に登記した抵当権者全員の同意、同意の登記の三つが要る
- 395条の明渡猶予:建物に限られ、競売手続の開始前からの使用などが要件で、買受けの時から6か月