1妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
2前項の場合において、婚姻の成立の日から二百日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
3第一項の場合において、女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に二以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する。
4前三項の規定により父が定められた子について、第七百七十四条の規定によりその父の嫡出であることが否認された場合における前項の規定の適用については、同項中「直近の婚姻」とあるのは、「直近の婚姻(第七百七十四条の規定により子がその嫡出であることが否認された夫との間の婚姻を除く。)」とする。
この条文の過去問 21問
正しい。最大判平27.12.16(再婚禁止期間違憲判決)は、24条1項は婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかを当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねる趣旨を明らかにしたものであり、婚姻をするについての自由は同項の趣旨に照らし十分尊重に値するとした。
最大判平27.12.16(再婚禁止期間違憲判決)は、24条1項が婚姻は両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として相互の協力により維持されなければならないと定めていることを引き、同項は、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解されるとした。そして、婚姻には配偶者の相続権や夫婦間の子が嫡出子となることなど重要な法律上の効果が与えられていること、国民の中にはなお法律婚を尊重する意識が幅広く浸透していると考えられることを併せ考慮して、婚姻をするについての自由は24条1項の規定の趣旨に照らし十分尊重に値するものと解することができると述べた。婚姻の自由を同項が直接保障する権利と正面から構成したのではなく、同項の趣旨に照らして十分尊重に値するという位置づけにとどめた点に特徴があり、この位置づけが、再婚禁止期間の合理性を14条1項と24条2項の下で審査する際に、婚姻の自由への制約を重く見る手掛かりになっている。肢は判示をそのまま述べている。

婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解される。(中略)上記のような婚姻をするについての自由は、憲法24条1項の規定の趣旨に照らし、十分尊重に値するものと解することができる。
- 24条1項は、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかを当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねる趣旨であり、婚姻をするについての自由は同項の趣旨に照らし十分尊重に値する
- 民法733条1項の立法目的は、父性の推定の重複を回避し父子関係をめぐる紛争を未然に防ぐことにあり、父子関係が早期に明確となることの重要性からこの目的には合理性がある
- DNA検査技術が進歩しても、科学的判定に委ねると子が一定期間法律上の父を確定できない状態に置かれるから、推定の重複自体を回避する制度の維持に合理性がある
- 民法772条2項の推定の重複を回避するには100日で足りるから、100日を超える部分は合理性を欠き、14条1項と24条2項に違反する
誤り。違うのは末尾の「その立法目的は合理性を欠くに至ったと述べています」の部分である。最大判平27.12.16は立法目的の合理性を認め、DNA検査技術の進歩があっても父性の推定の重複自体を回避する制度の維持には合理性があるとし、違憲としたのは100日を超える部分だけである。
最大判平27.12.16(再婚禁止期間違憲判決)は、民法733条1項の立法目的を、女性の再婚後に生まれた子につき父性の推定の重複を回避し、もって父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解し、父子関係が早期に明確となることの重要性に鑑みればこの立法目的には合理性を認めることができると明言した。DNA検査技術については、極めて高い確率で生物学上の親子関係を判定できるようになったことは公知の事実であると認めつつ、父子関係の確定を科学的判定に委ねる制度にすると、推定が重複する期間内に生まれた子は一定の裁判手続等を経るまで法律上の父が未定の子として扱わざるを得ず、種々の影響が生じ得るから、子の利益の観点から推定の重複自体を回避する制度を維持することに合理性が認められるとした。違憲とされたのは、民法772条の推定の重複を回避するのに必要な100日を超える部分について手段が過剰になった点であり、目的自体の合理性が失われたからではない。肢は立法目的の理解は正しいが、DNA検査技術の進歩で目的が合理性を欠くに至ったとする点で判示と逆である。

そのように父子関係の確定を科学的な判定に委ねることとする場合には、父性の推定が重複する期間内に生まれた子は、一定の裁判手続等を経るまで法律上の父が未定の子として取り扱わざるを得ず、その手続を経なければ法律上の父を確定できない状態に置かれることになる。生まれてくる子にとって、法律上の父を確定できない状態が一定期間継続することにより種々の影響が生じ得ることを考慮すれば、子の利益の観点から、上記のような法律上の父を確定するための裁判手続等を経るまでもなく、そもそも父性の推定が重複することを回避するための制度を維持することに合理性が認められるというべきである。
- 24条1項は、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかを当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねる趣旨であり、婚姻をするについての自由は同項の趣旨に照らし十分尊重に値する
- 民法733条1項の立法目的は、父性の推定の重複を回避し父子関係をめぐる紛争を未然に防ぐことにあり、父子関係が早期に明確となることの重要性からこの目的には合理性がある
- DNA検査技術が進歩しても、科学的判定に委ねると子が一定期間法律上の父を確定できない状態に置かれるから、推定の重複自体を回避する制度の維持に合理性がある
- 民法772条2項の推定の重複を回避するには100日で足りるから、100日を超える部分は合理性を欠き、14条1項と24条2項に違反する
誤り。違うのは「6か月の再婚禁止期間を設けることはこの立法目的との関連において合理性を有するから,憲法第14条第1項に違反しない」の部分である。判例は100日を超える部分を違憲とした(最大判平27.12.16)。
最大判平27.12.16(再婚禁止期間違憲判決)は、女性についてのみ6か月の再婚禁止期間を定めていた民法733条1項の立法目的を、女性の再婚後に生まれた子について父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解し、この立法目的には合理性が認められるとした。ここまでは肢のとおりである。しかし同判決は、民法772条2項が婚姻成立から200日経過後又は婚姻解消から300日以内に生まれた子を婚姻中に懐胎したものと推定している以上、100日の再婚禁止期間を設ければ父性の推定の重複は避けられるとし、100日については合理的な立法裁量の範囲内として合理性を認める一方、100日を超えて再婚を禁止する部分は推定の重複を回避するために必要な期間とはいえないとした。そして、医療や科学技術の発達と社会状況の変化を踏まえれば、遅くとも事案当時には100日超過部分は立法目的との関連で合理性を欠き、14条1項に違反するとともに24条2項にも違反していたと判断した。肢は6か月の期間全体に合理性を認めて違憲でないとする点で判例の趣旨に反する。

本件規定のうち100日超過部分については、民法772条の定める父性の推定の重複を回避するために必要な期間ということはできない。……国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものとして、その立法目的との関連において合理性を欠く
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 尊属殺の法定刑(死刑・無期のみ) | 最大判昭48.4.4 | 目的は正当。加重の程度が極端で手段として著しく不合理だから違憲 |
| 国籍法3条1項の準正要件 | 最大判平20.6.4 | 目的は合理的。社会的環境の変化で準正要件が目的との合理的関連性を失い違憲 |
| 嫡出でない子の相続分2分の1 | 最大決平25.9.4 | 子に責任のない事柄で不利益を及ぼす合理的根拠が失われ違憲 |
| 女性の6か月の再婚禁止期間 | 最大判平27.12.16 | 目的は合理的。100日を超える部分だけが14条1項・24条2項に違反 |
誤り。違うのは「6か月の再婚禁止期間を設けることはこの立法目的との関連において合理性を有するから,憲法第14条第1項に違反しない」の部分である。判例は100日を超える部分を違憲とした(最大判平27.12.16)。
再婚禁止期間違憲判決(最大判平27.12.16)は、女性についてのみ6か月の再婚禁止期間を定める民法733条1項の立法目的を、女性の再婚後に生まれた子について父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解し、この目的には合理性が認められるとした。ここまでは本肢のとおりである。しかし、民法772条2項が婚姻成立の日から200日経過後又は婚姻解消の日から300日以内に生まれた子を婚姻中に懐胎したものと推定している以上、推定の重複を避けるには100日の再婚禁止期間で足りる。判決は、100日について一律に再婚を制約することは立法裁量の範囲内で目的との関連において合理性を有するが、100日超過部分は推定の重複を回避するために必要な期間とはいえず、医療や科学技術の発達と社会状況の変化を踏まえれば遅くとも当該事案の時点で目的との関連で合理性を欠き、14条1項及び24条2項に違反していたと判断した。本肢は6か月の期間全体に合理性を認めて合憲とする点で判例の趣旨に反する。

本件規定のうち100日超過部分については、民法772条の定める父性の推定の重複を回避するために必要な期間ということはできない。……国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものとして、その立法目的との関連において合理性を欠く
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 尊属殺重罰規定(旧刑法200条) | 最大判昭48.4.4 | 尊属への尊重報恩の保護という目的は合理的だが、死刑又は無期のみとする加重の程度が甚だしく均衡を失し違憲 |
| 国籍法3条1項の準正要件 | 最大判平20.6.4 | 立法目的は合理的だが、社会的環境の変化により準正要件は目的との合理的関連性を失い違憲 |
| 非嫡出子の相続分2分の1(民法900条4号ただし書) | 最大決平25.9.4 | 子が自ら選択・修正できない事柄を理由とする不利益は許されず違憲 |
| 女性の再婚禁止期間6か月(民法733条1項) | 最大判平27.12.16 | 父性推定の重複回避という目的は合理的で100日部分は合憲だが、100日超過部分は必要性を欠き14条1項・24条2項に違反 |
| 夫婦同氏(民法750条) | 最大判平27.12.16 | 夫婦がいずれの氏を称するかは協議に委ねられ、文言上の形式的不平等はなく合憲 |
正しい。性別の取扱いの変更の審判を受けて男性とみなされる夫の妻が婚姻中に懐胎した子は、772条により夫の子と推定される(最決平25.12.10)。
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づいて男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、以後、法令の規定の適用について男性とみなされる。判例は、そのような者は民法の規定に基づき夫として婚姻することができるのみならず、婚姻中にその妻が子を懐胎したときは、772条の規定により、その子は当該夫の子と推定されるとした(最決平25.12.10)。法律が性別の変更を認め、変更後の性別で婚姻することを認めている以上、婚姻の主な効果である嫡出の推定だけを外す理由はないのである。性別の取扱いを変更した夫との間に血縁上の父子関係がありえないことは明らかであるが、それは推定を当然に外す事情にはならない。外観上明らかに夫の子を懐胎できない場合に推定が及ばないとする考え方(最判昭44.5.29)は、夫婦の実態がない場合などの例外であり、婚姻が法律上認められ夫婦として生活している本肢の場面には当てはまらない。父子関係を否定しようとするのであれば、嫡出否認の訴えによることになる。

3条1項の規定に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、以後、法令の規定の適用について男性とみなされるため、民法の規定に基づき夫として婚姻することができるのみならず、婚姻中にその妻が子を懐胎したときは、同法772条の規定により、当該子は当該夫の子と推定される
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 事実上の離婚で夫婦の実態がない間の懐胎 | 最判昭和44年5月29日 | 推定が及ばない |
| DNA鑑定で血縁がないことが明らか | 最判平成26年7月17日 | 推定は排除されない |
| 性別変更した夫の妻が婚姻中に懐胎 | 最決平成25年12月10日 | 夫の子と推定される |
| 夫の死後に凍結精子で懐胎 | 最判平成18年9月4日 | 死後認知による父子関係は認められない |
正しい。現行法では、婚姻前に懐胎し婚姻の成立後に生まれた子も夫の子と推定されるから(772条1項後段)、夫が父子関係を否定するには嫡出否認の訴えによらなければならない。
772条1項は、妻が婚姻中に懐胎した子を夫の子と推定し、女が婚姻前に懐胎した子であって婚姻が成立した後に生まれたものも同様とすると定め、同条2項は、婚姻の成立の日から200日以内に生まれた子は婚姻前に懐胎したものと推定する。したがって、婚姻の届出から1か月後に生まれた子も夫の子と推定され、夫がその父子関係を否定するには嫡出否認の訴え(774条1項・775条1項1号)によらなければならない。出訴期間は、夫が子の出生を知った時から3年である(777条1号)。婚姻の前に内縁が続いていたかどうかは、この結論に関係しない。出題当時は、婚姻の成立の日から200日を経過した後に生まれた子だけが婚姻中に懐胎したものと推定され、婚姻の成立の日は届出の日とされたから(最判昭41.2.15)、1か月後に生まれた子は推定を受けず、夫は親子関係不存在確認の訴えで争えた。そのため本肢は出題当時は誤りとされ、公式正解は3(イ・ウ)であった。令和4年の改正(令和6年4月施行)で結論が変わったのである。

妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。2 前項の場合において、婚姻の成立の日から二百日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
- 772条1項前段:婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定
- 772条1項後段:婚姻前に懐胎し婚姻後に生まれた子も夫の子と推定(令和4年改正)
- 772条2項:200日以内の出生は婚姻前の懐胎、200日経過後・解消後300日以内の出生は婚姻中の懐胎と推定
- 772条3項:二以上の婚姻があれば出生の直近の婚姻の夫の子と推定
- 否認:嫡出否認の訴えによる。父の否認権は子の出生を知った時から3年(777条1号)
誤り。違うのは「「憲法第24条第1項によって保障される」としています」の部分である。同判決は、婚姻をするについての自由を24条1項の規定の趣旨に照らし十分尊重に値するものと述べたにとどまる(最大判平27.12.16)。
再婚禁止期間一部違憲判決(最大判平27.12.16)は、24条1項を、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかは当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにした規定と解した上で、婚姻に重要な法律上の効果が与えられることや法律婚を尊重する国民の意識を併せ考慮し、婚姻をするについての自由は24条1項の規定の趣旨に照らし十分尊重に値するものと解することができると判示した。同項によって直接保障される権利と構成したのではなく、同項の趣旨から導かれる尊重に値する利益として位置付けたのである。その上で同判決は、民法733条1項の再婚禁止期間による制約を、父性の推定の重複を回避するという立法目的との関連における手段の合理性の問題として審査し、100日を超える部分は合理性を欠くとして14条1項及び24条2項に違反すると結論付けた。24条1項違反を理由とする違憲判断でない点も、同項が直接の保障規定として用いられていないことを裏付ける。本肢は判決が「保障される」と述べたとする点で判示の再現を誤っている。

婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解される。…上記のような婚姻をするについての自由は、憲法24条1項の規定の趣旨に照らし、十分尊重に値するものと解することができる。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 女性のみ6か月の再婚禁止期間を定める民法733条1項 | 再婚禁止期間一部違憲判決 | 婚姻をするについての自由は24条1項の趣旨に照らし十分尊重に値する。100日を超える部分は14条1項・24条2項に違反 |
| 夫婦同氏を定める民法750条 | 夫婦同氏制合憲判決 | 婚姻の効力を定めた規定で婚姻の直接の制約ではない。事実上の制約は24条2項の立法裁量の審査で考慮し、合憲 |
誤り。違うのは「憲法第24条第1項によって保障される」の部分である。判決は、婚姻をするについての自由は24条1項の規定の趣旨に照らし十分尊重に値すると述べたにとどまる。
再婚禁止期間一部違憲判決(最大判平27.12.16)は、憲法24条1項が婚姻は両性の合意のみに基いて成立すると定めていることから、同項は婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解されるとした。そのうえで、婚姻に重要な法律上の効果が与えられ、法律婚を尊重する意識がなお幅広く浸透していることも併せ考慮して、婚姻をするについての自由は憲法24条1項の規定の趣旨に照らし十分尊重に値するものと解することができると述べた。同判決は、この自由を24条1項が直接保障する権利とは構成せず、同項の趣旨に照らして尊重されるべき利益と位置付けたのであって、保障されるという表現は用いていない。この位置付けは、同判決が再婚禁止期間のうち100日を超える部分を24条1項違反ではなく、14条1項及び24条2項違反と判断したことと整合する。本肢は判旨を保障されると言い換えている点で誤っている。

憲法二四条…一項は、…婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解される。…上記のような婚姻をするについての自由は、憲法二四条一項の規定の趣旨に照らし、十分尊重に値する。
| 規定 | 婚姻の自由との関係 | 結論 |
|---|---|---|
| 再婚禁止期間(当時の民法733条) | 婚姻をするについての自由に対する直接的な制約 | 100日を超える部分は14条1項・24条2項に違反 |
| 夫婦同氏制(民法750条) | 婚姻の効力を定めたもので直接の制約ではない。事実上の制約は立法裁量の審査で考慮 | 24条1項・24条2項・14条1項のいずれにも違反しない |
正しい。女性の再婚禁止期間は令和4年改正で廃止されており、前婚の解消から100日以内でも再婚できる。出題当時も懐胎していなければ再婚禁止期間の適用はなかった。
女性の再婚禁止期間を定めていた733条は、令和4年の改正(令和6年4月施行)で削られた。改正後の772条3項は、女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に二以上の婚姻をしていたときは、その子は出生の直近の婚姻における夫の子と推定すると定め、前の夫と後の夫の父の推定が重なることがなくなったから、再婚を一定期間禁じる理由もなくなったのである。したがって現行法では、女性は前婚の解消の時に懐胎していたかどうか、前婚の解消から100日を過ぎたかどうかにかかわらず、すぐに再婚することができる。本肢は、前婚の解消の時に懐胎していなかった場合に100日以内の再婚を認めるものであり、現行法では当然に正しい。出題当時の733条1項は、前婚の解消又は取消しの日から100日を経過した後でなければ再婚できないとしていたが、同条2項は前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合を除いていたから、出題当時も本肢は正しかった。

第一項の場合において、女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に二以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する。
- 婚姻意思:社会観念上の夫婦関係を設定する意思が必要。他の目的の便法として届け出た婚姻は無効(最判昭和44年10月31日)
- 成年被後見人(738条):成年後見人の同意なしに婚姻できる
- 近親婚の禁止(734条〜736条):養親子は離縁で親族関係が終わっても婚姻できない(736条)
- 再婚禁止期間:令和4年改正で廃止(旧733条)。父の推定は出生の直近の婚姻の夫による(772条3項)
- 取消しの効果(748条1項):将来に向かってのみ生じる。婚姻中に懐胎した子の嫡出推定は失われない
誤り。違うのは「出生した子は,A男の子とは推定されない」の部分である。婚姻の取消しは将来に向かってのみ効力を生じるから(748条1項)、婚姻中に懐胎した子はA男の子と推定される(772条1項)。
詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる(747条1項)。そして748条1項は、婚姻の取消しは将来に向かってのみその効力を生ずると定め、財産上の行為の取消しのように初めから無効になるという効果(121条)をとらない。すでに夫婦として暮らしてきた実態や、その間に生まれた子の身分を後からさかのぼって覆すと、当事者や子に大きな不利益を与えるからである。したがって、取消しの時までA男とB女の婚姻は有効に存在していたものとして扱われる。そうすると、B女が婚姻中に懐胎した子は、772条1項によって当該婚姻における夫であるA男の子と推定され、その後に強迫を理由として婚姻が取り消されても、取消しは将来に向かってのみ効力を生じるから、この推定がさかのぼって失われることはない。A男が父子関係を否定するには、嫡出否認の訴えによらなければならない。したがって本肢は誤りである。

婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。
- 婚姻意思:社会観念上の夫婦関係を設定する意思が必要。他の目的の便法として届け出た婚姻は無効(最判昭和44年10月31日)
- 成年被後見人(738条):成年後見人の同意なしに婚姻できる
- 近親婚の禁止(734条〜736条):養親子は離縁で親族関係が終わっても婚姻できない(736条)
- 再婚禁止期間:令和4年改正で廃止(旧733条)。父の推定は出生の直近の婚姻の夫による(772条3項)
- 取消しの効果(748条1項):将来に向かってのみ生じる。婚姻中に懐胎した子の嫡出推定は失われない
誤り。違うのは「子の血縁上の父も」の部分である。嫡出否認の訴えを提起できるのは父・子・母・前夫に限られ(774条・775条)、子の血縁上の父には否認権がない。
嫡出否認の訴えは、772条によって夫の子と推定される子について、その推定を覆すための訴えであり、否認権を持つ者は法律で限られている。774条は、否認権者を、父と子(1項)、母(3項)、772条3項によって子の父が定められる場合の前夫(4項)とし、子のために親権を行う母などが子の否認権を行使できるとする(2項)。子の血縁上の父であると主張する第三者は、そのいずれにも当たらない。嫡出推定の制度は、婚姻を基礎として父子関係を早く確定し、子の身分を安定させて養育を確保するためのものであるから、婚姻の外にいる第三者が血縁を理由に父子関係を覆せるとすれば、その目的が損なわれるからである。判例も、DNA鑑定で生物学上の父子関係がないことが明らかであっても、嫡出推定は覆らないとしている。したがって、本肢は誤りである。出題当時の否認権者は夫だけであったが、令和4年改正で子・母・前夫に広げられた後も、血縁上の父に否認権がない点は変わらない。

第七百七十二条の規定により子の父が定められる場合において、父又は子は、子が嫡出であることを否認することができる。
- 嫡出推定を受ける子:嫡出否認の訴え(775条)。否認権者は父・子・母・前夫に限られ(774条)、血縁上の父には否認権がない
- 推定の及ばない子(夫の服役中の懐胎など外観上明白な場合):親子関係不存在確認の訴え
- 妻以外の女性が産んだ子を嫡出子として届出:そもそも推定を受けない。親子関係不存在確認の訴え
- DNA鑑定で血縁がないことが明らかなだけ:推定は外れない(最判平成26年7月17日)
- 嫡出推定の重複:父を定めることを目的とする訴え(773条)
正しい。妻が懐胎していない子は772条の嫡出推定を受けないから、推定を覆すための嫡出否認の訴えによることはできず、親子関係不存在確認の訴えによる。
772条1項の嫡出推定は、妻が婚姻中に懐胎した子などについて夫の子と推定するものであり、妻が懐胎して出産したことが前提である。妻以外の女性が産んだ子を夫婦の嫡出子として出生届をした場合、その子は戸籍の上で嫡出子とされているだけで、そもそも772条の推定を受ける子ではない。嫡出否認の訴え(774条・775条)は嫡出推定を覆すための手続であるから、推定が働かない子について用いる余地はない。夫がこのような子との父子関係を争うには、確認の利益がある限り、親子関係不存在確認の訴えによることになり、嫡出否認の訴えの出訴期間の制限も受けない。なお、他人の子を実子として届け出ても、養子縁組の届出としての効力は認められないとされている。もっとも、長い間実の親子と同じ生活の実態があったなどの事情の下では、親子関係不存在確認の請求が権利の濫用として許されない場合がある。本肢は正しい。

妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
- 嫡出推定を受ける子:嫡出否認の訴え(775条)。否認権者は父・子・母・前夫に限られ(774条)、血縁上の父には否認権がない
- 推定の及ばない子(夫の服役中の懐胎など外観上明白な場合):親子関係不存在確認の訴え
- 妻以外の女性が産んだ子を嫡出子として届出:そもそも推定を受けない。親子関係不存在確認の訴え
- DNA鑑定で血縁がないことが明らかなだけ:推定は外れない(最判平成26年7月17日)
- 嫡出推定の重複:父を定めることを目的とする訴え(773条)
誤り。違うのは「嫡出否認の訴えによらなければならない」の部分である。妻が夫の子を懐胎することが外観上明白に不可能な時期に懐胎した子には嫡出推定が及ばず、親子関係不存在確認の訴えで争うことができる(最判平12.3.14)。
772条の要件を形式的に満たす子であっても、妻が夫の子を懐胎することが不可能であったことが外から見て明らかな場合には、嫡出推定は及ばないと解されている(推定の及ばない子)。判例(最判平12.3.14)は、妻がその子を懐胎すべき時期に、夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ、又は遠隔地に住んでいて夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情がある場合には、推定の及ばない子として、親子関係不存在確認の訴えで父子関係を争うことができるとしている。夫が長期間服役していた間に妻が懐胎した本肢の子は、外観上夫の子を懐胎できなかったことが明らかな場合の典型であるから、嫡出推定は及ばない。したがって、夫は出訴期間の制限のある嫡出否認の訴えによる必要はなく、親子関係不存在確認の訴えで争うことができる。本肢は誤りである。これに対し、DNA鑑定で血縁がないことが明らかであるだけでは、推定は外れない。

妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
- 嫡出推定を受ける子:嫡出否認の訴え(775条)。否認権者は父・子・母・前夫に限られ(774条)、血縁上の父には否認権がない
- 推定の及ばない子(夫の服役中の懐胎など外観上明白な場合):親子関係不存在確認の訴え
- 妻以外の女性が産んだ子を嫡出子として届出:そもそも推定を受けない。親子関係不存在確認の訴え
- DNA鑑定で血縁がないことが明らかなだけ:推定は外れない(最判平成26年7月17日)
- 嫡出推定の重複:父を定めることを目的とする訴え(773条)
正しい。出題当時は、再婚禁止期間内の再婚で生まれた子に嫡出推定が重複すれば、父を定めることを目的とする訴えによって裁判所が父を定めた(旧773条)。正誤は出題当時の法令による。
出題当時の旧733条は、女は前婚の解消又は取消しの日から100日を経過した後でなければ再婚できないと定めていたが、これに反する婚姻届が誤って受理されても婚姻は有効に成立し、取消しの原因となるにとどまった。その結果、前婚の解消の日から300日以内で、かつ後婚の成立の日から200日を経過した後に子が生まれると、前夫の子という推定と後夫の子という推定が重なる。旧773条は、再婚禁止期間に違反して再婚した女が出産し、772条によって子の父を定めることができないときは、裁判所が父を定めると規定しており、この推定の重複を父を定めることを目的とする訴えで解消したのである。したがって、出題当時の法令によれば本肢は正しい。令和4年改正(令和6年4月施行)で再婚禁止期間は削除され、772条3項により子は出生の直近の婚姻の夫の子と推定されるので、再婚によって推定が重複するという本肢の前提は現在は成り立たない。現行773条は、重婚の禁止(732条)に反して婚姻した女が出産した場合に裁判所が父を定める規定になっている。

第七百三十二条の規定に違反して婚姻をした女が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。
- 嫡出推定を受ける子:嫡出否認の訴え(775条)。否認権者は父・子・母・前夫に限られ(774条)、血縁上の父には否認権がない
- 推定の及ばない子(夫の服役中の懐胎など外観上明白な場合):親子関係不存在確認の訴え
- 妻以外の女性が産んだ子を嫡出子として届出:そもそも推定を受けない。親子関係不存在確認の訴え
- DNA鑑定で血縁がないことが明らかなだけ:推定は外れない(最判平成26年7月17日)
- 嫡出推定の重複:父を定めることを目的とする訴え(773条)
正しい。現行法では婚姻前に懐胎し婚姻成立後に生まれた子も夫の子と推定されるので(772条1項後段)、父子関係を否定するには嫡出否認の訴えによらなければならない。
令和4年改正後の772条1項は、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定し、女が婚姻前に懐胎した子であって婚姻が成立した後に生まれたものも同様とすると定める。同条2項は、婚姻の成立の日から200日以内に生まれた子を婚姻前に懐胎したものと推定し、1項後段の推定に振り分けている。したがって、婚姻成立後200日以内に生まれた子は、同棲の開始時期にかかわらず夫の子と推定され、父子関係を否定するには、期間などが制限された嫡出否認の訴え(774条以下)によらなければならない。婚姻後に生まれた子を一律に夫の子と扱うことで、子の身分を早く安定させるためである。出題当時は、婚姻成立の日から200日以内に生まれた子は、同棲開始から200日を経過していても嫡出の推定を受けないとされていたので(旧772条2項、最判昭41.2.15)、本肢は誤りとされていた(公式正解は1)。

妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
2 前項の場合において、婚姻の成立の日から二百日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
正しい。嫡出の推定が及ばない子は、嫡出否認を待たずに血縁上の父に認知の訴えを提起できる(最判昭44.5.29)。
婚姻の解消の日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定され(772条2項)、夫の子と推定される(同条1項)。しかし判例は、夫婦が事実上離婚して別居していたなど、妻が夫の子を懐胎することが外観上明らかに不可能な時期に懐胎した場合には、772条の推定は及ばないとする。嫡出否認の訴えは772条の推定を覆すための厳格な手続であるから、推定が及ばない子についてはその訴えによる必要はない。最判昭44.5.29は、離婚後300日以内に生まれたが、事実上の離婚によって推定を受けない子からの認知の訴えについて、嫡出否認を待つまでもなく認知の請求ができるとした。夫の子という推定に妨げられない以上、子は血縁上の父に対して認知の訴え(787条)を起こすことができるのである。令和4年改正後も、推定の及ばない子についてのこの判例の考え方は維持されている。

子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
- 事実上の離婚で夫婦の実態がない間の懐胎(最判昭44.5.29):推定が及ばない。血縁上の父に認知の訴えができる
- 夫の服役中の懐胎:推定が及ばない。親子関係不存在確認で争える
- DNA鑑定で血縁がないことが明らか(最判平26.7.17):推定は排除されない
- 他人の卵子で懐胎・出産した女性(最決平19.3.23):懐胎・出産した女性が母
- 死後懐胎子(最判平18.9.4):死亡した精子提供者との法律上の親子関係は認められない
誤り。違うのは「その子はAの子と推定されない」の部分である。認知の訴えでは772条が類推され、内縁の夫の子と事実上推定される(最判昭29.1.21)。
内縁は法律上の婚姻ではないから嫡出推定(772条)は直接には及ばず、内縁の夫と子の法律上の父子関係は認知によって初めて生ずる(779条・787条)。しかし判例(最判昭29.1.21)は、内縁成立の日から200日を経過した後又は内縁解消の日から300日以内に内縁の妻が分娩した子については、772条を類推して内縁の夫の子と推定されるとした。ただし、その推定は、事実の蓋然性に基づいて、立証責任の問題として父の推定があるというにすぎない。内縁の夫婦は同居しているのが通常であり、その期間中の懐胎であれば夫の子である可能性が高いから、認知の訴えで子の側の立証の負担を軽くするのである。嫡出推定と違って嫡出否認の訴えによらなければ覆らない強い推定ではなく、認知がなければ法律上の父子関係も生じない。それでも認知の訴えでは子はAの子と推定されるから、本肢は誤りである。

内縁の子についても民法七七二条が類推されるという趣旨は、事実の蓋然性に基いて立証責任の問題として、父の推定があるというに過ぎない。
- 婚姻費用の分担(760条):類推される(最判昭33.4.11)
- 不当破棄の損害賠償:債務不履行・不法行為のいずれでも請求できる(最判昭33.4.11)
- 生前の解消と財産分与(768条):類推される
- 死亡による解消と財産分与:類推されない(最決平12.3.10)
- 配偶者の相続権(890条):認められない
- 嫡出推定(772条):及ばない。認知の訴えでは772条を類推して事実上推定(最判昭29.1.21)
正しい。嫡出子の身分は婚姻中の父母の間に生まれたことによって決まるから、その後に父母が離婚しても失われない。
嫡出子とは、婚姻関係にある父母の間に懐胎又は出生した子をいい、772条は、妻が婚姻中に懐胎した子や婚姻中に生まれた子を夫の子と推定している。嫡出子の身分は、出生の時の父母の婚姻関係によって定まるものであり、その後に父母が協議上の離婚をしても、さかのぼって失われることはない。離婚によって解消されるのは夫婦の関係であり、父母と子の親子関係は離婚の影響を受けないからである。離婚に伴って親権者が父母の一方に定められたり、子の氏が問題になったりすることはあるが、それは親子関係の存否とは別の事柄である。したがって、父母が離婚しても子は父母の嫡出子としての身分を失わず、肢は正しい。

妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
正しい。離婚届出に先立ち長期間事実上の離婚状態にあって夫婦の実態が失われていた間に懐胎した子は、実質的に772条の推定を受けない嫡出子である(最判昭44.5.29)。
772条は、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定し(1項)、婚姻の解消の日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する(2項)。しかし判例(最判昭44.5.29)は、母とその夫が離婚の届出に先立ち約2年半前から事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ、単に離婚の届出が遅れていたにとどまる事案で、その間に懐胎された子は実質的には772条の推定を受けない嫡出子であるとした。嫡出推定は、夫婦が同居して性関係を持つことが通常であるという事実を基礎に、夫の子である蓋然性が高いことから父子関係を推定するものである。夫婦の実態がまったく失われ、妻が夫の子を懐胎することが外観上明らかに不可能であった場合には、推定の基礎そのものが欠けるから、推定を及ぼす理由がないのである。このような子は、嫡出否認の訴えによらず、親子関係不存在確認の訴えで父子関係を争うことができ、血縁上の父に対して認知を求めることもできる。本肢は判例の内容どおりである。

離婚の届出に先だち約二年半以前から事実上の離婚をして爾来夫婦の実態は失われ、たんに離婚の届出がおくれていたにとどまる
- 事実上の離婚で夫婦の実態がない間の懐胎(最判昭44.5.29):推定が及ばない。血縁上の父に認知の訴えができる
- 夫の服役中の懐胎:推定が及ばない。親子関係不存在確認で争える
- DNA鑑定で血縁がないことが明らか(最判平26.7.17):推定は排除されない
正しい。嫡出の推定(772条)を受けるのは妻が婚姻中に懐胎した子であり、妻が産んでいない子にはそもそも推定が及ばないので、嫡出否認の訴え(774条)ではなく、親子関係不存在確認の訴えによって争うことになる。
772条1項は、妻が婚姻中に懐胎した子は当該婚姻における夫の子と推定すると定め、774条は、この規定により子の父が定められる場合に、父などは子が嫡出であることを否認することができるとする。嫡出否認の訴えは、772条による嫡出の推定を受ける子について、その推定を覆すための制度であり、提訴できる者や期間が限定されている。本肢の子は、夫が婚姻外でもうけた子であって、妻が懐胎して産んだ子ではないので、そもそも772条の嫡出の推定を受けない。母子関係は分娩の事実によって生じるので、妻の子として嫡出子出生届をしても、妻とその子の間に母子関係は生じず、届出は事実に反するものである。そのため、この父子関係や母子関係を争うには、嫡出否認の訴えではなく、期間の制限のない親子関係不存在確認の訴えによることになる。したがって、本肢は正しい。

妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
正しい。婚姻後200日以内に生まれた子も夫の子と推定されるが、夫は子の出生を知った時から3年以内であれば嫡出否認の訴えで争うことができる(772条1項後段・777条1号)。
772条1項後段は、女が婚姻前に懐胎した子であって婚姻が成立した後に生まれたものも当該婚姻における夫の子と推定すると定め、同条2項は、婚姻の成立の日から200日以内に生まれた子は婚姻前に懐胎したものと推定する。したがって、婚姻後200日以内に生まれた子も夫の子と推定され、その父子関係を争うには嫡出否認の訴えによらなければならない。父の否認権に係る訴えの出訴期間は、父が子の出生を知った時から3年である(777条1号)。そのため、夫が子の出生を知った時から1年を経過しても、3年以内であれば父子関係を争うことができ、本肢は正しい。出題当時は、婚姻後200日以内に生まれた子は推定を受けない嫡出子とされ、期間の制限がない親子関係不存在確認の訴えでいつでも争えたので、本肢は正しいとされた。令和4年改正後は、3年を経過すると争えなくなる点が出題当時と異なる。

妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。/2 前項の場合において、婚姻の成立の日から二百日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
- 772条1項前段:婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定
- 772条1項後段:婚姻前に懐胎し婚姻後に生まれた子も夫の子と推定(令和4年改正)
- 772条2項:200日以内の出生は婚姻前の懐胎、200日経過後・解消後300日以内の出生は婚姻中の懐胎と推定
- 772条3項:二以上の婚姻があれば出生の直近の婚姻の夫の子と推定
- 773条:重婚違反で父が定まらないときは裁判所が定める





















































