1債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
2債権者は、転得者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、転得者が転得した財産の返還を請求することができる。転得者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
この条文の過去問 10問
誤り。違うのは「Hに対する詐害行為取消請求において価額償還を請求することができない」の部分である。受益者Hが財産を転得者に渡していれば返還が困難なときに当たり、転得者に返還を求められる場合でも、Hに価額の償還を請求できる(424条の6第1項)。
424条の6第1項は、債権者は受益者に対する詐害行為取消請求で、債務者の行為の取消しとともに受益者に移転した財産の返還を請求でき、受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、その価額の償還を請求することができると定める。受益者が目的物を第三者に譲り渡して転得者のもとにあるときは、受益者はもはや自分で物を取り戻して返すことができないので、返還が困難なときに当たる。そしてこのことは、債権者が転得者に対しても、424条の5の要件を満たして財産の返還を請求できる場合でも変わらない。受益者と転得者は別々に取消請求の相手方となりうる者であり、債権者は、受益者に価額の償還を求めるか、転得者に物の返還を求めるかを選べるからである。本肢では、Hはすでに動産甲をIに贈与して引き渡しているので、Hによる返還は困難であり、AはHに価額の償還を請求できる。もっとも、Aが二重に満足を受けることはできない。

債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
誤り。違うのは「BD間の甲の売買の取消しを請求することができる」の部分である。取消しの対象は債務者がした行為(AB間の贈与)であり、受益者と転得者の間の売買ではない。
424条1項は、債権者は債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができると定め、詐害行為取消権の対象を債務者の行為としている。転得者に対する請求についても、424条の6第2項は、債権者は債務者がした行為の取消しとともに、転得者が転得した財産の返還を請求することができると定めており、取消しの対象はあくまで債務者の行為である。詐害行為取消権は、債務者の責任財産を減らした債務者の行為を問題にする制度であり、受益者と転得者の間の取引はその後の財産の行方にすぎないからである。したがって、CがDを相手に詐害行為取消請求をする場合でも、取り消すのはAB間の贈与であり、BD間の売買の取消しを請求することはできない。Dに対する請求が認められれば、AB間の贈与が取り消され、Dは甲を返還することになる。本問のDは転得の時に悪意であり、受益者Bも悪意であるから、Dに対する請求の要件(424条の5第1号)は満たすが、取消しの対象を誤っている点で本肢は誤りである。

債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
- 被告(424条の7第1項):受益者又は転得者。債務者は被告にならず、訴訟告知をする(同条2項)
- 取消しの対象(424条1項・424条の6):債務者がした行為。受益者と転得者の間の行為ではない
- 受益者に対する請求(424条の6第1項):財産の返還。返還が困難なら価額の償還
- 判決の効力(425条):債務者とその全ての債権者に及ぶ
- 転得者の権利(425条の4):受益者が取消しで取得したはずの反対給付の返還請求権などを、債務者に対して行使する
正しい。受益者が財産を転得者に譲渡した後でも、債権者は受益者に対して債務者の行為の取消しを請求でき、返還が困難であれば価額の償還を求めることができる(424条の6第1項)。
424条の5は、債権者は受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、転得者に対しても詐害行為取消請求をすることができると定めており、転得者がいても受益者に対する請求ができることを前提としている。そして424条の6第1項は、債権者は受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、受益者に移転した財産の返還を請求することができ、受益者がその財産を返還することが困難であるときは、その価額の償還を請求することができると定める。この価額の償還の規定は、目的物が第三者に譲渡されて受益者の手元にない場合を想定したものであり、受益者が目的物を持っていないことは受益者に対する請求を妨げないのである。したがって、Bが甲をDに売却して引き渡した後でも、CはBに対してAB間の贈与の取消しを請求することができる。甲はすでにDのもとにあるから、CはBに甲の価額の償還を求めることになる。

債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
- 被告(424条の7第1項):受益者又は転得者。債務者は被告にならず、訴訟告知をする(同条2項)
- 取消しの対象(424条1項・424条の6):債務者がした行為。受益者と転得者の間の行為ではない
- 受益者に対する請求(424条の6第1項):財産の返還。返還が困難なら価額の償還
- 判決の効力(425条):債務者とその全ての債権者に及ぶ
- 転得者の権利(425条の4):受益者が取消しで取得したはずの反対給付の返還請求権などを、債務者に対して行使する
誤り。違うのは「BD間の甲の売買の取消しを請求することができる」の部分である。取消しの対象は債務者がした行為(AB間の贈与)であり、受益者と転得者の間の売買ではない。
424条1項は、債権者は債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができると定め、詐害行為取消権の対象を債務者の行為としている。転得者に対する請求についても、424条の6第2項は、債権者は債務者がした行為の取消しとともに、転得者が転得した財産の返還を請求することができると定めており、取消しの対象はあくまで債務者の行為である。詐害行為取消権は、債務者の責任財産を減らした債務者の行為を問題にする制度であり、受益者と転得者の間の取引はその後の財産の行方にすぎないからである。したがって、CがDを相手に詐害行為取消請求をする場合でも、取り消すのはAB間の贈与であり、BD間の売買の取消しを請求することはできない。Dに対する請求が認められれば、AB間の贈与が取り消され、Dは甲を返還することになる。本問のDは転得の時に悪意であり、受益者Bも悪意であるから、Dに対する請求の要件(424条の5第1号)は満たすが、取消しの対象を誤っている点で本肢は誤りである。

債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
- 被告(424条の7第1項):受益者又は転得者。債務者は被告にならず、訴訟告知をする(同条2項)
- 取消しの対象(424条1項・424条の6):債務者がした行為。受益者と転得者の間の行為ではない
- 受益者に対する請求(424条の6第1項):財産の返還。返還が困難なら価額の償還
- 判決の効力(425条):債務者とその全ての債権者に及ぶ
- 転得者の権利(425条の4):受益者が取消しで取得したはずの反対給付の返還請求権などを、債務者に対して行使する
正しい。受益者が財産を転得者に譲渡した後でも、債権者は受益者に対して債務者の行為の取消しを請求でき、返還が困難であれば価額の償還を求めることができる(424条の6第1項)。
424条の5は、債権者は受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、転得者に対しても詐害行為取消請求をすることができると定めており、転得者がいても受益者に対する請求ができることを前提としている。そして424条の6第1項は、債権者は受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、受益者に移転した財産の返還を請求することができ、受益者がその財産を返還することが困難であるときは、その価額の償還を請求することができると定める。この価額の償還の規定は、目的物が第三者に譲渡されて受益者の手元にない場合を想定したものであり、受益者が目的物を持っていないことは受益者に対する請求を妨げないのである。したがって、Bが甲をDに売却して引き渡した後でも、CはBに対してAB間の贈与の取消しを請求することができる。甲はすでにDのもとにあるから、CはBに甲の価額の償還を求めることになる。

債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
- 被告(424条の7第1項):受益者又は転得者。債務者は被告にならず、訴訟告知をする(同条2項)
- 取消しの対象(424条1項・424条の6):債務者がした行為。受益者と転得者の間の行為ではない
- 受益者に対する請求(424条の6第1項):財産の返還。返還が困難なら価額の償還
- 判決の効力(425条):債務者とその全ての債権者に及ぶ
- 転得者の権利(425条の4):受益者が取消しで取得したはずの反対給付の返還請求権などを、債務者に対して行使する
正しい。債権者は行為の取消しとともに財産の返還を請求することができるのであって、返還請求を併せずに取消しだけを請求することもできる(424条の6第1項)。
424条の6第1項前段は、債権者は受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができると定める。この規定は、取消しの請求に財産の返還請求を必ず併せなければならないとする趣旨ではなく、逸出した財産をどのように回復するかを債権者の判断に委ねたものと解される。旧法下でも、財産の返還を求めずに詐害行為の取消しだけを求める訴えは適法とされていた(大連判明44.3.24)。取消しだけを求める実益もある。取消しを認める確定判決の効力は債務者とそのすべての債権者に及ぶ(425条)から、取消しが確定すれば贈与は債務者との関係でも効力を失い、その後の強制執行などの前提が整うからである。したがって、AはBからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求せずに、BC間の贈与契約の取消しだけを請求することができ、肢は正しい。

債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
正しい。債権者は行為の取消しとともに財産の返還を請求することができるのであって、返還請求を併せずに取消しだけを請求することもできる(424条の6第1項)。
424条の6第1項前段は、債権者は受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができると定める。この規定は、取消しの請求に財産の返還請求を必ず併せなければならないとする趣旨ではなく、逸出した財産をどのように回復するかを債権者の判断に委ねたものと解される。旧法下でも、財産の返還を求めずに詐害行為の取消しだけを求める訴えは適法とされていた(大連判明44.3.24)。取消しだけを求める実益もある。取消しを認める確定判決の効力は債務者とそのすべての債権者に及ぶ(425条)から、取消しが確定すれば贈与は債務者との関係でも効力を失い、その後の強制執行などの前提が整うからである。したがって、AはBからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求せずに、BC間の贈与契約の取消しだけを請求することができ、肢は正しい。

債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
正しい。抵当権付き建物の代物弁済が詐害行為となる場合、取消しは建物の価額から被担保債権額を控除した残額の部分に限られ、建物が不可分であるときは価額の賠償を請求するほかない(最大判昭36.7.19)。
詐害行為取消しの範囲は、一般債権者の共同担保として回復されるべき財産の限度で決まる。抵当権が設定された不動産では、抵当権者が優先して弁済を受ける被担保債権額の部分はもともと一般債権者の引当てになっていないから、共同担保としての価値は目的物の価額から被担保債権額を差し引いた残額にすぎない。最大判昭36.7.19は、抵当権の設定された一棟の家屋を抵当権者に代物弁済した行為について、取消しは家屋の価額から抵当債権額を控除した残額の部分に限って許され、目的物が不可分の一棟の家屋であるときは、債権者は一部取消しの限度でその価格の賠償を請求するほかないとした。代物弁済によって抵当権は消えて登記も抹消されているから、建物そのものを債務者に戻すと、抵当権の負担のない財産として責任財産に戻ることになり、元の状態の回復にならないからである。現行法も、財産の返還が困難なときは価額の償還を請求できるとしている(424条の6第1項後段)。したがって肢は正しい。

債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
正しい。抵当権付き建物の代物弁済が詐害行為となる場合、取消しは建物の価額から被担保債権額を控除した残額の部分に限られ、建物が不可分であるときは価額の賠償を請求するほかない(最大判昭36.7.19)。
詐害行為取消しの範囲は、一般債権者の共同担保として回復されるべき財産の限度で決まる。抵当権が設定された不動産では、抵当権者が優先して弁済を受ける被担保債権額の部分はもともと一般債権者の引当てになっていないから、共同担保としての価値は目的物の価額から被担保債権額を差し引いた残額にすぎない。最大判昭36.7.19は、抵当権の設定された一棟の家屋を抵当権者に代物弁済した行為について、取消しは家屋の価額から抵当債権額を控除した残額の部分に限って許され、目的物が不可分の一棟の家屋であるときは、債権者は一部取消しの限度でその価格の賠償を請求するほかないとした。代物弁済によって抵当権は消えて登記も抹消されているから、建物そのものを債務者に戻すと、抵当権の負担のない財産として責任財産に戻ることになり、元の状態の回復にならないからである。現行法も、財産の返還が困難なときは価額の償還を請求できるとしている(424条の6第1項後段)。したがって肢は正しい。

債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
正しい。受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は価額の償還を請求することができ(424条の6第1項後段)、不動産が転得者に譲渡された後の受益者への請求は価格賠償によることになる。
424条の6第1項は、債権者は受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができると定め、受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者はその価額の償還を請求することができるとする。詐害行為取消権は責任財産を回復させる制度であるから、原則は現物の返還であるが、受益者がすでに目的物を転得者に譲渡している場合には、受益者のもとに目的物はなく、受益者に現物の返還を求めることはできない。そのため、受益者を被告とする場合は、目的物の価額の償還を請求するほかない。出題当時は明文がなかったが、判例は同様に価格賠償を認めており、平成29年改正で明文化された。なお、転得者を被告として現物の返還を求めるには、転得者が転得の時に債権者を害することを知っていたことなどの要件を満たす必要がある(424条の5)。本肢は正しい。

債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
- 特定物債権者:目的物の処分で債務者が無資力になれば取り消せるが、直接自己への移転登記は求められない(最判昭53.10.5)
- 遺産分割協議:財産権を目的とする法律行為として取消しの対象となりうる(最判平11.6.11)
- 債権発生前の譲渡行為:登記が債権発生後でも、登記だけを切り離して取り消せない(最判昭55.1.24)
- 離婚に伴う財産分与:不相当に過大で財産分与に仮託した処分と認められる特段の事情があれば、過大な部分を取り消せる(最判昭58.12.19・最判平12.3.9)
- 転得者がいる場合の受益者への請求:現物の返還が困難なので価額の償還を請求する(424条の6第1項後段)







