第396条抵当権の消滅時効過去問 6
抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
この条文の過去問 6問
Bの抵当権の被担保債権の債務者Cが甲土地の所有権を時効により取得したときは、Bの抵当権は、消滅する。
解説
本肢は誤り。取得時効による所有権取得は原始取得であるから、原則として抵当権等の負担のない完全な所有権を取得することになりそうであるが、民法397条は「債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する」と定め、抵当権が時効取得によって消滅する主体を「債務者又は抵当権設定者でない者」に限定している。すなわち、抵当権消滅の効果を享受できるのは第三者に限られ、被担保債権の債務者および抵当権設定者は同条の反対解釈により除外される。本肢のCはBの抵当権の被担保債権の債務者であるから、甲土地の所有権を時効取得したとしても、Bの抵当権はこれによって消滅しない。
このような限定が置かれているのは、民法396条が「抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない」として、債務者・設定者との関係では抵当権の消滅時効を制限していることと平仄を合わせる趣旨である。債務者や設定者は自ら債務を弁済すべき立場ないし目的物を担保に供した立場にあり、これらの者が占有の継続という事実状態を理由に抵当権の負担を免れることを認めるのは、担保制度の趣旨に反するからである。消滅時効の場面(396条)でも取得時効の場面(397条)でも、債務者・設定者は抵当権の負担から時効によって解放されないという統一的な扱いがされているのである。よって、本肢は誤りである。
Aは,抵当権を実行することができる時から20年が経過すれば,被担保債権が消滅していなくても,抵当権が時効により消滅したと主張することができる。
解説
本肢は誤り。民法396条は「抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない」と定める。抵当権は被担保債権の担保のために存在する権利であり、債務者や設定者が自ら債務を負いながら担保物権だけを時効消滅させて債権者を無担保状態に追い込むことは、担保の趣旨に反して許されないからである。本問のAは債務者であると同時に自己所有の甲に抵当権を設定した抵当権設定者でもあるから、396条の名宛人そのものである。したがって、抵当権を実行できる時から20年が経過しても、被担保債権が存続している限り、Aは抵当権の時効消滅を主張することはできない。
本肢の「20年」は、債権又は所有権以外の財産権の消滅時効期間を定める166条2項(権利を行使することができる時から20年)を意識したものである。同項の適用の余地がないわけではなく、396条の反対解釈として、抵当不動産の第三取得者や後順位抵当権者との関係では、被担保債権と離れて抵当権が単独で20年の消滅時効にかかると解されている(大判昭和15年11月26日)。しかし、その相手方はあくまで債務者・設定者以外の者であり、A自身がこれを主張することはできない。
なお、被担保債権自体が時効消滅した場合には、付従性により抵当権も当然に消滅し、債務者は消滅時効を援用してこれを主張できる(145条)。本肢は「被担保債権が消滅していなくても」としている点で、この場面とも区別される。
Aは,抵当権を実行することができる時から20年が経過すれば,被担保債権が消滅していなくても,抵当権が時効により消滅したと主張することができる。
解説
本肢は誤り。民法396条は「抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない」と定める。抵当権は被担保債権の担保のために存在する権利であり、債務者や設定者が自ら債務を負いながら担保物権だけを時効消滅させて債権者を無担保状態に追い込むことは、担保の趣旨に反して許されないからである。本問のAは債務者であると同時に自己所有の甲に抵当権を設定した抵当権設定者でもあるから、396条の名宛人そのものである。したがって、抵当権を実行できる時から20年が経過しても、被担保債権が存続している限り、Aは抵当権の時効消滅を主張することはできない。
本肢の「20年」は、債権又は所有権以外の財産権の消滅時効期間を定める166条2項(権利を行使することができる時から20年)を意識したものである。同項の適用の余地がないわけではなく、396条の反対解釈として、抵当不動産の第三取得者や後順位抵当権者との関係では、被担保債権と離れて抵当権が単独で20年の消滅時効にかかると解されている(大判昭和15年11月26日)。しかし、その相手方はあくまで債務者・設定者以外の者であり、A自身がこれを主張することはできない。
なお、被担保債権自体が時効消滅した場合には、付従性により抵当権も当然に消滅し、債務者は消滅時効を援用してこれを主張できる(145条)。本肢は「被担保債権が消滅していなくても」としている点で、この場面とも区別される。
抵当権を実行することができる時から20年が経過すれば,抵当権設定者は,抵当権者に対し,時効による抵当権の消滅を主張することができる。
解説
本肢は誤り。民法396条は「抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない」と定める。抵当権の負担を負う本人である債務者や設定者が、被担保債権が存続しているにもかかわらず担保だけを時効で消滅させ得るとするのは、担保物権の付従性および担保の趣旨に反するからである。したがって、抵当権設定者との関係では、被担保債権が消滅時効(166条1項。権利を行使することができることを知った時から5年、権利を行使することができる時から10年)にかからない限り、抵当権のみが独立に時効消滅することはない。
これに対し、396条の反対解釈として、抵当不動産の第三取得者や後順位抵当権者など債務者・設定者以外の者との関係では、抵当権が被担保債権と別個に時効消滅し得る。この場合、抵当権は所有権以外の財産権として、権利を行使することができる時から20年の消滅時効に服する(166条2項。判例として大判昭和15年11月26日)。本肢はこの20年の枠組みを、まさに396条により排除されている抵当権設定者に適用している点で誤りである。
なお、抵当不動産の占有者による取得時効との関係については397条が別途規律している。
抵当権を実行することができる時から20年が経過すれば,抵当権設定者は,抵当権者に対し,時効による抵当権の消滅を主張することができる。
解説
本肢は誤り。民法396条は「抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない」と定める。抵当権の負担を負う本人である債務者や設定者が、被担保債権が存続しているにもかかわらず担保だけを時効で消滅させ得るとするのは、担保物権の付従性および担保の趣旨に反するからである。したがって、抵当権設定者との関係では、被担保債権が消滅時効(166条1項。権利を行使することができることを知った時から5年、権利を行使することができる時から10年)にかからない限り、抵当権のみが独立に時効消滅することはない。
これに対し、396条の反対解釈として、抵当不動産の第三取得者や後順位抵当権者など債務者・設定者以外の者との関係では、抵当権が被担保債権と別個に時効消滅し得る。この場合、抵当権は所有権以外の財産権として、権利を行使することができる時から20年の消滅時効に服する(166条2項。判例として大判昭和15年11月26日)。本肢はこの20年の枠組みを、まさに396条により排除されている抵当権設定者に適用している点で誤りである。
なお、抵当不動産の占有者による取得時効との関係については397条が別途規律している。
債権は時効により消滅することがあるが,物権は時効により消滅することはない。
解説
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