委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
この条文の過去問 8問
誤り。違うのは「法律行為の委任に関する民法の規定は準用されない」の部分である。委任の節の規定は、法律行為でない事務の委託(準委任)に準用される(656条)。
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生ずる契約である(643条)。しかし、実際に他人に任される事務は法律行為に限らず、診療や調査、管理のような事実行為の委託も多い。656条は、この節の規定は法律行為でない事務の委託について準用すると定めており、これを準委任という。事実行為の委託でも、他人を信頼してその事務を任せるという関係は法律行為の委任と変わらないからである。準用の範囲は限られておらず、受任者の善管注意義務(644条)、報告義務(645条)、受取物の引渡し(646条)、報酬や費用(648条〜650条)、解除(651条)、終了事由(653条)など、委任の節の規定がまとめて当てはまる。したがって、法律行為でない事務の委託に委任の規定は準用されないとする肢は誤っている。

この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
正しい。会社と役員の関係は委任に関する規定に従い(会社法330条)、委任は相手方の承諾によって効力を生ずるので(民法643条)、役員選任の効力は被選任者の就任の承諾によって発生する。
株式会社と役員(取締役・会計参与・監査役)及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う(会社法330条)。委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生ずる契約であり(民法643条)、委任関係の成立には委託の意思表示に対する被委託者の承諾が欠かせない。そうすると、株主総会の選任決議(会社法329条1項)は、会社の内部で誰に役員の委任を申し込むかを決める意思決定にすぎず、これだけで被選任者が当然に役員の地位に就くわけではない。決議に基づいて会社が行う就任の申込みに対して被選任者が就任を承諾して初めて、会社との間に委任関係が生じ、役員としての地位・権限・義務が発生する。本人の意思に反して役員の地位と重い責任(423条1項・429条1項)を押し付けることはできないという実質からも、この帰結は正当化される。登記の実務でも、取締役等の就任の登記の申請には就任を承諾したことを証する書面の添付が求められており、選任決議だけでは効力が完結しないことが前提になっている。本肢は正しい。

株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。
- 選任: 役員(取締役・会計参与・監査役)と会計監査人は株主総会の決議で選任(329条1項)。定款でも取締役会には委ねられない
- 効力: 会社と役員の関係は委任(330条)。選任決議だけでなく被選任者の就任の承諾で効力が生じる(民法643条)
- 決議要件(341条): 議決権の過半数(定款で3分の1以上まで引下げ可)の出席、出席者の議決権の過半数(定款で加重可)。取締役も監査役も同じ。解任も同じ要件(監査役・累積投票で選任された取締役の解任は特別決議)
- 補欠役員(329条3項): 選任決議の際に、欠員に備えて選任できる。定款の定めは不要
- 累積投票(342条): 2人以上の取締役の選任で株主が請求できる。定款で排除できる
- 欠員の措置(346条): 任期満了・辞任で退任した役員は後任の就任まで権利義務を有する。裁判所は一時役員を選任できる
誤り。違うのは「委任契約は,書面でしなければ,その効力を生じない」の部分である。委任は当事者の合意だけで成立する諾成・不要式の契約であり(643条)、準委任も同じである(656条)。
643条は、委任は当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生ずると定める。委任は意思表示の合致だけで成立する諾成契約であり、書面などの方式を要しない不要式の契約である。契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を要しない(522条2項)。民法で書面が効力要件とされているのは保証契約(446条2項)のように明文がある場合に限られ、委任についてそのような規定はない。法律行為でない事務の委託である準委任にも656条で委任の規定が準用されるから、方式の扱いは委任と全く同じである。実務では委任状や契約書が作られることが多いが、それは代理権の存在や事務の範囲を明らかにするための証拠にすぎず、契約の効力を生じさせる要件ではない。委任と準委任で方式に差があるとする肢は誤っている。

委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
誤り。違うのは「委任契約は,書面でしなければ,その効力を生じない」の部分である。委任は当事者の合意だけで成立する諾成・不要式の契約であり(643条)、準委任も同じである(656条)。
643条は、委任は当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生ずると定める。委任は意思表示の合致だけで成立する諾成契約であり、書面などの方式を要しない不要式の契約である。契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を要しない(522条2項)。民法で書面が効力要件とされているのは保証契約(446条2項)のように明文がある場合に限られ、委任についてそのような規定はない。法律行為でない事務の委託である準委任にも656条で委任の規定が準用されるから、方式の扱いは委任と全く同じである。実務では委任状や契約書が作られることが多いが、それは代理権の存在や事務の範囲を明らかにするための証拠にすぎず、契約の効力を生じさせる要件ではない。委任と準委任で方式に差があるとする肢は誤っている。

委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
正しい。報酬の特約がある委任が履行の中途で終了したときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求できる(648条3項2号)。
受任者は、特約がなければ委任者に報酬を請求できず(648条1項)、報酬を受けるべき場合でも、原則として事務を履行した後でなければ請求できない(同条2項)。もっとも同条3項は、委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき(1号)と、委任が履行の中途で終了したとき(2号)には、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求できると定める。委任は事務の処理そのものを目的とする契約であるから、処理を終えた範囲では、それに見合う報酬を認めるのが公平だからである。本肢は、報酬の特約がある委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了した場合であり、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求でき、肢は正しい。出題当時の648条3項は、受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了した場合に割合的な報酬を認めていたが、平成29年改正で中途で終了した場合一般に広げられた。本肢の場合はいずれの規定でも認められる。

受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。二 委任が履行の中途で終了したとき。
- 報酬(648条1項・2項):特約がなければ請求できない。報酬は後払いが原則
- 割合的報酬(648条3項):委任者の責めに帰することができない事由による不能・中途終了で、既にした履行の割合に応じて
- 費用の前払(649条):受任者の請求により前払する
- 費用の償還(650条1項):必要と認められる費用と支出の日以後の利息
- 代弁済・担保(650条2項):必要な債務を代わりに弁済させ、弁済期前なら担保を供させる
正しい。報酬の特約がある委任が履行の中途で終了したときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求できる(648条3項2号)。
受任者は、特約がなければ委任者に報酬を請求できず(648条1項)、報酬を受けるべき場合でも、原則として事務を履行した後でなければ請求できない(同条2項)。もっとも同条3項は、委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき(1号)と、委任が履行の中途で終了したとき(2号)には、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求できると定める。委任は事務の処理そのものを目的とする契約であるから、処理を終えた範囲では、それに見合う報酬を認めるのが公平だからである。本肢は、報酬の特約がある委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了した場合であり、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求でき、肢は正しい。出題当時の648条3項は、受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了した場合に割合的な報酬を認めていたが、平成29年改正で中途で終了した場合一般に広げられた。本肢の場合はいずれの規定でも認められる。

受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。二 委任が履行の中途で終了したとき。
- 報酬(648条1項・2項):特約がなければ請求できない。報酬は後払いが原則
- 割合的報酬(648条3項):委任者の責めに帰することができない事由による不能・中途終了で、既にした履行の割合に応じて
- 費用の前払(649条):受任者の請求により前払する
- 費用の償還(650条1項):必要と認められる費用と支出の日以後の利息
- 代弁済・担保(650条2項):必要な債務を代わりに弁済させ、弁済期前なら担保を供させる
誤り。違うのは②の「行政主体が当該私人との間で委任契約を締結することになる」の部分である。指定確認検査機関が建築確認を行う権限は、建築基準法の定めと大臣・知事の指定に基づくものであり、契約によって与えられるのではない。
①のとおり、建築基準法は国土交通大臣又は都道府県知事の指定を受けた指定確認検査機関が建築確認を行うことを認め、その確認を建築主事の確認とみなす(6条の2第1項、77条の18以下)。行政処分をする権限は組織規範である法律によって配分されるものであり、行政主体が私法上の契約で処分権限を私人に譲り渡すことはできない。指定確認検査機関の権限の根拠は、建築基準法の規定と、それに基づく大臣又は知事の指定という行政行為にあり、指定を受けた機関は業務の適正を確保するための監督処分や指定の取消しに服する(77条の35)。行政主体と機関との間に委任契約が結ばれるわけではないから、②は権限付与の法形式を誤っている。最決平17.6.24が、指定確認検査機関の確認に関する事務は建築主事が置かれた地方公共団体に帰属するとして地方公共団体への訴えの変更を認めたのも、機関が法律上地方公共団体に帰属する公権力の行使を法定の指定によって担っていることを前提にしている。

指定確認検査機関による確認に関する事務は、建築主事による確認に関する事務の場合と同様に、地方公共団体の事務であり、その事務の帰属する行政主体は、当該確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体である。
- 独立行政法人:確実な実施が必要だが国が直接行う必要のない公共上の事務等を担う。通則法と個別法という法律の根拠で設立され、主務大臣の目標設定と評価の下に置かれる(独立行政法人通則法2条1項)
- 地方公共団体:自治事務も法定受託事務も地方公共団体自身の事務として処理する。国の行政機関として行うのではない(地方自治法2条2項・8項・9項)
- 指定法人など私人:法律の定めと行政庁の指定に基づいて建築確認などの行政処分を行う。権限の根拠は法律と指定であり、行政主体との委任契約ではない(建築基準法6条の2、77条の18)
- 共通点:国以外の主体が行政を担う場合でも、担い手と権限の範囲は法律で定められ、国や地方公共団体は法律の定める関与や監督を通じて公共性を確保する
誤り。違うのは「委任契約の成立を第三者に主張するためには、書面によらなければならない」の部分である。委任は当事者の合意だけで効力を生ずる諾成・不要式の契約であり(643条)、第三者に主張するために書面を要するとする規定はない。
643条は、委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずると定める。委任は合意だけで成立する諾成契約であり、書面の作成などの方式も要しない不要式の契約である(522条2項参照)。委任契約が成立したことを第三者に主張するについて、書面によらなければならないとする規定も存在しない。実務では委任状が作成されることが多いが、それは受任者が代理権を持つことを相手方に示し、証明するための手段にすぎず、委任契約の成立要件でも、第三者への対抗要件でもない。物権の変動を第三者に主張するには登記などの対抗要件が必要とされるが、委任のような債権契約については、そのような対抗要件の制度は設けられていない。したがって、委任の成立を第三者に主張するには書面が必要とする本肢は誤りである。

委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
- 書面が効力要件:保証契約(446条2項・3項)、個人根保証の極度額の定め(465条の2第3項)、書面でする消費貸借(587条の2)
- 公正証書が効力要件:事業のための貸金等債務の個人保証の保証意思(465条の6)、事業用定期借地権、任意後見契約
- 諾成・不要式:売買・贈与・使用貸借・賃貸借・委任・請負・寄託・組合・死因贈与・抵当権設定契約
- 書面の有無で引渡し前の解除が変わる:贈与(550条)・使用貸借(593条の2)・無報酬の寄託(657条の2第2項)
































































