第938条相続の放棄の方式過去問 3
相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
この条文の過去問 3問
甲土地を所有するAが遺言をしないで死亡し,二人の子BCのうちBが相続放棄をしてCが唯一の相続人となった場合において,Bの債権者Dが甲土地についてBも共同相続したものとしてBのその持分を差し押さえ,その旨の登記がされたときは,Cは,Dに対し,登記をしなくても単独相続による甲土地の所有権の取得を対抗することができる。
解説
本肢は正しい。相続の放棄をした者は、その相続に関して初めから相続人とならなかったものとみなされる(民法939条)。判例は、民法が熟慮期間(915条)を定めて相続人に無条件の承継を強制しない趣旨を重視し、家庭裁判所への申述(938条)による放棄がされると相続人は相続開始時に遡って相続人でなかったのと同じ地位に置かれ、その効力は絶対的であって、何人に対しても登記なくして効力を生ずるとしている(最判昭和42年1月20日)。したがって、放棄者Bははじめから相続人でなかったことになり、甲土地はCが相続開始時から単独で承継したことになる。Bの持分は初めから存在しないから、Bが共同相続したものとしてされた登記は実体に符合しない無効の登記であり、これを前提とするDの差押えの登記も無効である。Dは、Bの持分について何らの権利も取得できず、177条の第三者として保護される余地がない。よって、Cは登記を経由しなくても、Dに対し単独相続による甲土地の所有権取得を対抗することができる。これに対し、遺産分割による法定相続分を超える取得については、分割後の第三者との関係で登記が必要とされ(民法899条の2第1項、最判昭和46年1月26日参照)、相続放棄とは扱いが異なる。
被相続人Aの子Bが相続放棄をした場合,Bの子Cが遺留分権利者となる。
解説
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特定遺贈の受遺者がする遺贈の放棄は,家庭裁判所に申述することを要しない。
解説
本肢は正しい。特定遺贈の受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈の放棄をすることができ(986条1項)、その意思表示は遺贈義務者(通常は相続人または遺言執行者)に対してすれば足りる。986条は放棄の方式について何ら定めておらず、家庭裁判所への申述を要求する規定は置かれていない。放棄がされると、その効力は遺言者の死亡の時に遡って生じる(986条2項)。なお、法律関係が長期に不確定となることを防ぐため、遺贈義務者その他の利害関係人は相当の期間を定めて承認・放棄の催告をすることができ、受遺者がその期間内に意思表示をしないときは承認したものとみなされる(987条)。
これに対し、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有する(990条)ため、その放棄には相続の放棄に関する規律が準用され、自己のために包括遺贈があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に(915条1項)、家庭裁判所に申述しなければならない(938条)。特定遺贈と包括遺贈とで放棄の方式・期間の規律が異なるのは、包括遺贈が相続財産に対する割合的承継であって消極財産(債務)の承継を伴い、第三者の利害に及ぼす影響が大きいことから、放棄の時期と方式を画一的に確定する必要があるためである。
したがって、特定遺贈の放棄につき家庭裁判所への申述を要しないとする本肢は正しい。