地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
この条文の過去問 8問
正しい。1042条1項は遺留分を有する者を兄弟姉妹以外の相続人とし、兄弟姉妹を明文で除いている。
1042条1項は、兄弟姉妹以外の相続人は遺留分を受けると定め、遺留分を持つ者を配偶者・子とその代襲相続人・直系尊属に限り、兄弟姉妹を明文で除いている。したがって、被相続人の兄弟姉妹は、実際に相続人となる場合(889条1項2号)でも遺留分を持たない。遺留分は相続人の生活の保障や、被相続人の財産形成への潜在的な貢献の清算を目的とする制度であるが、兄弟姉妹は通常は被相続人と生計を一つにしておらず、財産への期待も配偶者・子・直系尊属に比べて薄いので、被相続人が自由に財産を処分できることを優先させたのである。そのため、相続人が配偶者と兄弟姉妹だけであれば、全財産を配偶者に与える遺言をしておけば兄弟姉妹から遺留分侵害額を請求されることはない。兄弟姉妹を代襲する甥・姪も遺留分を持たない。

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一 二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一 2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。
正しい。各共有者は、持分の価格にかかわらず、単独で共有物の保存行為をすることができる(252条5項)。
共有物については、形状又は効用の著しい変更を伴う変更には共有者全員の同意が要り(251条1項)、管理に関する事項は各共有者の持分の価格に従ってその過半数で決める(252条1項)。これに対し252条5項は、各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができると定める。保存行為は共有物の現状を維持する行為であり、共有物の修繕、不法に占拠する者への明渡しの請求、実体と合わない登記の抹消の請求などがこれに当たる。こうした行為は他の共有者にとっても利益になり、不利益を生じさせないので、持分の大小にかかわらず、一人で他の共有者の承諾を得ずにすることが認められている。したがって、持分の価格が過半数に達しない共有者でも、他の共有者の承諾なしに保存行為をすることができる。令和3年の改正で、保存行為の根拠は改正前の252条ただし書から現行の252条5項に移された。

各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
| 場面 | 保存行為についての定め | 条文 |
|---|---|---|
| 権限の定めのない代理人 | 保存行為をする権限を有する | 103条1号 |
| 共有物 | 各共有者が単独ですることができる | 252条5項 |
| 動産の先取特権 | 動産の保存の費用について先取特権が成立する | 311条4号・320条 |
| 賃貸物 | 賃借人は賃貸人の保存行為を拒めない。目的を達せなくなれば解除できる | 606条2項・607条 |
| 相続財産 | 保存行為は処分に当たっても法定単純承認にならない | 921条1号ただし書 |
正しい。265条は地代の支払を地上権の内容としておらず、266条1項も地代を支払うべき場合に限って規定を準用するから、無償の地上権も設定できる。
265条は、地上権者は他人の土地において工作物又は竹木を所有するためその土地を使用する権利を有すると定めるだけで、対価の支払を地上権の要素としていない。これに対し、270条は永小作人を小作料を支払って他人の土地で耕作又は牧畜をする権利を有する者と定め、小作料の支払を権利の内容に組み込んでいる。両者の定め方の違いは、地上権では地代が必須でないことを示している。また266条1項は、永小作権の274条から276条までの規定を、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用するとしており、地代を支払う義務は設定行為でその旨を定めたときに生じるものであって、常に生じるわけではないことを前提としている。したがって、地上権者が地代を支払う義務のない無償の地上権も有効に設定することができ、本肢は正しい。賃料の支払を要素とする賃貸借(601条)とは、この点でも異なる。

第二百七十四条から第二百七十六条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。
| 地上権 | 土地の賃借権 | |
|---|---|---|
| 権利の性質 | 物権(265条) | 債権(601条) |
| 譲渡・賃貸(転貸) | 土地所有者の承諾は要らない | 賃貸人の承諾が要る(612条1項) |
| 対価 | 地代は要素でない(無償でもよい。266条1項) | 賃料の支払が要素(601条) |
| 存続期間 | 定めなくてもよい(268条) | 50年を超えられない(604条) |
| 担保の目的 | 抵当権(369条2項)・権利質(362条1項)の目的になる | — |
誤り。違うのは「地上権に基づく妨害排除請求権の行使として自動車を撤去するよう求めることはできない」の部分である。地上権も物権なので、地上権に基づく妨害排除請求権が認められる。
物権的請求権は明文の規定こそないが、事実上の支配にすぎない占有にすら占有の訴え(197条以下)が認められ、202条が占有の訴えとは別に本権の訴えがあることを前提にしていることから、物権に当然に認められる権利と解されている。物権的請求権は所有権だけのものではなく、物を直接に支配する物権一般に、その支配の内容に応じて認められる。地上権は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するためその土地を使用する権利であり(265条)、土地を使うことを内容とする物権なので、その使用が妨げられれば、地上権に基づく返還・妨害排除・妨害予防の請求ができる。本肢では、Aが地上権を持つ甲土地にBが自動車を無断で放置し、Aの土地の使用を妨げているので、Aは地上権に基づく妨害排除請求権を行使して、自動車の所有者Bにその撤去を求めることができる。肢は誤っている。

地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
- 種類:返還請求権・妨害排除請求権・妨害予防請求権。所有権に限らず地上権など物権一般に認められる
- 相手方の故意・過失:要らない(大判昭12.11.19)
- 相手方の行為能力:要らない
- 妨害予防請求権:侵害のおそれがあれば足り、過去の侵害は要らない
- 消滅時効:所有権に基づく物権的請求権は消滅時効にかからない(大判大5.6.23)
正しい。地上権は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利である(265条)。
265条は、地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有すると定めており、肢はこの定義のとおりである。地上権の目的は工作物又は竹木の所有に限られる。工作物には、建物のほか、橋、トンネル、鉄塔、地下鉄道など、土地に設けられた人工の設備が広く含まれ、竹木は植林した杉や檜などをいう。耕作や牧畜のために小作料を払って他人の土地を使う権利は永小作権であり(270条)、地上権とは別の物権である。地上権は物権なので、土地を直接に支配し、設定者の承諾なく譲渡や賃貸ができ、妨害があれば物権的請求権を行使できる点で、債権である土地の賃借権と性質が異なる。肢は正しい。

地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
| 地上権 | 土地の賃借権 | |
|---|---|---|
| 性質 | 物権(265条) | 債権(601条) |
| 登記請求権 | ある | 特約がなければない |
| 譲渡・転貸 | 設定者の承諾は要らない | 賃貸人の承諾が要る(612条1項) |
| 存続期間(民法) | 制限なし。永久も可。定めがなければ裁判所が20年以上50年以下で定める(268条2項) | 50年以内(604条) |
誤り。違うのは「設定することはできない」の部分である。地代は地上権の要素ではなく(265条)、無償の地上権も設定できる。
265条は、地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有すると定めるだけで、地代の支払を地上権の内容に含めていない。266条1項も、274条から276条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用すると定めており、地代は当事者が設定行為で定めた場合に生ずるものであることを前提にしている。地代が地上権に欠かせない要素であれば、支払わなければならない場合という限定を付けた準用規定を置く必要はない。これに対し、永小作権について270条は、永小作人は小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有すると定め、小作料の支払を権利の内容に組み込んでいる。265条と270条の文言を比べれば、民法は地上権には有償であることを求めていないことが分かる。したがって、無償の地上権を設定することはでき、本肢は誤りである。

地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
| 権利 | 対価 | 存続期間 |
|---|---|---|
| 地上権(265条) | 無償でもよい。地代は定めた場合だけ(266条1項) | 定めなくてもよい。定めなければ地上権者はいつでも放棄でき、放棄しなければ裁判所が20年以上50年以下で定める(268条) |
| 永小作権(270条) | 小作料が要素であり、無償では設定できない | 20年以上50年以下。定めなければ別段の慣習がない限り30年(278条) |
| 地役権(280条) | 対価の規定がなく、無償でもよい | 規定がなく、定めなくてもよい |
誤り。違うのは「土地の所有者に対し返還請求権を行使することはできない」の部分である。地上権は土地を使用する物権であり、地上権者は土地の所有者に対しても地上権に基づいて返還を請求できる。
265条は、地上権者は他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有すると定める。地上権は土地を直接支配して使用する物権であり、その内容として土地を占有する権利を含むから、地上権者は、土地の占有を妨げる者に対して、地上権に基づいて返還を請求できる。物権は誰に対しても主張できる権利であり、地上権を設定した土地の所有者であっても、地上権者の使用を妨げて土地を占有すれば、地上権の内容を侵害していることに変わりはない。所有権は地上権の範囲で制限されており、所有者は地上権の存続中は地上権者の使用を受忍しなければならないからである。したがって、地上権者は、土地の所有者が土地を占有している場合にも、その所有者に対して地上権に基づく返還請求権を行使できる。本肢は誤りである。

地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
- 所有権:返還請求できる(物権的請求権)
- 地上権:土地の所有者に対しても返還請求できる
- 対抗要件を備えた不動産賃借権:占有する第三者に返還請求できる(605条の4)
- 留置権:占有を失えば消滅するので返還請求できない(302条)。占有回収の訴えによる
- 一般先取特権:占有する権利を含まないので返還請求できない
- 占有の訴えと本権の訴え:互いに妨げない(202条1項)
正しい。民法の用益物権である地上権・永小作権・地役権・入会権は、いずれも他人の土地を目的とする物権であり、不動産にのみ成立する。
用益物権とは、他人の物を一定の範囲で使用・収益する物権であり、民法は地上権、永小作権、地役権、入会権を定める。地上権は工作物又は竹木を所有するため他人の土地を使用する権利(265条)、永小作権は小作料を支払って他人の土地で耕作又は牧畜をする権利(270条)、地役権は設定行為で定めた目的に従い他人の土地を自己の土地の便益に供する権利(280条)、入会権は村落の住民が山林原野などの土地を共同して利用する権利(263条・294条)である。いずれも土地の利用を目的とする権利として構成されているのは、動産の利用は賃貸借などの契約で足り、物権として長期・安定的に保護する必要が大きいのは土地の利用だからである。したがって、用益物権は不動産にのみ成立し、本肢は正しい。これに対し、担保物権には動産を目的とするもの(質権、動産の先取特権など)がある。

地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。






