売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う。
この条文の過去問 3問
誤り。違うのは「所有権移転登記手続を請求することができない」の部分である。他人物売買も有効であり、売主は権利を取得して移転し、対抗要件を備えさせる義務を負う(560条・561条)。
他人の権利を目的とする売買も契約として有効に成立し、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負う(561条)。権利が他人に属することは契約の無効原因ではなく、売主の債務の内容を定める事情にすぎない。さらに売主は、買主に対し、登記その他の権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う(560条)。したがって、甲土地がBの所有でなかったとしても、AB間の売買契約は有効であり、Bは甲土地の所有権を取得してAに移転し、その移転について登記を備えさせる義務を負う。Aはこの債権に基づいて、Bに対し所有権移転登記手続を請求することができる。売主が権利を取得できずに移転できなければ、買主は債務不履行の一般規定により解除や損害賠償を求めることになる。出題当時は旧560条が他人物売買の売主の義務を定めていたが、結論は現行法でも変わらない。

他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
正しい。他人物売買も有効であり、売主は権利を取得して移転し、対抗要件を備えさせる義務を負うので(560条・561条)、買主は売主名義の登記がなくても売買契約に基づき登記を請求できる。
他人の権利を目的とする売買も有効に成立し、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負い(561条)、買主に登記などの対抗要件を備えさせる義務も負う(560条)。これらは売買契約から生じる債権的な義務であり、これに対応して買主が持つ登記請求権も債権的な登記請求権である。債権的な登記請求権は契約の効力として生じるものであるから、売主自身が所有権を持っていることや、売主名義の登記があることは、その発生の要件ではない。したがって、土地の登記名義がなお所有者Cのままであっても、AはBに対し、売買契約に基づいてBからAへの移転登記を請求することができる。もっとも、BがCから所有権を取得しない限りその登記を現に実現することはできず、取得できなければ、Aは債務不履行として解除(542条1項1号)や損害賠償(415条)を求めることになる。請求できるかどうかと、現に実現できるかどうかは別の問題である。

売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う。
正しい。錯誤による意思表示を取り消せるのは表意者とその代理人・承継人に限られ(120条2項)、表意者Bにその意思がない以上、第三者Cは売買契約の効力を否定して明渡しを拒むことはできない。
錯誤の規定は、意思表示に対応する意思を欠くなどした表意者を守るための制度である。現行95条1項は錯誤の効果を取消しとし、錯誤によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り取り消すことができる(120条2項)。本肢のCは売買契約の当事者でもBの承継人でもない土地の占有者であり、取消権者に当たらないから、売買契約の効力を否定してBの所有権に基づく明渡請求を拒むことはできない。出題当時の旧95条は錯誤の効果を無効としていたが、判例(最判昭40.9.10)は、錯誤無効は表意者を守る制度であるから、表意者に無効を主張する意思がないときは第三者が無効を主張することは原則として許されないとしていた。本肢はBに無効を主張する意思がない場合であるから、出題当時の判例によっても現行法によっても結論は同じである。

錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。































































































