消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
この条文の過去問 15問
誤り。違うのは「Cは、甲の所有権を即時取得しない」の部分である。
192条は、取引行為によって平穏かつ公然と動産の占有を始めた者が善意無過失であれば、即時にその動産について権利を取得すると定める。消費貸借は、借主が受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物を返還することを約する契約であり(587条)、借りた物そのものを返すことは予定されていない。つまり目的物の所有権は借主に移り、借主は同じ種類・品質・数量の物を返す債務を負う。消費貸借は売買と同じく所有権の移転を伴う取引であり、動産取引の安全を保護すべき場面である。判例も、消費貸借の成立には借主が目的物の所有権を取得することを要するとして、即時取得を認めている(大判昭9.4.6)。Aは受寄者で処分権限のない無権利者であるが、Cは消費貸借によって種子甲の現実の引渡しを受け、Aを所有者と信じたことに過失もないので、甲の所有権を即時取得する。

取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
| 場面 | 成立 | 理由 |
|---|---|---|
| 消費貸借で無権利者から借りた | する | 所有権の移転を伴う取引行為である |
| 無権代理人から買った | しない | 補われるのは前主の無権利だけで、代理権の欠缺は表見代理の問題 |
| 取引自体が錯誤で取り消された | しない | 取引行為が有効であることが前提 |
| 占有改定で引渡しを受けた | しない | 外観上従来の占有状態に変更が生じない(最判昭35.2.11) |
| 相続で占有を承継した | しない | 相続は取引行為ではない |
誤り。違うのは「Cは、甲の所有権を即時取得しない」の部分である。
192条は、取引行為によって平穏かつ公然と動産の占有を始めた者が善意無過失であれば、即時にその動産について権利を取得すると定める。消費貸借は、借主が受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物を返還することを約する契約であり(587条)、借りた物そのものを返すことは予定されていない。つまり目的物の所有権は借主に移り、借主は同じ種類・品質・数量の物を返す債務を負う。消費貸借は売買と同じく所有権の移転を伴う取引であり、動産取引の安全を保護すべき場面である。判例も、消費貸借の成立には借主が目的物の所有権を取得することを要するとして、即時取得を認めている(大判昭9.4.6)。Aは受寄者で処分権限のない無権利者であるが、Cは消費貸借によって種子甲の現実の引渡しを受け、Aを所有者と信じたことに過失もないので、甲の所有権を即時取得する。

取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
| 場面 | 成立 | 理由 |
|---|---|---|
| 消費貸借で無権利者から借りた | する | 所有権の移転を伴う取引行為である |
| 無権代理人から買った | しない | 補われるのは前主の無権利だけで、代理権の欠缺は表見代理の問題 |
| 取引自体が錯誤で取り消された | しない | 取引行為が有効であることが前提 |
| 占有改定で引渡しを受けた | しない | 外観上従来の占有状態に変更が生じない(最判昭35.2.11) |
| 相続で占有を承継した | しない | 相続は取引行為ではない |
正しい。書面によらない消費貸借は、返還を約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって効力を生ずる(587条)。
587条は、消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずると定めており、肢はこの条文のとおりである。書面によらない消費貸借は、返還の約束だけでなく物の受取りがあって初めて成立する要物契約である。他方、587条の2第1項は、書面でする消費貸借は物の受取りがなくても、貸す約束と返す約束だけで効力を生ずるとしている。書面によらない口約束の貸し借りについては、実際にお金を渡した時に初めて契約の拘束力を認め、軽はずみな約束で貸す義務を負わせないようにしているのである。現在、要物契約として残っているのは書面によらない消費貸借だけであり、使用貸借や寄託は合意だけで成立する。肢は正しい。

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
- 成立:書面によらなければ物の受取りで成立(587条)。書面・電磁的記録でするときは合意で成立(587条の2第1項・4項)
- 受取り前の解除:書面でする消費貸借は借主だけが解除できる。貸主は損害賠償を請求できる(587条の2第2項)
- 利息:特約がなければ請求できない(589条1項)
- 契約不適合の物:借主はその物の価額を返還できる(590条2項)
- 返還:借主は時期の定めがあってもいつでも返還できる。貸主は損害の賠償を請求できる(591条2項・3項)
正しい。貸金返還請求権と利息請求権は別個の訴訟物であり、申立てのない利息の支払を命じることは246条に反する。
246条は、裁判所は当事者が申し立てていない事項について判決をすることができないと定める。判例は実体法上の請求権ごとに訴訟物を捉える立場をとっており、元本である貸金の返還請求権と、その利息の支払請求権とは、発生の根拠も内容も異なる別個の請求権である。したがって、貸金100万円の返還だけを求める訴えでは、利息請求権は審判の対象になっておらず、裁判所が利息の発生を認定できたとしても、その支払を命じれば申し立てていない事項について判決をすることになる。原告が利息まで請求するかどうかは原告の処分に委ねられ、被告も申立ての範囲を前提に防御しているから、それを超える判決は被告に対する不意打ちにもなるからである。利息を求めるなら、原告が請求を追加する訴えの変更をしなければならない。肢は246条どおりである。

裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。
| 場面 | 判決 | 246条との関係 |
|---|---|---|
| 給付請求で履行期未到来 | 確認判決はできない(大判大8.2.6) | 給付の申立てに確認の申立ては含まれない |
| 元本請求に対し利息を認める | できない | 利息請求権は別の訴訟物 |
| 引渡請求に対し損害賠償を命じる | できない(訴えの変更が必要) | 損害賠償請求権は別の訴訟物 |
| 主張より多い反対給付との引換給付 | 格段の相違のない範囲でできる(最判昭46.11.25) | 申立ての内側の一部認容 |
| 同一事故の人身損害で費目間の流用 | 総額の範囲でできる(最判昭48.4.5) | 訴訟物は一個 |
誤り。違うのは「借主が貸主から合意した金銭を受け取るまでは、その効力を生じない」の部分である。書面でする消費貸借は、金銭を受け取る前でも合意によって効力を生ずる(587条の2第1項)。
587条の消費貸借は、借主が金銭その他の物を受け取ることによって効力を生ずる要物契約である。これに対し、587条の2第1項は、前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって効力を生ずると定める。融資の実務では金銭を渡す前に貸す約束の拘束力を認める必要があるので、書面で合意を明確にした場合には合意だけで成立するとした。したがって、書面による金銭消費貸借は、借主が金銭を受け取る前でも効力を生じ、肢は誤っている。もっとも、借りる必要がなくなった借主を守るため、借主は金銭を受け取るまで契約を解除でき、貸主はそれで損害を受ければ賠償を請求できる(同条2項)。金銭を受け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、契約は効力を失う(同条3項)。

前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
- 書面(電磁的記録を含む)が効力要件:保証契約(446条2項・3項)、個人根保証の極度額の定め(465条の2第3項)
- 書面でする消費貸借(587条の2):合意で成立する。借主は受け取るまで解除できる
- 公正証書が効力要件:事業のための貸金等債務の個人保証の保証意思(465条の6)、事業用定期借地権の設定(借地借家法23条3項)
- 公正証書による等書面:一般定期借地権の特約(借地借家法22条)
- 書面の有無で引渡し前の解除が変わる:贈与(550条)・使用貸借(593条の2)・無報酬の寄託(657条の2第2項)
正しい。借主の指示に基づいて第三者に金銭を交付した場合も、借主が受け取ったことになり、金銭消費貸借は効力を生ずる(大判昭11.6.16)。
587条の消費貸借は、借主が金銭その他の物を受け取ることによって効力を生ずる。しかし、ここでいう受取りは、借主本人の手に現実に金銭が渡ることまでは要しない。判例は、貸主が借主の指示に従って借主の債権者などの第三者に直接金銭を交付した場合でも、金銭消費貸借は成立するとしている(大判昭11.6.16)。経済的には、借主がいったん金銭を受け取ってそれを第三者に払ったのと変わらず、借主は交付された金銭の価値を現に得ているからである。受取りを形式的に考えると、借りたお金をそのまま借主の支払に充てるという日常的な取引が消費貸借にならなくなってしまう。現在は書面でする消費貸借が合意だけで成立するので(587条の2第1項)、この問題が生ずるのは書面によらない消費貸借に限られる。肢は正しい。

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
- 成立:書面によらなければ物の受取りで成立(587条)。書面でするときは合意で成立(587条の2第1項)
- 受取りの方法:借主の指示で第三者に交付しても受け取ったことになる(大判昭11.6.16)
- 利息:特約がなければ請求できない(589条1項)。特約があれば受け取った日以後の利息を請求できる(589条2項)
- 返還の場所:別段の意思表示がなければ貸主の現在の住所(484条1項)
正しい。借主の指示に基づいて第三者に金銭を交付した場合も、借主が受け取ったことになり、金銭消費貸借は効力を生ずる(大判昭11.6.16)。
587条の消費貸借は、借主が金銭その他の物を受け取ることによって効力を生ずる。しかし、ここでいう受取りは、借主本人の手に現実に金銭が渡ることまでは要しない。判例は、貸主が借主の指示に従って借主の債権者などの第三者に直接金銭を交付した場合でも、金銭消費貸借は成立するとしている(大判昭11.6.16)。経済的には、借主がいったん金銭を受け取ってそれを第三者に払ったのと変わらず、借主は交付された金銭の価値を現に得ているからである。受取りを形式的に考えると、借りたお金をそのまま借主の支払に充てるという日常的な取引が消費貸借にならなくなってしまう。現在は書面でする消費貸借が合意だけで成立するので(587条の2第1項)、この問題が生ずるのは書面によらない消費貸借に限られる。肢は正しい。

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
- 成立:書面によらなければ物の受取りで成立(587条)。書面でするときは合意で成立(587条の2第1項)
- 受取りの方法:借主の指示で第三者に交付しても受け取ったことになる(大判昭11.6.16)
- 利息:特約がなければ請求できない(589条1項)。特約があれば受け取った日以後の利息を請求できる(589条2項)
- 返還の場所:別段の意思表示がなければ貸主の現在の住所(484条1項)
正しい。賃貸借は物を使用収益させる契約で所有権は移転しないが、消費貸借は借主が受け取った物を消費して同種の物を返す契約なので、所有権は借主に移転する。
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方が賃料を支払い、引渡しを受けた物を契約終了時に返還することを約する契約である(601条)。賃借人が得るのは目的物を使用収益する権利にとどまり、借りた物そのものを返さなければならないので、所有権は賃貸人に残る。これに対し消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約して、相手方から金銭その他の物を受け取る契約である(587条)。借主が返すのは受け取った物そのものではなく同種・同等・同量の別の物であり、受け取った物を消費することが契約の内容として予定されている。消費するには処分の権限が必要であるから、目的物の所有権は引渡しによって借主に移転する。本肢はこの違いを正しく述べている。

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
| 項目 | 賃貸借 | 消費貸借 |
|---|---|---|
| 目的物の所有権 | 移転しない(使用収益させる) | 借主に移転する(同種・同等・同量の物を返す) |
| 成立 | 諾成契約(601条) | 要物契約(587条)。書面でするなら諾成(587条の2) |
| 期間・返還時期の定めがない場合 | 各当事者はいつでも解約の申入れ。土地1年・建物3か月・動産1日で終了(617条1項) | 貸主は相当の期間を定めて催告(591条1項)。借主はいつでも返還できる(591条2項) |
| 賃料・利息の支払時期 | 614条は任意規定 | 合意で定める(利息は特約がなければ請求できない。589条1項) |
誤り。違うのは「その合意は無効である」の部分である。書面でする消費貸借は、引き渡す約束と返還の約束だけで効力を生じる(587条の2第1項)。
賃貸借は、601条が「約することによって、その効力を生ずる」と定めるとおり、合意だけで成立する諾成契約であり、本肢の前段は正しい。消費貸借は、587条により、借主が金銭その他の物を受け取ることによって効力を生じる要物契約とされている。しかし587条の2第1項は、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約することによって効力を生ずると定め、諾成的な消費貸借を認めている。電磁的記録でした場合も書面によるものとみなされる(同条4項)。したがって、引渡しを約する合意が要物契約であることを理由に一律に無効となるわけではない。出題当時は明文がなかったが、契約自由の原則から諾成的消費貸借も有効と解されていたので、本肢は当時も誤りであった。

前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
| 項目 | 賃貸借 | 消費貸借 |
|---|---|---|
| 目的物の所有権 | 移転しない(使用収益させる) | 借主に移転する(同種・同等・同量の物を返す) |
| 成立 | 諾成契約(601条) | 要物契約(587条)。書面でするなら諾成(587条の2) |
| 期間・返還時期の定めがない場合 | 各当事者はいつでも解約の申入れ。土地1年・建物3か月・動産1日で終了(617条1項) | 貸主は相当の期間を定めて催告(591条1項)。借主はいつでも返還できる(591条2項) |
| 賃料・利息の支払時期 | 614条は任意規定 | 合意で定める(利息は特約がなければ請求できない。589条1項) |
正しい。貸主は特約がなければ借主に利息を請求できない(589条1項)ので、利息の約定がなければ無利息の消費貸借となる。
589条1項は、貸主は、特約がなければ借主に対して利息を請求することができないと定めており、本肢はその条文どおりである。消費貸借は、借主が種類、品質及び数量の同じ物を返還することを約して物を受け取る契約であり(587条)、利息はその本質的な要素ではない。そのため、利息を付けて返すのであれば当事者がその旨を約束する必要があり、約束がなければ無利息の消費貸借となる。親族や知人の間での貸し借りのように、無償で貸すことも少なくないからである。出題当時は明文がなかったが、同じ結論が通説とされており、平成29年改正で明文化された。なお、商人の間で金銭の消費貸借をしたときは、特約がなくても貸主は法定利息を請求できる(商法513条1項)。本肢は民法上の消費貸借についてのものであるから、利息の約定がなければ無利息となる。

貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない。
正しい。消費貸借の目的物は「金銭その他の物」であり、金銭に限られない(587条)。
587条は、消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずると定める。消費貸借は、借主が借りた物そのものを消費し、同じ種類・品質・数量の別の物を返す契約であるから、目的物は同じ物で返すことのできる代替物であれば足り、金銭に限られない。米や酒、灯油などを借りて後日同じ量を返す約束も消費貸借である。これに対し、借りた物そのものを返す使用貸借や賃貸借では、目的物は特定の物となる。現実の取引では金銭の貸し借りが大半を占めるが、民法は目的物を金銭に限定していない。なお、利息の制限など金銭の消費貸借に固有の規律は、利息制限法などの特別法に置かれている。本肢は同条の内容どおりである。

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
誤り。違うのは「書面でしなければ,その効力を生じない」の部分である。消費貸借は目的物を受け取ることによって効力を生じ、無利息であっても書面は要求されていない(587条)。
587条は、消費貸借は返還を約して金銭その他の物を受け取ることによって効力を生ずると定めており、目的物の受取りがあれば、書面がなくても消費貸借は成立する。無利息であるか利息付きであるかで、この成立要件は変わらない。現行法は、これとは別に、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方が受け取った物と同じ物で返還することを約することによって効力を生ずるとし(587条の2第1項)、目的物の受取り前でも合意だけで成立する消費貸借を認めた。書面を要求したのは、受取り前に合意だけで貸す義務を負わせる場合に、当事者に慎重な判断をさせるためである。しかし、これは要物の消費貸借に加えて別の成立の方法を設けたものにすぎず、無利息の金銭消費貸借に書面を要求する規定はない。本肢は書面を効力発生の要件としている点が誤りである。

前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
| 要物の消費貸借(587条) | 書面でする消費貸借(587条の2) | |
|---|---|---|
| 成立 | 目的物を受け取った時 | 書面による合意の時 |
| 受取り前の解除 | 問題にならない | 借主はできる。貸主は損害賠償を請求できる(2項) |
| 受取り前の破産 | 問題にならない | 当事者の一方が破産手続開始の決定を受ければ効力を失う(3項) |
| 利息の有無 | 有償・無償とも書面は不要 | 書面か電磁的記録が必要 |
正しい。貸金債権と利息債権は実体法上別個の権利であり、旧訴訟物理論に立つ判例の下では訴訟物は複数である。
判例は、実体法上の請求権を基準に訴訟物を数える旧訴訟物理論に立つ。貸金債権は消費貸借契約に基づいて元本の返還を求める権利であり(民法587条)、利息債権は利息の特約に基づいて元本の使用の対価を求める権利であって(民法589条)、発生の根拠も内容も異なる別個の権利である。利息債権は元本債権に付随して生じるが、いったん発生した支分権としての利息債権は元本債権とは独立に譲渡や弁済の対象になるから、一つの訴えで両方を請求すれば、訴訟物が複数ある請求の併合(136条)となる。そのため、判決では元本と利息のそれぞれについて請求の当否を判断し、一部だけを認容することもできる。肢は訴訟物が複数であるとしており、正しい。

訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。一 当事者及び法定代理人 二 請求の趣旨及び原因
| 主張の組合せ | 訴訟物 | 理由 |
|---|---|---|
| 同じ事故による同じ身体傷害の治療費・逸失利益・慰謝料 | 1個 | 原因事実と被侵害利益が共通で、賠償請求権は一つ(最判昭48.4.5) |
| 同じ賃貸借契約の終了原因(賃料不払解除・用法違反解除)を複数主張 | 1個 | 終了原因は攻撃防御方法にすぎない |
| 貸金債権と利息債権 | 複数 | 実体法上別個の権利 |
| 貸金返還請求権と保証債務履行請求権 | 複数 | 発生原因も債務者も異なる別個の権利 |
| 所有権に基づく明渡請求と賃貸借終了に基づく明渡請求 | 複数 | 実体法上の請求権ごとに数える |
誤り。違うのは「給付義務が1個であるから,訴訟物は1個である」の部分である。貸金返還請求権と保証債務履行請求権は実体法上別個の権利であり、訴訟物は2個である。
判例は、実体法上の請求権ごとに訴訟物を数える旧訴訟物理論に立つ。肢のXは、Yに貸し付けたことを理由とする消費貸借契約に基づく貸金返還請求権(民法587条)と、AのXに対する借入債務をYが保証したことを理由とする保証債務履行請求権(民法446条)とを主張している。両者は、発生原因となる契約が違い、主たる債務者がYかAかも違う別個の権利であるから、求める金額が同じ1000万円で、実際に受け取れるのが1000万円にとどまるとしても、訴訟物は二つであり、肢の主張は予備的併合(主位的に貸金、予備的に保証)となる。給付が1回で足りることを理由に訴訟物を一つとみるのは、一回の給付を求める法的地位を訴訟物とする新訴訟物理論の考え方であり、判例はこれを採らない。肢は誤りである。

訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。一 当事者及び法定代理人 二 請求の趣旨及び原因
| 主張の組合せ | 訴訟物 | 理由 |
|---|---|---|
| 同じ事故による同じ身体傷害の治療費・逸失利益・慰謝料 | 1個 | 原因事実と被侵害利益が共通で、賠償請求権は一つ(最判昭48.4.5) |
| 同じ賃貸借契約の終了原因(賃料不払解除・用法違反解除)を複数主張 | 1個 | 終了原因は攻撃防御方法にすぎない |
| 貸金債権と利息債権 | 複数 | 実体法上別個の権利 |
| 貸金返還請求権と保証債務履行請求権 | 複数 | 発生原因も債務者も異なる別個の権利 |
| 所有権に基づく明渡請求と賃貸借終了に基づく明渡請求 | 複数 | 実体法上の請求権ごとに数える |
正しい。元本が交付されなかった以上、貸金の返還債権は発生しておらず、被担保債権が存在しないので、抵当権設定者は設定登記の抹消を求めることができる。
587条は、消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって効力を生ずると定め、消費貸借は原則として要物契約である。元本が交付されなければ消費貸借は成立せず、貸金の返還債権も発生しないから、抵当権の被担保債権が存在しないことになり、付従性により抵当権も成立しない。したがって、抵当権設定者は抵当権者に対して設定登記の抹消を求めることができる。出題当時の消費貸借は要物契約に限られていた。平成29年改正(令和2年4月施行)で書面でする消費貸借(587条の2)が設けられ、合意だけで契約が成立するようになったが、同条1項でも借主の返還債務は「受け取った物」について生じるとされているから、元本の交付がなかった場合に返還債権が発生しないことに変わりはなく、本肢の結論は変わらない。

前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
- 将来債権・条件付債権:被担保債権とすることができ、設定登記の抹消は求められない
- 元本が交付されなかった貸金:被担保債権が発生しておらず、抹消を求められる
- 公序良俗違反の貸金:抵当権の設定だけでは708条の給付に当たらず、抹消を求められる
- 流用登記:流用の前に現れた後順位抵当権者には対抗できない
- 代位弁済:抵当権は代位弁済者に移転して存続し、設定者は抹消を求められない(499条・501条1項)






























