次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。共益の費用雇用関係子の監護の費用葬式の費用日用品の供給
1 共益の費用
2 雇用関係
3 子の監護の費用
4 葬式の費用
5 日用品の供給
この条文の過去問 15問
誤り。違うのは「日用品の供給の先取特権が葬式の費用の先取特権に優先する」の部分である。
306条は、一般の先取特権として、共益の費用(1号)、雇用関係(2号)、葬式の費用(3号)、日用品の供給(4号)の四つを挙げ、これらが競合する場合の順位は306条各号に掲げる順序に従う(329条1項)。条文の並び順がそのまま優劣を示しており、3号の葬式の費用の先取特権が4号の日用品の供給の先取特権に優先する。この順序は、それぞれが守ろうとする利益の性質による。共益の費用は債権者全体のために使われたので最優先とされ、雇用関係は労働者の生活の基盤である給料を守る要請が強いので次に置かれる。葬式の費用は資力のない者も最低限の葬送を受けられるようにするためのものであり、日用品の供給は生活必需品の供給者を守るものである。本肢は葬式の費用と日用品の供給の順位を逆にしている。

一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百六条各号に掲げる順序に従う。
| 順位 | 種類 | 範囲 |
|---|---|---|
| 1 | 共益の費用(307条) | 債権者の共同の利益のための保存・清算・配当の費用。全員に有益でないものは利益を受けた債権者に対してのみ |
| 2 | 雇用関係(308条) | 給料その他の雇用関係に基づく債権 |
| 3 | 葬式の費用(309条) | 債務者の葬式、債務者が扶養すべき親族のためにした葬式の相当額 |
| 4 | 日用品の供給(310条) | 最後の6か月間の飲食料品・燃料・電気。債務者は自然人に限る(最判昭46.10.21) |
誤り。違うのは「雇用関係の先取特権が優先する」の部分である。
雇用関係の先取特権は、債務者の総財産を目的とする一般の先取特権である(306条2号・308条)。これに対し、不動産の賃貸の先取特権は、賃借人が建物などに備え付けた動産など特定の動産を目的とする動産の先取特権である(311条1号・312条以下)。したがって、本肢は一般の先取特権と特別の先取特権の競合の問題となる。329条2項本文は、一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は一般の先取特権に優先すると定める。特別の先取特権は、特定の目的物の価値を保ったり作ったりした関係や、その物を担保としてあてにした関係に基づいて認められるので、目的物との結び付きが強く、債務者の財産全体に広く及ぶだけの一般の先取特権より優先させたのである。したがって、不動産の賃貸の先取特権が雇用関係の先取特権に優先する。

一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。
正しい。329条2項ただし書により、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に優先する。
競売の執行費用は債権者全体の共同の利益のために出された費用なので共益の費用に当たり、これを担保する共益の費用の先取特権は一般の先取特権である(306条1号・307条)。これに対し、不動産賃貸の先取特権は、賃借人が建物に備え付けた動産の上に成立する特別の先取特権である(311条1号・313条2項)。一般の先取特権と特別の先取特権が競合する場合は特別の先取特権が優先するのが原則であり(329条2項本文)、それによれば不動産賃貸の先取特権が優先しそうである。しかし同項ただし書は、共益の費用の先取特権はその利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を持つとする。執行費用が出されなければ目的物の換価も配当もできなかったので、その利益を受けた債権者に費用を負担させるのが公平だからである。賃貸人も競売で利益を受けるので、執行費用の先取特権が優先する。

一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。
誤り。違うのは「その払渡しの前に代金債権を差し押さえなければならない」の部分である。
304条1項ただし書が、目的物に代わる金銭などの払渡し又は引渡しの前に差押えを求めるのは、代わりの価値が債務者の一般財産に混ざって特定できなくなるのを防ぎ、第三債務者や第三者の立場を安定させるためである。この要請が働くのは、特定の目的物だけをつかむ特別の先取特権について、つかんだ価値が形を変えた場合であり、一般の先取特権には当てはまらない。一般の先取特権は債務者の総財産の上に成立する(306条)ので、債務者が動産を売って得る代金債権も、そのまま総財産の一部として一般の先取特権の効力が及ぶ対象となる。したがって、一般の先取特権者は物上代位という仕組みによらず、その代金債権について直接優先弁済を主張でき、払渡し前に差し押さえなければ権利を失うという関係にはない。本肢は一般の先取特権にも差押えを求める点で誤っている。

次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。一 共益の費用 二 雇用関係 三 子の監護の費用 四 葬式の費用 五 日用品の供給
誤り。違うのは「債務者以外の者の財産についても成立する」の部分である。一般の先取特権は債務者の総財産の上に成立する(306条)。
306条は、共益の費用、雇用関係、子の監護の費用、葬式の費用、日用品の供給という原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有すると定める。条文が担保の対象を債務者の総財産と明示している以上、債務者以外の者の財産の上に一般の先取特権が成立することはない。先取特権は、債権の性質に着目して法律上当然に認められる法定担保物権であるから、質権や抵当権のように当事者の合意で第三者の財産の上に設定することもできない。動産の先取特権(311条)や不動産の先取特権(325条)も、債務者の特定の動産・不動産を目的とする。肢は債務者以外の者の財産についても成立するとしており、誤っている。なお、子の監護の費用は令和6年改正で加わった原因であり、出題当時は4つの原因であったが結論は変わらない。

次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。一 共益の費用 二 雇用関係 三 子の監護の費用 四 葬式の費用 五 日用品の供給
| 担保物権 | 債務者以外の者の財産 | 根拠 |
|---|---|---|
| 留置権 | 成立する | 295条1項(他人の物) |
| 一般の先取特権 | 成立しない | 306条(債務者の総財産) |
| 質権 | 設定できる(物上保証) | 342条(債務者又は第三者) |
| 抵当権 | 設定できる(物上保証) | 369条1項(債務者又は第三者) |
誤り。違うのは「全ての特別の先取特権に優先する」の部分である。一般の先取特権と特別の先取特権では特別が優先し、共益の費用の先取特権が優先するのはその利益を受けた債権者に対してだけである(329条2項)。
共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存・清算・配当の費用について生じ(306条1号・307条1項)、債務者の総財産を目的とする一般の先取特権である。329条2項は、一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は一般の先取特権に優先し、ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有すると定める。共益の費用が優先するのは、その費用によって利益を受けた者がその費用を負担すべきだからであり、優先する範囲も利益を受けた債権者との関係に限られる。利益を受けていない特別の先取特権者にまで当然に優先するわけではない。したがって、すべての特別の先取特権に優先するとする本肢は誤りである。また、一般の先取特権は、不動産については登記をした第三者に対抗できないから(336条ただし書)、登記をした不動産の特別の先取特権に対しても優先できない。

一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。
- 一般と特別の競合(329条2項):特別が優先。ただし共益の費用はその利益を受けた債権者に優先する
- 動産の特別の先取特権(330条1項):第一順位は不動産の賃貸・旅館の宿泊・運輸、第二順位は動産の保存、第三順位は動産の売買・種苗肥料の供給・農業と工業の労務
- 果実(330条3項):農業の労務、種苗又は肥料の供給、土地の賃貸の順
- 不動産の特別の先取特権(331条1項):保存、工事、売買の順
- 同一順位(332条):債権額の割合に応じて弁済を受ける
- 抵当権との関係(339条):登記をした不動産保存・不動産工事の先取特権は抵当権に先立つ
正しい。雇用関係の先取特権は雇用関係に基づいて生じた債権について総財産の上に存在し、未払の期間による限定はない(306条2号・308条)。
雇用関係の先取特権は一般の先取特権の一つであり、債務者の総財産の上に成立する(306条2号)。308条は、その被担保債権を「給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権」と定めるだけで、未払の期間による限定を置いていない。したがって、給料が何か月分未払であっても、従業員は会社の総財産について先取特権を有し、給料のほか退職金など雇用関係から生じた債権も広く担保される。かつての308条は最後の6か月間の給料に被担保債権を限っていたが、平成15年の担保法の改正で、労働者の生活を守る必要が大きいことから期間の制限が削られた。労働の対価は債務者の財産の形成に寄与しており、使用人は他に生計の手段を持たないことが多いので、一般債権者に先立って弁済を受けさせるのである。本肢はこの現行の規律のとおりである。

雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。
正しい。一般の先取特権は債務者の総財産を目的とするから、動産の売却で債務者が取得した代金債権にも当然に及び、304条1項ただし書の差押えは要らない。
先取特権は目的物の売却・賃貸・滅失・損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使できるが、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない(304条1項)。この差押えは、目的物に代わる価値の上に担保権を及ぼす物上代位の場面で、代わりの価値を特定し、第三債務者や第三者の地位を守るために求められる。これに対し、一般の先取特権は、共益の費用・雇用関係・子の監護の費用・葬式の費用・日用品の供給という原因によって、特定の物ではなく債務者の総財産の上に成立する(306条)。債務者の動産が売却されて買主に引き渡されても、それによって債務者が取得する代金債権自体が債務者の総財産に含まれるから、一般の先取特権は当然にその上に及ぶ。目的物の価値の変形物を追いかける物上代位の構成をとる必要がなく、代わりの価値を特定するための差押えを求める理由もない。したがって肢は正しい。

次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。一 共益の費用 二 雇用関係 三 子の監護の費用 四 葬式の費用 五 日用品の供給
正しい。一般の先取特権は債務者の総財産の上に成立するので、売却で生じた代金債権もはじめから目的財産であり、304条1項ただし書の差押えは要らない。
先取特権は、目的物の売却などによって債務者が受けるべき金銭に対しても行使できるが、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない(304条1項)。この差押えは、目的物に代わる価値に担保の効力を及ぼす物上代位の場面で、その価値を特定し、第三債務者や第三者を保護するためのものである。しかし、一般の先取特権は、特定の物ではなく債務者の総財産の上に成立する(306条)。債務者の動産が売却されて買主に引き渡されても、それによって債務者が取得する代金債権そのものが債務者の総財産に含まれるので、当然に一般の先取特権の目的となる。目的物の価値の変形物を追いかける物上代位を考える必要がないのである。したがって、一般の先取特権者は、払渡しの前に差押えをしなくても、代金債権について先取特権を行使できる。ただし、まず不動産以外の財産から弁済を受けなければならない(335条1項)。

先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
正しい。共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先するので(329条2項ただし書)、競売の執行費用の先取特権は賃貸人の先取特権に優先する。
家屋の賃貸人が賃料債権について持つ先取特権は、賃借人が建物に備え付けた動産の上に及ぶ特別の先取特権である(311条1号・312条・313条2項)。他方、その動産を競売するのに要した執行費用は、各債権者の共同の利益のために支出された費用であるから共益の費用に当たり、一般の先取特権を生じる(306条1号・307条1項)。一般の先取特権と特別の先取特権が競合すれば原則として特別の先取特権が優先するが(329条2項本文)、同項ただし書は、共益の費用の先取特権はその利益を受けたすべての債権者に対して優先すると定める。執行費用が支出されたからこそ目的物が換価され、他の債権者も配当を受けられるので、その費用を最初に回収させるのが公平だからである。本肢では、家具の競売によって賃貸人も配当という利益を受けるので、執行費用の先取特権が賃貸人の先取特権に優先する。

一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。
- 一般の先取特権と特別の先取特権:特別の先取特権が優先する。ただし共益の費用の先取特権は利益を受けたすべての債権者に優先する(329条2項)
- 第一順位(330条1項1号):不動産の賃貸、旅館の宿泊、運輸
- 第二順位(同項2号):動産の保存
- 第三順位(同項3号):動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務、工業の労務
- 動産質権(334条):第一順位の先取特権者と同じ権利を持つ
正しい。雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する(308条)。
306条は、債務者の総財産について一般の先取特権が成立する原因として、共益の費用、雇用関係、子の監護の費用、葬式の費用、日用品の供給を挙げ、雇用関係はその2号に当たる。そして308条は、雇用関係の先取特権は給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在すると定める。労務の対価で生活する使用人の生計を守るため、他の一般債権者に先立って債務者の総財産から弁済を受けられるようにしたのである。被担保債権は給料に限られず、雇用関係に基づいて生じた債権であれば、退職金や賞与なども含まれる。かつては最後の6か月間の給料に限られていたが、平成15年の改正でこの限定が外され、現在の文言になった。期間や費目を限らないことで、使用人の保護を厚くしたのである。本肢は同条の文言どおりである。

雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。
正しい。一般の先取特権は債務者の総財産について存在するので(306条)、債務者が所有物の代償として支払を受けた金銭もその総財産に含まれ、先取特権を行使することができる。
306条は、共益の費用、雇用関係、子の監護の費用、葬式の費用、日用品の供給によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有すると定める。一般の先取特権は、特定の物ではなく債務者の財産全体を目的とするものであり、債務者の財産に属するものである限り、不動産、動産、債権のいずれにも及ぶ。債務者がその所有物を売却したり、所有物の滅失によって損害賠償や保険金を受け取ったりした場合、その代償として支払を受けた金銭は債務者の総財産に属することになるので、一般の先取特権の効力がそのまま及ぶ。特定の物を目的とする先取特権では、目的物が代償の金銭に変わったときに効力を及ぼすため物上代位(304条)が必要となり、払渡し前の差押えも求められるが、一般の先取特権ではそもそも総財産が目的であるから、物上代位を持ち出すまでもない。したがって、本肢は正しい。

次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。一 共益の費用 二 雇用関係 三 子の監護の費用 四 葬式の費用 五 日用品の供給
正しい。雇用関係によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する(306条2号・308条)。
306条は、共益の費用、雇用関係、子の監護の費用、葬式の費用、日用品の供給によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有すると定め、308条は、雇用関係の先取特権は給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在すると定める。労働者は報酬によって生活しており、使用者が倒産するなどして報酬が支払われないと生活の基盤を失う。そこで、労働者の生活を保護するという社会政策的な理由から、報酬債権について使用者の総財産から一般債権者に先立って弁済を受ける法定担保物権を認めたのである。退職金も雇用関係に基づいて生じた債権に当たる。本肢は正しい。

雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。
正しい。一般先取特権は債務者の総財産から優先弁済を受ける権利であり、物を占有する権利を含まないので、それに基づいて返還請求権を行使することはできない。
本権とは、所有権や賃借権のように、物の占有を正当化する法律上の権利をいい、本権の訴えとは、本権に基づいて物の返還などを求める訴えである。306条は、一般の先取特権は債務者の総財産について成立すると定め、303条は、先取特権者は債務者の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有すると定める。一般先取特権は、債務者の財産の交換価値から優先弁済を受けることを内容とする権利であり、目的物を占有したり留め置いたりする効力を持たない。占有する権利を含まない以上、それを根拠に占有者に対して物の引渡しを求めることはできず、返還請求権を内容とする本権の訴えは成り立たない。一般先取特権者は、債務者の財産に対する強制執行や配当の場面で優先権を主張することになる。本肢は正しい。

先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
- 所有権:返還請求できる(物権的請求権)
- 地上権:土地の所有者に対しても返還請求できる
- 対抗要件を備えた不動産賃借権:占有する第三者に返還請求できる(605条の4)
- 留置権:占有を失えば消滅するので返還請求できない(302条)。占有回収の訴えによる
- 一般先取特権:占有する権利を含まないので返還請求できない
- 占有の訴えと本権の訴え:互いに妨げない(202条1項)
誤り。違うのは「時間的に先に成立した物権が優先する」の部分である。対抗要件を要しない先取特権の優劣は、成立の前後ではなく法律の定める順位による(329条以下)。
物権相互の優劣は、対抗要件を要する物権であれば対抗要件を備えた先後によって、対抗要件を要しない物権であれば成立の先後によって決まるのが一般原則である。しかし、対抗要件を要しない物権である先取特権は、一定の債権を特に保護するという政策的理由から法律が認める担保物権であるから、その優劣も保護の必要性の程度に応じて法律が定めている。たとえば、一般の先取特権は不動産について登記をしなくても特別担保を有しない債権者に対抗でき(336条)、一般の先取特権が互いに競合するときは306条各号の順序に従い(329条1項)、一般の先取特権と特別の先取特権が競合するときは特別の先取特権が優先する(同条2項)。このように成立の先後とは関係なく順位が決まるので、先に成立した物権が優先すると一般化する本肢は誤りである。

一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百六条各号に掲げる順序に従う。/2 一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。



