指図証券の譲渡は、その証券に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ、その効力を生じない。
この条文の過去問 2問
正しい。譲り渡すのに証書の交付を要する債権を質入れするには、その証書の交付が必要である(520条の7・520条の17・520条の20)。出題当時の旧363条がそのまま定めていた内容であり、結論は変わらない。
証券に化体した債権では、債権の帰属と証券の所持が結びついており、譲渡するのに証券の交付が要る以上、質入れにも証券の交付が要る。現行法では、指図証券を目的とする質権の設定に譲渡の規定(520条の2)が準用され(520条の7)、証券に質入れの裏書をして交付しなければ効力を生じない。記名式所持人払証券の質入れには、証券の交付を効力の要件とする520条の13が準用され(520条の17)、無記名証券にも記名式所持人払証券の規定が準用される(520条の20)。したがって、譲り渡すのに証書の交付を要する債権を質権の目的とするときは、証書を交付することによって質権設定の効力が生ずるという本肢の内容は、現行法の下でも当てはまる。出題当時は旧363条が本肢と同じ文言で定めていたが、平成29年改正で削除され、有価証券の各規定に整理された。厳密には、指図証券の質入れには交付のほかに質入れの裏書も必要である。本肢は正しい。

第五百二十条の二から前条までの規定は、指図証券を目的とする質権の設定について準用する。
- 対抗要件(364条):第三債務者への通知又はその承諾
- 直接取立て(366条1項・2項):金銭債権なら自己の債権額に対応する部分に限る
- 目的債権の弁済期が先に到来(366条3項):第三債務者に供託させることができ、質権は供託金の上に存続する
- 証券化された債権:指図証券・記名式所持人払証券・無記名証券の質入れは証券の交付(指図証券は質入裏書も)で効力を生ずる
誤り。違うのは「証書を交付しなければ質権設定の効力は生じない」の部分である。指名債権を目的とする質権の設定に証書の交付は要らず、合意によって効力を生ずる。
指名債権とは、債権者が特定している通常の債権であり、その成立や行使に証書は必要でなく、借用証書などが作成されていても、それは債権の存在を証明する証拠にすぎない。そのため、指名債権を質権の目的とする場合には、質権設定の合意によって質権は効力を生じ、証書を交付することは要らない。質権の設定を第三債務者その他の第三者に主張するには、467条に従って第三債務者への通知又はその承諾が必要となるが(364条)、これは対抗要件であって効力発生の要件ではない。出題当時の旧363条は、債権であってこれを譲り渡すにはその証書を交付することを要するものを質権の目的とするときに限り、証書の交付を効力発生の要件としていたが、指名債権はこれに当たらなかった。現行法は旧363条を削除し、証券の交付が権利の移転に必要な有価証券については、有価証券の規定の中で質入れの方法を定めている(520条の7など)。本肢は指名債権について証書の交付を効力要件としている点が誤りである。

債権を目的とする質権の設定(現に発生していない債権を目的とするものを含む。)は、第四百六十七条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。
- 設定:債権も質権の目的にできる(362条1項)。指名債権の質入れに証書の交付は要らない
- 対抗要件(364条):467条に従い第三債務者への通知又はその承諾。第三債務者以外の第三者には確定日付のある証書
- 直接の取立て(366条):質権者は自分の名で取り立てられる。金銭債権は被担保債権額の範囲まで。目的債権の弁済期が先に来れば供託させられる
- 譲渡制限の意思表示:あっても質入れは有効(466条2項)
- 第三債務者の抗弁:対抗要件具備時までの事由を質権者に対抗できる(468条1項)。異議をとどめない承諾による切断は廃止
