第760条婚姻費用の分担過去問 2
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
この条文の過去問 2問
Aが日常の家事に関して第三者と取引をした場合,Bは,その取引によって生じた債務について責任を負わない。
解説
本肢は誤り。民法761条本文は、夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方も連帯してその債務について責任を負う旨を定める。この規定は、夫婦が共同生活を営むという実体に基づき、取引の相手方の信頼を保護する趣旨のものであり、判例は同条が単に日常家事債務についての連帯責任を定めるにとどまらず、夫婦相互に日常の家事に関する法律行為について代理権を認める趣旨を含むと解している(最判昭44.12.18)。
そして判例は、内縁について、婚姻の届出を欠くがゆえに法律上の婚姻とはいえないものの、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点では婚姻関係と異ならず、婚姻に準ずる関係というべきであるとしており(最判昭33.4.11)、届出を前提としない婚姻の効果は内縁にも準用されると解されている。婚姻費用分担(760条)と同様、日常家事に関する連帯責任を定める761条も、共同生活の実体を基礎とする規律であって届出を前提とするものではないから、内縁関係にも準用されるとするのが通説・裁判例の立場である。
したがって、内縁配偶者Aが日常の家事に関して第三者と取引をした場合、Bもその取引によって生じた債務について連帯して責任を負うのであり、責任を負わないとする本肢は誤りである。
Bが内縁継続中に病気療養のためAと別居している場合において,その間にBが支出した医療費は,婚姻から生ずる費用に準じてABが分担する。
解説
本肢は正しい。判例は内縁を婚姻に準ずる関係(準婚関係)と捉え、婚姻の届出を前提とする規定(配偶者相続権や姻族関係の発生など)は準用できないが、夫婦としての共同生活の実体に着目した規定は内縁にも準用されるとする。夫婦が「その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」旨を定める760条は、まさに共同生活の維持という実体に根拠を有する規定であるから、内縁にも準用される。最判昭33.4.11は、760条の規定は内縁に準用されるものと解すべきであり、内縁の夫婦の一方が支出した医療費は、別居中に生じたものであっても、婚姻から生ずる費用に準じ、同条の趣旨に従って他方が分担すべきものであるとした。病気療養を理由とする別居は、夫婦間の同居・協力・扶助義務(752条参照)に対応する関係を否定するものではなく、療養に要する費用はむしろ共同生活を維持するために必要な費用にほかならないからである。したがって、Bが病気療養のためAと別居している間に支出した医療費についても、婚姻から生ずる費用に準じてABが分担すべきことになり、本肢は判例の趣旨に合致する。