1私権の享有は、出生に始まる。
2外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。
この条文の過去問 12問
正しい。423条の7により、登記をしなければ対抗できない財産の譲受人は、譲渡人の登記請求権を代位行使できる。
債権者代位権は本来、債務者の責任財産を守るための制度であるが、判例は古くから、不動産の買主が売主に代わって売主の前主に対する登記請求権を行使することを認めてきた。この場合、売主が無資力であることは要らない。平成29年改正はこれを明文にし、423条の7は、登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産を譲り受けた者は、その譲渡人が第三者に対して有する登記手続又は登録手続をすべきことを請求する権利を行使しないときは、その権利を行使することができると定める。Cは甲土地の譲受人として、Bの資力にかかわらず、BがAに対して持つ移転登記請求権を代わりに行使できる。まずA→Bの移転登記を実現し、次にB→Cの移転登記を得ることで、物権変動の過程どおりの登記にすることができる。

登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産を譲り受けた者は、その譲渡人が第三者に対して有する登記手続又は登録手続をすべきことを請求する権利を行使しないときは、その権利を行使することができる。この場合においては、前三条の規定を準用する。
正しい。第三者のためにする契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合でも、そのために効力を妨げられない(537条2項)。
人の権利能力は出生に始まる(3条1項)ので、胎児は原則として権利能力を持たない。しかし本肢で問われているのは、契約の成立の時に受益者が権利能力を持っていなければ契約そのものが無効になるかである。537条2項は、第三者のためにする契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられないと定める。そして第三者の権利は、第三者が債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する(同条3項)。契約が成立する時と受益者が権利を取得する時は別なので、受益者に権利能力が要るのは受益の意思表示の時であり、契約の成立の時ではない。したがって、AとCの間でBに甲土地を無償で与える契約は、成立の時にBが胎児でも有効であり、Bは生まれた後に受益の意思表示をすれば甲土地の給付を請求する権利を取得する。

前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
正しい。認知の訴えを提起できるのは子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人であり(787条)、胎児の母が胎児のために提起することはできない。
787条本文は、子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は認知の訴えを提起することができると定め、訴えを起こせる者を限っている。ここに胎児は含まれていない。人の権利能力は出生に始まり(3条1項)、胎児を既に生まれたものとみなす例外は損害賠償の請求権、相続、遺贈に限られ、認知の訴えについてそうした規定はない。したがって胎児は認知の訴えの当事者になれず、その母が法定代理人として胎児のために訴えを起こすこともできない。胎児は法律行為の当事者になれず、出生前に親が胎児を代理できないとする判例の立場とも合っている。もっとも、父の側からの任意認知は、母の承諾を得れば胎児のうちにもできる(783条1項)。胎児の段階で認知ができるのは父の任意認知に限られ、父が任意に認知しないときは、子が生まれるのを待って787条により訴えを起こすほかない。

子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
- 損害賠償の請求権(721条)
- 相続(886条1項)
- 遺贈(965条による886条の準用)
- 上の場面でも、生きて生まれた時に初めて権利を取得するので、出生前に親が胎児を代理することはできない(大判昭7.10.6)
- 死因贈与・認知の訴えには胎児の権利能力を認める規定がない
誤り。違うのは「無効である」の部分である。第三者のためにする契約は、成立の時に第三者が現に存しない場合でも効力を妨げられない(537条2項)。
私権の享有は出生に始まるから(3条1項)、胎児は原則として権利能力を持たず、損害賠償の請求(721条)、相続(886条)、遺贈(965条)について個別に既に生まれたものとみなされるにすぎない。そのため、受益者とされた第三者が契約の時に胎児であると、権利を帰属させる主体がいないようにも見える。しかし537条2項は、第三者のためにする契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられないと定める。第三者の権利は受益の意思表示の時に発生するのであるから(同条3項)、契約の成立時点で第三者が存在し、特定している必要はないのである。したがって、胎児のほか、設立中の法人を受益者とする契約も有効に成立する。本肢は、契約締結時にCが胎児であったことを理由にAB間の契約を無効としている点が誤りである。Cは出生後に受益の意思を表示すれば、Bに対する権利を取得する。

前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
- 損害賠償の請求権:既に生まれたものとみなす(721条)
- 相続:既に生まれたものとみなす(886条1項)。死体で生まれたときは適用しない(同条2項)
- 遺贈:886条を受遺者に準用(965条)
- 死因贈与:みなす規定がなく、胎児は受贈者になれない
- 第三者のためにする契約:第三者が成立時に現に存しなくても効力を妨げられない(537条2項)
正しい。性別の取扱いの変更の審判を受けて男性とみなされる夫の妻が婚姻中に懐胎した子は、772条により夫の子と推定される(最決平25.12.10)。
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づいて男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、以後、法令の規定の適用について男性とみなされる。判例は、そのような者は民法の規定に基づき夫として婚姻することができるのみならず、婚姻中にその妻が子を懐胎したときは、772条の規定により、その子は当該夫の子と推定されるとした(最決平25.12.10)。法律が性別の変更を認め、変更後の性別で婚姻することを認めている以上、婚姻の主な効果である嫡出の推定だけを外す理由はないのである。性別の取扱いを変更した夫との間に血縁上の父子関係がありえないことは明らかであるが、それは推定を当然に外す事情にはならない。外観上明らかに夫の子を懐胎できない場合に推定が及ばないとする考え方(最判昭44.5.29)は、夫婦の実態がない場合などの例外であり、婚姻が法律上認められ夫婦として生活している本肢の場面には当てはまらない。父子関係を否定しようとするのであれば、嫡出否認の訴えによることになる。

3条1項の規定に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、以後、法令の規定の適用について男性とみなされるため、民法の規定に基づき夫として婚姻することができるのみならず、婚姻中にその妻が子を懐胎したときは、同法772条の規定により、当該子は当該夫の子と推定される
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 事実上の離婚で夫婦の実態がない間の懐胎 | 最判昭和44年5月29日 | 推定が及ばない |
| DNA鑑定で血縁がないことが明らか | 最判平成26年7月17日 | 推定は排除されない |
| 性別変更した夫の妻が婚姻中に懐胎 | 最決平成25年12月10日 | 夫の子と推定される |
| 夫の死後に凍結精子で懐胎 | 最判平成18年9月4日 | 死後認知による父子関係は認められない |
正しい。胎児が既に生まれたものとみなされるのは損害賠償の請求権・相続・遺贈に限られ、契約である死因贈与にはその規定がないから、胎児を受贈者とすることはできない。
私権の享有は出生に始まり(3条1項)、胎児は原則として権利能力を持たない。例外として胎児を既に生まれたものとみなすのは、損害賠償の請求権(721条)、相続(886条1項)、遺贈(965条による886条の準用)であり、死因贈与にはこれにあたる規定がない。死因贈与は贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与であり、554条によりその性質に反しない限り遺贈に関する規定が準用されるが、遺贈が遺言者の単独行為であるのに対し、死因贈与は贈与者と受贈者の合意で成立する契約であるから、受贈者にも契約の当事者となる権利能力が要る。受遺者の能力に関する965条は、契約の当事者の能力の問題には及ばないと解されている。したがって、胎児を受贈者として死因贈与をすることはできず、本肢は正しい。これに対し、贈与者が第三者と胎児を受益者とする第三者のためにする契約を結ぶことは、受益者がまだ存在しなくても妨げられない(537条2項)。

贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
- 損害賠償の請求権:既に生まれたものとみなす(721条)。出生前に母が代理して和解することはできない
- 相続:既に生まれたものとみなす(886条1項)。死体で生まれたときは適用しない(同条2項)
- 遺贈:886条を受遺者に準用する(965条)
- 死因贈与:みなす規定がなく、胎児は受贈者になれない
- 認知:父は母の承諾を得て胎児を認知できる(783条1項)が、母は胎児を代理して認知の訴えを提起できない
- 第三者のためにする契約:成立の時に第三者が現に存しなくても効力を妨げられない(537条2項)
正しい。被用者に業務上不適任又は不誠実な事跡があって身元保証人の責任を惹起するおそれがあることを知ったときは、使用者は遅滞なく身元保証人に通知しなければならない(身元保証ニ関スル法律3条1号)。
身元保証は、被用者の行為によって使用者が受ける損害の賠償を引き受ける継続的な保証であり、責任の範囲が広く予測しにくいので、身元保証ニ関スル法律が保証人を守る特則を置いている。同法3条は使用者の通知義務を定め、1号で被用者に業務上不適任又は不誠実な事跡があってそのために身元保証人の責任を惹起するおそれがあることを知ったときを、2号で被用者の任務又は任地を変更し、そのために身元保証人の責任を加重し又は監督を困難にするときを挙げ、いずれの場合も使用者は遅滞なく身元保証人に通知しなければならないとする。肢は1号の場合をそのまま述べており正しい。この通知は身元保証人に契約から離れる機会を与える趣旨であり、通知を受けた身元保証人は将来に向かって契約を解除できる(同法4条)。使用者が通知を怠ったことは、裁判所が身元保証人の責任の有無と金額を定める際に斟酌される(同法5条)。

被用者ニ業務上不適任又ハ不誠実ナル事跡アリテ之ガ為身元保証人ノ責任ヲ惹起スル虞アルコトヲ知リタルトキ
正しい。被用者に業務上不適任又は不誠実な事跡があって身元保証人の責任を惹起するおそれがあることを知ったときは、使用者は遅滞なく身元保証人に通知しなければならない(身元保証ニ関スル法律3条1号)。
身元保証は、被用者の行為によって使用者が受ける損害の賠償を引き受ける継続的な保証であり、責任の範囲が広く予測しにくいので、身元保証ニ関スル法律が保証人を守る特則を置いている。同法3条は使用者の通知義務を定め、1号で被用者に業務上不適任又は不誠実な事跡があってそのために身元保証人の責任を惹起するおそれがあることを知ったときを、2号で被用者の任務又は任地を変更し、そのために身元保証人の責任を加重し又は監督を困難にするときを挙げ、いずれの場合も使用者は遅滞なく身元保証人に通知しなければならないとする。肢は1号の場合をそのまま述べており正しい。この通知は身元保証人に契約から離れる機会を与える趣旨であり、通知を受けた身元保証人は将来に向かって契約を解除できる(同法4条)。使用者が通知を怠ったことは、裁判所が身元保証人の責任の有無と金額を定める際に斟酌される(同法5条)。

被用者ニ業務上不適任又ハ不誠実ナル事跡アリテ之ガ為身元保証人ノ責任ヲ惹起スル虞アルコトヲ知リタルトキ
正しい。当事者能力は民法の権利能力に従い(28条)、胎児は損害賠償の請求権については既に生まれたものとみなされるから(民法721条)、その限度で当事者になれる。
28条は、当事者能力はこの法律に特別の定めがある場合を除き、民法その他の法令に従うと定める。民法上の権利能力を持つ者は、その権利について訴訟の当事者となる能力も持つということである。民法3条1項は私権の享有は出生に始まると定めるから、胎児は原則として権利能力を持たず、当事者能力もない。しかし民法721条は、胎児は損害賠償の請求権については既に生まれたものとみなすと定め、不法行為に基づく損害賠償請求という限られた場面で胎児に権利能力を認めている。出生前に父親が事故で死亡した場合のように、生まれる時期が少し違うだけで賠償を受けられなくなるのは不公平だからである。そうすると、胎児はその損害賠償請求権について権利の主体となり、28条によりその限度で当事者能力も認められる。したがって、不法行為に基づく損害賠償請求権を訴訟物とするときは、胎児も当事者になることができる。肢は正しい。

当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。/胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。
- 自然人:出生から死亡まで当事者能力がある。胎児は損害賠償請求権については既に生まれたものとみなされる(民法721条)
- 法人:法人格がある限り当事者能力がある。解散後も清算の目的の範囲内では存続するものとみなされる(会社法476条など)
- 法人でない社団・財団:代表者又は管理人の定めがあれば、その名において訴え、又は訴えられることができる(29条)
- 法人の一部署:当事者能力はなく、法人自身が当事者になる
誤り。違うのは「故意又は過失がなかったことを証明すれば,…責任を負わない」の部分である。製造物責任は製造物の欠陥を要件とする責任であり、故意・過失がないことは免責事由にならない(製造物責任法3条・4条)。
民法の不法行為責任(709条)は、被害者が加害者の故意又は過失を立証しなければならない過失責任である。これに対し、製造物責任法3条は、製造業者等は、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずると定め、故意・過失ではなく製造物の欠陥を責任の要件としている。大量生産された製品の欠陥による被害について、被害者が製造工程での過失を立証するのは難しいので、消費者を保護するために責任の要件を改めたのである。同法4条が定める免責事由は、引渡し時の科学・技術の知見では欠陥を認識できなかったこと、部品の欠陥が他の製造業者の設計の指示に従ったことによることなどに限られ、単に故意・過失がなかったことを証明しても責任を免れない。本肢は製造物責任を過失責任のように扱っている点で誤りである。

製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。
正しい。当事者能力は民法の権利能力に従い(28条)、胎児は損害賠償の請求権については既に生まれたものとみなされるから(民法721条)、その限度で当事者になれる。
28条は、当事者能力はこの法律に特別の定めがある場合を除き、民法その他の法令に従うと定める。民法上の権利能力を持つ者は、その権利について訴訟の当事者となる能力も持つということである。民法3条1項は私権の享有は出生に始まると定めるから、胎児は原則として権利能力を持たず、当事者能力もない。しかし民法721条は、胎児は損害賠償の請求権については既に生まれたものとみなすと定め、不法行為に基づく損害賠償請求という限られた場面で胎児に権利能力を認めている。出生前に父親が事故で死亡した場合のように、生まれる時期が少し違うだけで賠償を受けられなくなるのは不公平だからである。そうすると、胎児はその損害賠償請求権について権利の主体となり、28条によりその限度で当事者能力も認められる。したがって、不法行為に基づく損害賠償請求権を訴訟物とするときは、胎児も当事者になることができる。肢は正しい。

当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。/胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。
- 自然人:出生から死亡まで当事者能力がある。胎児は損害賠償請求権については既に生まれたものとみなされる(民法721条)
- 法人:法人格がある限り当事者能力がある。解散後も清算の目的の範囲内では存続するものとみなされる(会社法476条など)
- 法人でない社団・財団:代表者又は管理人の定めがあれば、その名において訴え、又は訴えられることができる(29条)
- 法人の一部署:当事者能力はなく、法人自身が当事者になる
誤り。違うのは「公正証書に限らず、その他の書面によってもすることができる」の部分である。任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない(任意後見契約に関する法律3条)。
任意後見契約は、本人が判断能力のあるうちに、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、自分の生活や療養看護、財産の管理に関する事務を任意後見人となる者に委託し、代理権を与える委任契約である。任意後見契約に関する法律3条は、任意後見契約は法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならないと定める。任意後見契約は、本人の判断能力が低下した後に効力を生じ、その時点では本人が契約の内容を確かめたり受任者を監督したりすることが難しいので、契約の締結の時に公証人が本人の意思と判断能力を確認し、内容を明確にしておく必要があるからである。そのため、公正証書以外の書面では任意後見契約をすることはできない。任意後見契約は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力を生ずる。したがって、本肢は誤りである。

任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。