債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
この条文の過去問 5問
誤り。違うのは「弁済期を他の連帯債務者と異にすることはできない」の部分である。連帯債務の各債務は別個独立の債務であるから、債務者ごとに弁済期を異にすることもできる。
436条は、債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができると定めるだけで、各債務者の債務の態様が同じであることを要件としていない。むしろ、連帯債務者の一人について無効や取消しの原因があっても他の連帯債務者の債務は妨げられないとする437条や、更改・相殺・混同以外の事由は他の連帯債務者に効力を生じないとする441条は、連帯債務者それぞれの債務が別個独立の債務であることを示している。したがって、連帯債務者の一人の債務にだけ条件を付けたり、弁済期を他の連帯債務者と違う時期に定めたりすることもできる。弁済期を異にすることができないとする本肢は誤りである。

債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
- 絶対的効力(他の連帯債務者にも及ぶ):弁済・代物弁済・供託、更改(438条)、相殺の援用(439条1項)、混同(440条)
- 相対的効力(441条本文):履行の請求、免除、時効の完成、承認など
- 無効・取消しの原因(437条):他の連帯債務者の債務は妨げられない
- 例外の合意(441条ただし書):債権者と他の連帯債務者が別段の意思を表示すれば、その意思に従う
- 通知を怠った場合(443条):事前の通知を怠った者は、事後の通知を怠った者に対しても自己の弁済を有効とみなせない
誤り。違うのは「当該他人の財産をもって完済することができない場合に限り」の部分である。名板貸人は名板借人と連帯して弁済する責任を負い、名板借人の財産で完済できない場合に限られない(商法14条)。
商法14条は、自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負うと定める。名板貸人は、自分の商号で営業することを許して相手方の誤認を招いた以上、営業主であるかのような外観を作り出した責任として、名板借人と同じ内容の債務を負う。その責任は「連帯して」負うものであり、相手方は名板借人と名板貸人のどちらにも全額を請求できる。名板借人の財産で完済できないときにはじめて責任が生じるという補充的な責任ではなく、相手方がまず名板借人に請求しなければならないわけでもない。相手方は名板貸人を営業主と信じて取引しているので、その信頼を保護するには営業主と同じ地位で責任を負わせる必要があるからである。肢は、保証人の検索の抗弁のような限定を14条に付け加えている点で誤っている。

自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
- 許諾: 自己の商号を使用して営業・事業を行うことの許諾。明示・黙示を問わない。手形行為だけの許諾は当たらない(最判昭42.6.6)
- 営業の同種性: 特段の事情のない限り名板借人の営業が同種であることを要する(最判昭43.6.13)
- 相手方の誤認: 名板貸人が営業主だと誤認して取引したこと。悪意・重過失の相手方は保護されない(最判昭41.1.27)。軽過失は保護される
- 債務の範囲: 取引によって生じた債務(債務不履行による損害賠償・原状回復を含む)。事実行為たる不法行為による損害賠償債務は含まない(最判昭52.12.23)
- 責任の態様: 名板借人と連帯。補充的ではない
誤り。違うのは「当該他人の財産をもって完済することができない場合に限り」の部分である。名板貸人は名板借人と連帯して弁済する責任を負い、名板借人の財産で完済できない場合に限られない(商法14条)。
商法14条は、自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負うと定める。名板貸人は、自分の商号で営業することを許して相手方の誤認を招いた以上、営業主であるかのような外観を作り出した責任として、名板借人と同じ内容の債務を負う。その責任は「連帯して」負うものであり、相手方は名板借人と名板貸人のどちらにも全額を請求できる。名板借人の財産で完済できないときにはじめて責任が生じるという補充的な責任ではなく、相手方がまず名板借人に請求しなければならないわけでもない。相手方は名板貸人を営業主と信じて取引しているので、その信頼を保護するには営業主と同じ地位で責任を負わせる必要があるからである。肢は、保証人の検索の抗弁のような限定を14条に付け加えている点で誤っている。

自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
- 許諾: 自己の商号を使用して営業・事業を行うことの許諾。明示・黙示を問わない。手形行為だけの許諾は当たらない(最判昭42.6.6)
- 営業の同種性: 特段の事情のない限り名板借人の営業が同種であることを要する(最判昭43.6.13)
- 相手方の誤認: 名板貸人が営業主だと誤認して取引したこと。悪意・重過失の相手方は保護されない(最判昭41.1.27)。軽過失は保護される
- 債務の範囲: 取引によって生じた債務(債務不履行による損害賠償・原状回復を含む)。事実行為たる不法行為による損害賠償債務は含まない(最判昭52.12.23)
- 責任の態様: 名板借人と連帯。補充的ではない
誤り。違うのは「それぞれ50万円の限度で」の部分である。連帯債務者が破産手続開始の決定を受けても、債権者は債権の全額でそれぞれの破産手続に参加できる(破産法104条1項)。
連帯債務の債権者は、連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる(436条)。各債務者が全額の債務を負うことで、債務者の一人が無資力になっても他の債務者から回収できるようにする点に、連帯債務の担保としての意味がある。この地位は、連帯債務者が破産手続開始の決定を受けた場合にも維持される。破産法104条1項は、数人が各自全部の履行をする義務を負う場合に、その全員又は一部の者について破産手続開始の決定があったときは、債権者は破産手続開始の時に有する債権の全額についてそれぞれの破産手続に参加できると定める。したがって、CはAとBの各破産手続に100万円全額で配当加入でき、頭割りの50万円に限られない。ただし、配当を合わせて債権額を超える満足を得ることはできない。出題当時は同じ内容の規定が民法にもあったが、破産法と重なるため改正で削除された。

債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
正しい。不動産の引渡義務は性質上不可分の債務であり、各共同相続人は全部について引渡義務を負う(430条・436条)。
金銭債務のような可分債務は相続分に応じて分割して承継されるが、不動産の引渡義務は、引き渡すべき物が一個の不動産であり、その性質上分割して履行することができないから、不可分債務となる。430条は、債務の目的がその性質上不可分である場合において数人の債務者があるときは、連帯債務の規定(440条を除く)を準用すると定め、436条は、債権者はその債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての債務者に対し、全部の履行を請求することができると定める。したがって、被相続人が負っていた不動産の引渡義務を数人の相続人が相続した場合には、各相続人が引渡義務の全部を負い、債権者はどの相続人に対しても不動産全部の引渡しを請求できる。分割して承継させると、債権者は一個の不動産の引渡しを受けることができなくなるからである。本肢は正しい。

第四款(連帯債務)の規定(第四百四十条の規定を除く。)は、債務の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債務者があるときについて準用する。
- 可分債権(貸金債権など):相続分に応じて当然に分割される(最判昭29.4.8)。預貯金債権は遺産分割の対象(最大決平28.12.19)
- 不可分債務(不動産の引渡義務など):各相続人が全部について履行義務を負う(430条・436条)
- 連帯債務:相続分に応じて分割承継し、その範囲で他の連帯債務者とともに連帯債務者となる(最判昭34.6.19)
- 遺産の不動産:共有(898条)。各相続人は自己の持分を処分できる。単独で占有する相続人に、多数持分というだけでは明渡しを請求できない(最判昭41.5.19)
































