夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。
第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離婚について準用する。
この条文の過去問 6問
誤り。違うのは「その後見人の同意を得なければならない」の部分である。成年被後見人が協議上の離婚をするには、成年後見人の同意を要しない(764条・738条)。
738条は、成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しないと定め、764条はこれを協議上の離婚に準用している。婚姻や離婚は本人の人格に深く関わる身分行為であり、財産を守るための行為能力の仕組みをそのまま当てはめるのではなく、本人の意思そのものを尊重すべきだからである。したがって、成年被後見人は成年後見人の同意を得ずに協議上の離婚をすることができる。もっとも、同意が要らないからといって意思能力まで要らないわけではなく、届出の時に離婚の意味を理解できる状態でなければ、その離婚は効力を持たない。肢は後見人の同意を得なければならないとしており、誤っている。

成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。/第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離婚について準用する。
- 婚姻・協議離婚・縁組:成年被後見人も成年後見人の同意不要(738条・764条・799条)
- 認知:未成年者・成年被後見人も法定代理人の同意不要(780条)
- 遺言:15歳以上でできる(961条)。成年被後見人は医師2人以上の立会い(973条)
正しい。子の監護に要する費用の分担の協議は離婚届の受理の要件ではなく、協議が調わなくても協議上の離婚はでき、協議が調わない事項は家庭裁判所が定める(765条1項・766条)。
協議上の離婚は、離婚の意思の合致と戸籍法の届出によって効力を生ずる(764条・739条1項)。765条1項は、未成年の子がいる場合には、親権者の定めがされているか、親権者の指定を求める審判・調停の申立てがされていることを確認した後でなければ離婚の届出を受理できないとしている。これに対し、766条1項は、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項を父母の協議で定めるとするが、この協議ができていることは受理の要件ではない。協議が調わないときは家庭裁判所が定めるので(同条2項)、離婚の後でも決めることができる。したがって、養育費の分担の協議が調わなくても協議上の離婚はできる。肢は正しい。

父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
正しい。協議上の離婚は戸籍法の届出によって効力を生じ(764条・739条1項)、裁判上の離婚は離婚請求を認容する判決が確定した時に効力を生ずる。
764条は739条を協議上の離婚に準用しており、協議上の離婚は戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生ずる。この届出は、夫婦の離婚の意思の合致を戸籍に載せることで初めて離婚を成立させるものであり、届出によって身分関係が変わる。そのため、届書を作っただけでは離婚は成立せず、届出の時までに一方が離婚の意思を失っていれば、その離婚は無効となる。これに対し、裁判上の離婚では、離婚請求を認容する判決は法律関係を変動させる形成判決であり、判決が確定した時に当然に離婚の効力が生ずる。判決の後にも戸籍法上の届出は要るが、それは既に生じた離婚を戸籍に反映させるための報告にすぎず、届出をしなくても離婚の効力は左右されない。肢はこの違いを正しく述べている。

第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離婚について準用する。/婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
正しい。協議上の離婚は戸籍法の届出によって効力を生じ(764条・739条1項)、裁判上の離婚は離婚請求を認容する判決が確定した時に効力を生ずる。
764条は739条を協議上の離婚に準用しており、協議上の離婚は戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生ずる。この届出は、夫婦の離婚の意思の合致を戸籍に載せることで初めて離婚を成立させるものであり、届出によって身分関係が変わる。そのため、届書を作っただけでは離婚は成立せず、届出の時までに一方が離婚の意思を失っていれば、その離婚は無効となる。これに対し、裁判上の離婚では、離婚請求を認容する判決は法律関係を変動させる形成判決であり、判決が確定した時に当然に離婚の効力が生ずる。判決の後にも戸籍法上の届出は要るが、それは既に生じた離婚を戸籍に反映させるための報告にすぎず、届出をしなくても離婚の効力は左右されない。肢はこの違いを正しく述べている。

第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離婚について準用する。/婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
正しい。協議上の離婚は届出によって効力を生じ(764条・739条1項)、裁判上の離婚は離婚請求を認容する判決の確定によって効力を生ずる。
764条は婚姻の届出に関する739条を協議上の離婚に準用し、739条1項は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生ずると定める。協議上の離婚では、当事者の離婚の合意が調っていても、届出がされない限り婚姻は解消しない。届出が離婚の効力を生じさせるものであるから、届出の時に離婚の意思があることが必要であり、届書を作った後でも、届出の前に翻意していれば離婚は効力を生じない。これに対し、裁判上の離婚は、判決によって婚姻関係を解消させるものであり、離婚請求を認容する判決が確定した時に当然に婚姻が解消する。判決の確定後にも戸籍法による届出が必要であるが、これはすでに生じた離婚を戸籍に反映させるための報告にとどまり、離婚の効力の発生の要件ではない。したがって、肢は正しい。

婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。/第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離婚について準用する。
正しい。協議上の離婚は届出によって効力を生じ(764条・739条1項)、裁判上の離婚は離婚請求を認容する判決の確定によって効力を生ずる。
764条は婚姻の届出に関する739条を協議上の離婚に準用し、739条1項は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生ずると定める。協議上の離婚では、当事者の離婚の合意が調っていても、届出がされない限り婚姻は解消しない。届出が離婚の効力を生じさせるものであるから、届出の時に離婚の意思があることが必要であり、届書を作った後でも、届出の前に翻意していれば離婚は効力を生じない。これに対し、裁判上の離婚は、判決によって婚姻関係を解消させるものであり、離婚請求を認容する判決が確定した時に当然に婚姻が解消する。判決の確定後にも戸籍法による届出が必要であるが、これはすでに生じた離婚を戸籍に反映させるための報告にとどまり、離婚の効力の発生の要件ではない。したがって、肢は正しい。

婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。/第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離婚について準用する。
1離婚の届出は、その離婚が前条において準用する第七百三十九条第二項の規定その他の法令の規定に違反しないこと及び夫婦間に成年に達しない子がある場合には次の各号のいずれかに該当することを認めた後でなければ、受理することができない。親権者の定めがされていること。親権者の指定を求める家事審判又は家事調停の申立てがされていること。
1 親権者の定めがされていること。
2 親権者の指定を求める家事審判又は家事調停の申立てがされていること。
2離婚の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離婚は、そのためにその効力を妨げられない。
この条文の過去問 2問
誤り。違うのは「離婚後にAB両名をその子の親権者と定めることはできない」の部分である。現行819条1項は、協議上の離婚の際に父母の双方又は一方を親権者と定めるとしており、合意で父母の双方を親権者と定めることができる。
819条1項は、父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定めると規定している。離婚した後も父母がともに子の養育に責任を持つことが子の利益になる場合があるので、令和6年改正で、離婚後も父母の双方が親権者となる道が開かれた。もっとも、父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがある場合や、父母の一方が他方から暴力等を受けるおそれがあって共同して親権を行うことが困難な場合などは、裁判所は一方を親権者と定めなければならない(同条7項)。本肢のA・Bは、協議の合意によって両名を親権者と定めることができるので、肢は誤っている。出題当時の819条1項は、協議上の離婚では父母の一方を親権者と定めなければならないとしていたので、肢は正しいとされていた(公式正解は3〔イ・ウ〕)。令和6年改正(令和8年4月施行)で結論が逆になった。

父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める。
- 協議上の離婚(819条1項):父母の協議で双方又は一方
- 裁判上の離婚(819条2項):裁判所が双方又は一方
- 子の出生前の離婚(819条3項):母が行う。出生後に協議で双方又は父と定められる
- 父が認知した子(819条4項):母が行う。協議で双方又は父と定められる
- 一方と定めなければならない場合(819条7項):子の心身への害悪のおそれ、暴力等で共同行使が困難なときなど
誤り。違うのは「子の監護をすべき者その他監護について必要な事項に関する協議が調わない限り、協議離婚はできない」の部分である。子の監護に関する事項は協議が調わなければ家庭裁判所が定めるものであり(766条2項)、協議離婚の要件ではない。
766条1項は、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項はその協議で定めると定め、同条2項は、その協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所がこれを定めると定める。子の監護に関する事項は離婚の際に協議で定めるのが望ましいが、協議が調わなくても家庭裁判所が定める仕組みがあるから、その協議が調うことは協議離婚の要件とされていない。これに対し、夫婦間に未成年の子がいる場合には、親権者の定めがされていること(又は親権者の指定を求める家事審判・家事調停の申立てがされていること)が離婚届の受理の要件とされている(765条1項)。親権者がいなければ子の法定代理人がいなくなるからである。本肢は誤りである。

前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
- 要件:離婚意思の合致と届出(764条・739条)。未成年の子がいれば親権者の定め又はその指定を求める審判・調停の申立てがなければ届出は受理されない(765条1項)
- 監護者・財産分与:離婚の要件ではなく、協議が調わなければ家庭裁判所が定める(766条2項・768条2項)
- 財産分与の請求:協議は期間制限なし。家庭裁判所への請求は離婚の時から5年以内(768条2項ただし書。出題当時は2年)
- 氏:当然に復氏し、離婚の日から3か月以内の届出で婚氏続称(767条)
- 裁判上の離婚の親権者:裁判所が父母の双方又は一方を定める(819条2項。出題当時は一方)
1父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
この条文の過去問 10問
正しい。子の監護に要する費用の分担の協議は離婚届の受理の要件ではなく、協議が調わなくても協議上の離婚はでき、協議が調わない事項は家庭裁判所が定める(765条1項・766条)。
協議上の離婚は、離婚の意思の合致と戸籍法の届出によって効力を生ずる(764条・739条1項)。765条1項は、未成年の子がいる場合には、親権者の定めがされているか、親権者の指定を求める審判・調停の申立てがされていることを確認した後でなければ離婚の届出を受理できないとしている。これに対し、766条1項は、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項を父母の協議で定めるとするが、この協議ができていることは受理の要件ではない。協議が調わないときは家庭裁判所が定めるので(同条2項)、離婚の後でも決めることができる。したがって、養育費の分担の協議が調わなくても協議上の離婚はできる。肢は正しい。

父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
誤り。違うのは「父母の離婚前は,…相当な処分を命ずることはできない」の部分である。別居中の父母の間で面会交流の協議が調わないときも、家庭裁判所は766条を類推して相当な処分を命ずることができる(最決平12.5.1)。
766条は、父母が協議上の離婚をするときに子の監護について必要な事項を協議で定め、協議が調わないときは家庭裁判所が定めるとしており、文言は離婚を前提とする規定である。しかし、婚姻関係が壊れて父母が別居しているだけの段階でも、子と離れて暮らす親と子との交流をめぐる争いが生じることに変わりはなく、これを救済の外に置く理由はない。判例は、婚姻中で別居状態にある父母の間で面接交渉について協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は766条を類推適用し、面接交渉について相当な処分を命ずることができるとした(最決平12.5.1)。子と親との交流をどうするかは子の利益に直接かかわる事柄であり、父母が離婚したかどうかで家庭裁判所が関与できるかを分ける理由はないからである。したがって、離婚前は相当な処分を命ずることができないとする本肢は誤りである。令和6年の改正で新設された817条の13は、子と別居する父又は母と子との交流について、協議が調わなければ家庭裁判所が定めることを明文で認めている。

別居状態にある父母の間で右面接交渉につき協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、民法七六六条を類推適用し、家事審判法九条一項乙類四号により、右面接交渉について相当な処分を命ずることができる
- 監護に関する事項(766条1項・2項):協議で定め、調わなければ家庭裁判所が定める。子の利益を最も優先する
- 定めの変更(766条3項):家庭裁判所は必要があれば変更できる
- 婚姻中の別居(最決平成12年5月1日):766条を類推して家庭裁判所が面会交流について処分できる
- 子の氏(791条1項):父又は母と氏が違う子は家庭裁判所の許可+届出で父又は母の氏に
- 子の出生前の離婚(819条3項):母が行う。出生後に協議で父母の双方又は父と定められる
- 単独親権者の死亡:他方が当然に親権者にはならない。後見が開始し、819条6項の類推で親権者変更の余地
誤り。違うのは「家庭裁判所は,その定めを変更することができない」の部分である。家庭裁判所は、必要があると認めるときは、協議で定めた子の監護に関する事項を変更できる(766条3項)。
766条1項は、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他の子の監護について必要な事項はその協議で定め、その際には子の利益を最も優先して考慮しなければならないとする。そして同条3項は、家庭裁判所は必要があると認めるときは、前2項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができると定める。したがって、協議で子を監護すべき者を定めた場合であっても、家庭裁判所はそれを変更することができる。子の監護についての定めは子の利益を第一に考えて決めるべきものであり、父母の合意はその判断の材料の一つにすぎないうえ、子の成長や父母の生活の変化によって、当初の定めが子の利益に合わなくなることもあるからである。家庭裁判所の後見的な役割が、父母の合意より優先される場面である。本肢は、協議で定めた以上は変更できないとしている点で誤りである。監護についての定めや変更によって、監護の範囲外の父母の権利義務が変わることはない(同条4項)。

家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
- 監護に関する事項(766条1項・2項):協議で定め、調わなければ家庭裁判所が定める。子の利益を最も優先する
- 定めの変更(766条3項):家庭裁判所は必要があれば変更できる
- 婚姻中の別居(最決平成12年5月1日):766条を類推して家庭裁判所が面会交流について処分できる
- 子の氏(791条1項):父又は母と氏が違う子は家庭裁判所の許可+届出で父又は母の氏に
- 子の出生前の離婚(819条3項):母が行う。出生後に協議で父母の双方又は父と定められる
- 単独親権者の死亡:他方が当然に親権者にはならない。後見が開始し、819条6項の類推で親権者変更の余地
誤り。違うのは「家庭裁判所がこれを定める」の部分である。認知後の子の監護に必要な事項はまず父母の協議で定め、協議が調わないとき又はできないときに家庭裁判所が定める(788条・766条)。
788条は、766条から766条の3までの規定を父が認知する場合に準用している。766条1項は、子の監護をすべき者、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定め、その際は子の利益を最も優先して考慮しなければならないとする。そして同条2項は、その協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が同項の事項を定めるとしている。子の監護のことは、子を最もよく知る父母が話し合って決めるのが望ましいので、父母の協議を先にし、家庭裁判所はそれを補う役割にとどめたのである。したがって、認知があったからといって当然に家庭裁判所が監護の事項を定めるわけではない。肢は協議による決定が先であることを落としており、誤っている。

父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
誤り。違うのは「家庭裁判所がこれを定める」の部分である。認知後の子の監護に必要な事項はまず父母の協議で定め、協議が調わないとき又はできないときに家庭裁判所が定める(788条・766条)。
788条は、766条から766条の3までの規定を父が認知する場合に準用している。766条1項は、子の監護をすべき者、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定め、その際は子の利益を最も優先して考慮しなければならないとする。そして同条2項は、その協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が同項の事項を定めるとしている。子の監護のことは、子を最もよく知る父母が話し合って決めるのが望ましいので、父母の協議を先にし、家庭裁判所はそれを補う役割にとどめたのである。したがって、認知があったからといって当然に家庭裁判所が監護の事項を定めるわけではない。肢は協議による決定が先であることを落としており、誤っている。

父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
誤り。違うのは「子の監護に要する費用の分担に関する協議が調わない限り,協議上の離婚をすることはできない」の部分である。監護費用の分担の協議は離婚届の受理の要件ではなく、協議が調わなければ家庭裁判所が定める(766条・765条1項)。
766条1項は、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項はその協議で定めると規定し、同条2項は、協議が調わないとき又はできないときは家庭裁判所が定めるとしている。しかし、これらの取決めができていることは離婚の届出を受理する要件ではない。765条1項は、離婚の届出は法令の規定に違反しないこと、及び未成年の子がいる場合には親権者の定めがされているか、親権者の指定を求める審判・調停の申立てがされていることを確認した後でなければ受理できないとしており、監護費用の分担の協議は挙げられていない。養育費の取決めが離婚の時にできていなくても、離婚の後に家庭裁判所に定めてもらうことができる。肢は協議が調わない限り離婚できないとしており、誤っている。

離婚の届出は、その離婚が前条において準用する第七百三十九条第二項の規定その他の法令の規定に違反しないこと及び夫婦間に成年に達しない子がある場合には次の各号のいずれかに該当することを認めた後でなければ、受理することができない。一 親権者の定めがされていること。二 親権者の指定を求める家事審判又は家事調停の申立てがされていること。
誤り。違うのは「子の監護に要する費用の分担に関する協議が調わない限り,協議上の離婚をすることはできない」の部分である。監護費用の分担の協議は離婚届の受理の要件ではなく、協議が調わなければ家庭裁判所が定める(766条・765条1項)。
766条1項は、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項はその協議で定めると規定し、同条2項は、協議が調わないとき又はできないときは家庭裁判所が定めるとしている。しかし、これらの取決めができていることは離婚の届出を受理する要件ではない。765条1項は、離婚の届出は法令の規定に違反しないこと、及び未成年の子がいる場合には親権者の定めがされているか、親権者の指定を求める審判・調停の申立てがされていることを確認した後でなければ受理できないとしており、監護費用の分担の協議は挙げられていない。養育費の取決めが離婚の時にできていなくても、離婚の後に家庭裁判所に定めてもらうことができる。肢は協議が調わない限り離婚できないとしており、誤っている。

離婚の届出は、その離婚が前条において準用する第七百三十九条第二項の規定その他の法令の規定に違反しないこと及び夫婦間に成年に達しない子がある場合には次の各号のいずれかに該当することを認めた後でなければ、受理することができない。一 親権者の定めがされていること。二 親権者の指定を求める家事審判又は家事調停の申立てがされていること。
誤り。違うのは「子の監護をすべき者その他監護について必要な事項に関する協議が調わない限り、協議離婚はできない」の部分である。子の監護に関する事項は協議が調わなければ家庭裁判所が定めるものであり(766条2項)、協議離婚の要件ではない。
766条1項は、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項はその協議で定めると定め、同条2項は、その協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所がこれを定めると定める。子の監護に関する事項は離婚の際に協議で定めるのが望ましいが、協議が調わなくても家庭裁判所が定める仕組みがあるから、その協議が調うことは協議離婚の要件とされていない。これに対し、夫婦間に未成年の子がいる場合には、親権者の定めがされていること(又は親権者の指定を求める家事審判・家事調停の申立てがされていること)が離婚届の受理の要件とされている(765条1項)。親権者がいなければ子の法定代理人がいなくなるからである。本肢は誤りである。

前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
- 要件:離婚意思の合致と届出(764条・739条)。未成年の子がいれば親権者の定め又はその指定を求める審判・調停の申立てがなければ届出は受理されない(765条1項)
- 監護者・財産分与:離婚の要件ではなく、協議が調わなければ家庭裁判所が定める(766条2項・768条2項)
- 財産分与の請求:協議は期間制限なし。家庭裁判所への請求は離婚の時から5年以内(768条2項ただし書。出題当時は2年)
- 氏:当然に復氏し、離婚の日から3か月以内の届出で婚氏続称(767条)
- 裁判上の離婚の親権者:裁判所が父母の双方又は一方を定める(819条2項。出題当時は一方)
誤り。違うのは「親権者のほかに監護権者を定めなければならない」の部分である。協議離婚の際に必ず定めるのは親権者であり(819条1項)、子の監護をすべき者は必要に応じて協議で定めるものであって(766条1項)、親権者が監護を担うときは別に定める必要はない。
819条1項は、父母が協議上の離婚をするときは、その協議でその双方又は一方を親権者と定めると定め、親権者の定めは離婚の届出の受理の要件となっている。これに対し、766条1項は、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他の子の監護について必要な事項は協議で定めるとする。親権には子の監護教育の権利義務が含まれているので(820条)、親権者が自ら子を監護する場合には、親権者とは別に監護をすべき者を定める必要はない。親権者と別に監護をすべき者を定めるのは、たとえば財産管理は父、日常の養育は母というように、親権と監護を分けることが子の利益になる場合である。したがって、協議離婚に際して親権者のほかに必ず監護権者を定めなければならないわけではなく、本肢は誤りである。令和6年改正(令和8年4月施行)で離婚後も父母双方を親権者とすることができるようになったが、この点は変わらない。

父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
- 協議離婚(819条1項・766条1項):協議で父母の双方又は一方を親権者と定める。監護をすべき者は必要に応じて協議で定め、必ず定めるものではない
- 父が認知した子(819条4項・788条):親権は母が行い、協議で父母の双方又は父を親権者と定められる。監護をすべき者も766条の準用で定められる
- 協議が調わないとき:家庭裁判所が定める(766条2項・819条5項)
- 子の氏(790条):嫡出子は父母の氏、嫡出でない子は母の氏。親権者が誰かでは決まらない
- 15歳未満の養子縁組(797条):法定代理人が代わって承諾し、監護をすべき父母が他にいればその同意も要る
正しい。父が認知した子の親権者は父母の協議で定めることができ(819条4項)、子の監護をすべき者も766条を準用して協議で定められるので(788条)、父母は一方を親権者、他方を監護をすべき者と定めることができる。
父が認知した嫡出でない子に対する親権は母が行うが、819条4項ただし書は、父母の協議で父母の双方又は父を親権者と定めることができるとする。また、788条は、離婚の際の子の監護に関する766条から766条の3までの規定を、父が認知する場合に準用している。したがって、父母は、認知した子について、協議により子の監護をすべき者を定めることができ、親権者と監護をすべき者を別々の親とすることもできる。たとえば、母を親権者としたまま父を監護をすべき者とすることや、父を親権者と定めたうえで母を監護をすべき者とすることが考えられる。離婚の場合と同じく、親権と監護を分けることが子の利益になる場合に備えた仕組みである。本肢はこの規律に一致する。出題当時の819条4項は父を親権者と定めることだけを認めていたが、親権と監護を分けられる点は当時も現在も変わらない。

第七百六十六条から第七百六十六条の三までの規定は、父が認知する場合について準用する。
- 協議離婚(819条1項・766条1項):協議で父母の双方又は一方を親権者と定める。監護をすべき者は必要に応じて協議で定め、必ず定めるものではない
- 父が認知した子(819条4項・788条):親権は母が行い、協議で父母の双方又は父を親権者と定められる。監護をすべき者も766条の準用で定められる
- 協議が調わないとき:家庭裁判所が定める(766条2項・819条5項)
- 子の氏(790条):嫡出子は父母の氏、嫡出でない子は母の氏。親権者が誰かでは決まらない
- 15歳未満の養子縁組(797条):法定代理人が代わって承諾し、監護をすべき父母が他にいればその同意も要る
1家庭裁判所は、前条第二項又は第三項の場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときは、同条第一項に規定する子の監護について必要な事項として父母以外の親族と子との交流を実施する旨を定めることができる。
2前項の定めについての前条第二項又は第三項の規定による審判の請求は、次に掲げる者(第二号に掲げる者にあっては、その者と子との交流についての定めをするため他に適当な方法がないときに限る。)がすることができる。父母父母以外の子の親族(子の直系尊属及び兄弟姉妹以外の者にあっては、過去に当該子を監護していた者に限る。)
1 父母
2 父母以外の子の親族(子の直系尊属及び兄弟姉妹以外の者にあっては、過去に当該子を監護していた者に限る。)
1父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合には、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものは、他の一方に対し、離婚の日から、次に掲げる日のいずれか早い日までの間、毎月末に、その子の監護に要する費用の分担として、父母の扶養を受けるべき子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額の支払を請求することができる。ただし、当該他の一方は、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができる。父母がその協議により子の監護に要する費用の分担についての定めをした日子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日子が成年に達した日
1 父母がその協議により子の監護に要する費用の分担についての定めをした日
2 子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日
3 子が成年に達した日
2離婚の日の属する月又は前項各号に掲げる日のいずれか早い日の属する月における同項の額は、法務省令で定めるところにより日割りで計算する。
3家庭裁判所は、第七百六十六条第二項又は第三項の規定により子の監護に要する費用の分担についての定めをし又はその定めを変更する場合には、第一項の規定による債務を負う他の一方の支払能力を考慮して、当該債務の全部若しくは一部の免除又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができる。
1婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
2前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
この条文の過去問 9問
誤り。違うのは「離婚の届出と同時にする必要がある」の部分である。婚氏続称の届出は、離婚の日から3か月以内にすればよい(767条2項)。
767条1項は、婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復すると定める。もっとも、婚姻中の氏で仕事や社会生活を続けてきた者に元の氏に戻ることを強いると不便が大きいので、同条2項は、婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができるとしている。条文が求めているのは離婚の日から3か月以内という期間だけであり、離婚の届出と同時にすることは要件ではない。離婚届と一緒に出すこともできるが、離婚の後に改めて届け出てもよい。肢は離婚の届出と同時にする必要があるとしており、誤っている。この規定は裁判上の離婚にも準用される(771条)。

前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
誤り。違うのは「離婚の届出をする時に併せてその届出をする必要がある」の部分である。婚氏続称の届出は、離婚の日から3か月以内にすればよい(767条2項)。
767条1項は、婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復すると定める。もっとも、婚姻中の氏で仕事や社会生活を営んできた者に一律に元の氏に戻らせると不便が大きいので、同条2項は、婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができると定めている。条文が求めているのは離婚の日から3か月以内という期間だけであり、離婚の届出と同時にしなければならないとはされていない。離婚届と一緒に婚氏続称の届出をすることもできるが、離婚の後に改めて届け出ることもできる。肢は離婚の届出の時に併せて届け出る必要があるとしており、誤っている。この規定は裁判上の離婚にも準用される(771条)。

婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
誤り。違うのは「離婚の届出をする時に併せてその届出をする必要がある」の部分である。婚氏続称の届出は、離婚の日から3か月以内にすればよい(767条2項)。
767条1項は、婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復すると定める。もっとも、婚姻中の氏で仕事や社会生活を営んできた者に一律に元の氏に戻らせると不便が大きいので、同条2項は、婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができると定めている。条文が求めているのは離婚の日から3か月以内という期間だけであり、離婚の届出と同時にしなければならないとはされていない。離婚届と一緒に婚氏続称の届出をすることもできるが、離婚の後に改めて届け出ることもできる。肢は離婚の届出の時に併せて届け出る必要があるとしており、誤っている。この規定は裁判上の離婚にも準用される(771条)。

婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
誤り。違うのは「夫婦の一方の死亡によって解消した場合であるか離婚によって解消した場合であるかを問わず,婚姻前の氏に戻る」の部分である。当然に婚姻前の氏に復するのは離婚の場合であり(767条1項)、死亡の場合は生存配偶者が届出で復氏できるにとどまる(751条1項)。
婚姻によって氏を改めた者は、協議上の離婚によって当然に婚姻前の氏に復する(767条1項)。もっとも、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出れば、離婚の際に称していた氏を称することができる(同条2項)。この規律は裁判上の離婚にも準用される(771条)。これに対し、夫婦の一方が死亡したときについて751条1項は、生存配偶者は婚姻前の氏に復することができると定めるだけで、当然には復氏しない。生存配偶者は婚姻中の氏を称し続けるのが原則であり、婚姻前の氏に戻りたいときに届出をするという仕組みで、復氏するかどうかは生存配偶者の選択に委ねられている。死別の場合に一律に復氏させると、生存配偶者や子の生活関係を害するからである。肢は、死亡の場合も当然に婚姻前の氏に戻り、届出をして初めて婚姻中の氏を称することができるとしており、離婚の規律を死亡の場合にまで広げている点で誤っている。

夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。
| 離婚 | 夫婦の一方の死亡 | |
|---|---|---|
| 氏 | 当然に婚姻前の氏に復する。3か月以内の届出で婚氏続称(767条) | 当然には復氏しない。届出で婚姻前の氏に復することができる(751条1項) |
| 姻族関係 | 当然に終了する(728条1項) | 生存配偶者が終了の意思表示をしたときに終了する(728条2項) |
| 財産 | 財産分与(768条) | 相続(890条) |
誤り。違うのは「夫婦の一方の死亡によって解消した場合であるか離婚によって解消した場合であるかを問わず,婚姻前の氏に戻る」の部分である。当然に婚姻前の氏に復するのは離婚の場合であり(767条1項)、死亡の場合は生存配偶者が届出で復氏できるにとどまる(751条1項)。
婚姻によって氏を改めた者は、協議上の離婚によって当然に婚姻前の氏に復する(767条1項)。もっとも、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出れば、離婚の際に称していた氏を称することができる(同条2項)。この規律は裁判上の離婚にも準用される(771条)。これに対し、夫婦の一方が死亡したときについて751条1項は、生存配偶者は婚姻前の氏に復することができると定めるだけで、当然には復氏しない。生存配偶者は婚姻中の氏を称し続けるのが原則であり、婚姻前の氏に戻りたいときに届出をするという仕組みで、復氏するかどうかは生存配偶者の選択に委ねられている。死別の場合に一律に復氏させると、生存配偶者や子の生活関係を害するからである。肢は、死亡の場合も当然に婚姻前の氏に戻り、届出をして初めて婚姻中の氏を称することができるとしており、離婚の規律を死亡の場合にまで広げている点で誤っている。

夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。
| 離婚 | 夫婦の一方の死亡 | |
|---|---|---|
| 氏 | 当然に婚姻前の氏に復する。3か月以内の届出で婚氏続称(767条) | 当然には復氏しない。届出で婚姻前の氏に復することができる(751条1項) |
| 姻族関係 | 当然に終了する(728条1項) | 生存配偶者が終了の意思表示をしたときに終了する(728条2項) |
| 財産 | 財産分与(768条) | 相続(890条) |
正しい。親権者となったBが復氏しても子の氏は当然には変わらず、氏の違う父又は母の氏を称するには家庭裁判所の許可が要る(791条1項)。
婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、離婚によって婚姻前の氏に戻る(767条1項)。しかし、子の氏は親の離婚や復氏によって当然には変わらず、Cはなお婚姻中の氏であるAの氏を称している。791条1項は、子が父又は母と氏を異にする場合には、子は家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができると定める。Bが親権者になったとしても、それだけで子の氏が変わるわけではなく、子の氏をBの氏に変えるには家庭裁判所の許可が必要である。氏は子の身分を表すものであり、親の都合で安易に変えられて子の利益が害されないよう、家庭裁判所が子の利益を確かめるのである。父母の婚姻中に父母の一方が改氏した場合(同条2項)とは違い、離婚した後の復氏による氏の違いでは許可が要る。本問の正誤は、出題当時の成年年齢(20歳)を前提に18歳のCを未成年者としている。

子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
- 791条1項:父又は母と氏が違う子は、家庭裁判所の許可を得て届け出れば、父又は母の氏を称することができる
- 791条2項:父又は母の改氏で父母と氏が違う子は、父母の婚姻中なら許可なしに届け出ることができる
- 791条3項:子が15歳未満なら法定代理人が代わってする
- 791条4項:氏を改めた未成年の子は、成年に達してから1年以内の届出で従前の氏に復することができる(許可不要)
- 810条:養子は養親の氏を称する。婚姻で氏を改めた者は婚姻の際に定めた氏を称すべき間は除く
誤り。違うのは「婚姻により氏を改めた当事者の称すべき氏を定めなければならない」の部分である。婚姻によって氏を改めた者は、裁判上の離婚によっても当然に婚姻前の氏に復する(771条・767条1項)。
767条1項は、婚姻によって氏を改めた夫又は妻は協議上の離婚によって婚姻前の氏に復すると定め、771条はこれを裁判上の離婚に準用する。復氏は離婚に伴って法律上当然に生じる効果であり、裁判所が判決の中で当事者の称すべき氏を定める仕組みはない。婚姻中の氏を引き続き称したい者は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出れば、離婚の際に称していた氏を称することができるが(767条2項)、これも本人の届出による選択であり、裁判所が決めるものではない。離婚の訴えで裁判所が判決とともに定めるのは、親権者(819条2項)、財産の分与(771条・768条)、子の監護に関する処分などである。したがって、肢は誤りである。

婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
- 離婚(767条・771条):当然に復氏。3か月以内の届出で婚氏続称
- 夫婦の一方の死亡(751条1項):当然には復氏しない。届出で復氏できる
- 姻族関係(728条):離婚で当然に終了。死亡では生存配偶者の意思表示で終了
- 復氏と姻族関係の終了:別の手続で、一方だけでもできる
誤り。違うのは「婚姻により氏を改めた当事者の称すべき氏を定めなければならない」の部分である。婚姻によって氏を改めた者は、裁判上の離婚によっても当然に婚姻前の氏に復する(771条・767条1項)。
767条1項は、婚姻によって氏を改めた夫又は妻は協議上の離婚によって婚姻前の氏に復すると定め、771条はこれを裁判上の離婚に準用する。復氏は離婚に伴って法律上当然に生じる効果であり、裁判所が判決の中で当事者の称すべき氏を定める仕組みはない。婚姻中の氏を引き続き称したい者は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出れば、離婚の際に称していた氏を称することができるが(767条2項)、これも本人の届出による選択であり、裁判所が決めるものではない。離婚の訴えで裁判所が判決とともに定めるのは、親権者(819条2項)、財産の分与(771条・768条)、子の監護に関する処分などである。したがって、肢は誤りである。

婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
- 離婚(767条・771条):当然に復氏。3か月以内の届出で婚氏続称
- 夫婦の一方の死亡(751条1項):当然には復氏しない。届出で復氏できる
- 姻族関係(728条):離婚で当然に終了。死亡では生存配偶者の意思表示で終了
- 復氏と姻族関係の終了:別の手続で、一方だけでもできる
誤り。違うのは「離婚の時に届出をする必要がある」の部分である。離婚によって婚姻前の氏に復した者は、離婚の日から3か月以内に届け出れば、離婚の際に称していた氏を称することができる(767条2項)。
767条1項は、婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復すると定め、同条2項は、婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができると定める(婚氏続称)。これらの規定は裁判上の離婚にも準用される(771条)。婚姻中の氏で社会生活を送ってきた者にとって、離婚によって氏が変わると仕事や子との関係で不便が生じることがあるから、婚姻中の氏を引き続き称することを認めたのである。もっとも、離婚の時点ですぐに決断することは難しい場合もあるので、離婚と同時の届出に限らず、離婚の日から3か月以内に届け出れば足りるとした。本肢は誤りである。

婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
- 要件:離婚意思の合致と届出(764条・739条)。未成年の子がいれば親権者の定め又はその指定を求める審判・調停の申立てがなければ届出は受理されない(765条1項)
- 監護者・財産分与:離婚の要件ではなく、協議が調わなければ家庭裁判所が定める(766条2項・768条2項)
- 財産分与の請求:協議は期間制限なし。家庭裁判所への請求は離婚の時から5年以内(768条2項ただし書。出題当時は2年)
- 氏:当然に復氏し、離婚の日から3か月以内の届出で婚氏続称(767条)
- 裁判上の離婚の親権者:裁判所が父母の双方又は一方を定める(819条2項。出題当時は一方)
1協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から五年を経過したときは、この限りでない。
3前項の場合には、家庭裁判所は、離婚後の当事者間の財産上の衡平を図るため、当事者双方がその婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。この場合において、婚姻中の財産の取得又は維持についての各当事者の寄与の程度は、その程度が異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。
この条文の過去問 21問
正しい。裁判上の離婚で財産分与の裁判をするのは附帯処分の申立てがあるときに限られる(人事訴訟法32条1項)。
財産分与の請求権は768条が定めるが、裁判上の離婚の手続では人事訴訟法32条1項が、裁判所は申立てにより、離婚の訴えに係る請求を認容する判決において、子の監護に関する処分や財産の分与に関する処分などの附帯処分についての裁判をしなければならないと定める。財産分与の裁判は当事者の申立てを要件とする附帯処分とされ、裁判所が職権ですることを認める規定はない。財産分与は当事者が自由に処分できる財産上の事項なので、求めるかどうかを当事者にゆだねたのである。したがって、離婚を認める判決をする裁判所は、財産分与の申立てがある場合に限り財産分与について裁判できる。申立てをしないまま離婚判決が確定しても、離婚の時から一定の期間内であれば家庭裁判所に協議に代わる処分を求めることができる(768条2項)ので、当事者に不当な不利益は生じない。

裁判所は、申立てにより、夫婦の一方が他の一方に対して提起した婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において、子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分、財産の分与に関する処分又は厚生年金保険法……による処分(以下「附帯処分」と総称する。)についての裁判をしなければならない。
| 事案 | 判例・条文 | 結論 |
|---|---|---|
| 離婚判決での財産分与 | 人事訴訟法32条1項 | 申立てがあるときに限り裁判する |
| 過当に負担した婚姻費用の清算 | 最判昭53.11.14 | 財産分与に含めて定めることができる |
| 協議・審判前の財産分与請求権による代位 | 最判昭55.7.11 | 代位できない |
| 書面によらない財産分与の約束 | 最判昭27.5.6 | 550条による解除はできない |
| 過大な財産分与・慰謝料の合意 | 最判昭58.12.19・平12.3.9 | 過大な部分(損害賠償債務を超える部分)に限り詐害行為取消しの対象 |
誤り。違うのは「婚姻費用の清算のための給付を考慮することができない」の部分である。
768条3項は、家庭裁判所が財産分与の有無・額・方法を定めるに当たって一切の事情を考慮するとしており、考慮する事情を財産の清算に限っていない。最判昭53.11.14は、離婚訴訟で裁判所が財産分与の額及び方法を定めるには当事者双方の一切の事情を考慮すべきであり、婚姻継続中の過去の婚姻費用の分担の態様はその事情の一つにほかならないから、裁判所は、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができるとした。婚姻費用の分担は760条による別の義務であるが、過去の分担の偏りを離婚の時にまとめて清算させるほうが、当事者間の公平にかない、争いを繰り返さずに済むからである。本肢は婚姻費用の清算を考慮できないとする点で、768条3項と判例に反する。

婚姻継続中における過去の婚姻費用の分担の態様は右事情のひとつにほかならないから、裁判所は、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができる
| 事案 | 判例・条文 | 結論 |
|---|---|---|
| 離婚判決での財産分与 | 人事訴訟法32条1項 | 申立てがあるときに限り裁判する |
| 過当に負担した婚姻費用の清算 | 最判昭53.11.14 | 財産分与に含めて定めることができる |
| 協議・審判前の財産分与請求権による代位 | 最判昭55.7.11 | 代位できない |
| 書面によらない財産分与の約束 | 最判昭27.5.6 | 550条による解除はできない |
| 過大な財産分与・慰謝料の合意 | 最判昭58.12.19・平12.3.9 | 過大な部分(損害賠償債務を超える部分)に限り詐害行為取消しの対象 |
正しい。離婚の慰謝料として損害賠償債務の額を超える額を支払う合意は、超える部分に限って詐害行為取消しの対象となり、債務額までの部分は対象とならない(最判平12.3.9)。
詐害行為取消権(424条)は、債務者が債権者を害することを知ってした、責任財産を減らす行為を対象とする。離婚に伴う慰謝料を払う合意は、すでに生じている不法行為の損害賠償債務の額を確認し、払い方を決めるものにとどまるので、本来負う債務の額の範囲内であれば、新たに債務を負って責任財産を減らすものではない。判例は、離婚に伴う慰謝料を払う合意について、負担すべき損害賠償債務の額を超える金額を払う合意がされたときは、その超える部分は慰謝料の名を借りた贈与や対価のない新たな債務負担というべきなので、その部分に限って詐害行為取消権の対象となるとした(最判平12.3.9)。債務額を超えない部分は取消しの対象とならない。不相当に過大な財産分与について過大な部分だけを取り消せるとした判例と同じく、債権者を害する限度でだけ取消しを認める考え方である。

債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
| 事案 | 判例・条文 | 結論 |
|---|---|---|
| 離婚判決での財産分与 | 人事訴訟法32条1項 | 申立てがあるときに限り裁判する |
| 過当に負担した婚姻費用の清算 | 最判昭53.11.14 | 財産分与に含めて定めることができる |
| 協議・審判前の財産分与請求権による代位 | 最判昭55.7.11 | 代位できない |
| 書面によらない財産分与の約束 | 最判昭27.5.6 | 550条による解除はできない |
| 過大な財産分与・慰謝料の合意 | 最判昭58.12.19・平12.3.9 | 過大な部分(損害賠償債務を超える部分)に限り詐害行為取消しの対象 |
正しい。過去の婚姻費用の分担の態様も財産分与で考慮すべき事情の一つなので、過当に負担した婚姻費用の清算を含めて財産分与を定めることができる(最判昭53.11.14)。
768条3項は、家庭裁判所が財産分与の有無・額・方法を定めるに当たって考慮すべき事情を定めている。最判昭53.11.14は、離婚訴訟で裁判所が財産分与の額及び方法を定めるには当事者双方の一切の事情を考慮すべきであり、婚姻継続中の過去の婚姻費用の分担の態様はその事情の一つにほかならないから、裁判所は、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができるとした。財産分与は、夫婦が協力して築いた財産の清算や離婚後の扶養などを含む制度であり、婚姻費用の負担が一方に大きく偏っていたのにそれを正さずに清算すれば、当事者間の公平を欠くからである。令和6年改正で768条3項は考慮事情を具体的に列挙する形に改められたが、婚姻中の協力及び扶助の状況や一切の事情を考慮する点は変わらず、結論も変わらない。

前項の場合には、家庭裁判所は、離婚後の当事者間の財産上の衡平を図るため、当事者双方がその婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。この場合において、婚姻中の財産の取得又は維持についての各当事者の寄与の程度は、その程度が異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 相手方に離婚の責任がない | 最判昭31.2.21 | 財産分与は請求できる(慰謝料とは別の権利) |
| 過当に負担した婚姻費用の清算 | 最判昭53.11.14 | 財産分与に含めて定めることができる |
| 協議・審判前の財産分与請求権による代位 | 最判昭55.7.11 | 代位できない(内容が形成された後はできる) |
| 不相当に過大な財産分与 | 最判昭58.12.19・平12.3.9 | 過大な部分に限り詐害行為として取り消せる |
| 内縁が一方の死亡で解消 | 最決平12.3.10 | 768条を類推適用できない |
誤り。違うのは「離婚に伴う財産分与の規定の類推適用により、Aの相続人に対して財産分与を請求することができる」の部分である。
判例・実務は、内縁を婚姻に準じる関係とみて、内縁が当事者の生前に解消した場合には財産分与の規定(768条)を類推適用して清算を認めている。しかし、一方の死亡で解消した場合は扱いが違う。最決平12.3.10は、内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する768条の規定を類推適用することはできないとした。法律上の夫婦でも、一方の死亡で婚姻が終わる場合には財産分与の制度はなく、生き残った配偶者の財産上の保護は相続によって図られる仕組みになっているからである。死亡で解消した内縁に768条の類推を認めると、法律婚の配偶者にさえ認められない権利を内縁の配偶者に与えることになり、相続の制度と合わない。したがって、Aの死亡後にBがAの相続人に財産分与を請求することはできない。

内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する民法七六八条の規定を類推適用することはできない
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 相手方に離婚の責任がない | 最判昭31.2.21 | 財産分与は請求できる(慰謝料とは別の権利) |
| 過当に負担した婚姻費用の清算 | 最判昭53.11.14 | 財産分与に含めて定めることができる |
| 協議・審判前の財産分与請求権による代位 | 最判昭55.7.11 | 代位できない(内容が形成された後はできる) |
| 不相当に過大な財産分与 | 最判昭58.12.19・平12.3.9 | 過大な部分に限り詐害行為として取り消せる |
| 内縁が一方の死亡で解消 | 最決平12.3.10 | 768条を類推適用できない |
正しい。財産分与請求権は相手方に離婚についての有責不法な行為があることを要件としない(最判昭31.2.21)。
768条1項は、協議上の離婚をした者の一方は相手方に対して財産の分与を請求することができると定めるだけで、相手方が離婚について有責であることを要件としていない。財産分与は、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産の清算と離婚後の扶養を中心とする制度であり、相手方の有責な行為への制裁として与えられるものではないからである。最判昭31.2.21も、離婚した者の一方が相手方に対して持つ財産分与請求権は、必ずしも相手方に離婚について有責不法の行為があったことを要件とするものではないとし、離婚の慰謝料請求権は相手方の有責不法な行為で離婚に至ったことの損害賠償を目的とするので、財産分与請求権とは本質が異なり、権利者はどちらを選んで行使してもよいとした。したがって、性格の不一致のように双方に責任のない事由で協議離婚した場合でも、財産分与の請求は妨げられない。

離婚の場合に離婚した者の一方が相手方に対して有する財産分与請求権は、必ずしも相手方に離婚につき有責不法の行為のあつたことを要件とするものではない
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 相手方に離婚の責任がない | 最判昭31.2.21 | 財産分与は請求できる(慰謝料とは別の権利) |
| 過当に負担した婚姻費用の清算 | 最判昭53.11.14 | 財産分与に含めて定めることができる |
| 協議・審判前の財産分与請求権による代位 | 最判昭55.7.11 | 代位できない(内容が形成された後はできる) |
| 不相当に過大な財産分与 | 最判昭58.12.19・平12.3.9 | 過大な部分に限り詐害行為として取り消せる |
| 内縁が一方の死亡で解消 | 最決平12.3.10 | 768条を類推適用できない |
誤り。違うのは「不相当に過大であっても、詐害行為として取り消されることはない」の部分である。
財産分与は768条に基づく法律上の義務を果たすものなので、原則として債務者の責任財産を不当に減らす行為とはいえない。最判昭58.12.19は、離婚における財産分与は、768条3項の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為として債権者による取消しの対象となり得ないとした。もっとも、これは詐害行為となる余地を一律に否定するものではない。最判平12.3.9は、離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意がされた場合に、その特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきであるとした。相当な範囲の部分は取り消されないが、それを超える過大な部分は取消しの対象となる。本肢は過大でも取り消されないとする点で判例とずれている。

離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意がされた場合において、特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきものと解するのが相当である
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 相手方に離婚の責任がない | 最判昭31.2.21 | 財産分与は請求できる(慰謝料とは別の権利) |
| 過当に負担した婚姻費用の清算 | 最判昭53.11.14 | 財産分与に含めて定めることができる |
| 協議・審判前の財産分与請求権による代位 | 最判昭55.7.11 | 代位できない(内容が形成された後はできる) |
| 不相当に過大な財産分与 | 最判昭58.12.19・平12.3.9 | 過大な部分に限り詐害行為として取り消せる |
| 内縁が一方の死亡で解消 | 最決平12.3.10 | 768条を類推適用できない |
誤り。違うのは「Bの相続人に対して建物の所有権について財産分与を請求することができる」の部分である。内縁が一方の死亡で解消した場合に、財産分与の768条は類推適用できない(最決平12.3.10)。
判例は、内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する民法768条の規定を類推適用することはできないとした(最決平12.3.10)。死亡による関係の解消では、亡くなった者の財産は相続によって相続人に引き継がれるのが民法の仕組みであり、財産分与の名で相続とは別の清算を認めると、内縁の配偶者に相続権を認めない相続の秩序と衝突するからである。法律上の夫婦でも、一方の死亡で婚姻が終わったときは財産分与ではなく相続で処理されることとの釣り合いもある。したがって、Bの死亡で内縁が解消した場合、Aは、Bの相続人に対し、B所有の建物の所有権について財産分与を請求することはできず、肢は誤っている。これに対し、当事者が生きている間に内縁を解消した場合は、768条が類推適用され、財産分与を請求できる。

内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する民法七六八条の規定を類推適用することはできない
- 婚姻費用の分担(760条):準用される(最判昭33.4.11)
- 日常家事債務の連帯責任(761条):準用される
- 不当破棄の損害賠償:債務不履行・不法行為のいずれでも請求できる
- 生前の解消と財産分与(768条):類推される
- 死亡による解消と財産分与:類推されない(最決平12.3.10)
- 配偶者の相続権(890条):認められない
- 居住用建物の賃借権:相続人がいなければ同居の内縁配偶者が承継する(借地借家法36条)
誤り。違うのは「詐害行為として取り消されることはない」の部分である。不相当に過大で財産分与に仮託した財産処分と認められる特段の事情があれば、過大な部分は詐害行為として取り消される(最判昭58.12.19・最判平12.3.9)。
最判昭58.12.19は、離婚に伴う財産分与は、768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならないとした。さらに最判平12.3.9は、財産分与として金銭の給付をする旨の合意がされた場合に、その特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきであるとした。相当な範囲の財産分与は768条に基づく義務の履行に当たるので債権者を害する行為とはいえないが、分与の名目で責任財産を逃がす過大な部分まで保護する理由は無いからである。肢は財産分与としての財産処分がおよそ取り消されないとしており、判例と異なる。

離婚に伴う財産分与は、民法七六八条三項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならない…そして、離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意がされた場合において、右特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべき
誤り。違うのは「内縁の夫の相続人に対し,財産の分与を請求することができる」の部分である。内縁の夫婦の一方の死亡による解消には、財産分与の768条を類推適用できない(最決平12.3.10)。
最決平12.3.10は、内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する768条の規定を類推適用することはできないとした。内縁は婚姻に準ずる関係として保護され、離別によって内縁を解消する場合には財産分与の規定を類推適用することに合理性があると同決定も認めている。しかし、死亡による解消の場合の財産関係は相続で処理されるべきものであり、民法は法律上の配偶者にだけ相続権を与えている(890条)。死亡解消に財産分与を類推すれば、相続によらずに相続財産から分与を受ける道を解釈で作ることになり、相続制度と整合しないからである。肢は内縁の妻が相続人に財産の分与を請求できるとしており、判例と異なる。相続人がいないときに特別縁故者として分与を求める余地(958条の2)があるにとどまる。

内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する民法七六八条の規定を類推適用することはできない
- 婚姻費用の分担(760条):類推される(最判昭33.4.11)
- 日常家事債務の連帯責任(761条):類推される
- 不当破棄の損害賠償:債務不履行・不法行為のいずれでも請求できる
- 生前の解消と財産分与(768条):類推される
- 死亡による解消と財産分与:類推されない(最決平12.3.10)
- 配偶者の相続権(890条):認められない
正しい。財産分与の額と方法を定めるには一切の事情を考慮すべきであり、過去の婚姻費用の分担の態様もその一つであるから、過当に負担した婚姻費用の清算を含めて財産分与を定めることができる(最判昭53.11.14)。
最判昭53.11.14は、離婚訴訟において裁判所が財産分与の額及び方法を定めるについては当事者双方の一切の事情を考慮すべきものであることは771条・768条3項の規定上明らかであり、婚姻継続中における過去の婚姻費用の分担の態様はその事情の一つにほかならないから、裁判所は、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができるとした。夫婦は婚姻費用を分担する義務を負っており(760条)、その分担に偏りがあったなら、離婚の際の財産の清算に組み込んで一度に解決するのが合理的だからである。財産分与は夫婦の財産の清算を中心に、離婚後の扶養や慰謝料の要素も含み得る制度であり、過去の婚姻費用の清算もその中に取り込むことができる。肢は正しい。

離婚訴訟において裁判所が財産分与の額及び方法を定めるについては当事者双方の一切の事情を考慮すべきものであることは民法七七一条、七六八条三項の規定上明らかであるところ、婚姻継続中における過去の婚姻費用の分担の態様は右事情のひとつにほかならないから、裁判所は、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができる
- 清算の要素:婚姻中に夫婦が協力して得た財産を分ける
- 扶養の要素:離婚後の一方の生計の維持(最判昭46.7.23)
- 慰謝料の要素:含めることもできる。含めなければ別に慰謝料を請求できる
- 婚姻費用の清算:過当に負担した分を含められる(最判昭53.11.14)
誤り。違うのは「これらの権利は,内縁関係にある者についても類推して認められる」の部分である。財産分与は内縁の離別には類推されるが、相続権は法律上の配偶者に限られ、内縁の配偶者には認められない(890条、最決平12.3.10)。
内縁は婚姻に準ずる関係として、婚姻の効力に関する規定のうち共同生活の実体に基づくもの(同居協力扶助、婚姻費用の分担、日常家事債務の連帯責任など)が類推され、生前に内縁が解消された場合には、共同で形成した財産を清算するため768条の財産分与の規定も類推される。この限りで肢の前半は正しい。しかし、890条の配偶者は婚姻の届出をした法律上の配偶者を意味し、内縁の配偶者は含まれない。相続人の範囲は戸籍によって画一的に確定される必要があり、他の相続人や取引の相手方の地位の安定が求められるからである。最決平12.3.10も、内縁の配偶者に相続権がないことを前提に、内縁が一方の死亡によって解消した場合に768条を類推して生存内縁配偶者に財産分与を認めることはできないとした。相続の規律が及ばない場面で財産分与による清算だけを認めると、相続法の規律と整合しないからである。したがって、相続権についても類推されるとする肢は誤っている。

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
| 離婚 | 夫婦の一方の死亡 | |
|---|---|---|
| 氏 | 当然に婚姻前の氏に復する。3か月以内の届出で婚氏続称(767条) | 当然には復氏しない。届出で婚姻前の氏に復することができる(751条1項) |
| 姻族関係 | 当然に終了する(728条1項) | 生存配偶者が終了の意思表示をしたときに終了する(728条2項) |
| 財産 | 財産分与(768条) | 相続(890条) |
正しい。財産分与請求権は、協議や審判で具体的内容が形成されるまでは範囲と内容が不確定なので、これを保全するために債権者代位権を行使することはできない(最判昭55.7.11)。
債権者代位権を行使するには、保全されるべき債権(被保全債権)が存在しなければならない。最判昭55.7.11は、離婚によって生じることのある財産分与請求権は一個の私権としての性格を持つが、協議あるいは審判などによって具体的内容が形成されるまでは、その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、これを保全するために債権者代位権を行使することはできないとした。財産分与は、婚姻中に協力して得た財産の清算や離婚後の扶養などの事情を総合して決まるものであり、協議や審判を経るまでは、どれだけの額を誰から受けられるのかが決まっていない。そのような権利のために、他人である債務者の財産管理に介入することを認める理由はないからである。これに対し、協議や審判によって内容が確定した後の財産分与請求権は、通常の金銭債権と同じく被保全債権となり得る。

離婚によつて生ずることあるべき財産分与請求権は、一個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によつて具体的内容が形成されるまでは、その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできない
- 被保全債権にならない:協議・審判で具体化する前の財産分与請求権(最判昭55.7.11)
- 代位できない:認知請求権など身分上の権利、差押えを禁じられた権利、金額が確定する前の名誉侵害の慰謝料請求権
- 代位できる:取消権・解除権などの財産上の形成権、消滅時効の援用権(最判昭43.9.26)、受益の意思表示
- 代位行使の範囲:被代位権利の目的が可分なら自己の債権の額の限度(423条の2)
誤り。違うのは「これらの権利は,内縁関係にある者についても類推して認められる」の部分である。財産分与は内縁の離別には類推されるが、相続権は法律上の配偶者に限られ、内縁の配偶者には認められない(890条、最決平12.3.10)。
内縁は婚姻に準ずる関係として、婚姻の効力に関する規定のうち共同生活の実体に基づくもの(同居協力扶助、婚姻費用の分担、日常家事債務の連帯責任など)が類推され、生前に内縁が解消された場合には、共同で形成した財産を清算するため768条の財産分与の規定も類推される。この限りで肢の前半は正しい。しかし、890条の配偶者は婚姻の届出をした法律上の配偶者を意味し、内縁の配偶者は含まれない。相続人の範囲は戸籍によって画一的に確定される必要があり、他の相続人や取引の相手方の地位の安定が求められるからである。最決平12.3.10も、内縁の配偶者に相続権がないことを前提に、内縁が一方の死亡によって解消した場合に768条を類推して生存内縁配偶者に財産分与を認めることはできないとした。相続の規律が及ばない場面で財産分与による清算だけを認めると、相続法の規律と整合しないからである。したがって、相続権についても類推されるとする肢は誤っている。

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
| 離婚 | 夫婦の一方の死亡 | |
|---|---|---|
| 氏 | 当然に婚姻前の氏に復する。3か月以内の届出で婚氏続称(767条) | 当然には復氏しない。届出で婚姻前の氏に復することができる(751条1項) |
| 姻族関係 | 当然に終了する(728条1項) | 生存配偶者が終了の意思表示をしたときに終了する(728条2項) |
| 財産 | 財産分与(768条) | 相続(890条) |
正しい。財産分与の金銭給付の合意は、不相当に過大で財産分与に仮託された財産処分と認められる特段の事情があるときは、不相当に過大な部分についてその限度で詐害行為として取り消される(最判平12.3.9)。
離婚に伴う財産分与(768条)は、婚姻中の夫婦の実質的な共同財産の清算、離婚後の扶養、慰謝料という複数の要素を持ち、単純に責任財産を減らす財産処分と同じには扱えない。そのため判例は、財産分与は768条3項の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りる特段の事情のない限り、詐害行為とはならないとしている(最判昭58.12.19)。そして最判平12.3.9は、離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意がされた場合において、その特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきものとした。合意全体を取り消すのではなく、財産分与として相当な範囲を超える部分だけを取り消すのである。同判決は、離婚に伴う慰謝料の支払の合意も、負担すべき損害賠償債務の額を超えた部分に限って取消しの対象となりうるとしている。肢はこの判例どおりであり正しい。

離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意がされた場合において、右特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきものと解する
正しい。財産分与の金銭給付の合意は、不相当に過大で財産分与に仮託された財産処分と認められる特段の事情があるときは、不相当に過大な部分についてその限度で詐害行為として取り消される(最判平12.3.9)。
離婚に伴う財産分与(768条)は、婚姻中の夫婦の実質的な共同財産の清算、離婚後の扶養、慰謝料という複数の要素を持ち、単純に責任財産を減らす財産処分と同じには扱えない。そのため判例は、財産分与は768条3項の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りる特段の事情のない限り、詐害行為とはならないとしている(最判昭58.12.19)。そして最判平12.3.9は、離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意がされた場合において、その特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきものとした。合意全体を取り消すのではなく、財産分与として相当な範囲を超える部分だけを取り消すのである。同判決は、離婚に伴う慰謝料の支払の合意も、負担すべき損害賠償債務の額を超えた部分に限って取消しの対象となりうるとしている。肢はこの判例どおりであり正しい。

離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意がされた場合において、右特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきものと解する
誤り。違うのは「Aの配偶者に準ずる相続分を主張することができる」の部分である。配偶者の相続権は法律上の配偶者にだけ認められ、内縁の配偶者には相続権がない(890条)。
890条は、被相続人の配偶者は常に相続人となると定めるが、ここでいう配偶者は婚姻の届出をした法律上の配偶者であり、内縁の配偶者は含まれない。相続は、届出によって公示された身分関係を前提に、相続人と相続分を画一的に決める制度だからである。内縁を準婚として保護する判例も、婚姻費用の分担(760条)のように共同生活の実体に基づく規定を準用するにとどまり、相続には及ぼさない。判例(最決平12.3.10)は、内縁の夫婦の一方の死亡で内縁関係が解消した場合に、離婚に伴う財産分与の規定(768条)を類推適用することもできないとし、相続による財産承継の仕組みの中に異質の契機を持ち込むことは法の予定しないところであるとした。したがって、BはAの子Cに対して配偶者に準ずる相続分を主張できない。Bの保護は、相続人がいない場合の特別縁故者への財産分与(958条の2)などによることになる。

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
- 婚姻費用の分担(760条):類推される(最判昭33.4.11)
- 不当破棄の損害賠償:債務不履行・不法行為のいずれでも請求できる(最判昭33.4.11)
- 生前の解消と財産分与(768条):類推される
- 死亡による解消と財産分与:類推されない(最決平12.3.10)
- 配偶者の相続権(890条):認められない
- 嫡出推定(772条):及ばない。認知の訴えでは772条を類推して事実上推定(最判昭29.1.21)
誤り。違うのは「財産分与に関する民法の規定の類推適用により、遺産について財産分与を請求することができる」の部分である。判例は、内縁の夫婦の一方の死亡による解消には768条を類推適用できないとする(最決平12.3.10)。
内縁が当事者の生存中に解消された場合には、夫婦の財産の清算や離婚後の扶養という財産分与の趣旨が当てはまるから、768条を類推して財産分与を請求できると解されている。しかし最決平12.3.10は、内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する768条の規定を類推適用することはできないとした。死亡による関係の解消の場合の財産の処理は相続の制度が予定しているところであり、法律上の配偶者でない内縁の配偶者には相続権がない(890条)。それにもかかわらず財産分与の規定を持ち込めば、相続人に帰属するはずの遺産から実質的に相続と同じ効果を認めることになり、相続の規律を崩してしまうからである。したがって、遺産について財産分与を請求できるとする肢は誤りである。相続人がいない場合には、特別縁故者として相続財産の分与を受ける道がある(958条の2)。

内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する民法七六八条の規定を類推適用することはできない
| 事項 | 内縁 |
|---|---|
| 婚姻費用の分担(760条)・日常家事債務(761条) | 類推される |
| 不当破棄の損害賠償 | 債務不履行・不法行為のいずれでも請求できる |
| 生前の解消と財産分与(768条) | 類推される |
| 死亡による解消と財産分与 | 類推されない(最決平12.3.10) |
| 配偶者の相続権(890条) | 認められない |
誤り。違うのは「財産分与に関する民法の規定の類推適用により、遺産について財産分与を請求することができる」の部分である。判例は、内縁の夫婦の一方の死亡による解消には768条を類推適用できないとする(最決平12.3.10)。
内縁が当事者の生存中に解消された場合には、夫婦の財産の清算や離婚後の扶養という財産分与の趣旨が当てはまるから、768条を類推して財産分与を請求できると解されている。しかし最決平12.3.10は、内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する768条の規定を類推適用することはできないとした。死亡による関係の解消の場合の財産の処理は相続の制度が予定しているところであり、法律上の配偶者でない内縁の配偶者には相続権がない(890条)。それにもかかわらず財産分与の規定を持ち込めば、相続人に帰属するはずの遺産から実質的に相続と同じ効果を認めることになり、相続の規律を崩してしまうからである。したがって、遺産について財産分与を請求できるとする肢は誤りである。相続人がいない場合には、特別縁故者として相続財産の分与を受ける道がある(958条の2)。

内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する民法七六八条の規定を類推適用することはできない
| 事項 | 内縁 |
|---|---|
| 婚姻費用の分担(760条)・日常家事債務(761条) | 類推される |
| 不当破棄の損害賠償 | 債務不履行・不法行為のいずれでも請求できる |
| 生前の解消と財産分与(768条) | 類推される |
| 死亡による解消と財産分与 | 類推されない(最決平12.3.10) |
| 配偶者の相続権(890条) | 認められない |
誤り。違うのは「離婚に伴う財産分与は詐害行為取消権行使の対象となることはない」の部分である。判例は、財産分与も不相当に過大で財産分与に仮託した財産処分と認められる特段の事情があれば、詐害行為取消権の対象となるとした(最判昭58.12.19)。
判例(最判昭58.12.19)は、離婚に伴う財産分与は、768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならないとした。財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産の清算や離婚後の扶養などを目的とする身分関係に伴う行為であり、分与者が債務超過であっても、相当な範囲の分与までは債権者の利益に優先させるべきだからである。しかし、特段の事情があれば詐害行為となり、判例(最判平12.3.9)は、その場合には不相当に過大な部分について、その限度で取り消されるとした。同判決は、慰謝料支払の合意についても、負担すべき損害賠償債務の額を超えた部分は詐害行為取消権の対象となりうるとしている。したがって、慰謝料の合意が対象となることがあるとする後段は正しいが、財産分与が対象とならないとする前段が誤りである。

前項の場合には、家庭裁判所は、離婚後の当事者間の財産上の衡平を図るため、当事者双方がその婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情を考慮して、分与させるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。この場合において、婚姻中の財産の取得又は維持についての各当事者の寄与の程度は、その程度が異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。
- 特定物債権者:目的物の処分で債務者が無資力になれば取り消せるが、直接自己への移転登記は求められない(最判昭53.10.5)
- 遺産分割協議:財産権を目的とする法律行為として取消しの対象となりうる(最判平11.6.11)
- 債権発生前の譲渡行為:登記が債権発生後でも、登記だけを切り離して取り消せない(最判昭55.1.24)
- 離婚に伴う財産分与:不相当に過大で財産分与に仮託した処分と認められる特段の事情があれば、過大な部分を取り消せる(最判昭58.12.19・最判平12.3.9)
- 転得者がいる場合の受益者への請求:現物の返還が困難なので価額の償還を請求する(424条の6第1項後段)
誤り。違うのは「離婚の時から2年以内に分割しなければならない」の部分である。夫婦の共有財産の分割には期間制限がなく、財産分与も当事者の協議によるなら期間制限はない。期間の制限があるのは家庭裁判所に協議に代わる処分を請求する場合だけである(768条2項ただし書)。
768条1項は、協議上の離婚をした者の一方は相手方に対して財産の分与を請求することができると定め、同条2項は、財産の分与について当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができるとし、ただし離婚の時から5年を経過したときはこの限りでないと定める(出題当時は2年)。期間の制限は家庭裁判所への請求についてのものであり、当事者が協議によって財産分与をする場合や、夫婦の共有名義の財産について共有物の分割(256条1項)を求める場合には、このような期間の制限はない。離婚後の財産関係の早期安定のため裁判所の関与には期限を設けたが、当事者の任意の合意による清算まで期限で封じる必要はないからである。本肢は、共有財産の分割一般に期間制限があるとしている点で誤りである。

前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から五年を経過したときは、この限りでない。
- 要件:離婚意思の合致と届出(764条・739条)。未成年の子がいれば親権者の定め又はその指定を求める審判・調停の申立てがなければ届出は受理されない(765条1項)
- 監護者・財産分与:離婚の要件ではなく、協議が調わなければ家庭裁判所が定める(766条2項・768条2項)
- 財産分与の請求:協議は期間制限なし。家庭裁判所への請求は離婚の時から5年以内(768条2項ただし書。出題当時は2年)
- 氏:当然に復氏し、離婚の日から3か月以内の届出で婚氏続称(767条)
- 裁判上の離婚の親権者:裁判所が父母の双方又は一方を定める(819条2項。出題当時は一方)
1婚姻によって氏を改めた夫又は妻が、第八百九十七条第一項の権利を承継した後、協議上の離婚をしたときは、当事者その他の関係人の協議で、その権利を承継すべき者を定めなければならない。
2前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。