1債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
2債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
3債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。
この条文の過去問 18問
正しい。差押えを禁じられた権利は、債務者の一身に専属する権利とともに、代位行使の対象から除かれている(423条1項ただし書)。
423条1項ただし書は、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は代位行使することができないと定める。差押えを禁じられた権利には、給料債権の一定部分や年金の受給権などがある。債権者代位権は、債務者の責任財産を保全して最終的には強制執行によって債権の満足を得るための制度であるから、そもそも強制執行の対象とならず、債権者の引当てにならない財産について代位行使を認めても制度の目的に役立たない。また、差押えの禁止は債務者とその家族の最低限の生活を守るために設けられているから、代位という別の道を通ってその保障を骨抜きにすることも許されない。したがって、債権者は、債務者に属する権利であって差押えを禁じられたものを行使することはできない。もう一つの除外である一身専属権は行使上の一身専属権を指し、慰謝料請求権のように、金額が具体的に確定する前は代位できないとされるものがある。

債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
- 代位できない:認知請求権などの身分上の権利、差押えを禁じられた権利、金額が確定する前の名誉侵害の慰謝料請求権、内容が確定する前の財産分与請求権
- 代位できる:詐欺による取消権・解除権などの財産上の形成権、消滅時効の援用権、金額が確定した慰謝料請求権、内容が確定した財産分与請求権
- 被保全債権の時期:被代位権利より後に成立した債権でもよい(詐害行為取消権は行為の前の原因が必要)
正しい。差押えを禁じられた権利は、債務者の一身に専属する権利とともに、代位行使の対象から除かれている(423条1項ただし書)。
423条1項ただし書は、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は代位行使することができないと定める。差押えを禁じられた権利には、給料債権の一定部分や年金の受給権などがある。債権者代位権は、債務者の責任財産を保全して最終的には強制執行によって債権の満足を得るための制度であるから、そもそも強制執行の対象とならず、債権者の引当てにならない財産について代位行使を認めても制度の目的に役立たない。また、差押えの禁止は債務者とその家族の最低限の生活を守るために設けられているから、代位という別の道を通ってその保障を骨抜きにすることも許されない。したがって、債権者は、債務者に属する権利であって差押えを禁じられたものを行使することはできない。もう一つの除外である一身専属権は行使上の一身専属権を指し、慰謝料請求権のように、金額が具体的に確定する前は代位できないとされるものがある。

債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
- 代位できない:認知請求権などの身分上の権利、差押えを禁じられた権利、金額が確定する前の名誉侵害の慰謝料請求権、内容が確定する前の財産分与請求権
- 代位できる:詐欺による取消権・解除権などの財産上の形成権、消滅時効の援用権、金額が確定した慰謝料請求権、内容が確定した財産分与請求権
- 被保全債権の時期:被代位権利より後に成立した債権でもよい(詐害行為取消権は行為の前の原因が必要)
正しい。債権者は、債権の期限が到来しない間は被代位権利を行使できないが、保存行為は除かれる(423条2項)。
423条2項は、債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができず、ただし、保存行為はこの限りでないと定める。期限の前の債権者は、まだ債務者が任意に履行するのを待つべき立場にあるにすぎず、その段階で債務者の財産の管理に口を出すのは、債務者の財産管理の自由への行き過ぎた干渉になるからである。もっとも、保存行為は、債務者の財産の現状を保つための行為であり、時効の完成猶予のための請求や、未登記の不動産の保存登記などがこれに当たる。保存行為は債務者に不利益を与えず、むしろ債務者のためにもなるから、期限の前でも代位行使を認めて差し支えないのである。したがって、被保全債権の履行期が来ていなくても、保存行為については債務者に代位して権利を行使でき、本肢は正しい。なお、出題当時は裁判所の許可を得て期限の前に代位する制度もあったが、平成29年改正で廃止され、期限の前の代位行使は保存行為に限られることになった。

債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
- 被保全債権の期限(423条2項):期限が到来しない間は行使できない。ただし保存行為はできる
- 行使の範囲(423条の2):被代位権利の目的が可分なら自己の債権額の限度。他の債権者の存在で按分されない
- 直接の引渡し(423条の3):金銭の支払・動産の引渡しは自己に求められる
- 相手方の抗弁(423条の4):債務者に主張できる抗弁を債権者に対抗できる。債権者の再抗弁は債務者が主張できるものに限られる
- 転用:賃借権の保全のための代位は、賃借権の対抗要件を問わず、不法占拠者に対してできる
正しい。名誉侵害の慰謝料請求権は、具体的な金額が当事者間で客観的に確定すれば行使上の一身専属性を失い、債権者代位の目的になる(最判昭58.10.6)。
423条1項ただし書は、債務者の一身に専属する権利を被代位権利から除いている。ここでいう一身専属性は行使上の一身専属性であり、権利を行使するかどうかを権利者本人の意思だけに委ねるべき性質をいう。最判昭58.10.6は、名誉を侵害されたことを理由とする慰謝料請求権は、行使するかどうかが専ら被害者自身の意思によって決せられるべきものであり、被害者が請求の意思を表示しただけで具体的な金額が客観的に確定しない間は、請求意思を貫くかどうかを被害者の自律的判断に委ねるのが相当だから、なお一身専属性を有するとした。そのうえで、合意や確定判決によって具体的な金額が客観的に確定したときは、加害者の現実の履行を残すだけで、その受領まで被害者の判断に委ねる理由はないから、客観的存在としての金銭債権となり、債権者代位の目的にできるとした。肢はこの判例どおりであり正しい。

債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
- 代位できない:認知請求権などの身分上の権利、夫婦間の契約取消権(出題当時の754条)、金額が確定する前の名誉侵害の慰謝料請求権、確定的意思を表明する前の遺留分の請求権
- 代位できる:詐欺による取消権・解除権などの財産上の形成権、消滅時効の援用権、金額が確定した慰謝料請求権、内容が確定した財産分与請求権
誤り。違うのは「夫婦の一方の債権者による債権者代位権の目的となる」の部分である。出題当時の754条の取消権は行使上の一身専属権であり、代位できなかった。現在は同条が削除され、取消権自体がない。
出題当時の754条は、夫婦間でした契約は婚姻中いつでも夫婦の一方から取り消すことができると定めていた。夫婦間の約束の履行は法的な強制ではなく愛情や道義に委ねるべきだという趣旨であり、取り消すかどうかは夫婦の情義に基づく本人の自由な意思に委ねられていた。そのためこの取消権は、423条1項ただし書の債務者の一身に専属する権利の典型とされ、扶養請求権と並んで債権者が代位行使することはできないと解されていた。債権者に代位を認めると、夫婦間の贈与などを第三者の利害で覆すことになり、家庭内の事柄に法が介入しないという趣旨に反するからである。したがって、出題当時の法令を前提に本肢は誤りである。なお、754条は令和6年改正(令和8年4月施行)で削除されたので、現在は夫婦間の契約取消権そのものがなく、問いの前提が成り立たない。

債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
- 代位できない:認知請求権などの身分上の権利、夫婦間の契約取消権(出題当時の754条)、金額が確定する前の名誉侵害の慰謝料請求権、確定的意思を表明する前の遺留分の請求権
- 代位できる:詐欺による取消権・解除権などの財産上の形成権、消滅時効の援用権、金額が確定した慰謝料請求権、内容が確定した財産分与請求権
誤り。違うのは「認知されていない子の債権者による債権者代位権の目的となる」の部分である。認知請求権は身分関係の形成を求める権利で、行使上の一身専属権に当たり、代位できない(423条1項ただし書)。
認知の訴えによる認知請求権(787条)は、子と父との間に法律上の親子関係を形成することを求める身分上の権利であり、財産的な価値の実現を目的とするものではない。誰を法律上の父と定めるかは子本人の人格的利益に直結する事柄であるから、権利を行使するかどうかは子又はその法定代理人の意思に委ねられるべきである。そのため認知請求権は、423条1項ただし書の債務者の一身に専属する権利の典型であり、認知されていない子の債権者が子に代わって行使することはできない。認知によって扶養請求権や相続権が生じ、子の責任財産が増えることがあっても、それは身分関係の形成に伴う結果にすぎず、債権者が自己の債権の保全のために他人の身分関係の形成に介入することは許されない。認知請求権は放棄することもできないとされている(最判昭37.4.10)。したがって肢は誤っている。

債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
- 代位できない:認知請求権などの身分上の権利、夫婦間の契約取消権(出題当時の754条)、金額が確定する前の名誉侵害の慰謝料請求権、確定的意思を表明する前の遺留分の請求権
- 代位できる:詐欺による取消権・解除権などの財産上の形成権、消滅時効の援用権、金額が確定した慰謝料請求権、内容が確定した財産分与請求権
正しい。受益の意思表示は財産的な性質の強い権利で一身専属権ではないから、債権者代位の目的となる(大判昭16.9.30)。
債権者代位権は、債務者の一身に専属する権利を除き、債務者に属する権利を目的として行使できる(423条1項)。第三者のためにする契約の受益の意思表示(537条3項)は、これをすることで受益者が債務者に対する給付請求権という財産権を取得するものであり、するかしないかが本人の人格的な判断に委ねられる性質の権利ではない。判例も、受益の意思表示は一身専属権に当たらず、債権者代位の目的となり得るとしている(大判昭16.9.30)。本肢では、Cは受益の意思表示をすればBに対する300万円の代金債権を取得できるのにこれをしていない。Cに対して債権を持つDには被保全債権があり、Cが無資力であるから保全の必要も認められる。したがって、DはCに代位して受益の意思表示をし、Cに代金債権を取得させたうえで、これを責任財産として把握することができる。

第一項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。
誤り。違うのは「行使することはできない」の部分である。相続人は、買主の同時履行の抗弁権を失わせて自己の代金債権を保全するため、買主の資力を問わず、買主に代位して登記に応じない相続人への登記請求権を行使できる(最判昭50.3.6)。
売主が登記義務を履行しないまま死亡し、共同相続人がその義務を相続したときは、買主は共同相続人の全員が登記義務の履行を提供しない限り、代金全額の支払を拒むことができる(533条)。そのため、Dが登記義務の履行を拒んでいる本肢では、Bは自ら履行を提供して代金を求めるCに対しても支払を拒める。最判昭50.3.6は、この場合、相続人は同時履行の抗弁権を失わせて買主に対する自己の代金債権を保全するため、債務者である買主の資力の有無を問わず、423条1項本文により、買主に代位して、登記に応じない相続人に対する買主の所有権移転登記請求権を行使できるとした。責任財産の保全ではなく、特定の債権の実現を確保するための転用であるから、Bの無資力は要らない。423条の7は譲受人が譲渡人の登記請求権を代位する場面の規定であり、本肢はなお423条1項の転用として扱われる。

共同相続人の一人が右登記義務の履行を拒絶しているときは、買主は、登記義務の履行を提供して自己の相続した代金債権の弁済を求める他の相続人に対しても代金支払を拒絶することができる
誤り。違うのは「消滅時効を援用することができない」の部分である。債務者が無資力であれば、金銭債権の債権者は債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用できる(最判昭43.9.26)。
最判昭43.9.26は、金銭債権の債権者は、その債務者が他の債権者に対して負担する債務について消滅時効を援用できる地位にあるのにこれを援用しないときは、債務者の資力が自己の債権の弁済を受けるのに十分でない事情にある限り、その債権を保全するのに必要な限度で、423条1項本文により、債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用できるとした。時効を援用するかどうかは債務者の判断に委ねられるのが原則であるが、援用によって債務が消えれば債務者の責任財産が保たれるので、援用権も財産的な権利として代位の対象となるのである。債務者の一般債権者は、自らは時効の援用権者ではないが(145条)、債務者の援用権を代位行使することはできる。本肢は援用できないとしている点で誤りである。

金銭債権の債権者は、その債務者が、他の債権者に対して負担する債務、または前記のように他人の債務のために物上保証人となつている場合にその被担保債権について、その消滅時効を援用しうる地位にあるのにこれを援用しないときは、債務者の資力が自己の債権の弁済を受けるについて十分でない事情にあるかぎり、その債権を保全するに必要な限度で、民法四二三条一項本文の規定により、債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することが許される
- 被保全債権にならない:協議・審判で具体化する前の財産分与請求権(最判昭55.7.11)
- 代位できない:認知請求権など身分上の権利、差押えを禁じられた権利、金額が確定する前の名誉侵害の慰謝料請求権
- 代位できる:取消権・解除権などの財産上の形成権、消滅時効の援用権(最判昭43.9.26)、受益の意思表示
- 代位行使の範囲:被代位権利の目的が可分なら自己の債権の額の限度(423条の2)
正しい。債権者代位訴訟では被保全債権の存在が代位債権者の原告適格を基礎づけるので、被保全債権が存在しなければ訴えは却下される。
債権者代位訴訟は、債権者が自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を自己の名で行使する訴訟であり(民法423条1項)、債権者が他人の権利について当事者となる法定訴訟担当である。訴訟物は債務者の第三債務者に対する被代位権利であり、被保全債権の存在は訴訟物の当否ではなく、他人の財産管理に介入して訴訟を追行する資格を基礎づける事項である。そのため、被保全債権の存在は原告適格の要件と解され、これが存在しないことが明らかになれば、代位債権者は原告適格を欠き、訴えは却下される。被代位権利が存在しない場合に請求棄却となるのとは区別される。Xの被保全債権であるZに対する売買代金債権が存在しないことが明らかになったのだから、Xの訴えは原告適格を欠くとして却下される。肢は正しい。

債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
| 場面 | 当事者適格 | 欠けるときの扱い |
|---|---|---|
| 給付の訴え | 給付請求権を有すると主張する者が原告、義務者と主張された者が被告 | 権利が無ければ請求棄却(本案の問題) |
| 訴訟物の権利を訴え提起後に譲渡 | 原告適格は失われない | 譲渡は本案の抗弁か訴訟承継で処理 |
| 債権者代位訴訟 | 被保全債権を有する債権者(法定訴訟担当) | 被保全債権が無ければ訴え却下。被代位権利が無ければ請求棄却 |
| 筆界確定の訴え | 相隣接する土地の所有者(共有なら共有者全員) | 所有者でない者を当事者とすれば訴え却下 |
| 役員の解任の訴え | 会社と役員の双方が被告(会社法855条) | 一方だけを被告とすれば訴え却下 |
正しい。金銭債権の債権者は、債務者が無資力であれば、債権を保全するのに必要な限度で、債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用できる(最判昭43.9.26)。
債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利を行使することができる(423条1項)。判例(最判昭43.9.26)は、金銭債権の債権者は、その債務者が他の債権者に対して負担する債務について消滅時効を援用しうる地位にあるのにこれを援用しないときは、債務者の資力が自己の債権の弁済を受けるについて十分でない事情にある限り、その債権を保全するのに必要な限度で、423条1項により債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することが許されるとした。一般債権者は、他の債権者の債権が時効で消えても直接の利益を受ける者ではないから、自分の権利として時効を援用することはできない。しかし、債務者が持つ援用権は財産上の権利であり、債務者が無資力であれば、他の債務が消えることで責任財産が増え、自分の債権の回収が容易になるから、債権者代位によって債務者の援用権を行使することが認められるのである。本肢は判例の内容どおりである。

債務者の資力が自己の債権の弁済を受けるについて十分でない事情にあるかぎり、その債権を保全するに必要な限度で、民法四二三条一項本文の規定により、債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することが許される
- 援用できる:債務者、保証人、物上保証人、抵当不動産の第三取得者(145条)、詐害行為の受益者、取得時効の占有者
- 援用できない:後順位抵当権者(先順位抵当権の被担保債権)、建物の賃借人(敷地の取得時効)
- 代位行使:一般債権者も、債務者が無資力なら債務者の援用権を423条で代位行使できる
- 共同相続人:自己の相続分の限度でのみ援用できる
誤り。違うのは「その通知は有効である」の部分である。債権譲渡の通知は譲渡人がしなければならず、譲受人が債権者代位権によって代位してした通知は効力を生じない(大判昭5.10.10)。
467条1項は、債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができないと定める。通知をする者が譲渡人とされているのは、債権を失う譲渡人からの通知であれば債務者が譲渡の事実を信頼できるからであり、譲受人からの通知を認めると、譲渡を受けていない者が譲受人を名乗って通知し、債務者が誤って弁済させられる危険があるからである。判例(大判昭5.10.10)は、譲受人は債権者代位権によって譲渡人に代位して債務者に債権譲渡の通知をすることはできないとした。代位による通知を認めると、実質的には譲受人自身による通知を認めるのと同じになり、譲渡人に通知をさせる同項の趣旨が失われるからである。譲受人は、譲渡人に対して通知をするよう請求し、応じなければ通知を命ずる判決を得ることになる。本肢は代位による通知を有効としている点が誤りである。

債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
- 債務者に対する対抗要件(467条1項):譲渡人の通知又は債務者の承諾。譲受人の代位通知は無効
- 第三者に対する対抗要件(467条2項):確定日付のある証書による通知又は承諾
- 譲渡の予約についての通知・承諾:予約完結による譲渡の第三者対抗要件にならない(最判平13.11.27)
- 双方に確定日付のある通知:到達の先後で決まる。同時到達なら各譲受人が全額を請求でき、債務者は拒めない(最判昭55.1.11)
正しい。最判昭48.4.24は、債務者が独立当事者参加をして第三債務者に代位訴訟と訴訟物を同じくする訴えを提起することは、重複起訴の禁止に触れないとした。
Aは、Xの被保全債権である売買代金債権が弁済で消滅したと主張しており、それが認められればXは代位権を持たず、貸金債権を行使できるのはA自身である。そこでAは、訴訟の目的である貸金債権が自己の権利であると主張して、独立当事者参加(47条1項)をすることが考えられる。最判昭48.4.24は、債権者が代位権を行使して第三債務者に訴えを提起した場合であっても、債務者が独立当事者参加をして第三債務者に代位訴訟と訴訟物を同じくする訴えを提起することは、重複起訴の禁止に触れるものではないとした。債務者の利益を守るため訴えを提起する特別の必要があり、独立当事者参加なら代位訴訟と併合審理が強制され、合一に確定されるので、審判の重複や既判力の抵触、被告の応訴の負担という弊害がないからである。民法423条の5の施行後は共同訴訟参加によるべきとする見解もある。肢は正しい。

債務者が民訴法71条により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法231条の重複起訴禁止にふれるものではないと解するのが相当である。
- 性質:債権者が債務者の権利を自己の名で行使する法定訴訟担当。訴訟物は被代位権利(AのYに対する貸金債権)
- 被保全債権がない:原告適格を欠き訴え却下。被代位権利がない・弁済期未到来:請求棄却
- 債務者の別訴:同じ被代位権利の別訴は重複起訴として却下(142条)。独立当事者参加は重複起訴に触れない(最判昭48.4.24)
- 時効:訴え提起の時に被代位権利について生じる(出題当時は中断、現在は完成猶予)
- 判決効:債務者に及ぶ(115条1項2号)。代位債権者に当事者適格がなかったときは及ばない
- 民法改正後:代位行使後も債務者は取立て・処分ができ(民法423条の5)、債権者は債務者に訴訟告知をしなければならない(民法423条の6)
正しい。被保全債権が消滅していたXには代位訴訟の当事者適格がなく、他人のために原告となった者の判決として115条1項2号でAに判決の効力が及ぶ前提を欠くので、Aは自ら貸金債権の存在を主張して訴えを提起することができる。
115条1項2号は、当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人にも確定判決の効力が及ぶと定め、債権者代位訴訟の判決は債務者にも及ぶと解されている。しかし、それは代位債権者が被保全債権を持ち、正当に債務者の権利を行使する資格、すなわち当事者適格を備えていることが前提である。被保全債権が訴え提起前に消滅していたのであれば、Xには代位権がなく、Aのために原告となる資格を欠いていたのであるから、その判決をAに及ぼす根拠がない。資格のない者が勝手に起こした訴訟で敗訴した結果に、関与していない債務者を拘束するのは不当でもある。そのため、Aは前訴判決の効力を受けず、Yに対して訴えを提起して貸金債権の存在を主張することを妨げられない。肢は正しい。

確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
- 性質:債権者が債務者の権利を自己の名で行使する法定訴訟担当。訴訟物は被代位権利(AのYに対する貸金債権)
- 被保全債権がない:原告適格を欠き訴え却下。被代位権利がない・弁済期未到来:請求棄却
- 債務者の別訴:同じ被代位権利の別訴は重複起訴として却下(142条)。独立当事者参加は重複起訴に触れない(最判昭48.4.24)
- 時効:訴え提起の時に被代位権利について生じる(出題当時は中断、現在は完成猶予)
- 判決効:債務者に及ぶ(115条1項2号)。代位債権者に当事者適格がなかったときは及ばない
- 民法改正後:代位行使後も債務者は取立て・処分ができ(民法423条の5)、債権者は債務者に訴訟告知をしなければならない(民法423条の6)
誤り。違うのは「独立当事者参加をすることは許されない」の部分である。債務者が代位訴訟に独立当事者参加して第三債務者に同じ訴訟物の請求をすることは、重複起訴の禁止に触れない(最判昭48.4.24)。
最判昭48.4.24は、債権者が代位権を行使して第三債務者に訴えを提起した場合でも、債務者が独立当事者参加によってその代位訴訟に参加し、第三債務者に対し代位訴訟と訴訟物を同じくする訴えを提起することは、重複起訴の禁止(現行142条)に触れないとした。同一訴訟物の訴訟が係属していても、債務者の利益を守るために訴えを提起する特別の必要が認められ、しかも同じ手続の中で審理されるので、審理の重複や判断の矛盾が生じるおそれがないからである。債務者は、被保全債権である甲債権の不存在を主張して代位債権者の当事者適格を争い、乙債権に基づく自己への支払を求めることができる。なお、民法423条の5が施行された現在は、債務者の請求と代位債権者の請求が両立し得るとして、権利主張参加の要件を満たすか疑問とし、共同訴訟参加によるべきとする見解もある。肢は判例と逆の結論を述べている。

債務者が民訴法71条により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法231条の重複起訴禁止にふれるものではないと解するのが相当である。けだし、この場合は、同一訴訟物を目的とする訴訟の係属にかかわらず債務者の利益擁護のため訴を提起する特別の必要を認めることができるのであり
正しい。判例は、不法占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられる状態があるときは、抵当権者は423条の法意に従い所有者の妨害排除請求権を代位行使でき、直接自己への明渡しを求められるとした(最大判平11.11.24)。
判例(最大判平11.11.24)は、第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権の効力として、抵当権者は所有者に対し、その状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を有し、この請求権を保全する必要があるときは、423条の法意に従い、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使できるとした。そして、所有者が受領しないときに備え、抵当権者は直接自己に建物を明け渡すよう求めることができるとした。抵当権は占有を内容としないが、交換価値の実現が妨げられれば抵当権の実質が損なわれるからである。本肢は判例のとおりであり、正しい。

抵当権者は、右請求権を保全する必要があるときは、民法423条の法意に従い、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができると解するのが相当である。
- 所有者の妨害排除請求権の代位行使:交換価値の実現が妨げられる状態があり、維持保存を求める請求権を保全する必要があるとき、直接自己への明渡しまで求められる(最大判平11.11.24)
- 抵当権に基づく妨害排除請求(占有権原のある占有者):競売妨害目的と交換価値の実現を妨げる状態があれば排除を求められ、所有者に維持管理を期待できなければ直接自己への明渡しも求められる(最判平17.3.10)
- 侵害行為の禁止(伐採・搬出):弁済期の前でも請求できる
誤り。違うのは「名古屋地方裁判所に提起することができる」の部分である。代位行使される請負代金債権の義務履行地は債権者Yの住所地であり、代位債権者Xの住所地ではないから、名古屋地方裁判所には管轄がない。
Zに対する訴えの普通裁判籍は被告Zの住所地である大阪にある(4条1項・2項)。財産権上の訴えは義務履行地にも提起でき(5条1号)、金銭債務は債権者の現在の住所で弁済するのが原則であるから(民法484条1項)、問題は代位訴訟の義務履行地が誰の住所になるかである。債権者代位訴訟で代位債権者Xが行使するのは、あくまで債務者Yが第三債務者Zに対して持つ請負代金債権であり、Xがその債権の債権者になるわけではない。Xが自分への支払を求められるのは(現在の民法423条の3)、代位行使の方法として認められた効果にすぎず、Zの債務の履行地を変えるものではないから、義務履行地は被代位債権の債権者Yの住所地である東京になる。したがって、この訴えは大阪地方裁判所か東京地方裁判所に提起でき、Xの住所地の名古屋地方裁判所には管轄がない。肢は誤りである。

弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。
- 普通裁判籍:被告の住所地(4条1項・2項)。どの訴えでも使える
- 義務履行地:財産権上の訴え(5条1号)。金銭債務は債権者の現在の住所が履行地(民法484条1項)
- 不法行為地:不法行為に関する訴え(5条9号)。加害行為地と損害発生地を含む
- 不動産所在地:不動産に関する訴え(5条12号)。権利を目的とする訴えに限り、売買代金や賃料の請求は含まない
- 併合請求の裁判籍:一つの請求に管轄があれば他の請求も併せて提起できる(7条本文)。被告が数人なら38条前段の場合に限る(同条ただし書)
- これらは専属管轄ではなく、原告は管轄のある裁判所から選べる
誤り。違うのは「訴訟を提起して行使しなければならない」の部分である。被保全債権の期限が到来しない間は、保存行為を除き、代位行使そのものができない(423条2項)。
423条2項は、債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができないと定め、ただし書で保存行為はこの限りでないとする。債権者代位権は、債務者の財産管理に他人が介入するものであるから、被保全債権の履行を請求できる時期になる前から介入を認める必要はない。ただし、時効の完成を阻止する行為や未登記の権利の登記の申請のような保存行為は、債務者の財産の現状を維持するだけで債務者に不利益を与えず、急を要することもあるから、期限前でもできるとしたのである。出題当時の423条2項は、期限前でも裁判上の代位によれば代位権を行使できると定め、非訟事件の手続による裁判所の許可を要していたので、「訴訟を提起して」とする本肢はその当時から正確でなかった。平成29年改正で裁判上の代位の制度は廃止され、現在は期限前には保存行為以外の代位行使ができない。本肢は誤りである。

債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
- 賃借人による不法占拠者への明渡請求の代位:直接自己への明渡しを請求できる(最判昭29.9.24)
- 抵当権者による所有者の妨害排除請求権の代位:交換価値の実現が妨げられる状態があればできる(最大判平11.11.24)
- 債務者が自ら権利を行使した後:行使の方法・結果の良否を問わず代位できない(最判昭28.12.14)
- 建物賃借人による建物買取請求権の代位:保全の必要性がなくできない(最判昭38.4.23)
- 被保全債権の期限前:保存行為を除き代位できない(423条2項)




















