1後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、一箇月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。
2財産の調査及びその目録の作成は、後見監督人があるときは、その立会いをもってしなければ、その効力を生じない。
1後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、一箇月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。
2財産の調査及びその目録の作成は、後見監督人があるときは、その立会いをもってしなければ、その効力を生じない。
後見人は、財産の目録の作成を終わるまでは、急迫の必要がある行為のみをする権限を有する。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
1後見人が、被後見人に対し、債権を有し、又は債務を負う場合において、後見監督人があるときは、財産の調査に着手する前に、これを後見監督人に申し出なければならない。
2後見人が、被後見人に対し債権を有することを知ってこれを申し出ないときは、その債権を失う。
前三条の規定は、後見人が就職した後被後見人が包括財産を取得した場合について準用する。
未成年後見人は、第八百二十条から第八百二十三条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。
1未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する。
2未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、その一部の者について、財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができる。
3未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
4家庭裁判所は、職権で、前二項の規定による定めを取り消すことができる。
5未成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
誤り。違うのは「身上の監護に関する権限については」の部分である。家庭裁判所が単独行使や分掌を定められるのは、財産に関する権限に限られる(857条の2第3項)。
857条の2第1項は、未成年後見人が数人あるときは共同してその権限を行使すると定める。そのうえで、複数の未成年後見人による事務を円滑にするため、家庭裁判所は職権で、その一部の者について財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができ(同条2項)、また財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で、又は数人の未成年後見人が事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができる(同条3項)。単独で行使させたり分担させたりできるのは、財産に関する権限に限られているのである。身上の監護に関する権限は、子の養育の方針を一つにまとめる必要があり、子の利益に直接かかわるから、共同して行使するという原則が維持されている。本肢は、単独行使や分掌を定める対象を身上の監護に関する権限としている点で、条文と反対である。これに対し成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は共同して又は事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができ(859条の2第1項)、財産に関する権限に限られていない。

未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
誤り。違うのは「身上の監護に関する権限については」の部分である。家庭裁判所が単独行使や分掌を定められるのは、財産に関する権限に限られる(857条の2第3項)。
857条の2第1項は、未成年後見人が数人あるときは共同してその権限を行使すると定める。そのうえで、複数の未成年後見人による事務を円滑にするため、家庭裁判所は職権で、その一部の者について財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができ(同条2項)、また財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で、又は数人の未成年後見人が事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができる(同条3項)。単独で行使させたり分担させたりできるのは、財産に関する権限に限られているのである。身上の監護に関する権限は、子の養育の方針を一つにまとめる必要があり、子の利益に直接かかわるから、共同して行使するという原則が維持されている。本肢は、単独行使や分掌を定める対象を身上の監護に関する権限としている点で、条文と反対である。これに対し成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は共同して又は事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができ(859条の2第1項)、財産に関する権限に限られていない。

未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
正しい。成年後見でも未成年後見でも、家庭裁判所は複数の後見人を選任し(843条3項・840条2項)、事務を分掌させることができる(859条の2第1項・857条の2第3項)。
成年後見について、843条3項は、成年後見人が選任されている場合でも、家庭裁判所は必要があると認めるときは更に成年後見人を選任することができると定め、859条の2第1項は、成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は職権で、共同して又は事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができるとする。財産の管理は専門職の後見人が、身上の監護は親族の後見人が担うといった役割の分担を可能にするためである。未成年後見についても、かつては未成年後見人は一人でなければならないとされていたが、平成23年改正でこの制限がなくなり、840条2項が更に未成年後見人を選任できると定め、857条の2第3項が、財産に関する権限について各未成年後見人が単独で又は事務を分掌して行使すべきことを定めることができるとした。したがって、いずれの後見でも、複数の後見人に事務を分掌させることができる。

成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、数人の成年後見人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
正しい。未成年後見人が数人あるときは共同して権限を行使するのが原則であり(857条の2第1項)、家庭裁判所は一部の者について財産に関する権限のみを行使すべきことを定められる(同条2項)。
857条の2第1項は、未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使すると定める。子の監護や財産管理について複数の後見人の判断が食い違うと子の利益が害されるので、原則として共同で行使させるのである。もっとも、同条2項は、家庭裁判所は職権で、その一部の者について、財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができるとし、同条3項は、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は事務を分掌して行使すべきことを定めることができるとする。親族が身上の監護を担い、弁護士などの専門家が財産の管理だけを担うといった役割の分担を可能にするためである。本肢は、共同行使が原則であることと、家庭裁判所が一部の者について財産に関する権限のみの行使を定められることを述べており、条文のとおりである。

未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する。
2 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、その一部の者について、財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができる。
成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
正しい。成年後見人は被後見人の財産に関する法律行為について包括的な代理権を持ち(859条1項)、意思尊重義務(858条)は内部的な職務上の義務であるから、被後見人の意思に反しても無権代理とはならない。
858条は、成年後見人は成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつその心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないと定める。他方、859条1項は、後見人は被後見人の財産を管理し、かつその財産に関する法律行為について被後見人を代表すると定め、後見人に包括的な代理権を与えている。858条は、後見人が職務を行う際に守るべき義務を定めたものであり、対外的な代理権の範囲を限るものではない。代理権の有無を被後見人の意思に合うかどうかで決めるとすると、取引の相手方は後見人の代理権を信頼できず、後見人と取引をすることをためらうことになり、かえって被後見人の財産管理に支障が生じる。したがって、後見人が被後見人の意思に反して財産上の法律行為を代理しても、代理権の範囲内である限り有効な代理行為であり、無権代理とはならない。意思尊重義務に反したことは、後見人の責任や解任の問題として扱われる。

成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
1後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。
誤り。違うのは「成年被後見人を代理することはできない」の部分である。成年後見人は被後見人の財産に関する法律行為を代表し(859条1項)、日常生活に関する行為も除かれていない。
成年後見人は、被後見人の財産に関する法律行為について被後見人を代表する(859条1項)。この包括的な代理権には、日常生活に関する法律行為を除く限定は付けられていない。他方、9条は成年被後見人の法律行為は取り消すことができるとしつつ、ただし書で日用品の購入その他日常生活に関する行為を取消しの対象から外している。これは、本人の自己決定を尊重し、残された能力を生かすため、本人が自ら有効にできる領域を確保した規定であり、成年後見人の代理権の範囲を限る規定ではない。9条ただし書は取消権を制限するにとどまり、859条1項の代理権には影響しないのである。したがって、日常生活に関する法律行為については、成年被後見人が自ら確定的に有効な行為をすることができるとともに、成年後見人も本人を代理してすることができる。本肢は、本人が自らできることを理由に代理権を否定している点で誤りである。

後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
正しい。後見人は被後見人の財産を管理しその財産に関する法律行為について代表するが、被後見人の行為を目的とする債務を生ずべき場合には本人の同意を得なければならない(859条・824条ただし書)。
859条1項は、後見人は被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表すると定め、後見人に包括的な財産管理権と代理権を与えている。もっとも、同条2項は824条ただし書を準用し、被後見人の行為を目的とする債務を生ずべき場合には本人の同意を得なければならないとする。被後見人の行為を目的とする債務とは、雇用契約に基づいて働く債務のように、被後見人自身が身体を使って行う行為を内容とする債務をいう。財産管理のための代理であっても、本人の意思を無視してその身体や人格の自由を拘束することは許されないから、本人の同意を求めてその自己決定を守ったのである。この規律は、親権者の財産管理権についての824条ただし書と同じ内容であり、未成年後見にも成年後見にも当てはまる。本肢は同条の内容どおりである。

親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
正しい。成年後見人は被後見人の財産に関する法律行為について包括的な代理権を持ち(859条1項)、意思尊重義務(858条)は内部的な職務上の義務であるから、被後見人の意思に反しても無権代理とはならない。
858条は、成年後見人は成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつその心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないと定める。他方、859条1項は、後見人は被後見人の財産を管理し、かつその財産に関する法律行為について被後見人を代表すると定め、後見人に包括的な代理権を与えている。858条は、後見人が職務を行う際に守るべき義務を定めたものであり、対外的な代理権の範囲を限るものではない。代理権の有無を被後見人の意思に合うかどうかで決めるとすると、取引の相手方は後見人の代理権を信頼できず、後見人と取引をすることをためらうことになり、かえって被後見人の財産管理に支障が生じる。したがって、後見人が被後見人の意思に反して財産上の法律行為を代理しても、代理権の範囲内である限り有効な代理行為であり、無権代理とはならない。意思尊重義務に反したことは、後見人の責任や解任の問題として扱われる。

成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
正しい。後見には受任者の善管注意義務の規定が準用され(869条・644条)、後見人は善良な管理者の注意をもって被後見人の財産を管理する義務を負う。
859条1項は、後見人は被後見人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について被後見人を代表すると定め、869条は、受任者の注意義務を定める644条を後見について準用する。後見人は、家庭裁判所に選任され、又は遺言で指定されて、他人である被後見人の財産を管理する立場にあるから、他人の事務を処理する受任者と同じく、その地位にある者に一般に求められる善良な管理者の注意を尽くさなければならない。これに対し、親権者は、子の財産の管理について自己のためにするのと同一の注意で足りる(827条)。親子という密接な関係にある親権者と異なり、後見人には親子のような関係が前提とされていないから、より高い注意義務が課されているのである。本肢は正しい。

第六百四十四条及び第八百三十条の規定は、後見について準用する。
1成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、数人の成年後見人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
2家庭裁判所は、職権で、前項の規定による定めを取り消すことができる。
3成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
誤り。違うのは「身上の監護に関する権限については」の部分である。家庭裁判所が単独行使や分掌を定められるのは、財産に関する権限に限られる(857条の2第3項)。
857条の2第1項は、未成年後見人が数人あるときは共同してその権限を行使すると定める。そのうえで、複数の未成年後見人による事務を円滑にするため、家庭裁判所は職権で、その一部の者について財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができ(同条2項)、また財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で、又は数人の未成年後見人が事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができる(同条3項)。単独で行使させたり分担させたりできるのは、財産に関する権限に限られているのである。身上の監護に関する権限は、子の養育の方針を一つにまとめる必要があり、子の利益に直接かかわるから、共同して行使するという原則が維持されている。本肢は、単独行使や分掌を定める対象を身上の監護に関する権限としている点で、条文と反対である。これに対し成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は共同して又は事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができ(859条の2第1項)、財産に関する権限に限られていない。

未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
誤り。違うのは「身上の監護に関する権限については」の部分である。家庭裁判所が単独行使や分掌を定められるのは、財産に関する権限に限られる(857条の2第3項)。
857条の2第1項は、未成年後見人が数人あるときは共同してその権限を行使すると定める。そのうえで、複数の未成年後見人による事務を円滑にするため、家庭裁判所は職権で、その一部の者について財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができ(同条2項)、また財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で、又は数人の未成年後見人が事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができる(同条3項)。単独で行使させたり分担させたりできるのは、財産に関する権限に限られているのである。身上の監護に関する権限は、子の養育の方針を一つにまとめる必要があり、子の利益に直接かかわるから、共同して行使するという原則が維持されている。本肢は、単独行使や分掌を定める対象を身上の監護に関する権限としている点で、条文と反対である。これに対し成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は共同して又は事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができ(859条の2第1項)、財産に関する権限に限られていない。

未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
正しい。成年後見でも未成年後見でも、家庭裁判所は複数の後見人を選任し(843条3項・840条2項)、事務を分掌させることができる(859条の2第1項・857条の2第3項)。
成年後見について、843条3項は、成年後見人が選任されている場合でも、家庭裁判所は必要があると認めるときは更に成年後見人を選任することができると定め、859条の2第1項は、成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は職権で、共同して又は事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができるとする。財産の管理は専門職の後見人が、身上の監護は親族の後見人が担うといった役割の分担を可能にするためである。未成年後見についても、かつては未成年後見人は一人でなければならないとされていたが、平成23年改正でこの制限がなくなり、840条2項が更に未成年後見人を選任できると定め、857条の2第3項が、財産に関する権限について各未成年後見人が単独で又は事務を分掌して行使すべきことを定めることができるとした。したがって、いずれの後見でも、複数の後見人に事務を分掌させることができる。

成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、数人の成年後見人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
正しい。成年後見人が成年被後見人に代わってその居住の用に供する建物を売却するには、家庭裁判所の許可を得なければならない(859条の3)。
成年後見人は成年被後見人の財産を管理し、財産に関する法律行為について成年被後見人を代表する(859条1項)。しかし859条の3は、成年後見人が成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならないと定める。住み慣れた住まいを失うことは本人の心身や生活に大きな影響を及ぼすから、生活の本拠を失わせるような処分を成年後見人の判断だけに任せず、家庭裁判所が確かめることにしたのである。本肢のように、成年後見人が成年被後見人を代理して居住している建物を売却する場合は、まさに同条の売却に当たるから、家庭裁判所の許可が必要である。許可を得ずにした処分は無効と解されている。居住の用に供する建物に当たるかどうかは、現に住んでいるかだけでなく、本人の生活の本拠としての意味を考えて判断される。

成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
正しい。成年後見人が成年被後見人に代わってその居住の用に供する建物を売却するには、家庭裁判所の許可を得なければならない(859条の3)。
成年後見人は成年被後見人の財産を管理し、財産に関する法律行為について成年被後見人を代表する(859条1項)。しかし859条の3は、成年後見人が成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならないと定める。住み慣れた住まいを失うことは本人の心身や生活に大きな影響を及ぼすから、生活の本拠を失わせるような処分を成年後見人の判断だけに任せず、家庭裁判所が確かめることにしたのである。本肢のように、成年後見人が成年被後見人を代理して居住している建物を売却する場合は、まさに同条の売却に当たるから、家庭裁判所の許可が必要である。許可を得ずにした処分は無効と解されている。居住の用に供する建物に当たるかどうかは、現に住んでいるかだけでなく、本人の生活の本拠としての意味を考えて判断される。

成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
誤り。違うのは「賃貸借契約を解除するには,家庭裁判所の許可を得る必要はない」の部分である。居住用建物の賃貸借の解除にも家庭裁判所の許可が要る(859条の3)。
859条の3は、成年後見人が成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならないと定める。許可が必要な行為として、売却と並んで賃貸借の解除がはっきりと挙げられている。居住用の不動産を処分すると本人は生活の本拠を失い、住み慣れた環境を離れることが心身に大きな影響を与え得るので、財産的な価値の大小ではなく本人の身上への配慮から、成年後見人の広い代理権(859条1項)に家庭裁判所の事前の許可という歯止めを掛けたのである。所有権を失わせる売却だけでなく、住まいの基礎となる借家権を失わせる賃貸借の解除も同じく本人の生活に直結する。本肢は売却に許可が要るとする点は正しいが、賃貸借の解除に許可は要らないとする点で誤りである。

成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
第八百二十六条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。
正しい。親権者が自ら相続を放棄すると同時に子全員を代理して放棄することは、その客観的性質からみて利益相反行為に当たらない(最判昭53.2.24)。
判例は、相続の放棄が相手方のない単独行為であるからといって、直ちに826条の利益相反行為に当たる余地がないとはいえないとしつつ、後見人が自ら相続の放棄をした後に被後見人全員を代理して相続の放棄をしたとき、又は後見人自身の相続の放棄と被後見人全員を代理してする相続の放棄が同時にされたと認められるときは、その行為の客観的性質からみて、後見人と被後見人との間においても、被後見人相互間においても、利益相反行為になるとはいえないとした(最判昭53.2.24)。相続を放棄した者は初めから相続人とならなかったものとみなされるので(939条)、親権者自身の取り分が増えることはなく、子全員がそろって放棄する以上、子どうしの取り分の増減も生じないからである。この判例は後見人の事案であるが、後見に826条を準用する860条を通じて、親権者と数人の子の場合も同じである。肢は正しい。親権者が自分は放棄せずに子だけを代理して放棄させる場合は、外から見て親権者の取り分が増えるので利益相反行為に当たる。

後見人みずからの相続の放棄と被後見人全員を代理してするその相続の放棄が同時にされたと認められるときもまた、その行為の客観的性質からみて、後見人と被後見人との間においても、被後見人相互間においても、利益相反行為になるとはいえない
誤り。違うのは「成年後見監督人がいる場合であっても」の部分である。後見監督人があるときは特別代理人の選任を請求する必要はなく(860条ただし書)、後見監督人が被後見人を代表する(851条4号)。
860条本文は、親権者と子の利益相反行為についての826条を後見人に準用し、後見人と被後見人の利益が相反する行為については、後見人は被後見人のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならないとする。しかし、同条ただし書は、後見監督人がある場合はこの限りでないと定めている。851条4号が、後見監督人の職務として、後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表することを挙げているからである。利益が相反する場面では後見監督人が被後見人を代表するのであるから、重ねて特別代理人を選ぶ必要はないのである。したがって、成年後見監督人がいる場合には、成年後見人は特別代理人の選任を請求する必要がなく、成年後見監督人が本人を代表する。成年後見監督人がいても特別代理人の選任を請求しなければならないとする本肢は、860条ただし書と851条4号に反し、誤りである。

第八百二十六条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。
正しい。親権者が自らの相続放棄と同時に子を代理して相続放棄をすることは、行為の客観的性質からみて利益相反行為に当たらず、いずれの放棄も有効である(最判昭53.2.24)。
親権を行う者とその子との利益が相反する行為については、親権者は子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない(826条1項)。利益相反行為に当たるかは、親権者の動機や意図ではなく、行為自体を外形的・客観的にみて判断される。共同相続人である親権者が自らは放棄せずに子だけを代理して放棄すれば、その分だけ親権者の相続分が増えるから、外形上利益が相反する。しかし最判昭53.2.24は、後見人がまず自らの相続を放棄した後に被後見人全員を代理して放棄したときはもとより、後見人自らの放棄と被後見人全員を代理してする放棄が同時にされたと認められるときも、行為の客観的性質からみて利益相反行為になるとはいえないとした。同時に放棄すれば親権者自身も初めから相続人とならなかったものとみなされ(939条)、子の放棄で自分の相続分が増える関係にないからである。同判決は860条が826条を準用する後見の事案であるが、親権にも同じ理が当てはまり、肢は正しい。

後見人がまずみずからの相続の放棄をしたのちに被後見人全員を代理してその相続の放棄をしたときはもとより、後見人みずからの相続の放棄と被後見人全員を代理してするその相続の放棄が同時にされたと認められるときもまた、その行為の客観的性質からみて、後見人と被後見人との間においても、被後見人相互間においても、利益相反行為になるとはいえない
正しい。親権者が自らの相続放棄と同時に子を代理して相続放棄をすることは、行為の客観的性質からみて利益相反行為に当たらず、いずれの放棄も有効である(最判昭53.2.24)。
親権を行う者とその子との利益が相反する行為については、親権者は子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない(826条1項)。利益相反行為に当たるかは、親権者の動機や意図ではなく、行為自体を外形的・客観的にみて判断される。共同相続人である親権者が自らは放棄せずに子だけを代理して放棄すれば、その分だけ親権者の相続分が増えるから、外形上利益が相反する。しかし最判昭53.2.24は、後見人がまず自らの相続を放棄した後に被後見人全員を代理して放棄したときはもとより、後見人自らの放棄と被後見人全員を代理してする放棄が同時にされたと認められるときも、行為の客観的性質からみて利益相反行為になるとはいえないとした。同時に放棄すれば親権者自身も初めから相続人とならなかったものとみなされ(939条)、子の放棄で自分の相続分が増える関係にないからである。同判決は860条が826条を準用する後見の事案であるが、親権にも同じ理が当てはまり、肢は正しい。

後見人がまずみずからの相続の放棄をしたのちに被後見人全員を代理してその相続の放棄をしたときはもとより、後見人みずからの相続の放棄と被後見人全員を代理してするその相続の放棄が同時にされたと認められるときもまた、その行為の客観的性質からみて、後見人と被後見人との間においても、被後見人相互間においても、利益相反行為になるとはいえない
正しい。成年後見人は被後見人の財産に関する法律行為について包括的な代理権を持ち(859条1項)、意思尊重義務(858条)は内部的な職務上の義務であるから、被後見人の意思に反しても無権代理とはならない。
858条は、成年後見人は成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつその心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないと定める。他方、859条1項は、後見人は被後見人の財産を管理し、かつその財産に関する法律行為について被後見人を代表すると定め、後見人に包括的な代理権を与えている。858条は、後見人が職務を行う際に守るべき義務を定めたものであり、対外的な代理権の範囲を限るものではない。代理権の有無を被後見人の意思に合うかどうかで決めるとすると、取引の相手方は後見人の代理権を信頼できず、後見人と取引をすることをためらうことになり、かえって被後見人の財産管理に支障が生じる。したがって、後見人が被後見人の意思に反して財産上の法律行為を代理しても、代理権の範囲内である限り有効な代理行為であり、無権代理とはならない。意思尊重義務に反したことは、後見人の責任や解任の問題として扱われる。

成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
誤り。違うのは「後見監督人がある場合でも、…特別代理人を選任しなければならない」の部分である。後見人と被後見人との利益相反行為について特別代理人の選任が必要なのは後見監督人がいない場合であり、後見監督人があるときはその者が被後見人を代表する(860条ただし書・851条4号)。
860条は、826条の規定を後見人について準用し、後見人と被後見人との利益が相反する行為については、後見人は特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならないとするが、ただし書で、後見監督人がある場合はこの限りでないと定める。851条4号は、後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表することを、後見監督人の職務として定めている。後見監督人は後見人の事務を監督するために選任された者であり、後見人と利害が対立しない立場から被後見人の利益を守ることができるので、改めて特別代理人を選任する必要はないのである。そのため、後見監督人がある場合には、後見人と被後見人との利益相反行為について特別代理人の選任は不要であり、後見監督人が被後見人を代表する。したがって、後見監督人がある場合でも特別代理人を選任しなければならないとする本肢は誤りである。

第八百二十六条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。
正しい。親権者の利益相反行為についての826条は後見人に準用され、後見監督人がいない場合には、後見人は利益相反行為について特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない(860条)。
860条は、親権を行う者とその子との利益が相反する行為について特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならないとする826条の規定を後見人に準用し、ただし後見監督人がある場合はこの限りでないと定める。後見人と被後見人との利益が相反する行為については、後見人が被後見人を代理すると、被後見人の利益を犠牲にして自分の利益を図るおそれがあるから、被後見人のために公正な代理人を立てる必要がある。後見監督人がいる場合には、後見監督人が被後見人を代表するから(851条4号)、特別代理人を選任する必要はない。そこで、後見監督人がいない場合に限って、後見人に特別代理人の選任の請求を義務づけたのである。本肢は正しい。

第八百二十六条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。
1家庭裁判所は、成年後見人がその事務を行うに当たって必要があると認めるときは、成年後見人の請求により、信書の送達の事業を行う者に対し、期間を定めて、成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(次条において「郵便物等」という。)を成年後見人に配達すべき旨を嘱託することができる。
2前項に規定する嘱託の期間は、六箇月を超えることができない。
3家庭裁判所は、第一項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、成年被後見人、成年後見人若しくは成年後見監督人の請求により又は職権で、同項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。ただし、その変更の審判においては、同項の規定による審判において定められた期間を伸長することができない。
4成年後見人の任務が終了したときは、家庭裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。
1成年後見人は、成年被後見人に宛てた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。
2成年後見人は、その受け取った前項の郵便物等で成年後見人の事務に関しないものは、速やかに成年被後見人に交付しなければならない。
3成年被後見人は、成年後見人に対し、成年後見人が受け取った第一項の郵便物等(前項の規定により成年被後見人に交付されたものを除く。)の閲覧を求めることができる。
1後見人は、その就職の初めにおいて、被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならない。
2後見人が後見の事務を行うために必要な費用は、被後見人の財産の中から支弁する。
家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。
誤り。違うのは「未成年後見人には報酬を与えることはできない」の部分である。家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、未成年後見人か成年後見人かを問わず、被後見人の財産の中から相当な報酬を後見人に与えることができる(862条)。
862条は、家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができると定める。後見人の職務は無償が原則とされるものではなく、被後見人の財産の管理などに相応の労力を要するので、被後見人の資力などに照らして相当であれば、報酬を与えることができるとしたのである。報酬を与えるかどうかやその額は、家庭裁判所が後見人と被後見人の資力その他の事情を考えて判断する。この規定も後見の通則であり、ここにいう後見人には未成年後見人も含まれる。未成年後見人も、親権者に代わって未成年者の監護教育や財産管理を担うのであり、その労力に報いる必要性は成年後見人と変わらない。したがって、未成年後見人には報酬を与えることができないとする本肢は誤りである。

家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。
| 項目 | 未成年後見人 | 成年後見人 |
|---|---|---|
| 就任 | 遺言による指定(839条)、なければ請求による選任(840条) | 後見開始の審判の際に職権で選任(843条1項) |
| 辞任(844条) | 正当な事由+家庭裁判所の許可 | 同じ |
| 解任(846条) | 任務に適しない事由があれば家庭裁判所が解任 | 同じ |
| 報酬(862条) | 家庭裁判所が被後見人の財産から与えられる | 同じ |
| 後見監督人の欠格(850条) | 後見人の配偶者・直系血族・兄弟姉妹はなれない | 同じ |
1後見監督人又は家庭裁判所は、いつでも、後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。
2家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命ずることができる。
後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第十三条第一項各号に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、同項第一号に掲げる元本の領収については、この限りでない。
誤り。違うのは「その同意を得なければならない」の部分である。後見監督人の同意を要する行為から元本の領収は除かれており(864条ただし書)、預金の払戻しはこれに当たる。
864条本文は、後見監督人があるときは、後見人が被後見人に代わって営業をし、又は13条1項各号に掲げる行為をするには、後見監督人の同意を得なければならないと定める。もっとも同条ただし書は、13条1項1号に掲げる行為のうち元本の領収については同意を要しないとする。預金の払戻しを受けることは、預金債権の元本を受け取ることであるから、元本の領収に当たる。元本の領収は本人の手元に金銭が入ってくる行為であり、財産を減らすおそれが小さいうえ、生活費の支払などのために繰り返し必要となるから、そのたびに後見監督人の同意を求めると財産の管理が滞ってしまうのである。したがって、成年後見人が成年被後見人を代理して預金の払戻しを受けるのに後見監督人の同意は要らず、本肢は誤りである。これに対し、元本の利用、借財や保証、不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為などは、原則どおり後見監督人の同意が必要であり、同意を欠く行為は取り消すことができる(865条1項)。

後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第十三条第一項各号に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、同項第一号に掲げる元本の領収については、この限りでない。
誤り。違うのは「その同意を得なければならない」の部分である。後見監督人の同意を要する行為から元本の領収は除かれており(864条ただし書)、預金の払戻しはこれに当たる。
864条本文は、後見監督人があるときは、後見人が被後見人に代わって営業をし、又は13条1項各号に掲げる行為をするには、後見監督人の同意を得なければならないと定める。もっとも同条ただし書は、13条1項1号に掲げる行為のうち元本の領収については同意を要しないとする。預金の払戻しを受けることは、預金債権の元本を受け取ることであるから、元本の領収に当たる。元本の領収は本人の手元に金銭が入ってくる行為であり、財産を減らすおそれが小さいうえ、生活費の支払などのために繰り返し必要となるから、そのたびに後見監督人の同意を求めると財産の管理が滞ってしまうのである。したがって、成年後見人が成年被後見人を代理して預金の払戻しを受けるのに後見監督人の同意は要らず、本肢は誤りである。これに対し、元本の利用、借財や保証、不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為などは、原則どおり後見監督人の同意が必要であり、同意を欠く行為は取り消すことができる(865条1項)。

後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第十三条第一項各号に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、同項第一号に掲げる元本の領収については、この限りでない。
誤り。違うのは「当該売買契約を取り消したものとみなされる」の部分である。保佐人に権限内の行為について催告し確答がなければ追認とみなされ(20条2項)、保佐監督人がいても特別の方式を要する行為にはならない。
20条2項は、制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、保佐人などに対し、その権限内の行為について1か月以上の期間を定めて追認するかどうかを催告した場合に、期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなすと定める。保佐人は自分の判断で追認できる立場にあるから、催告を受けながら黙っていることを追認と評価しても不当ではないのである。甲土地の売却は不動産に関する権利の得喪を目的とする行為であり(13条1項3号)、保佐人の同意権の対象であるから、保佐人の権限内の行為に当たる。もっとも、特別の方式を要する行為については、期間内に方式を具備した旨の通知を発しないときは取り消したものとみなされる(20条3項)。その典型は、後見監督人がいるときに後見人が13条1項の行為をするには後見監督人の同意が要るとする864条であるが、保佐監督人についての876条の3第2項は864条を準用していない。したがって、保佐人が確答しなければ追認とみなされ、本肢は誤りである。

制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
1後見人が、前条の規定に違反してし又は同意を与えた行為は、被後見人又は後見人が取り消すことができる。この場合においては、第二十条の規定を準用する。
2前項の規定は、第百二十一条から第百二十六条までの規定の適用を妨げない。
1後見人が被後見人の財産又は被後見人に対する第三者の権利を譲り受けたときは、被後見人は、これを取り消すことができる。この場合においては、第二十条の規定を準用する。
2前項の規定は、第百二十一条から第百二十六条までの規定の適用を妨げない。
1未成年後見人は、未成年被後見人に代わって親権を行う。
2第八百五十三条から第八百五十七条まで及び第八百六十一条から前条までの規定は、前項の場合について準用する。
誤り。違うのは「身上の監護に関する権限については」の部分である。家庭裁判所が単独行使や分掌を定められるのは、財産に関する権限に限られる(857条の2第3項)。
857条の2第1項は、未成年後見人が数人あるときは共同してその権限を行使すると定める。そのうえで、複数の未成年後見人による事務を円滑にするため、家庭裁判所は職権で、その一部の者について財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができ(同条2項)、また財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で、又は数人の未成年後見人が事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができる(同条3項)。単独で行使させたり分担させたりできるのは、財産に関する権限に限られているのである。身上の監護に関する権限は、子の養育の方針を一つにまとめる必要があり、子の利益に直接かかわるから、共同して行使するという原則が維持されている。本肢は、単独行使や分掌を定める対象を身上の監護に関する権限としている点で、条文と反対である。これに対し成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は共同して又は事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができ(859条の2第1項)、財産に関する権限に限られていない。

未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
誤り。違うのは「身上の監護に関する権限については」の部分である。家庭裁判所が単独行使や分掌を定められるのは、財産に関する権限に限られる(857条の2第3項)。
857条の2第1項は、未成年後見人が数人あるときは共同してその権限を行使すると定める。そのうえで、複数の未成年後見人による事務を円滑にするため、家庭裁判所は職権で、その一部の者について財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができ(同条2項)、また財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で、又は数人の未成年後見人が事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができる(同条3項)。単独で行使させたり分担させたりできるのは、財産に関する権限に限られているのである。身上の監護に関する権限は、子の養育の方針を一つにまとめる必要があり、子の利益に直接かかわるから、共同して行使するという原則が維持されている。本肢は、単独行使や分掌を定める対象を身上の監護に関する権限としている点で、条文と反対である。これに対し成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は共同して又は事務を分掌して権限を行使すべきことを定めることができ(859条の2第1項)、財産に関する権限に限られていない。

未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
親権を行う者が管理権を有しない場合には、未成年後見人は、財産に関する権限のみを有する。
誤り。違うのは「財産管理権のほか,身上監護権も有する」の部分である。親権を行う者が管理権を有しない場合の未成年後見人は、財産に関する権限のみを持つ(868条)。
868条は、親権を行う者が管理権を有しない場合には、未成年後見人は財産に関する権限のみを有すると定める。親権者が身上の監護の権限を持ったまま財産の管理権だけを失うのは、家庭裁判所の管理権喪失の審判(835条)や、やむを得ない事由による管理権の辞任(837条1項)の場合である。このとき、子の監護や教育などの権限はなお親権者にあるので、それを補うために選ばれる未成年後見人(838条1号後段)の権限は、財産の管理とそれに関する代理に限られる。未成年後見人にも身上監護の権限を認めると、親権者の権限とぶつかり、子の養育の方針が二つに割れてしまうからである。これに対し、親権者の死亡や親権喪失・停止の審判によって親権を行う者がいなくなった場合(同号前段)には、未成年後見人は身上監護と財産管理の両方の権限を持つ。本肢は管理権がない場合にも身上監護権を認めている点で誤りである。

親権を行う者が管理権を有しない場合には、未成年後見人は、財産に関する権限のみを有する。
第六百四十四条及び第八百三十条の規定は、後見について準用する。
誤り。違うのは「自己のためにするのと同一の注意をもって」の部分である。後見人は受任者と同じく善良な管理者の注意をもって後見の事務を行わなければならない(869条・644条)。
869条は委任の規定である644条を後見に準用しており、644条は、受任者は委任の本旨に従い善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負うと定める。したがって、未成年後見人も成年後見人も、善良な管理者の注意をもって後見の事務を行わなければならない。後見人は他人である被後見人の財産を管理し、その法律行為を代理するのであるから、自分の物を扱うときと同じ程度の注意では足りず、その立場にある者として一般に求められる注意を尽くさなければならないのである。これに対し、親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって管理権を行えば足りる(827条)。親は子に対する自然の愛情から子のために財産を管理することが期待でき、また親子の間に重い責任を課すのは相当でないからである。未成年後見人には親と同じような愛情を当然には期待できないため、親権者より高い注意義務が求められている。本肢は親権者の注意義務を後見人に当てはめている点が誤りである。

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
正しい。後見には受任者の善管注意義務の規定が準用され(869条・644条)、後見人は善良な管理者の注意をもって被後見人の財産を管理する義務を負う。
859条1項は、後見人は被後見人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について被後見人を代表すると定め、869条は、受任者の注意義務を定める644条を後見について準用する。後見人は、家庭裁判所に選任され、又は遺言で指定されて、他人である被後見人の財産を管理する立場にあるから、他人の事務を処理する受任者と同じく、その地位にある者に一般に求められる善良な管理者の注意を尽くさなければならない。これに対し、親権者は、子の財産の管理について自己のためにするのと同一の注意で足りる(827条)。親子という密接な関係にある親権者と異なり、後見人には親子のような関係が前提とされていないから、より高い注意義務が課されているのである。本肢は正しい。

第六百四十四条及び第八百三十条の規定は、後見について準用する。