1併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
2併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
3併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。
4前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。
この条文の過去問 15問
正しい。併存的債務引受で債務者と引受人は連帯債務者となり(470条1項)、引受人と債権者との更改は絶対的効力を持つので(438条)、α債務も消滅する。
併存的債務引受がされると、引受人は債務者と連帯して、債務者が債権者に負担する債務と同じ内容の債務を負う(470条1項)。本件ではBとCがα債務について連帯債務者の関係に立つ。連帯債務では、一人について生じた事由は他の連帯債務者に影響しないのが原則である(441条)が、更改・相殺・混同は例外として絶対的効力を持つ。438条は、連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権はすべての連帯債務者の利益のために消滅すると定める。更改は従前の債務に代えて新しい債務を生じさせる契約であり、古い債務そのものが消える(513条)ので、他の連帯債務者との関係でだけ残しておく理由がないからである。したがって、CとAの間で更改があれば、Bのα債務も消える。これに対し、請求や免除、時効の完成は相対的効力にとどまる。

連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
| 併存的債務引受(470条) | 免責的債務引受(472条) | |
|---|---|---|
| 契約の当事者 | 債権者と引受人(債務者の意思に反してもよい)、又は債務者と引受人(債権者の承諾で効力) | 債権者と引受人(債権者が債務者に通知した時に効力)、又は債務者と引受人(債権者の承諾) |
| 債務者の地位 | 引受人と連帯債務を負う | 債務を免れる |
| 引受人の求償 | 連帯債務者として求償できる | 求償できない(472条の3) |
| 抗弁 | 債務者が主張できた抗弁を主張できる | 同じ(472条の2第1項)。取消権・解除権があれば履行を拒める(同条2項)が、相殺権では拒めない |
| 担保 | — | 債権者が引受人の債務に移せる。引受人以外が設定した担保はその承諾が要る(472条の4) |
誤り。違うのは「その効力を生じない」の部分である。
470条2項は、併存的債務引受は債権者と引受人となる者との契約によってすることができると定め、債務者の同意を要件としていない。債務者の意思に反しないことを効力の要件とする文言もない。併存的債務引受は債務者の債務を消したり変えたりするものではなく、同じ内容の債務を負う者が新しく加わって責任財産が増えるだけなので、債務者に法律上の不利益が生じないからである。旧法の判例も、第三者が債務者の意思に反して債権者と重畳的債務引受をした場合にこれを有効としていた(大判大15.3.25)。弁済をするについて正当な利益のない第三者は債務者の意思に反して弁済できないとする第三者弁済の規律(474条2項)とはこの点が違う。弁済は債務者に代わって債務を消すのに対し、併存的債務引受は債務者の債務をそのまま残すからである。

併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。2 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。3 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。
| 併存的債務引受(470条) | 免責的債務引受(472条) | |
|---|---|---|
| 契約の当事者 | 債権者と引受人(債務者の意思に反してもよい)、又は債務者と引受人(債権者の承諾で効力) | 債権者と引受人(債権者が債務者に通知した時に効力)、又は債務者と引受人(債権者の承諾) |
| 債務者の地位 | 引受人と連帯債務を負う | 債務を免れる |
| 引受人の求償 | 連帯債務者として求償できる | 求償できない(472条の3) |
| 抗弁 | 債務者が主張できた抗弁を主張できる | 同じ(472条の2第1項)。取消権・解除権があれば履行を拒める(同条2項)が、相殺権では拒めない |
| 担保 | — | 債権者が引受人の債務に移せる。引受人以外が設定した担保はその承諾が要る(472条の4) |
正しい。債務者と引受人となる者との契約による併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に承諾をした時に効力を生ずる(470条3項)。
470条3項は、併存的債務引受は債務者と引受人となる者との契約によってもすることができ、この場合には、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に効力を生ずると定めており、肢はこの条文のとおりである。この方法は、契約の当事者でない債権者に引受人に対する直接の権利を取得させるものであり、第三者のためにする契約の規定に従う(同条4項)。第三者の権利は、第三者が契約の利益を受ける意思を表示した時に発生するので(537条3項)、債権者の承諾の時が効力の生ずる時点になる。債権者が知らないうちに債権者を巻き込んだ権利関係を当事者だけで作らないためである。これに対し、債権者と引受人となる者との契約による場合は、債務者の意思に反してもでき、契約の時に効力を生ずる(470条2項)。肢は正しい。

併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。
正しい。併存的債務引受は債権者と引受人となる者との契約ですることができ、債務者の意思に反してもよい(470条2項)。
470条2項は、併存的債務引受は債権者と引受人となる者との契約によってすることができると定め、債務者の同意や意思を要件にしていない。併存的債務引受は、債務者の債務をそのまま残したうえで、引受人が債務者と連帯して同じ内容の債務を負うものであり(同条1項)、債務者にとっては責任を分け持つ者が加わるだけで不利益がない。そのため、債務者の意思に反することを理由に効力を否定する必要がない。したがって、債務者の意思に反する場合でも、債権者と引受人となる者との契約によって併存的債務引受は有効に成立し、肢は正しい。債務者と引受人となる者との契約による場合は、債権者が引受人となる者に承諾をした時に効力を生じる(同条3項)。弁済をするについて正当な利益を有しない第三者が、原則として債務者の意思に反して弁済をすることができない(474条2項)のとは扱いが異なる。

併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
2 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
| 併存的債務引受 | 免責的債務引受 | |
|---|---|---|
| 債権者と引受人の契約 | 契約で効力を生じる。債務者の意思に反してもよい(470条2項) | 債権者が債務者に通知した時に効力を生じる(472条2項) |
| 債務者と引受人の契約 | 債権者が引受人に承諾した時に効力を生じる(470条3項) | 債権者が引受人に承諾をすることでできる(472条3項) |
| 債務者の債務 | 残り、引受人と連帯債務になる(470条1項) | 免れる(472条1項) |
| 取消権・解除権 | 債務者が免れる限度で履行を拒める(471条2項) | 同じ(472条の2第2項) |
| 求償 | 負担部分に応じて求償できる(442条1項) | 求償権を取得しない(472条の3) |
正しい。併存的債務引受の引受人と債務者は連帯債務の関係になるので、弁済した引受人は債務者の負担部分に応じた額を求償できる(470条1項・442条1項)。
470条1項は、併存的債務引受の引受人は債務者と連帯して債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担すると定めており、債務者と引受人の関係は連帯債務になる。改正前も判例は併存的債務引受の関係を原則として連帯債務と解しており(最判昭41.12.20)、現行法はこれを明文にした。442条1項は、連帯債務者の一人が弁済その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分に応じた額の求償権を有すると定める。したがって、引受人が引き受けた債務を弁済すれば、債務者に対して弁済額のうち債務者の負担部分に応じた額を求償でき、肢は正しい。負担部分は債務者と引受人の合意や引受けの事情で決まる。免責的債務引受では、引受人は債務者に求償権を取得しない(472条の3)。

連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する。
| 併存的債務引受 | 免責的債務引受 | |
|---|---|---|
| 債権者と引受人の契約 | 契約で効力を生じる。債務者の意思に反してもよい(470条2項) | 債権者が債務者に通知した時に効力を生じる(472条2項) |
| 債務者と引受人の契約 | 債権者が引受人に承諾した時に効力を生じる(470条3項) | 債権者が引受人に承諾をすることでできる(472条3項) |
| 債務者の債務 | 残り、引受人と連帯債務になる(470条1項) | 免れる(472条1項) |
| 取消権・解除権 | 債務者が免れる限度で履行を拒める(471条2項) | 同じ(472条の2第2項) |
| 求償 | 負担部分に応じて求償できる(442条1項) | 求償権を取得しない(472条の3) |
誤り。違うのは「債権者が引受けによる利益を享受する意思を表示しなくても,その効力が生ずる」の部分である。債務者と引受人の契約による併存的債務引受は、債権者が引受人に承諾をした時に効力を生ずる(470条3項・4項)。
470条3項は、併存的債務引受は債務者と引受人となる者との契約によってもすることができ、この場合には債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に効力を生ずると定める。同条4項は、この方法による併存的債務引受は第三者のためにする契約に関する規定に従うとしており、第三者である債権者の権利は、その者が契約の利益を受ける意思を表示した時に発生する(537条3項)。債権者に新たな債務者がつくことは債権者の利益になるが、債権者が知らないうちに債権者を巻き込んだ権利関係を当事者だけで作ることはせず、債権者の意思を効力の要件にしたのである。これに対し、債権者と引受人となる者との契約による場合は、債務者の意思に反してもでき、契約の時に効力を生ずる(470条2項)。肢は債権者の意思表示がなくても効力が生ずるとしており、誤っている。出題当時は明文が無かったが、第三者のためにする契約と解されており、結論は同じである。

併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。4 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。
| 関係 | 直接の権利義務 | 条文・判例 |
|---|---|---|
| 注文者と一括下請負人 | 注文者帰属の特約が下請負人にも及ぶ | 最判平5.10.19 |
| 債務者・引受人間の併存的債務引受 | 債権者の承諾で効力を生じる | 470条3項・4項 |
| 本人と復代理人 | 代理人と同一の権利義務を負う | 106条2項 |
| 寄託者と再受寄者 | 受寄者と同一の権利義務を負う | 658条3項 |
| 賃貸人と転借人 | 転借人が直接義務を負うだけで、修繕は請求できない | 613条1項 |
誤り。違うのは「その効力は生じない」の部分である。併存的債務引受は債権者と引受人となる者との契約によってすることができ(470条2項)、債務者の意思に反しても効力を生ずる。
併存的債務引受とは、引受人が債務者と連帯して、債務者が債権者に負う債務と同じ内容の債務を負担するものである(470条1項)。債務者の債務はそのまま残り、債務者が新たな不利益を受けるわけではなく、引受人の財産が加わって債権の担保の力が増えるだけである。そこで470条2項は、併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができると定め、債務者の同意や関与を要件としていない。したがって、債権者Aが債務者Bの意思に反して引受人Cと併存的債務引受の契約をしても、その効力は生ずる。出題当時も、判例は併存的債務引受は債務者の意思に反しても成立するとしていた。債務者の意思に反しても保証契約を結べるのと同じ考え方である。なお、債務者と引受人となる者との契約でもすることができ、その場合は債権者が引受人となる者に承諾をした時に効力を生ずる(同条3項)。本肢は誤りである。

併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
| 事項 | 併存的債務引受 | 免責的債務引受 |
|---|---|---|
| 債務者の債務 | 残り、引受人と連帯債務になる(470条1項) | 消滅する(472条1項) |
| 債権者と引受人の契約 | 債務者の意思に反してもでき、契約の時に効力を生ずる(470条2項) | 債権者が債務者に通知した時に効力を生ずる(472条2項) |
| 債務者と引受人の契約 | 債権者が引受人に承諾した時に効力を生ずる(470条3項) | 債権者が引受人に承諾すればできる(472条3項) |
| 引受人の抗弁 | 債務者の抗弁を対抗でき、取消権・解除権の限度で履行を拒める(471条) | 同じ(472条の2)。解除権そのものは移らない |
| 担保 | そのまま | 引受人以外の設定者の承諾がなければ移らず消滅する(472条の4) |
正しい。併存的債務引受の引受人は債務者と連帯債務を負い(470条1項)、時効の完成は相対的効力しか持たないから(441条本文)、AはCに全額を請求できる。出題当時は誤りとされ、公式正解は4(ウ・エ)であった。
併存的債務引受の効力が生じると、引受人Cは債務者Bと連帯して同じ内容の債務を負う(470条1項)。そこで、連帯債務者の一人であるBの債務が時効で消滅した場合に、その効果がCに及ぶかが問題となる。441条本文は、438条(更改)、439条1項(相殺)及び440条(混同)に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じないと定めており、時効の完成はこの例外に含まれない。連帯債務は債権者にとって担保の働きをするものであり、一人の債務が時効で消えたからといって他の者の債務まで減らすのは、債権者の期待に反するからである。したがって、Bの債務が時効で消滅しても、その効果はCに及ばず、AはCに債務の全額を請求でき、本肢は正しい。出題当時は、旧439条により連帯債務者の一人のために時効が完成すると、その負担部分について他の連帯債務者も義務を免れたので、本肢は誤りとされていた。

第四百三十八条、第四百三十九条第一項及び前条に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。
| 事項 | 併存的債務引受 | 免責的債務引受 |
|---|---|---|
| 債務者の債務 | 残り、引受人と連帯債務になる(470条1項) | 消滅する(472条1項) |
| 債権者と引受人の契約 | 債務者の意思に反してもでき、契約の時に効力を生ずる(470条2項) | 債権者が債務者に通知した時に効力を生ずる(472条2項) |
| 債務者と引受人の契約 | 債権者が引受人に承諾した時に効力を生ずる(470条3項) | 債権者が引受人に承諾すればできる(472条3項) |
| 引受人の抗弁 | 債務者の抗弁を対抗でき、取消権・解除権の限度で履行を拒める(471条) | 同じ(472条の2)。解除権そのものは移らない |
| 担保 | そのまま | 引受人以外の設定者の承諾がなければ移らず消滅する(472条の4) |
誤り。違うのは「債権者が引受けによる利益を享受する意思を表示しなくても,その効力が生ずる」の部分である。債務者と引受人の契約による併存的債務引受は、債権者が引受人に承諾をした時に効力を生ずる(470条3項・4項)。
470条3項は、併存的債務引受は債務者と引受人となる者との契約によってもすることができ、この場合には債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に効力を生ずると定める。同条4項は、この方法による併存的債務引受は第三者のためにする契約に関する規定に従うとしており、第三者である債権者の権利は、その者が契約の利益を受ける意思を表示した時に発生する(537条3項)。債権者に新たな債務者がつくことは債権者の利益になるが、債権者が知らないうちに債権者を巻き込んだ権利関係を当事者だけで作ることはせず、債権者の意思を効力の要件にしたのである。これに対し、債権者と引受人となる者との契約による場合は、債務者の意思に反してもでき、契約の時に効力を生ずる(470条2項)。肢は債権者の意思表示がなくても効力が生ずるとしており、誤っている。出題当時は明文が無かったが、第三者のためにする契約と解されており、結論は同じである。

併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。4 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。
| 関係 | 直接の権利義務 | 条文・判例 |
|---|---|---|
| 注文者と一括下請負人 | 注文者帰属の特約が下請負人にも及ぶ | 最判平5.10.19 |
| 債務者・引受人間の併存的債務引受 | 債権者の承諾で効力を生じる | 470条3項・4項 |
| 本人と復代理人 | 代理人と同一の権利義務を負う | 106条2項 |
| 寄託者と再受寄者 | 受寄者と同一の権利義務を負う | 658条3項 |
| 賃貸人と転借人 | 転借人が直接義務を負うだけで、修繕は請求できない | 613条1項 |
誤り。違うのは「当該債務引受によって生じた債権も,その抵当権の被担保債権となる」の部分である。併存的債務引受によって引受人が負う債務は債務者の債務とは別の債務であり、当然には抵当権の被担保債権にならない(470条1項)。
470条1項は、併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担すると定める。債務者の債務はそのまま残り、それとは別に引受人が同じ内容の債務を新たに負担するのであって、債権者は債務者と引受人の両方に請求できるようになる。抵当権は設定の際に特定された被担保債権を担保するものであり、債務者所有の不動産に設定された抵当権が担保しているのは債務者に対する債権である。引受人に対する債権は債務引受によって新たに生じた別の債権であるから、抵当権の被担保債権に当然に加わることはない。引受人の債務を担保させたいのであれば、抵当不動産の所有者がその債務についても担保に供する旨の合意をする必要がある。また、債務者の債務と引受人の債務は連帯債務の関係に立つが、一方の債務について生じた事由は原則として他方に影響しない(441条)。したがって、債務引受によって生じた債権も被担保債権となるとする肢は誤っている。

併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
誤り。違うのは「当該債務引受によって生じた債権も,その抵当権の被担保債権となる」の部分である。併存的債務引受によって引受人が負う債務は債務者の債務とは別の債務であり、当然には抵当権の被担保債権にならない(470条1項)。
470条1項は、併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担すると定める。債務者の債務はそのまま残り、それとは別に引受人が同じ内容の債務を新たに負担するのであって、債権者は債務者と引受人の両方に請求できるようになる。抵当権は設定の際に特定された被担保債権を担保するものであり、債務者所有の不動産に設定された抵当権が担保しているのは債務者に対する債権である。引受人に対する債権は債務引受によって新たに生じた別の債権であるから、抵当権の被担保債権に当然に加わることはない。引受人の債務を担保させたいのであれば、抵当不動産の所有者がその債務についても担保に供する旨の合意をする必要がある。また、債務者の債務と引受人の債務は連帯債務の関係に立つが、一方の債務について生じた事由は原則として他方に影響しない(441条)。したがって、債務引受によって生じた債権も被担保債権となるとする肢は誤っている。

併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
誤り。違うのは「原債務者及び引受人は分割債務を負う」の部分である。併存的債務引受では両者は連帯債務を負い(470条1項)、免責的債務引受では原債務者は債務を免れる(472条1項)。
債務引受には併存的債務引受と免責的債務引受がある。併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する(470条1項)。債務者の債務もそのまま残り、原債務者と引受人は連帯債務の関係に立つから、債権者はどちらに対しても全額を請求できる。債権者にとって責任財産が増える担保的な機能を持つ制度だからである。これに対し、免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる(472条1項)。債務者が交替するのであり、原債務者はもはや債務を負わない。いずれの場合も、債務額を頭割りした分割債務になることはない。改正前は債務引受に明文の規定がなかったが、併存的債務引受で両者が全額の債務を負うと解されていた点は同じであり、結論は変わらない。

併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
誤り。違うのは「債務者の意思に反してすることはできない」の部分である。併存的債務引受は債権者と引受人となる者との契約によってすることができ(470条2項)、債務者の意思に反してもすることができる(大判大15.3.25)。
470条2項は、併存的債務引受は債権者と引受人となる者との契約によってすることができると定める。併存的債務引受では、債務者の債務はそのまま残り、引受人が債務者と連帯して同一の内容の債務を負担するだけであるから(同条1項)、債務者には何の不利益もない。主たる債務者の意思に反する保証契約も有効であること(462条2項参照)と同じように、債務者の意思に反する併存的債務引受も有効と解されており、判例もこれを認めている(大判大15.3.25)。債務者の意思に反して債務を引き受けた引受人が弁済した場合の求償は、連帯債務の規定によって処理される(442条以下)。したがって、債務者の意思に反してすることはできないとする本肢は誤りである。

併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。2 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
| 項目 | 併存的債務引受 | 免責的債務引受 |
|---|---|---|
| 債権者と引受人の契約 | できる。債務者の意思に反してもよい(470条2項) | できる。債権者から債務者への通知で効力(472条2項) |
| 債務者と引受人の契約 | 債権者が引受人に承諾した時に効力(470条3項) | 債権者が引受人に承諾してできる(472条3項) |
| 債務者の債務 | 存続し、引受人と連帯債務(470条1項) | 消滅する(472条1項) |
| 引受人の抗弁 | 効力発生時に債務者が主張できた抗弁を対抗できる(471条1項) | 同じ(472条の2第1項) |
| 担保・保証 | そのまま存続する | 設定者・保証人の承諾がなければ移らない(472条の4) |
正しい。債務者と引受人となる者との契約による併存的債務引受は、第三者のためにする契約の規定に従い(470条4項)、債権者が引受人となる者に承諾をした時に効力を生じる(同条3項)。
470条3項は、併存的債務引受は債務者と引受人となる者との契約によってもすることができ、この場合には、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に効力を生ずると定め、同条4項は、この併存的債務引受は第三者のためにする契約に関する規定に従うとする。債務者と引受人の契約は、契約の当事者でない債権者に引受人に対する債権を取得させるものであるから、第三者のためにする契約の一種であり、第三者の権利は第三者が債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する(537条3項)。債権者に意思に反して権利を押し付けることはできないからである。そのため、債権者が受益の意思、すなわち引受人に対する承諾を表示した時に、債権者の引受人に対する債権が発生する。したがって、本肢は正しい。

併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。4 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。
| 項目 | 併存的債務引受 | 免責的債務引受 |
|---|---|---|
| 債権者と引受人の契約 | できる。債務者の意思に反してもよい(470条2項) | できる。債権者から債務者への通知で効力(472条2項) |
| 債務者と引受人の契約 | 債権者が引受人に承諾した時に効力(470条3項) | 債権者が引受人に承諾してできる(472条3項) |
| 債務者の債務 | 存続し、引受人と連帯債務(470条1項) | 消滅する(472条1項) |
| 引受人の抗弁 | 効力発生時に債務者が主張できた抗弁を対抗できる(471条1項) | 同じ(472条の2第1項) |
| 担保・保証 | そのまま存続する | 設定者・保証人の承諾がなければ移らない(472条の4) |
誤り。違うのは「その時効を援用することができない」の部分である。引受人は、併存的債務引受の効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができ(471条1項)、引受けまでに満了した消滅時効を援用することができる。
471条1項は、引受人は、併存的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができると定める。併存的債務引受は、債務者の債務と同一の内容の債務を引受人が負担するものであり、引受人の債務は債務者の債務を基準として成立するので、引受けの時点で債務者の債務に付着していた事由は引受人の債務にも及ぶからである。引受けまでに消滅時効期間が満了していれば、債務者はその時効を援用して債務を免れることができる状態にあったのであり、引受人も、自らの債務について権利の消滅について正当な利益を有する者として、その時効を援用することができる(145条)。したがって、援用することができないとする本肢は誤りである。なお、引受けの後に一方の債務について生じた時効の完成は、連帯債務の相対的効力の原則(441条)により他方に影響しない。

引受人は、併存的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。
| 項目 | 併存的債務引受 | 免責的債務引受 |
|---|---|---|
| 債権者と引受人の契約 | できる。債務者の意思に反してもよい(470条2項) | できる。債権者から債務者への通知で効力(472条2項) |
| 債務者と引受人の契約 | 債権者が引受人に承諾した時に効力(470条3項) | 債権者が引受人に承諾してできる(472条3項) |
| 債務者の債務 | 存続し、引受人と連帯債務(470条1項) | 消滅する(472条1項) |
| 引受人の抗弁 | 効力発生時に債務者が主張できた抗弁を対抗できる(471条1項) | 同じ(472条の2第1項) |
| 担保・保証 | そのまま存続する | 設定者・保証人の承諾がなければ移らない(472条の4) |

