第180条占有権の取得過去問 7
占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
この条文の過去問 7問
Aは自己の所有する工作機械をBに賃貸していたが,Bは,工作機械の賃貸借契約継続中に工作機械をCに窃取された。この場合,Bは,Aから独立して,Cに対して占有回収の訴えを提起することができる。
解説
本肢は正しい。占有の訴えを提起できるのは「占有者」であり(民法197条前段、200条1項)、占有権は自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得される(180条)。賃借人は、賃貸借契約に基づき自己のために目的物を所持しているから、他主占有ではあるものの占有者にほかならない(197条後段も「他人のために占有をする者」が占有の訴えを提起できることを明らかにしている)。そして、占有訴権は、本権の有無やその所在とは切り離して現実の事実的支配秩序それ自体を暫定的に保護する制度であり、本権の訴えとは相互に独立している(202条1項)。したがって、賃借人Bは、所有者Aの意向や協力とは関係なく、独立して侵奪者Cに対し占有回収の訴えを提起し、工作機械の返還および損害の賠償を請求することができる(200条1項)。他方、Aも、Bを占有代理人とする代理占有(181条)を有する本人として自ら占有回収の訴えを提起し得るが、それはBの訴権を排除するものではない。よって、Bが独立して占有回収の訴えを提起できるとする本肢は正しい。
Aが所有する甲建物にAと同居しているAの未成年の子Bは,甲建物の占有権を有しない。
解説
本肢は正しい。占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得される(民法180条)。ここでいう「所持」とは、社会通念上その物が当該人の事実的支配の下にあると認められる客観的関係をいうが、他人の指示に従いその手足として物を支配しているにすぎない者、いわゆる占有補助者(占有機関)には、独立の所持は認められず、占有権は成立しないと解されている。所持は独立性を備えたものでなければならないという趣旨である。
判例も、家屋に居住する家族について、世帯主たる者が独立の所持を有するのであって、同居する家族はその占有を補助しているにすぎず、独立の占有を有しないとしている(最判昭和28年4月24日)。本肢のように、A所有の甲建物にAと同居するAの未成年の子Bは、まさにこの占有補助者の典型であり、甲建物についての所持はAに帰属し、Bは独立の占有権を有しない。
この帰結は実際上も重要で、Bを相手に占有の訴えを起こしても意味がなく、また建物明渡請求の被告適格の場面でも、占有補助者にすぎない同居家族に対して別途明渡しを求める必要はないと解される。法人の代表者が法人のために物を所持する場合に、所持は法人に帰属し代表者個人には占有が認められないとされるのも同じ発想である。
Aが所有する甲建物にAと同居しているAの未成年の子Bは,甲建物の占有権を有しない。
解説
本肢は正しい。占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得される(民法180条)。ここでいう「所持」とは、社会通念上その物が当該人の事実的支配の下にあると認められる客観的関係をいうが、他人の指示に従いその手足として物を支配しているにすぎない者、いわゆる占有補助者(占有機関)には、独立の所持は認められず、占有権は成立しないと解されている。所持は独立性を備えたものでなければならないという趣旨である。
判例も、家屋に居住する家族について、世帯主たる者が独立の所持を有するのであって、同居する家族はその占有を補助しているにすぎず、独立の占有を有しないとしている(最判昭和28年4月24日)。本肢のように、A所有の甲建物にAと同居するAの未成年の子Bは、まさにこの占有補助者の典型であり、甲建物についての所持はAに帰属し、Bは独立の占有権を有しない。
この帰結は実際上も重要で、Bを相手に占有の訴えを起こしても意味がなく、また建物明渡請求の被告適格の場面でも、占有補助者にすぎない同居家族に対して別途明渡しを求める必要はないと解される。法人の代表者が法人のために物を所持する場合に、所持は法人に帰属し代表者個人には占有が認められないとされるのも同じ発想である。
留置権者及び抵当権者は,いずれも目的物の競売を申し立てることができる。
解説
解説は準備中です。
留置権者及び抵当権者は,いずれも目的物の競売を申し立てることができる。
解説
解説は準備中です。
抵当権は,債権の弁済がないときに目的物を換価して優先弁済を受ける権利であるから,抵当権者は,目的物の競売を申し立てることができるが,留置権は,債権の弁済を受けるまで目的物を留置する権利にすぎないから,留置権者は,目的物の競売を申し立てることはできない。
解説
本肢は誤り。抵当権者が目的不動産の競売(担保不動産競売)を申し立てることができる点(民事執行法180条1号)は本肢の述べるとおりである。しかし、留置権者が競売を申し立てられないとする後段が誤っている。民事執行法195条は、留置権による競売および民法・商法その他の法律の規定による換価のための競売について、担保権の実行としての競売の例によるとしており、留置権者にもいわゆる形式的競売の申立てが認められている。これは、優先弁済を得るための換価ではなく、被担保債権が弁済されない限り目的物を保管し続けなければならない留置権者を、その負担から解放するために認められた換価手続である。したがって、留置権に優先弁済的効力がないこと(295条1項参照)と、競売申立権の有無とは直結しない。なお、不動産上の留置権は競売によっても消滅せず、買受人が被担保債権の弁済責任を引き受けるものとされており(民事執行法59条4項)、この点でも消除主義がとられる抵当権とは扱いが異なる。
抵当権は,債権の弁済がないときに目的物を換価して優先弁済を受ける権利であるから,抵当権者は,目的物の競売を申し立てることができるが,留置権は,債権の弁済を受けるまで目的物を留置する権利にすぎないから,留置権者は,目的物の競売を申し立てることはできない。
解説
本肢は誤り。抵当権者が目的不動産の競売(担保不動産競売)を申し立てることができる点(民事執行法180条1号)は本肢の述べるとおりである。しかし、留置権者が競売を申し立てられないとする後段が誤っている。民事執行法195条は、留置権による競売および民法・商法その他の法律の規定による換価のための競売について、担保権の実行としての競売の例によるとしており、留置権者にもいわゆる形式的競売の申立てが認められている。これは、優先弁済を得るための換価ではなく、被担保債権が弁済されない限り目的物を保管し続けなければならない留置権者を、その負担から解放するために認められた換価手続である。したがって、留置権に優先弁済的効力がないこと(295条1項参照)と、競売申立権の有無とは直結しない。なお、不動産上の留置権は競売によっても消滅せず、買受人が被担保債権の弁済責任を引き受けるものとされており(民事執行法59条4項)、この点でも消除主義がとられる抵当権とは扱いが異なる。