請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
この条文の過去問 7問
誤り。違うのは「報酬債権と相殺することはできない」の部分である。同一の請負契約から生じた修補に代わる損害賠償債権と報酬債権はともに金銭債権であり、注文者は相殺できる(最判昭53.9.21)。
請負人は仕事の完成に対して報酬を請求でき(632条)、仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないときは、注文者は追完の請求のほか、債務不履行に基づく損害賠償を請求できる(559条・562条・415条1項)。この損害賠償債務と報酬債務は同一の双務契約から生じた対価関係にある債務として同時履行の関係に立つ(533条括弧書)。そして、相手方が同時履行の抗弁権を持つ債権を自働債権として相殺することは、相手方の抗弁権を一方的に奪うことになるので原則として許されない。しかし、同一の双務契約から生じた両債権がともに金銭債権であり、対当額で清算されるにすぎない場合には、相手方の抗弁権を害することにはならず、簡易な決済という相殺の趣旨にもかなう。最判昭53.9.21も、請負の目的物の瑕疵の修補に代わる損害賠償債権を自働債権とし、報酬債権を受働債権とする相殺を認めている。したがって肢は誤っている。出題当時の瑕疵は、現在の契約不適合に当たるが、結論は変わらない。

双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
誤り。違うのは「報酬債権と相殺することはできない」の部分である。同一の請負契約から生じた修補に代わる損害賠償債権と報酬債権はともに金銭債権であり、注文者は相殺できる(最判昭53.9.21)。
請負人は仕事の完成に対して報酬を請求でき(632条)、仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないときは、注文者は追完の請求のほか、債務不履行に基づく損害賠償を請求できる(559条・562条・415条1項)。この損害賠償債務と報酬債務は同一の双務契約から生じた対価関係にある債務として同時履行の関係に立つ(533条括弧書)。そして、相手方が同時履行の抗弁権を持つ債権を自働債権として相殺することは、相手方の抗弁権を一方的に奪うことになるので原則として許されない。しかし、同一の双務契約から生じた両債権がともに金銭債権であり、対当額で清算されるにすぎない場合には、相手方の抗弁権を害することにはならず、簡易な決済という相殺の趣旨にもかなう。最判昭53.9.21も、請負の目的物の瑕疵の修補に代わる損害賠償債権を自働債権とし、報酬債権を受働債権とする相殺を認めている。したがって肢は誤っている。出題当時の瑕疵は、現在の契約不適合に当たるが、結論は変わらない。

双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
正しい。建築途中の建物が滅失しても仕事の完成が可能である限り請負人は完成義務を負い、完成させなければ報酬全額を請求できない(632条)。
請負は、請負人が仕事を完成することを約し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を支払う契約である(632条)。建築途中の建物が当事者双方の責めに帰することができない事由で滅失しても、改めて建築することができる限り、仕事の完成は不能になっておらず、請負人はなお仕事を完成させる義務を負う。報酬は仕事の結果に対して支払われるものであるから、請負人は新たに建物を建築して完成させなければ、報酬全額を請求することはできない。完成のために生じた追加の費用は、特約がなければ仕事の完成義務の内容として請負人が負担する。これに対し、仕事の完成そのものが不能になった場合には、当事者双方の責めに帰することができない事由によるものであれば、注文者は報酬の支払を拒むことができ(536条1項)、請負人は既にした仕事のうち注文者が利益を受ける部分の割合で報酬を請求できるにとどまる(634条1号)。

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
誤り。違うのは「具体的な報酬額の定めがなければ,報酬を請求することができない」の部分である。請負は仕事の完成と報酬支払の合意で成立し、具体的な額の定めがなくても報酬を請求できる(632条)。
632条は、請負は当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって効力を生ずると定める。請負は諾成・双務・有償の契約であり、成立に必要なのは仕事を完成する合意と、その結果に対して報酬を支払う合意である。報酬を支払う合意が要るといっても、報酬の額が具体的な金額として確定している必要まではなく、報酬額又はその決め方が定まっていれば足りると解されている。額が明示されていなくても、取引の慣行などから相当な報酬額を決めることができるからである。請負人が商人で、営業の範囲内で仕事を引き受けた場合には、相当な報酬を請求できる旨の規定もある(商法512条)。したがって、具体的な報酬額の定めがなくても請負契約は成立し、請負人は報酬を請求できる。本肢は報酬の請求を否定している点が誤りである。

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
| 契約 | 報酬の要否 | 支払時期 |
|---|---|---|
| 雇用 | 要素(623条) | 後払い。期間で定めたら期間経過後(624条) |
| 請負 | 要素。額は決め方が定まっていれば足りる(632条) | 引渡しと同時(633条) |
| 委任・準委任 | 特約がなければ請求できない(648条1項) | 後払い(648条2項)。特約で前払いも可 |
| 寄託 | 有償・無償とも成立(657条) | 受寄者の報酬は委任の規定を準用(665条) |
誤り。違うのは「請負人の責めに帰することができない事由によって」「既にした履行の割合に応じて」の部分である。割合的報酬は注文者の責めに帰することができない事由による不能などの場合に、注文者が受ける利益の割合に応じて認められる(634条)。
請負は仕事の完成に対して報酬を支払う契約であるから(632条)、仕事が完成しなければ報酬を請求できないのが原則である。634条は、注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき(1号)、又は請負が仕事の完成前に解除されたとき(2号)に、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、請負人は注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できると定める。本肢はまず、請負人の責めに帰することができない事由としている点がずれている。これには注文者の責めに帰すべき事由による不能も含まれるが、その場合には注文者は報酬の支払を拒めず(536条2項)、請負人は報酬全額を請求できる。また、割合的報酬の基準は注文者が受ける利益の割合であり、請負人が既にした履行の割合ではない。仕事の結果に対価を払う請負の性質から、注文者に役立つ限度で報酬を認めたのである。出題当時はこの規定自体がなかった。

次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。
- 割合的報酬(634条):注文者の責めに帰することができない事由による不能・完成前の解除で、可分な部分の利益の割合に応じて
- 注文者の責めに帰すべき事由による不能(536条2項):注文者は報酬の支払を拒めない
- 注文者の任意解除(641条):完成前に限り、損害を賠償して。請負人にはない
- 注文者の死亡:終了しない
- 修補の限界(412条の2第1項):重要でない不適合で過分の費用を要する修補は不能として請求できない
- 期間(637条):知った時から1年以内の通知。引渡し時に悪意・重過失なら制限なし
正しい。請負は仕事の完成とその結果に対する報酬の支払を約することで成立し(632条)、報酬額が具体的に定まっていなくても、その決定方法が定められていれば成立する。
632条は、請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずると定める。同条が求めるのは、仕事の結果に対して報酬を支払う旨の合意であり、契約の時点で報酬の金額が具体的に確定していることまでは求めていない。工事の請負などでは、着工前に正確な工事量が分からないことが多く、工程数に単価を乗じて総額を決めるといった方法で報酬を定めることも広く行われている。報酬額の決定方法が定められていれば、仕事が完成した時点で報酬額を客観的に確定させることができるので、当事者の合意の内容として不明確とはいえない。そのため、報酬額が具体的に定められていなくても、その決定方法が定められていれば請負契約は成立する。したがって、本肢は正しい。

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
- 報酬額:具体的な額がなくても決め方が定まっていれば成立する
- 支払時期(633条):引渡しと同時。引渡しを要しなければ完成後
- 割合的報酬(634条):注文者の責めに帰することができない事由による不能・完成前の解除で、可分な部分の利益の割合に応じて
- 注文者の任意解除(641条):完成前に限り、損害を賠償して。請負人にはない
誤り。違うのは「物の引渡しを要しないときは仕事の完成と引換えに」の部分である。物の引渡しを要しないときは、仕事を完成させた後でなければ報酬を請求できず、仕事の完成が先履行となる(633条ただし書・624条1項)。
632条は、請負は当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することによって効力を生ずると定めるから、請負は有償契約である。633条本文は、報酬は仕事の目的物の引渡しと同時に支払わなければならないと定め、引渡しを要する場合には引渡しと報酬の支払が同時履行の関係に立つ。これに対し、同条ただし書は、物の引渡しを要しないときは624条1項を準用するとしており、請負人はその約した仕事を完成させた後でなければ報酬を請求できない。引渡しという行為がない場合には、完成と同時に報酬と引き換える仕組みをとることができず、仕事の結果に対して報酬を支払うという請負の性質から、仕事の完成を先に履行させることにしたのである。本肢は誤りである。

報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。
| 契約 | 有償か | 支払時期 |
|---|---|---|
| 雇用 | 有償(623条) | 後払い。期間で定めたら期間経過後(624条)。前払の特約も可 |
| 請負 | 有償(632条) | 引渡しと同時。引渡しを要しなければ完成後(633条) |
| 委任 | 特約があれば有償(648条1項) | 後払い(648条2項)。中途終了は履行の割合(648条3項) |
| 寄託 | 特約があれば有償 | 委任の規定を準用(665条・648条) |

















