賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。
この条文の過去問 5問
正しい。原賃貸借が期間満了で終了すれば、転借人は賃貸人に転借権を主張できなくなるので、Aは所有権に基づいてCに甲の引渡しを請求できる。
賃貸人の承諾を得た転貸では、転借人は賃貸人に直接義務を負う(613条1項)が、転借人が物を使える根拠は、あくまで賃借人の賃借権の上に成り立つ転借権である。原賃貸借が終わって賃借人Bが物を使わせる権限を失えば、BがCに物を使わせる債務は果たせなくなり、転貸借も終了する。合意解除であれば、613条3項本文により賃貸人は転借人に対抗できないが、期間の満了による終了はこれに当たらない。本肢では、AB間の動産甲の賃貸借が期間満了で終了し、更新もされていないので、原賃貸借は確定的に終わっており、CはAに対して自分の占有の権原を主張できない。したがって、甲の所有者であるAは、権原を失ったCに対し、所有権に基づいて甲の引渡しを請求できる。目的物が建物であれば、借地借家法34条により賃貸人から転借人への終了の通知などが必要になるが、動産の本肢にはその規律は及ばない。

賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。
正しい。賃借物の全部が滅失その他の事由により使用収益できなくなった場合には、賃貸借は当然に終了する(616条の2)。
616条の2は、賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借はこれによって終了すると定める。賃貸借は物を使わせることを内容とする継続的な契約なので、物の全部が使えなくなれば契約の目的は果たせず、契約を続ける意味がない。そこで、解除の意思表示がなくても当然に契約が終了するとした。終了するかどうかに当事者の帰責事由は関係なく、賃借人はその後の賃料を払う必要がない。賃貸人の責めに帰すべき事由で滅失したときは、賃借人は別に損害賠償を請求できる。肢は616条の2のとおりであり、正しい。この規定は、賃借家屋が焼失すれば賃貸借は当然に終了するとしていた従来の判例の考え方を明文にしたものである。一部だけが使えなくなった場合は、その割合に応じて賃料が当然に減額され、残りの部分では目的を達せられなければ賃借人は解除できる(611条)。

賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。
- 期間の定めあり:期間の満了で終了する(622条・597条1項)。解約権を留保すれば617条の解約申入れができる(618条)
- 期間の定めなし:解約申入れから土地1年・建物3か月・動産1日で終了する(617条1項)
- 黙示の更新:使用継続を賃貸人が知りながら異議を述べなければ同一条件で更新と推定する(619条1項)
- 全部滅失等:当然に終了する(616条の2)
- 解除:将来に向かってのみ効力を生じる(620条)
正しい。賃借物の全部が滅失すれば、滅失の原因にかかわらず賃貸借は当然に終了し(616条の2)、賃借人はそれ以降の賃料を支払う義務を負わない。
616条の2は、賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借はこれによって終了すると定める。賃貸借は目的物を使用収益させ、その対価として賃料を払う継続的な契約であるから、目的物が失われれば契約の目的を達することができず、存続させる意味がない。同条は帰責事由を問題にしていないので、賃借人の責めに帰すべき事由で建物が滅失した場合でも、賃貸借は当然に終了する。判例も、改正前から同じ立場をとっていた(最判昭42.6.22)。賃貸借が終了する以上、賃借人はそれ以降の賃料を支払う義務を負わない。もっとも、賃借人は目的物を保管し返還する義務に違反して建物を滅失させたのであるから、賃貸人は賃借人に対し、債務不履行による損害賠償を請求することができる。

賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。
正しい。原賃貸借が転貸人の債務不履行を理由に解除されたときは、承諾のある転貸借は、原則として賃貸人が転借人に返還を請求した時に、転貸人の債務の履行不能により終了する(最判平9.2.25)。
最判平9.2.25は、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了するとした。債務不履行による解除は合意解除と違って転借人に対抗でき(613条3項ただし書参照)、転借人は賃貸人に対して占有権原を失う。もっとも、原賃貸借が終了しても転貸借契約が当然に消滅するわけではなく、転貸人が転借人に使用収益させる債務を果たせなくなった時に終了する。賃貸人が転借人に返還を求めれば、転借人はもはや賃貸人に対抗して使用収益を続けられないから、その時に転貸人の債務は履行不能となるのである。肢はこの判例の内容をそのまま述べており、正しい。返還請求までの間は転貸借が存続するから、転貸人は転借人に転貸料を請求できる。

賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する
- 合意解除:転借人に対抗できない(613条3項本文)
- 合意解除の当時に債務不履行解除権あり:転借人に対抗できる(613条3項ただし書)
- 債務不履行解除:対抗でき、転貸借は返還請求の時に履行不能で終了する(最判平9.2.25)。転借人への催告は不要
- 期間満了:転借人は転借権を主張できず、賃貸人は所有権に基づいて返還を請求できる
正しい。賃借物の全部が滅失その他の事由により使用収益できなくなったときは、賃貸借は当然に終了する(616条の2)。
616条の2は、賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了すると定める。賃貸借は、賃貸人が賃借人に目的物を使用収益させ、賃借人がその対価として賃料を支払う継続的な契約であるから、目的物の全部が滅失して使用収益させること自体ができなくなれば、契約を存続させる意味がない。そこで、解除の意思表示を要せず、当然に終了するとしたのである。出題当時は明文がなかったが、判例は、賃借物の全部滅失により賃貸人の使用収益させる債務が履行不能となり賃貸借は当然に終了するとしており、平成29年改正でこれが明文化された。滅失が不可抗力によるか、当事者の責めに帰すべき事由によるかは終了の効果を左右せず、帰責事由は損害賠償の問題となる。本肢は正しい。

賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。

























