第549条贈与過去問 7
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
この条文の過去問 7問
AからBへの甲の引渡しがなくても、本件契約は、その効力を生ずる。
解説
本肢は正しい。贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによってその効力を生ずる(549条)。すなわち贈与は諾成契約であり、目的物の引渡しは契約の成立要件でも効力発生要件でもなく、成立した契約に基づく贈与者の債務の履行にすぎない。負担付贈与も贈与の一種であって、553条は負担付贈与について「その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する」と定めるにとどまり、贈与の成立・効力に関する549条の適用を排除するものではない。したがって、AからBへの絵画甲の引渡しがされていなくても、AB間の意思表示の合致のみによって本件契約は効力を生じ、Bは甲の引渡請求権を、Aは負担たる債務の履行請求権をそれぞれ取得する。なお、本件契約が書面によらないでされた場合には、履行の終わっていない部分につき各当事者が解除をすることができる(550条)が、これは契約が有効に成立していることを前提として、贈与者の軽率な贈与を予防するために解除権を与えた規定であり、契約の効力発生自体を否定するものではない。よって、引渡しの有無は本件契約の効力発生を左右しない。
贈与契約の贈与者は,目的物の引渡しまでの間,自己の財産に対するのと同一の注意をもって,目的物を保存すれば足りる。
解説
本肢は誤り。贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって効力を生ずる契約であり(549条)、贈与者は目的物を引き渡す債務を負う。そして、贈与の目的物が特定物である場合、贈与者は特定物の引渡しを目的とする債権の債務者にほかならないから、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって目的物を保存しなければならない(400条)。400条は有償契約の債務者に限って適用される規定ではなく、贈与者の保存義務の程度を自己の財産に対するのと同一の注意にまで軽減する規定は民法上存在しない。この点、無償寄託の受寄者について自己の財産に対するのと同一の注意で足りると定める659条のような明文の軽減規定が贈与には置かれていないことが決定的である。もっとも、無償契約であることが全く考慮されないわけではなく、551条1項は、贈与者は「贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する」と定めて、贈与者の契約不適合責任を実質的に軽減している。しかし、これは引き渡すべき目的物の品質等に関する合意内容の推定規定であって、引渡しまでの間の保存義務の程度を引き下げるものではない。また、贈与者の善管注意義務違反により目的物が滅失・損傷すれば、贈与者は債務不履行による損害賠償責任を負い得る(415条1項)。したがって、自己の財産に対するのと同一の注意で足りるとする本肢は誤りである。
贈与者が他人の不動産を贈与した場合において,他人の物であることを知りながら受贈者に告げなかったときは,贈与者は,その不動産の所有権を取得して受贈者に移転する義務を負う。
解説
本肢は正しい。549条は贈与を「ある財産を相手方に無償で与える意思を表示し」と定義しており、贈与の目的が他人に属する財産権であっても契約は有効に成立する(平成29年改正前は「自己の財産」と規定されていたが、判例・通説は同様に解していた)。判例は、他人の財産権をもって贈与の目的とすることも可能であり、この場合、贈与者は自らその財産権を取得して受贈者に移転する義務を負うと明示する(最判昭和44年1月31日)。これは他人の権利を売買の目的とした売主の権利取得移転義務(561条)と同じ構造であり、契約が無償であることは義務そのものの存否を左右しない。もっとも、贈与は無償契約であるから、551条1項は「贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する」として贈与者の責任を軽減している。しかしこれはあくまで当事者の合理的意思の推定にとどまり、贈与者が目的物が他人の物であることを知りながら受贈者にこれを告げなかった本肢のような場合には、他人物のまま引き渡せば足りる旨の合意があったとは推定されず、贈与者は権利を取得して移転する義務を免れない。よって本肢は正しい。
贈与は,当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し,相手方が受諾をすることによって,その効力を生ずるから,贈与を受ける者が贈与の申込みをし,相手方がこれを承諾しても贈与の効力は生じない。
解説
本肢は誤り。贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって効力を生ずる諾成・無償・片務契約である(549条)。同条が要求しているのは、無償で財産を与えるという内容についての意思表示の合致であって、どちらの当事者が先に意思表示をしたか、すなわち申込みをした者が贈与者側か受贈者側かは契約の成立要件と無関係である。申込みと承諾という一対の意思表示によって契約が成立するという一般原則(522条1項)からしても、「これをください」という受贈者側からの申込みに対して贈与者が「差し上げます」と承諾した場合であっても、無償で財産を与えることについて意思の合致がある以上、贈与契約は有効に成立する。したがって、贈与を受ける者の側から申込みがされた場合には効力が生じないとする本肢は誤りである。なお、旧549条は「自己の財産」を無償で与えると規定していたところ、平成29年改正により「ある財産」と改められ、他人の財産を目的とする贈与も有効に成立し得ることが条文上も明確にされている。本肢の文言はこの改正前の表現に基づくものであるが、結論に影響はない。
贈与は,当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し,相手方が受諾をすることによって,その効力を生ずるから,贈与を受ける者が贈与の申込みをし,相手方がこれを承諾しても贈与の効力は生じない。
解説
本肢は誤り。贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって効力を生ずる諾成・無償・片務契約である(549条)。同条が要求しているのは、無償で財産を与えるという内容についての意思表示の合致であって、どちらの当事者が先に意思表示をしたか、すなわち申込みをした者が贈与者側か受贈者側かは契約の成立要件と無関係である。申込みと承諾という一対の意思表示によって契約が成立するという一般原則(522条1項)からしても、「これをください」という受贈者側からの申込みに対して贈与者が「差し上げます」と承諾した場合であっても、無償で財産を与えることについて意思の合致がある以上、贈与契約は有効に成立する。したがって、贈与を受ける者の側から申込みがされた場合には効力が生じないとする本肢は誤りである。なお、旧549条は「自己の財産」を無償で与えると規定していたところ、平成29年改正により「ある財産」と改められ、他人の財産を目的とする贈与も有効に成立し得ることが条文上も明確にされている。本肢の文言はこの改正前の表現に基づくものであるが、結論に影響はない。
贈与は,自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示することにより成立する単独行為である。
解説
解説は準備中です。
他人の物を目的とする贈与は,贈与者がその物の権利を取得した時からその効力を生ずる。
解説
解説は準備中です。