使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
この条文の過去問 7問
誤り。違うのは「Bが甲の引渡しを受けるまで、契約の解除をすることができる」の部分である。借用物の受取り前の解除は使用貸借の規定(593条の2)であり、賃貸借には準用されていない(622条)。
書面によらない契約について、目的物を受け取る前なら貸主が解除できるとするのは、使用貸借についての593条の2である。同条は、貸主は借主が借用物を受け取るまで契約の解除をすることができ、ただし書面による使用貸借についてはこの限りでないと定める。使用貸借は無償で物を貸す契約なので、軽い気持ちで貸すと約束した貸主を守る必要があり、書面にしたときは貸す意思がはっきりしているので解除を認めないのである。これに対し賃貸借は、賃料を対価とする有償の契約であり(601条)、貸主がただで負担を負う場面ではないので、こうした保護は要らない。そのため賃貸借には593条の2にあたる規定がなく、使用貸借の規定を賃貸借に準用する622条も、597条1項、599条1項・2項、600条を挙げるだけで593条の2を準用していない。したがって、書面によらない賃貸借でも、Aは甲を引き渡す前であることを理由に解除することはできない。

第五百九十七条第一項、第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百条の規定は、賃貸借について準用する。
誤り。違うのは「書面でしなければ成立しない」の部分である。使用貸借は当事者の合意だけで効力を生ずる諾成契約であり、書面は成立の要件ではない(593条)。
593条は、使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずると定める。合意だけで成立する諾成・不要式の契約であり、書面は要らない。もっとも、無償の契約である以上、貸主が軽率に約束してしまうおそれがあるので、593条の2は、貸主は借主が借用物を受け取るまで契約の解除ができるとし、ただし書で書面による使用貸借はこの限りでないとしている。書面の有無は解除の可否に関わるだけであり、契約の成立には関わらない。肢は書面でしなければ成立しないとしており、誤っている。出題当時の旧593条では使用貸借は物の受取りで成立する要物契約とされていたが、その当時も書面が成立の要件でなかったことは同じである。

使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。/貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。
| 契約 | 成立に要るもの | 条文 |
|---|---|---|
| 書面によらない消費貸借 | 物の受取り(要物契約) | 587条 |
| 書面でする消費貸借 | 書面による合意 | 587条の2第1項 |
| 準消費貸借 | 合意 | 588条 |
| 使用貸借 | 合意(書面によらなければ引渡しまで貸主が解除できる) | 593条・593条の2 |
| 寄託 | 合意(有償・無償とも) | 657条 |
| 保証 | 書面又は電磁的記録 | 446条2項・3項 |
誤り。違うのは「書面でしなければ成立しない」の部分である。使用貸借は当事者の合意だけで効力を生ずる諾成契約であり、書面は成立の要件ではない(593条)。
593条は、使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずると定める。合意だけで成立する諾成・不要式の契約であり、書面は要らない。もっとも、無償の契約である以上、貸主が軽率に約束してしまうおそれがあるので、593条の2は、貸主は借主が借用物を受け取るまで契約の解除ができるとし、ただし書で書面による使用貸借はこの限りでないとしている。書面の有無は解除の可否に関わるだけであり、契約の成立には関わらない。肢は書面でしなければ成立しないとしており、誤っている。出題当時の旧593条では使用貸借は物の受取りで成立する要物契約とされていたが、その当時も書面が成立の要件でなかったことは同じである。

使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。/貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。
| 契約 | 成立に要るもの | 条文 |
|---|---|---|
| 書面によらない消費貸借 | 物の受取り(要物契約) | 587条 |
| 書面でする消費貸借 | 書面による合意 | 587条の2第1項 |
| 準消費貸借 | 合意 | 588条 |
| 使用貸借 | 合意(書面によらなければ引渡しまで貸主が解除できる) | 593条・593条の2 |
| 寄託 | 合意(有償・無償とも) | 657条 |
| 保証 | 書面又は電磁的記録 | 446条2項・3項 |
誤り。違うのは「損害賠償請求をすることができない」の部分である。現行法では使用貸借は合意だけで成立する諾成契約であり(593条)、Aの引渡債務が履行不能となったのでBは損害賠償を請求できる。
593条は、使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずると定め、使用貸借を合意だけで成立する諾成契約としている。したがって、AB間の合意だけで使用貸借は成立し、Aは建物を引き渡す債務を負う。ところがAは建物をCに賃貸して引き渡してしまったから、Bへの引渡しは取引上の社会通念に照らして不能となり(412条の2第1項)、BはAに債務の履行に代わる損害賠償を請求できる(415条)。もっとも、書面によらない使用貸借では、貸主は借主が借用物を受け取るまで契約を解除できるから(593条の2)、Aが解除の意思表示をすれば引渡債務を免れるが、解除しない限り債務不履行の責任は否定されない。出題当時は旧593条が使用貸借を引渡しによって成立する要物契約としていたので、引渡し前には契約が成立せず、本肢は正しいとされ、公式正解は4のウとエの組合せであった。

使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
誤り。違うのは「当該建物の貸借関係を使用貸借と認めることはできない」の部分である。借主が公租公課を負担しても、それが使用収益の対価といえる特別の事情がない限り、使用貸借と認める妨げにならない(最判昭41.10.27)。
使用貸借は、借主が目的物を無償で使用収益して返還する契約であり(593条)、使用収益の対価を払えば賃貸借(601条)となる。そこで、建物の借主が固定資産税などの公租公課に当たる額を負担している場合に、それが対価に当たり賃貸借となるかが問題となる。最判昭41.10.27は、建物の借主がその建物などに課される公租公課を負担しても、それが使用収益に対する対価の意味を持つものと認めるに足りる特別の事情のない限り、この負担は借主と貸主の関係を使用貸借と認める妨げにならないとした。公租公課は本来所有者が負担すべき物の維持のための費用という性格を持ち、借主が通常の必要費を負担するとされていること(595条1項)とも合うので、その程度の負担は使用の対価とまではいえないからである。本肢は判例と逆の結論を述べている。

建物の借主がその建物等につき賦課される公租公課を負担しても、それが使用収益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる特別の事情のないかぎり、この負担は借主の貸主に対する関係を使用貸借と認める妨げとなるものではない。
正しい。使用貸借の借主は目的物を返還する特定物の引渡債務を負うので、返還までは善良な管理者の注意をもって保管しなければならない(400条)。
使用貸借の借主は、契約が終了したときに借りた物を返還する義務を負う(593条)。この返還義務は特定物の引渡しを目的とする債務であるから、400条により、借主はその引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもってその物を保存しなければならない。使用貸借には借主の保管義務を軽くする特別の規定はない。無償で借りているのだから注意義務を軽くすべきではないかとも考えられるが、無報酬の受寄者について注意義務を軽くする659条のような規定は使用貸借にはなく、むしろ借主は自ら物を使って利益を受ける立場にあるので、注意義務を軽くする理由はない。借主はこのほか、契約や目的物の性質で定まった用法に従って使用収益する義務(594条1項)、貸主の承諾なく第三者に使用させない義務(同条2項)を負い、通常の必要費を負担する(595条1項)。これらに反すれば、貸主は契約を解除できる(594条3項)。

債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
誤り。違うのは「無償で借りる旨をAと合意した事実を主張立証すれば」の部分である。使用貸借による占有権原の抗弁には、合意に加えて、その合意に基づきAから甲土地の引渡しを受けた事実が必要である。
所有権に基づく明渡請求では、原告Aは自己の甲土地の所有と被告Bの現在の占有を主張立証すれば足り、Bは自己の占有が正当な権原に基づくことを抗弁として主張立証しなければならない(占有権原の抗弁)。使用貸借を占有権原とする場合、使用貸借契約の締結だけでは足りず、その契約に基づいてAから目的物の引渡しを受けたことも要件事実となる。契約によって生じるのは借主が目的物を使用収益できる債権であり、Bの現在の占有がその契約に基づく正当なものであることを示すには、貸主から契約の履行として引渡しを受けた事実が必要だからである。出題当時の使用貸借は要物契約で、引渡しは契約の成立要件でもあったが、平成29年改正で諾成契約となった(593条)。現在も占有権原の抗弁としては引渡しの事実を要するので、結論は変わらない。本肢は合意だけで足りるとしている点で誤りである。

使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
| 抗弁 | 要件事実 | 認められたときの判決 |
|---|---|---|
| 占有権原(賃貸借・使用貸借) | 契約の締結と、その契約に基づく引渡し | 請求棄却 |
| 占有権原(地上権) | 地上権設定契約の締結と、その契約に基づく引渡し(当事者間で登記は不要) | 請求棄却 |
| 留置権・同時履行 | 被担保債権・反対債権の発生など | 引換給付判決 |
























