第520条の13記名式所持人払証券の譲渡過去問 1
記名式所持人払証券(債権者を指名する記載がされている証券であって、その所持人に弁済をすべき旨が付記されているものをいう。以下同じ。)の譲渡は、その証券を交付しなければ、その効力を生じない。
この条文の過去問 1問
指名債権を質権の目的とする場合において,その債権に証書があるときは,証書を交付しなければ質権設定の効力は生じない。
解説
本肢は誤り。現行民法には、指名債権を質権の目的とする場合に証書の交付を効力発生要件とする規定は存在しない。かつては旧363条が「債権であってこれを譲り渡すにはその証書を交付することを要するもの」を質権の目的とするときに証書の交付を効力要件と定めていたが(平成15年改正後の文言)、平成29年改正により旧363条は削除され、証券化された債権の規律は有価証券に関する章(520条の2以下)へ移された。すなわち、指図証券を目的とする質権の設定は、裏書をして証券を交付しなければ効力を生じず(520条の7・520条の2)、記名式所持人払証券を目的とする質権も証券の交付が効力要件とされる(520条の17・520条の13)。これらはいずれも、証券の所持が権利の移転・行使に不可欠とされる有価証券についての規律である。これに対し、本肢がいう指名債権は、債権者が特定しており、その成立・行使に証書の存在を要しない通常の債権であって、契約書・借用証書等が作成されていても、それは債権の存在を証明する証拠方法にすぎない。したがって、指名債権を目的とする質権は、設定者と質権者の質権設定契約のみによって効力を生じ、証書があってもその交付は効力要件ではない(第三債務者・第三者への対抗要件は364条・467条による通知または承諾である)。証書の交付がなければ質権設定の効力が生じないとする本肢は誤りである。なお、出題当時も平成15年改正後の旧363条の下で結論は同じであり、証書の交付は不要であった。