第427条分割債権及び分割債務過去問 3
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
この条文の過去問 3問
Cの保証債務が連帯保証債務であり、Dも貸金債務甲について連帯保証をしているときは、CのBに対する連帯保証債務の額は、貸金債務甲の額の2分の1となる。
解説
本肢は誤り。同一の主たる債務について数人の保証人がある場合、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても427条が適用され、各保証人は原則として頭数に応じた分割額についてのみ責任を負う(456条)。これを分別の利益という。
しかし、連帯保証人は分別の利益を有しないと解されている。連帯保証は、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する趣旨の保証であり、各自が主たる債務の全額について履行の責任を負うことをその本質とする。456条は保証人の責任を分割する趣旨の規定であるが、これを連帯保証人に及ぼすと、債権者が担保の強化のために連帯保証を求めた意義が失われる。判例も、連帯保証人は分別の利益を有せず、各自が債務の全額について保証債務を負うとする(大判大正6年4月28日等)。数人が保証人となり、かつ保証人相互間で全額弁済の特約(保証連帯)がある場合も同様である。
したがって、CおよびDがいずれも貸金債務甲について連帯保証をしているときであっても、CはBに対し貸金債務甲の全額について連帯保証債務を負い、その額が2分の1になることはない。2分の1になるとする本肢は誤りである。なお、この場合にCが自己の負担部分を超えて弁済したときは、Cは主たる債務者Aに対する求償権(459条等)のほか、他の連帯保証人Dに対しても求償し得る(465条1項)。
Cの保証債務が連帯保証債務であり,Dも甲債権について連帯保証をしていた場合には,CとDが負う連帯保証債務の額は各500万円となる。
解説
本肢は誤り。同一の主たる債務について数人の保証人がある場合、各保証人は原則として分別の利益を有し、主たる債務の額を保証人の数に応じて分割した額についてのみ保証債務を負う(456条・427条)。しかし、この分別の利益は、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する連帯保証には認められない。連帯保証人は催告の抗弁・検索の抗弁を有せず(454条)、主たる債務の全額について履行の義務を負うのが連帯保証の本質であり、判例も、数人が各別に連帯保証をした場合には各連帯保証人が債権者に対して債務全額の弁済義務を負うとしている(大判大正6年4月28日)。したがって、CもDもそれぞれ甲債権について連帯保証をしている本肢では、C・Dは各自1000万円全額の保証債務を負うのであって、各500万円となるものではない。なお、共同保証人の一人が自己の負担部分を超える額を弁済したときは、他の共同保証人に対して求償することができる(465条1項、442条から444条までの準用)が、これは弁済がされた後の保証人相互の内部的な負担の調整の問題にすぎず、債権者に対して負う責任額を分割する根拠にはならない。よって誤り。
複数の相続人が被相続人から賃借人の地位を承継したときは,被相続人が延滞していたその賃貸借に係る賃料債務は不可分債務となる。
解説
本肢は誤り。相続開始時にすでに発生していた延滞賃料債務は、金額の確定した金銭債務であって性質上可分な債務である。判例は、被相続人の金銭債務その他の可分債務は相続開始と同時に法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて承継すると解しており(最判昭和34年6月19日)、遺産分割を経るまでもなく分割債務となる(427条参照)。したがって、被相続人が延滞していた賃料債務は不可分債務ではなく、各相続人が法定相続分に応じた額の支払義務を負うにとどまる。これに対し、相続によって賃借人の地位を複数の相続人が承継した後に発生する賃料債務については、賃借物の使用収益という不可分の利益に対する対価であることから、共同相続人は不可分債務を負い、各自が全額の支払義務を負うと解されている(大判大正11年11月24日)。本肢は、この相続開始後に生ずる賃料債務についての帰結を、相続開始前にすでに発生していた延滞賃料債務にまで及ぼす点で誤っている。金銭債務であっても、可分債務として当然分割されるのは相続開始時に既発生の債務であり、承継した契約上の地位から将来発生する対価債務とは区別して処理する必要がある。