1六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え、第百二条の二第一項、第二百十二条第一項若しくは第二百八十五条第一項の規定による支払を求める訴え、第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え又は第二百十三条の二第一項若しくは第二百八十六条の二第一項の規定による支払若しくは給付を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。
2公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。
3株式会社が第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。
4株式会社は、第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は同項の発起人等から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。
5第一項及び第三項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第一項の株主は、株式会社のために、直ちに責任追及等の訴えを提起することができる。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
この条文の過去問 11問
誤り。違うのは「会社法第423条第1項に基づく株式会社の役員等に対する損害賠償請求権を訴訟物とするものでなければならない」の部分である。責任追及等の訴えの対象は847条1項に広く列挙されており、423条1項の責任に限られない。
会社法847条1項は、株主が提訴を請求できる責任追及等の訴えとして、発起人・設立時取締役・設立時監査役・役員等(423条1項に規定する役員等)・清算人の責任を追及する訴え、102条の2第1項・212条1項・285条1項の規定による支払を求める訴え(仮装払込みなどに係る支払)、120条3項の利益の返還を求める訴え(利益供与を受けた者への返還請求)、213条の2第1項・286条の2第1項の規定による支払・給付を求める訴えを掲げる。役員等の責任には任務懈怠による423条1項の損害賠償責任のほか、競業取引による損害額の推定や利益相反取引の責任、剰余金の配当に関する責任(462条)なども含まれ、さらに判例は、取締役の地位に基づく責任だけでなく会社との取引で負った債務も代表訴訟で追及できるとしている(最判平21.3.10)。会社が仲間内の取締役を訴えないおそれは、これらの責任や債務について等しく存在するからである。したがって、訴訟物を423条1項の損害賠償請求権に限る本肢は誤りである。

発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え、第百二条の二第一項、第二百十二条第一項若しくは第二百八十五条第一項の規定による支払を求める訴え、第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え又は第二百十三条の二第一項若しくは第二百八十六条の二第一項の規定による支払若しくは給付を求める訴え
- 発起人・設立時取締役・設立時監査役・役員等・清算人の責任を追及する訴え。423条1項の任務懈怠責任に限らない
- 仮装払込み等に係る支払を求める訴え(102条の2第1項・212条1項・285条1項・213条の2第1項・286条の2第1項)
- 利益供与を受けた者に対する利益の返還を求める訴え(120条3項)。第三者に対しても提起できる
- 取締役の責任の範囲(最判平21.3.10):地位に基づく責任と会社との取引上の債務を含む。所有権に基づく請求や職務と無関係の不法行為債務は含まない
誤り。違うのは「株主代表訴訟の対象とならない」の部分である。責任追及等の訴えの対象には、発起人・設立時取締役・設立時監査役の責任が明記されている(会社法847条1項)。
会社法847条1項は、6か月前から引き続き株式を有する株主は、会社に対し、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等若しくは清算人の責任を追及する訴えの提起を請求することができると定め、会社が60日以内に訴えを提起しないときは株主が会社のために訴えを提起できる(同条3項)。設立時取締役が会社に対して負う責任には、現物出資財産の不足額塡補責任(52条1項)や設立についての任務懈怠による損害賠償責任(53条1項)がある。これらの責任は会社が追及すべきものであるが、成立後の会社の取締役は設立時取締役であった者と同一人物であることが多く、仲間意識から責任追及を怠るおそれがある。株主代表訴訟はこうした提訴の懈怠に備える制度であり、取締役の責任だけでなく、設立段階の責任を負う発起人・設立時取締役・設立時監査役の責任も対象に含めている。847条1項が「役員等」と並べて設立時取締役を掲げているのはそのためである。本肢は、設立時取締役の責任を株主代表訴訟の対象から外す点で誤っている。

六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(略)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え(略)の提起を請求することができる。
正しい。会社は、提訴請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合に請求をした株主から請求を受けたときは、遅滞なく、訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法で通知しなければならない(会社法847条4項)。
株主代表訴訟は、株主がまず会社に対して責任追及等の訴えの提起を請求し(会社法847条1項)、会社が請求の日から60日以内に訴えを提起しないときに、株主が会社のために訴えを提起できるという構造である(同条3項)。これに加えて同条4項は、会社が60日以内に訴えを提起しない場合に、請求をした株主又は発起人等から請求を受けたときは、会社はその者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならないと定める。法務省令で定める方法は書面又は電磁的方法である。この不提訴理由の通知は、会社が訴えを提起しないという判断の根拠を株主に説明させることで、会社が十分な調査をせずに安易に提訴を見送ることを防ぎ、株主が代表訴訟を提起するかどうかを判断する材料を与えるための制度である。通知は株主からの請求があったときに義務づけられ、公開会社かどうかを問わない。本肢は847条4項のとおりであり、正しい。

株式会社は、第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は同項の発起人等から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。
- 提訴請求(847条1項): 6か月前から引き続き株式を有する株主が会社(監査役設置会社では監査役)に書面等で請求。持株数の要件なし
- 60日(847条3項・4項): 会社が60日以内に訴えを提起しなければ株主が提起できる。請求があれば会社は不提訴理由を書面等で通知する
- 管轄(848条): 会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄。特定責任追及の訴えも同じ
- 参加・告知(849条): 株主等・会社は共同訴訟参加・補助参加できる。提訴した株主は会社に訴訟告知し、会社は他の株主に公告・通知する
- 和解(850条): 会社が当事者でなくても和解できる。裁判所が会社に内容を通知し、2週間以内に異議がなければ承認したものとみなす
- 株主でなくなった者(851条): 株式交換・株式移転で完全親会社の株式を取得したとき、合併で存続会社等の株式を取得したときは訴訟を追行できる
- 特定責任追及の訴え(847条の3): 最終完全親会社等の議決権又は発行済株式の100分の1以上(定款で引下げのみ可)の株主
誤り。違うのは「この期間は、定款の定めにより伸長することができる」の部分である。6か月の継続保有の期間は定款でこれを下回る期間を定めることはできるが(会社法847条1項かっこ書)、伸長を認める規定はない。
公開会社では、責任追及等の訴えの提起を請求できるのは、6か月前から引き続き株式を有する株主である(会社法847条1項)。この継続保有の要件は、代表訴訟を提起する目的で株式を取得する濫訴を防ぐためのものであり、持株数の要件はなく1株の株主でも提起できる。同項のかっこ書は、6か月について「これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間」と定め、定款による短縮だけを認めている。これを上回る期間を定款で定めることを認める規定はなく、伸長はできないと解されている。代表訴訟は会社が役員等の責任追及を怠る場合に株主に与えられた監督是正の手段であり、定款で要件を加重して株主の提訴を難しくすることは、この制度の趣旨に反するからである。要件を緩める方向の定めは株主の利益になるので許されるが、厳しくする方向の定めは許されない。公開会社でない会社では継続保有の要件自体がない(同条2項)。したがって、定款で期間を伸長できるとする本肢は誤りである。

六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(中略)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え(中略)の提起を請求することができる。
- 6か月(定款で短縮できるが伸長はできない)前から引き続き株式を有する株主(847条1項)。持株数の要件はない。公開会社でない会社は保有期間が要らない(同条2項)
- 訴訟の係属中に株式交換・株式移転で完全親会社の株式を取得した者、合併で設立会社・存続会社等の株式を取得した者は株主でなくなっても訴訟を追行できる(851条1項)
- 被告: 発起人等・役員等・清算人(847条1項)。在任中に生じた責任は退任後も追及できる
- 提訴請求から60日以内に会社が訴えを提起しないときに株主が提起する(847条3項)。回復できない損害のおそれがあれば直ちに提起できる(同条5項)
誤り。違うのは「株主代表訴訟は,提起することができない」の部分である。利益の返還を求める訴えは、供与を受けた者が役員等でなくても株主代表訴訟の対象になる(会社法847条1項)。
会社法120条3項は、会社が同条1項に違反して財産上の利益の供与をしたときは、供与を受けた者はこれを会社又はその子会社に返還しなければならないと定める。そして847条1項は、株主が提訴請求できる責任追及等の訴えとして、発起人等や役員等の責任を追及する訴えと並べて「第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え」を明文で掲げている。したがって6か月前から引き続き株式を有する株主は、会社に提訴請求をし、会社が60日以内に訴えを提起しないときは、自ら会社のために利益の返還を求める株主代表訴訟を提起できる。返還義務者が総会屋などの第三者で、取締役・会計参与・監査役・執行役・会計監査人のいずれにも当たらなくても同じである。利益供与は経営陣が保身のために行うことが多く、会社が自発的に返還を請求することは期待しにくいからこそ、代表訴訟の対象として特に規定されたのである。肢は、供与を受けた者が役員等でなければ代表訴訟を提起できないとする点で誤っている。

六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(略)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(略)若しくは清算人(略)の責任を追及する訴え、(略)第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え(略)(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。
- 供与を受けた者: 会社又は子会社に返還する(120条3項)。引換えに給付したものがあれば返還を受けられる。返還を求める訴えは株主代表訴訟の対象(847条1項)
- 供与をした取締役本人: 供与した利益の価額に相当する額を支払う。注意を怠らなかったことを証明しても免れない(120条4項ただし書括弧書)
- 供与に関与した他の取締役・執行役: 連帯して同額を支払う。注意を怠らなかったことを証明すれば免れる(120条4項ただし書)
- 支払義務の免除: 総株主の同意が要る(120条5項)
誤り。違うのは「総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主又は発行済株式総数の100分の3以上の数の株式を6か月前から引き続き有する株主」の部分である。株主代表訴訟は単独株主権であり、持株数・議決権数の要件は無い(会社法847条1項)。
会社法847条1項は、6か月(定款で短縮できる)前から引き続き株式を有する株主は、会社に対し責任追及等の訴えの提起を請求することができると定め、会社が60日以内に訴えを提起しないときは株主自身が会社のために訴えを提起できる(同条3項)。条文が求めるのは公開会社における6か月の継続保有だけであり、総株主の議決権の100分の3以上とか発行済株式総数の100分の3以上といった保有割合の要件は置かれていない。1株しか持たない株主でも、継続保有を満たせば提訴請求を経て代表訴訟を提起できる単独株主権である。役員相互のなれ合いによる提訴懈怠に備えて広く株主に認めたのである。100分の3の要件は、役員の解任の訴え(854条1項)、会計帳簿の閲覧謄写請求(433条1項)、業務・財産の状況の調査のための検査役選任の申立て(358条1項)などの少数株主権のものである。公開会社でない会社では6か月の継続保有も要らない(847条2項)。保有割合の要件を課す本肢は誤りである。

六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(略)若しくは清算人(略)の責任を追及する訴え(略)の提起を請求することができる。(略)
2 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(略)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。
- 原告: 公開会社では6か月(定款で短縮可)前から引き続き株式を有する株主(847条1項)。持株数・議決権数の要件は無い単独株主権。公開会社でない会社は保有期間も不要(同条2項)
- 被告: 発起人・設立時取締役・設立時監査役・役員等・清算人。退任した取締役も在任中の責任について被告にできる(386条1項1号括弧書)
- 手続: 会社への提訴請求→60日以内に提起されなければ株主が提起(847条3項)。回復できない損害のおそれがあれば直ちに提起(同条5項)
- 担保提供: 被告の申立てにより、訴えの提起が悪意によることを疎明させて命じる(847条の4第2項・3項)。職権ではできない
- 和解: 総株主の同意(424条)は要らない(850条4項)。会社が当事者でないときは通知・催告し、2週間以内に異議が無ければ承認とみなす(同条2項・3項)。会社が和解するには各監査役等の同意(849条の2)
- 原告適格の継続: 係属中に株式を売却すれば追行できない。株式交換・株式移転・合併で完全親会社等の株式を取得したときは追行できる(851条1項)
正しい。単元未満株主の権利は189条2項各号の権利を除いて定款で制限でき、株主代表訴訟の提起権はそこに含まれないので、公開会社でも定款で奪える(会社法189条2項・847条1項)。
会社法189条2項は、単元未満株主がその単元未満株式について権利の全部又は一部を行使できない旨を定款で定めることを認めたうえで、奪うことのできない権利を各号に列挙する。全部取得条項付種類株式の取得対価の交付を受ける権利(1号)、取得条項付株式の取得と引換えに金銭等の交付を受ける権利(2号)、株式無償割当てを受ける権利(3号)、単元未満株式の買取請求権(4号)、残余財産の分配を受ける権利(5号)と法務省令で定める権利(6号)であり、いずれも奪えば出資の実質的な没収になる経済的な権利である。これに対し株主代表訴訟の提起権(847条)は共益権であって、各号にも施行規則にも掲げられていない。847条1項自身が、189条2項の定款の定めにより権利を行使できない単元未満株主を提訴権者から除くと明記しており、定款で排除できることを前提にしている。単元株制度は少数の株式しか持たない株主の権利行使を制限して管理コストを減らす制度なので、代表訴訟の提起権の排除はその予定するところである。公開会社でも定款で定めることができる。

株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について次に掲げる権利以外の権利の全部又は一部を行使することができない旨を定款で定めることができる。一 第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の交付を受ける権利 二 株式会社による取得条項付株式の取得と引換えに金銭等の交付を受ける権利 三 第百八十五条に規定する株式無償割当てを受ける権利 四 第百九十二条第一項の規定により単元未満株式を買い取ることを請求する権利 五 残余財産の分配を受ける権利 六 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める権利
誤り。違うのは「総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主又は発行済株式総数の100分の3以上の数の株式を6か月前から引き続き有する株主」の部分である。株主代表訴訟は単独株主権であり、持株数・議決権数の要件は無い(会社法847条1項)。
会社法847条1項は、6か月(定款で短縮できる)前から引き続き株式を有する株主は、会社に対し責任追及等の訴えの提起を請求することができると定め、会社が60日以内に訴えを提起しないときは株主自身が会社のために訴えを提起できる(同条3項)。条文が求めるのは公開会社における6か月の継続保有だけであり、総株主の議決権の100分の3以上とか発行済株式総数の100分の3以上といった保有割合の要件は置かれていない。1株しか持たない株主でも、継続保有を満たせば提訴請求を経て代表訴訟を提起できる単独株主権である。役員相互のなれ合いによる提訴懈怠に備えて広く株主に認めたのである。100分の3の要件は、役員の解任の訴え(854条1項)、会計帳簿の閲覧謄写請求(433条1項)、業務・財産の状況の調査のための検査役選任の申立て(358条1項)などの少数株主権のものである。公開会社でない会社では6か月の継続保有も要らない(847条2項)。保有割合の要件を課す本肢は誤りである。

六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(略)若しくは清算人(略)の責任を追及する訴え(略)の提起を請求することができる。(略)
2 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(略)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。
- 原告: 公開会社では6か月(定款で短縮可)前から引き続き株式を有する株主(847条1項)。持株数・議決権数の要件は無い単独株主権。公開会社でない会社は保有期間も不要(同条2項)
- 被告: 発起人・設立時取締役・設立時監査役・役員等・清算人。退任した取締役も在任中の責任について被告にできる(386条1項1号括弧書)
- 手続: 会社への提訴請求→60日以内に提起されなければ株主が提起(847条3項)。回復できない損害のおそれがあれば直ちに提起(同条5項)
- 担保提供: 被告の申立てにより、訴えの提起が悪意によることを疎明させて命じる(847条の4第2項・3項)。職権ではできない
- 和解: 総株主の同意(424条)は要らない(850条4項)。会社が当事者でないときは通知・催告し、2週間以内に異議が無ければ承認とみなす(同条2項・3項)。会社が和解するには各監査役等の同意(849条の2)
- 原告適格の継続: 係属中に株式を売却すれば追行できない。株式交換・株式移転・合併で完全親会社等の株式を取得したときは追行できる(851条1項)
誤り。違うのは「著しい損害が生ずるおそれがある場合には」の部分である。提訴請求を経ずに直ちに提起できるのは、60日の期間の経過により会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合に限られる(会社法847条5項)。
株主代表訴訟は、株主がまず会社に対して書面などで責任追及等の訴えの提起を請求し(会社法847条1項)、会社が請求の日から60日以内に訴えを提起しないときに、株主が会社のために提起する(同条3項)。会社自身に責任追及の機会をまず与え、会社が自ら判断する余地を残す趣旨である。この原則の例外として、同条5項は、60日の期間の経過により会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、株主は直ちに訴えを提起できると定める。消滅時効の完成や被告の財産隠匿が目前に迫っているような場合である。損害が大きいというだけでは足りず、待っていては取り返しがつかなくなることが要件であり、肢のいう著しい損害のおそれでは直ちに提起することはできない。著しい損害のおそれは、取締役の違法行為の差止請求(360条1項)の要件であって、代表訴訟の提訴請求を省く要件ではない。したがって肢は誤っている。

第一項及び第三項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第一項の株主は、株式会社のために、直ちに責任追及等の訴えを提起することができる。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
- 原告:6か月(定款で短縮可)前から引き続き株式を有する株主(847条1項)。持株数の要件なし。公開会社でない会社は保有期間不要(同条2項)
- 手続:会社(監査役設置会社では監査役)への提訴請求→60日以内に会社が提起しなければ株主が提起(847条3項)。請求があれば不提訴理由の通知(同条4項)
- 例外:60日の経過により回復することができない損害が生ずるおそれがあれば直ちに提起(847条5項)。著しい損害では足りない
- 対象:発起人・設立時取締役・設立時監査役・役員等・清算人の責任。取締役の会社に対する取引上の債務も含む(最判平21.3.10)
正しい。会計参与は役員等(会社法423条1項)に含まれ、その任務懈怠責任は責任追及等の訴え(株主代表訴訟)の対象となる(847条1項)。
会社法423条1項は、取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人を「役員等」と総称し、その任務を怠ったときは会社に対して損害賠償責任を負うと定める。そして847条1項は、株主が会社に対して役員等の責任を追及する訴えの提起を請求し、会社が60日以内に訴えを提起しないときは株主自らが会社のために訴えを提起できるとする。この責任追及等の訴えの対象には発起人・設立時取締役・設立時監査役・役員等・清算人の責任が含まれるから、役員等である会計参与も当然に対象となる。会計参与は取締役と共同して計算書類を作成する役員であり、不適正な計算書類を作成して会社に損害を与えれば任務懈怠責任を負い、虚偽の記載をした計算書類について第三者にも責任を負う(429条2項2号)。会社が身内である会計参与の責任追及を怠るおそれは取締役の場合と変わらないので、株主による代表訴訟の道が開かれている。肢は正しい。

取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
正しい。株主代表訴訟は類似必要的共同訴訟であり、共同訴訟人の一人の訴訟行為は全員の利益においてのみ効力を生ずるから(40条1項)、X2が争えばX1の自白は効力を生じない。
株主代表訴訟の判決の効力は、勝訴・敗訴を問わず会社に及び、その結果、他の株主も同じ取締役の責任を追及できなくなるから、複数の株主が共同して訴えた場合には、判決を全員について合一に確定する必要がある。各株主は単独でも訴えを起こせるので、全員がそろう必要はないが、訴訟に加わった以上は結論をそろえなければならない。このような訴訟を類似必要的共同訴訟といい、判例も株主代表訴訟をこれに当たるとしている(最判平12.7.7)。40条1項は、合一にのみ確定すべき場合には、共同訴訟人の一人の訴訟行為は全員の利益においてのみその効力を生ずると定める。X1による抗弁事実の自白は共同訴訟人に不利な行為であるから、X2が争う限り、X2についてだけでなくX1についても効力を生じない。肢は正しい。

訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
| 形態 | 規律 | 他の者が争ったときの自白 |
|---|---|---|
| 類似必要的共同訴訟(株主代表訴訟への共同訴訟参加) | 40条1項:全員の利益においてのみ効力 | 効力を生じない |
| 通常共同訴訟(別訴の弁論併合) | 39条:共同訴訟人独立の原則 | 効力を生じる |
| 同時審判申出共同訴訟 | 通常共同訴訟のまま(39条) | 効力を生じる |
| 補助参加 | 45条2項:被参加人の行為と抵触する補助参加人の行為は無効 | 被参加人の自白が有効、補助参加人の否認が無効 |


















