1第五十七条第一項の募集をする場合には、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。
2設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項の規定による設立時取締役の選任は、設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役とを区別してしなければならない。
この条文の過去問 3問
誤り。違うのは「発起人が選任する」の部分である。募集設立では設立時取締役の選任は創立総会の決議によらなければならない(会社法88条1項)。
発起設立では、設立時取締役は出資の履行が完了した後遅滞なく発起人が選任し(会社法38条1項)、その選任は発起人の議決権の過半数で決定する(40条1項)。定款で設立時取締役を定めたときは、出資の履行が完了した時に選任されたものとみなされる(38条4項)。これに対して募集設立では、設立時取締役・設立時会計参与・設立時監査役・設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない(88条1項)。募集設立では発起人以外の設立時募集株式の引受人も出資しているので、成立後の会社の経営を担う者を発起人だけで決めさせず、発起人と引受人からなる設立時株主の総会で決めさせる必要があるからである。創立総会の決議は、議決権を行使できる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した設立時株主の議決権の3分の2以上の多数で行う(73条1項)。本肢は募集設立で発起人が設立時取締役を選任するとする点で誤りである。設立時執行役は設立時取締役が選任する(48条1項)。

第五十七条第一項の募集をする場合には、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。
- 資格: 発起人でなくてもよい。法人は不可(39条4項・331条1項1号)
- 発起設立の選任: 出資の履行の完了後、発起人の議決権の過半数(38条1項・40条1項)。定款で定めた者は履行完了時にみなし選任(38条4項)
- 募集設立の選任: 創立総会の決議(88条1項)。議決権を行使できる設立時株主の議決権の過半数かつ出席した設立時株主の議決権の3分の2以上(73条1項)
- 解任: 成立の時まで発起人の議決権の過半数で解任できる。みなし選任の者も含む(42条・43条1項)
- 職務: 設立手続の調査と発起人への通知(46条)、設立時代表取締役の選定(47条)
誤り。違うのは「出席した当該設立時株主の議決権の過半数」の部分である。創立総会の決議は出席した設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数で行う(会社法73条1項)。
募集設立では、設立時取締役の選任は創立総会の決議によって行わなければならない(会社法88条1項)。その創立総会の決議要件を定めるのが73条1項であり、議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行うとする。成立後の株主総会の普通決議が出席株主の議決権の過半数で足りる(309条1項)のと違い、頭数ではなく総議決権の過半数という定足数と、出席議決権の3分の2以上という多数決の両方を要求しており、特別決議(309条2項)より重い要件である。設立時募集株式の引受人は定款の作成に関与していないので、会社の骨格を決める創立総会では引受人を含めた設立時株主の広い賛同を求めたのである。肢は前段の「議決権の過半数であって」までは正しいが、後段を出席議決権の過半数としている点で誤っている。

創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。
- 通常の決議(73条1項):議決権を行使できる設立時株主の議決権の過半数、かつ出席した設立時株主の議決権の3分の2以上
- 全部の株式に譲渡制限を設ける定款の変更(73条2項):議決権を行使できる設立時株主の半数以上、かつその議決権の3分の2以上
- 全部の株式を取得条項付株式にする定款の変更(73条3項):設立時株主全員の同意
正しい。募集設立では、設立時取締役の選任は創立総会の決議によって行わなければならない(会社法88条1項)。
設立時取締役の選任方法は、発起設立と募集設立で異なる。発起設立では発起人だけが出資者であるから、出資の履行が完了した後に発起人の議決権の過半数で選任する(会社法38条1項・40条1項)。これに対して募集設立では、発起人のほかに設立時募集株式の引受人が出資者に加わるので、88条1項は、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の選任は創立総会の決議によって行わなければならないと定める。発起人だけで取締役を決めてしまうと、募集に応じた引受人の意思が反映されないからである。創立総会の決議は、議決権を行使できる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した設立時株主の議決権の3分の2以上の多数で行う(73条1項)。この規律は設立しようとする会社が公開会社であるかどうかで変わらず、肢が公開会社の設立に限定しているのは結論に影響しない。したがって肢は正しい。

第五十七条第一項の募集をする場合には、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。