1新株予約権を行使した新株予約権者は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める額を支払う義務を負う。第二百三十八条第一項第二号に規定する場合において、募集新株予約権につき金銭の払込みを要しないこととすることが著しく不公正な条件であるとき(取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役又は執行役。次号において同じ。)と通じて新株予約権を引き受けた場合に限る。)当該新株予約権の公正な価額第二百三十八条第一項第三号に規定する場合において、取締役と通じて著しく不公正な払込金額で新株予約権を引き受けたとき当該払込金額と当該新株予約権の公正な価額との差額に相当する金額第二百八十二条第一項の規定により株主となった時におけるその給付した現物出資財産の価額がこれについて定められた第二百三十六条第一項第三号の価額に著しく不足する場合当該不足額
1 第二百三十八条第一項第二号に規定する場合において、募集新株予約権につき金銭の払込みを要しないこととすることが著しく不公正な条件であるとき(取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役又は執行役。次号において同じ。)と通じて新株予約権を引き受けた場合に限る。)当該新株予約権の公正な価額
2 第二百三十八条第一項第三号に規定する場合において、取締役と通じて著しく不公正な払込金額で新株予約権を引き受けたとき当該払込金額と当該新株予約権の公正な価額との差額に相当する金額
3 第二百八十二条第一項の規定により株主となった時におけるその給付した現物出資財産の価額がこれについて定められた第二百三十六条第一項第三号の価額に著しく不足する場合当該不足額
2前項第三号に掲げる場合において、現物出資財産を給付した新株予約権者が当該現物出資財産の価額がこれについて定められた第二百三十六条第一項第三号の価額に著しく不足することにつき善意でかつ重大な過失がないときは、新株予約権の行使に係る意思表示を取り消すことができる。
この条文の過去問 2問
誤り。違うのは「会社法第423条第1項に基づく株式会社の役員等に対する損害賠償請求権を訴訟物とするものでなければならない」の部分である。責任追及等の訴えの対象は847条1項に広く列挙されており、423条1項の責任に限られない。
会社法847条1項は、株主が提訴を請求できる責任追及等の訴えとして、発起人・設立時取締役・設立時監査役・役員等(423条1項に規定する役員等)・清算人の責任を追及する訴え、102条の2第1項・212条1項・285条1項の規定による支払を求める訴え(仮装払込みなどに係る支払)、120条3項の利益の返還を求める訴え(利益供与を受けた者への返還請求)、213条の2第1項・286条の2第1項の規定による支払・給付を求める訴えを掲げる。役員等の責任には任務懈怠による423条1項の損害賠償責任のほか、競業取引による損害額の推定や利益相反取引の責任、剰余金の配当に関する責任(462条)なども含まれ、さらに判例は、取締役の地位に基づく責任だけでなく会社との取引で負った債務も代表訴訟で追及できるとしている(最判平21.3.10)。会社が仲間内の取締役を訴えないおそれは、これらの責任や債務について等しく存在するからである。したがって、訴訟物を423条1項の損害賠償請求権に限る本肢は誤りである。

発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え、第百二条の二第一項、第二百十二条第一項若しくは第二百八十五条第一項の規定による支払を求める訴え、第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え又は第二百十三条の二第一項若しくは第二百八十六条の二第一項の規定による支払若しくは給付を求める訴え
- 発起人・設立時取締役・設立時監査役・役員等・清算人の責任を追及する訴え。423条1項の任務懈怠責任に限らない
- 仮装払込み等に係る支払を求める訴え(102条の2第1項・212条1項・285条1項・213条の2第1項・286条の2第1項)
- 利益供与を受けた者に対する利益の返還を求める訴え(120条3項)。第三者に対しても提起できる
- 取締役の責任の範囲(最判平21.3.10):地位に基づく責任と会社との取引上の債務を含む。所有権に基づく請求や職務と無関係の不法行為債務は含まない
誤り。違うのは「善意でかつ重大な過失がないときであっても…新株予約権の行使に係る意思表示を取り消して,その支払義務を免れることはできない」の部分である。善意無重過失の新株予約権者は行使の意思表示を取り消すことができる(285条2項)。
新株予約権の行使に際して金銭以外の財産を出資するときは、その内容と価額を新株予約権の内容として定める(会社法236条1項3号)。行使した新株予約権者が給付した現物出資財産の価額が、株主となった時にこの定められた価額に著しく不足するときは、その新株予約権者は会社に対し不足額を支払う義務を負う(285条1項3号)。過大評価の現物出資は他の株主との不公平と会社財産の空洞化を招くので、給付した本人に塡補させるのである。もっとも285条2項は、現物出資財産を給付した新株予約権者が、価額の著しい不足について善意でかつ重大な過失がないときは、新株予約権の行使に係る意思表示を取り消すことができると定める。取消しによって行使の効果が遡って失われるから、不足額の支払義務も免れる。これは募集株式の引受人について価額不足につき善意無重過失なら引受けの申込み又は総数引受契約に係る意思表示を取り消せるとする212条2項と同じ規律である。本肢は善意無重過失でも取消しで支払義務を免れられないとする点で、285条2項に反し誤りである。

前項第三号に掲げる場合において、現物出資財産を給付した新株予約権者が当該現物出資財産の価額がこれについて定められた第二百三十六条第一項第三号の価額に著しく不足することにつき善意でかつ重大な過失がないときは、新株予約権の行使に係る意思表示を取り消すことができる。
| 場面 | 支払義務 | 善意無重過失のとき |
|---|---|---|
| 募集株式の引受人(212条) | 不足額を支払う義務(1項2号) | 引受けの申込み又は総数引受契約に係る意思表示を取り消せる(2項) |
| 新株予約権を行使した者(285条) | 不足額を支払う義務(1項3号) | 新株予約権の行使に係る意思表示を取り消せる(2項) |
| 設立時の発起人(52条) | 発起人・設立時取締役が連帯して不足額を支払う義務(1項) | 出資者本人は免責されない。他の発起人等は検査役の調査を経たか無過失なら免責(2項) |