1新株予約権者は、その有する新株予約権を譲渡することができる。
2前項の規定にかかわらず、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできない。ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、この限りでない。
3新株予約権付社債についての社債のみを譲渡することはできない。ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅したときは、この限りでない。
この条文の過去問 2問
誤り。違うのは「一方を他方から分離して譲渡することができる」の部分である。新株予約権付社債に付された新株予約権のみ、又は社債のみを譲渡することはできない(254条2項・3項)。
新株予約権付社債とは新株予約権を付した社債であり(会社法2条22号)、新株予約権と社債が一体のものとして扱われる点に特徴がある。254条2項本文は新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできないと定め、同条3項本文は新株予約権付社債についての社債のみを譲渡することはできないと定める。したがって、新株予約権と社債の一方を他方から分離して譲渡することは原則としてできず、両者は常に同一人に帰属する。新株予約権付社債券が発行される場合も、社債券に新株予約権を表示する一体の証券が発行され、その交付によって一体として譲渡される(255条2項)。一体性が求められるのは双方が存続している間であり、社債が償還などで消滅したときは新株予約権のみの譲渡が認められ(254条2項ただし書)、新株予約権が行使や消滅したときは社債のみの譲渡が認められる(同条3項ただし書)。本肢はこの例外の場面に限定せず一般に分離譲渡ができるとする点で誤りである。

2 前項の規定にかかわらず、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできない。ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、この限りでない。
3 新株予約権付社債についての社債のみを譲渡することはできない。ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅したときは、この限りでない。
正しい。新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできず、社債が消滅したときだけが例外である(会社法254条2項)。
新株予約権は原則として自由に譲渡できる(会社法254条1項)。しかし新株予約権付社債は、社債と新株予約権を一体のものとして発行し、投資家に社債の安定性と株式への転換の機会を同時に与える商品である。そこで254条2項は、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできないとし、同条3項は逆に社債のみを譲渡することもできないとして、両者を分離して流通させることを禁じている。分離を許すと、新株予約権付社債として設計した権利の内容が崩れ、社債権者と新株予約権者が別人になって権利関係が複雑になるからである。ただし、社債が償還などで消滅した後は新株予約権だけが残るので、その新株予約権のみを譲渡することができ(2項ただし書)、新株予約権が行使や消滅で無くなった後は社債のみを譲渡できる(3項ただし書)。新株予約権付社債の発行は新株予約権の発行の規律に従う(248条)。したがって肢は正しい。

前項の規定にかかわらず、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできない。ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、この限りでない。
