第二百七十六条第一項の場合のほか、新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅する。
この条文の過去問 2問
正しい。払込期日までに払込金額の全額の払込みをしない新株予約権者はその募集新株予約権を行使することができず(246条3項)、行使することができなくなった新株予約権は消滅する(287条)。
募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要する場合、申込者は払込みの有無にかかわらず割当日に新株予約権者となり(会社法245条1項)、そのうえで行使期間の初日の前日、払込期日を定めたときはその期日までに払込金額の全額を払い込まなければならない(246条1項)。募集株式では出資の履行をしない引受人が当然に株主となる権利を失う(208条5項)のに対し、募集新株予約権ではすでに新株予約権者になっているので失権という建て付けはとれない。そこで246条3項は、払込期日までに全額の払込みをしないときはその募集新株予約権を行使することができないと定め、287条が、新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときはその新株予約権は消滅すると定める。二つの条文を通すと、払込みを怠った募集新株予約権は会社の消却などの行為を待たずに当然に消滅する。本肢はこの帰結をそのまま述べており、正しい。

第二百三十八条第一項第三号に規定する場合には、新株予約権者は、募集新株予約権についての払込期日までに、それぞれの募集新株予約権の払込金額の全額の払込み(当該払込みに代えてする金銭以外の財産の給付又は当該株式会社に対する債権をもってする相殺を含む。)をしないときは、当該募集新株予約権を行使することができない。
- 権利者になる日: 募集株式は出資の履行をした払込期日又は履行をした日に株主(209条1項)。募集新株予約権は払込みの有無にかかわらず割当日に新株予約権者(245条1項)
- 払わなかったとき: 募集株式は当然に株主となる権利を失う(208条5項)。募集新株予約権は行使できず(246条3項)、新株予約権が消滅する(287条)
- 相殺: 募集株式の出資の履行は引受人から相殺できない(208条3項)。募集新株予約権の払込みは会社の承諾があれば相殺・現物給付ができる(246条2項)。行使に際しての出資は相殺できない(281条3項)
正しい。新株予約権者がその新株予約権を行使することができなくなったときは、その新株予約権は消滅する(会社法287条)。
新株予約権の内容には、新株予約権を行使することができる期間を定めなければならない(会社法236条1項4号)。この期間が経過すれば新株予約権者はもはや行使できず、287条は、276条1項の消却の場合のほか、新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は消滅すると定める。消却は会社が自己新株予約権について取締役の決定又は取締役会の決議で行う行為であるが(276条)、行使期間の経過による消滅は会社の行為を要せず、法律上当然に生ずる。行使できなくなった新株予約権を存続させても会社にも権利者にも意味が無いからである。株式には行使期間というものが無いので株式は消却によってしか消えないが、新株予約権は一定期間内に行使されることを予定した権利であり、期間の経過で自ら消える。したがって、消却の手続を経ることなく消滅するとする肢は正しい。

第二百七十六条第一項の場合のほか、新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅する。