第767条株式交換契約の締結過去問 1
株式会社は、株式交換をすることができる。この場合においては、当該株式会社の発行済株式の全部を取得する会社(株式会社又は合同会社に限る。以下この編において「株式交換完全親会社」という。)との間で、株式交換契約を締結しなければならない。
この条文の過去問 1問
株式交換及び株式移転のいずれも、一の株式会社が当該株式会社の株式を取得する会社との間でその旨の契約を締結しなければ、することができない。

解説
誤り。違うのは「株式交換及び株式移転のいずれも…契約を締結しなければ、することができない」の部分である。株式交換は株式交換契約によるが(767条)、株式移転は相手方となる会社がまだ存在しないため、株式移転計画の作成によって行う(772条1項)。
株式交換は、株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることであり(会社法2条31号)、既存の会社同士の組織再編であって当事者双方が現に存在するから、株式交換完全子会社となる会社と株式交換完全親会社となる会社との間で株式交換契約を締結して行う(767条)。これに対し株式移転は、1又は2以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることであり(2条32号)、完全親会社となる会社は株式移転の効力発生によって初めて成立するもので、手続を始める時点では存在しない。存在しない会社を相手方とする契約は観念できないから、株式移転は契約ではなく、株式移転をする株式会社が株式移転計画を作成する方法で行う(772条1項)。2以上の会社が共同で株式移転をするときは、それらの会社が共同して計画を作成する(同条2項)。したがって、株式移転についてまで契約の締結を要するとする本肢は誤りである。

会社法772条1項
一又は二以上の株式会社は、株式移転をすることができる。この場合においては、株式移転計画を作成しなければならない。
ポイント整理
株式交換と株式移転の違い
| 項目 | 株式交換 | 株式移転 |
|---|---|---|
| 根拠となる書面 | 株式交換契約(767条) | 株式移転計画(772条)。相手方の会社がない |
| 完全親会社 | 株式会社又は合同会社(2条31号) | 新たに設立する株式会社(2条32号) |
| 対価 | 金銭等なら何でもよく、完全親会社の株式を交付しなくてもよい(768条1項2号) | 設立完全親会社の株式を必ず交付する(773条1項5号) |
| 効力発生 | 契約で定めた効力発生日(769条1項) | 設立完全親会社の成立の日(774条1項) |
| 共通 | 発行済株式の全部を取得させる。一部だけはできない。完全子会社の法人格・財産は変わらない |