執行役は、次に掲げる職務を行う。第四百十六条第四項の規定による取締役会の決議によって委任を受けた指名委員会等設置会社の業務の執行の決定指名委員会等設置会社の業務の執行
1 第四百十六条第四項の規定による取締役会の決議によって委任を受けた指名委員会等設置会社の業務の執行の決定
2 指名委員会等設置会社の業務の執行
執行役は、次に掲げる職務を行う。第四百十六条第四項の規定による取締役会の決議によって委任を受けた指名委員会等設置会社の業務の執行の決定指名委員会等設置会社の業務の執行
1 第四百十六条第四項の規定による取締役会の決議によって委任を受けた指名委員会等設置会社の業務の執行の決定
2 指名委員会等設置会社の業務の執行
1執行役は、指名委員会等設置会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは、直ちに、当該事実を監査委員に報告しなければならない。
2第三百五十五条、第三百五十六条及び第三百六十五条第二項の規定は、執行役について準用する。この場合において、第三百五十六条第一項中「株主総会」とあるのは「取締役会」と、第三百六十五条第二項中「取締役会設置会社においては、第三百五十六条第一項各号」とあるのは「第三百五十六条第一項各号」と読み替えるものとする。
3第三百五十七条の規定は、指名委員会等設置会社については、適用しない。
正しい。取締役は法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し会社のため忠実にその職務を行わなければならず(会社法355条)、この規定は執行役に準用される(419条2項)。
会社法355条は、取締役は法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならないと定める。これが忠実義務であり、判例は、取締役が会社との委任関係(330条・民法644条)に基づいて負う善管注意義務を敷衍し一層明確にしたものにとどまり、それとは別個の高度な義務を定めたものではないとする(最大判昭45.6.24)。執行役についても419条2項が355条を準用しており、競業取引・利益相反取引の承認を定める356条と365条2項も株主総会を取締役会に読み替えて準用される。執行役と会社の関係も委任に関する規定に従うので(402条3項)、善管注意義務を負うことも同じである。業務執行を担う者が会社の利益のために職務を行う義務を負う点で、取締役と執行役を区別する理由は無い。本肢は355条と419条2項の内容そのものであり正しい。

第三百五十五条、第三百五十六条及び第三百六十五条第二項の規定は、執行役について準用する。この場合において、第三百五十六条第一項中「株主総会」とあるのは「取締役会」と、第三百六十五条第二項中「取締役会設置会社においては、第三百五十六条第一項各号」とあるのは「第三百五十六条第一項各号」と読み替えるものとする。
| 項目 | 代表取締役・取締役(監査役会設置会社) | 代表執行役・執行役(指名委員会等設置会社) |
|---|---|---|
| 代表者の選定 | 取締役会が取締役の中から(362条3項) | 取締役会が執行役の中から(420条1項)。取締役でなくてもよい(402条6項) |
| 代表権 | 業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為(349条4項)。制限は善意の第三者に対抗できない(5項) | 同じ(420条3項で349条4項・5項を準用) |
| 多額の借財・重要な財産の処分の決定 | 取締役に委任できない(362条4項1号・2号) | 執行役に委任できる(416条4項ただし書に無い) |
| 使用人の兼任 | できる(禁止規定なし)。指名委員会等設置会社の取締役はできない(331条4項) | できる(404条3項後段が兼任を前提) |
| 忠実義務 | 355条 | 419条2項で355条を準用 |
1取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならない。この場合において、執行役が一人のときは、その者が代表執行役に選定されたものとする。
2代表執行役は、いつでも、取締役会の決議によって解職することができる。
3第三百四十九条第四項及び第五項の規定は代表執行役について、第三百五十二条の規定は民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された執行役又は代表執行役の職務を代行する者について、第四百一条第二項から第四項までの規定は代表執行役が欠けた場合又は定款で定めた代表執行役の員数が欠けた場合について、それぞれ準用する。
誤り。「代表執行役の選定」は執行役に委任できない。代表執行役の選定と解職は取締役会の権限であり、416条4項12号が委任できない事項として明記している(会社法420条1項)。
会社法420条1項は、取締役会は執行役の中から代表執行役を選定しなければならず、執行役が1人のときはその者が代表執行役に選定されたものとすると定める。執行役が2名以上あるときは取締役会が選定するほかなく、416条4項12号は、420条1項前段の規定による代表執行役の選定と同条2項の規定による代表執行役の解職を、執行役に委任できない事項として明記している。同項10号は執行役の選任・解任(402条2項・403条1項)も委任できないとしており、執行役の人事と会社を代表する者の決定は取締役会が自ら握ることで執行役に対する監督を実効的にする仕組みである。執行役自身に代表執行役を選ばせれば、監督される側が自分たちの中から会社の代表者を決めることになり、取締役会による監督が及ばなくなる。代表執行役は取締役でなくてもよく、その権限は会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為に及ぶ(420条3項・349条4項)が、誰をその地位に就けるかは取締役会の専権である。したがって本肢は委任できる事項に当たらない。

取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならない。この場合において、執行役が一人のときは、その者が代表執行役に選定されたものとする。
| 区分 | 事項 |
|---|---|
| 委任できる | 重要な財産の処分・譲受け、多額の借財、重要な使用人の選任・解任、支店等の設置、公開会社の有利発行でない募集株式の募集事項、募集社債の募集事項、株主総会の承認を要しない(簡易・略式の)合併契約等の内容 |
| 委任できない(株主総会関係) | 株主総会の招集事項、株主総会に提出する議案の内容(役員・会計監査人の選任等を除く)、計算書類等の承認、譲渡制限株式の譲渡承認、自己株式の取得事項 |
| 委任できない(監督の根幹) | 招集権者の決定、委員の選定・解職、執行役の選任・解任、代表執行役の選定・解職、競業・利益相反取引の承認、責任の一部免除、補償契約・役員等賠償責任保険契約 |
| 委任できない(会社の基礎) | 株主総会の承認を要する事業譲渡等・合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式交付の契約や計画の内容 |
| 委員会が決める | 取締役の報酬は報酬委員会(404条3項)、会計監査人の選任・解任議案は監査委員会(404条2項2号)、取締役の選任・解任議案は指名委員会(404条1項) |
誤り。違うのは代表執行役も「取締役の中から選定されなければならない」とする部分である。代表執行役は取締役会が執行役の中から選定するものであり、執行役は取締役でなくてもよい(会社法420条1項・402条6項)。
代表取締役については、取締役会設置会社では取締役会が取締役の中から選定しなければならず(会社法362条3項)、取締役会を置かない会社でも定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議により取締役の中から定める(349条3項)。監査役会設置会社は取締役会設置会社なので(327条1項2号)、本肢の前段は正しい。これに対し代表執行役は、取締役会が執行役の中から選定しなければならないとされるにとどまり、執行役が一人のときはその者が代表執行役に選定されたものとされる(420条1項)。執行役の資格について法は取締役であることを求めておらず、402条6項が執行役は取締役を兼ねることが「できる」と定めているのは、取締役を兼ねない執行役がいることを前提にしている。取締役でない者を執行役に選任し、その者を代表執行役に選定することも当然にできる。指名委員会等設置会社は業務執行を執行役に、監督を取締役会に分ける仕組みであり、代表者が取締役である必要は無い。本肢は代表執行役の点で誤りである。

取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならない。この場合において、執行役が一人のときは、その者が代表執行役に選定されたものとする。
| 項目 | 代表取締役・取締役(監査役会設置会社) | 代表執行役・執行役(指名委員会等設置会社) |
|---|---|---|
| 代表者の選定 | 取締役会が取締役の中から(362条3項) | 取締役会が執行役の中から(420条1項)。取締役でなくてもよい(402条6項) |
| 代表権 | 業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為(349条4項)。制限は善意の第三者に対抗できない(5項) | 同じ(420条3項で349条4項・5項を準用) |
| 多額の借財・重要な財産の処分の決定 | 取締役に委任できない(362条4項1号・2号) | 執行役に委任できる(416条4項ただし書に無い) |
| 使用人の兼任 | できる(禁止規定なし)。指名委員会等設置会社の取締役はできない(331条4項) | できる(404条3項後段が兼任を前提) |
| 忠実義務 | 355条 | 419条2項で355条を準用 |
正しい。代表取締役は会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有し(会社法349条4項)、この規定は代表執行役に準用される(420条3項)。
会社法349条4項は、代表取締役は株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有すると定める。代表権は包括的であり、定款や取締役会規則で内部的な制限を加えることはできるが、その制限は善意の第三者に対抗できない(同条5項)。制限が無ければ包括的な代表権がそのまま及び、制限があっても相手方が善意なら会社は制限を主張できないという構造である。代表執行役についても420条3項が349条4項・5項を準用しているので、代表執行役は権限に制限が加えられていない限り、会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を持つ。本肢は代表取締役と代表執行役の双方について、権限の制限が無い限り包括的な代表権を持つとするもので、条文のとおり正しい。なお、取締役会の決議を欠く重要な財産の処分も原則として有効で、相手方が決議の無いことを知り又は知り得たときに限り無効になる(最判昭40.9.22)が、これは包括的代表権の存在を前提にした話である。

代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
5 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
| 項目 | 代表取締役・取締役(監査役会設置会社) | 代表執行役・執行役(指名委員会等設置会社) |
|---|---|---|
| 代表者の選定 | 取締役会が取締役の中から(362条3項) | 取締役会が執行役の中から(420条1項)。取締役でなくてもよい(402条6項) |
| 代表権 | 業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為(349条4項)。制限は善意の第三者に対抗できない(5項) | 同じ(420条3項で349条4項・5項を準用) |
| 多額の借財・重要な財産の処分の決定 | 取締役に委任できない(362条4項1号・2号) | 執行役に委任できる(416条4項ただし書に無い) |
| 使用人の兼任 | できる(禁止規定なし)。指名委員会等設置会社の取締役はできない(331条4項) | できる(404条3項後段が兼任を前提) |
| 忠実義務 | 355条 | 419条2項で355条を準用 |
正しい。取締役会は執行役の中から代表執行役を選定しなければならず、執行役が1人のときはその者が代表執行役に選定されたものとされる(会社法420条1項)。
会社法420条1項は、取締役会は執行役の中から代表執行役を選定しなければならないとし、後段で、執行役が1人のときはその者が代表執行役に選定されたものとすると定める。指名委員会等設置会社では業務の執行は執行役が行い(418条2号)、会社を代表して対外的な行為をするのは代表執行役であるから(420条3項・349条4項)、会社には必ず代表執行役がいなければならない。執行役が複数いるときは取締役会がその中から選定するが、1人しかいなければ選ぶ余地がなく、選定の決議を待つまでもなくその者が代表執行役となる。これは取締役会設置会社でない会社で取締役が1人のときにその者が当然に会社を代表する(349条1項)のと同じ発想である。代表執行役は取締役である必要はなく、取締役会はいつでも代表執行役を解職できる(420条2項)。肢は420条1項後段のとおりであり正しい。

取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならない。この場合において、執行役が一人のときは、その者が代表執行役に選定されたものとする。
指名委員会等設置会社は、代表執行役以外の執行役に社長、副社長その他指名委員会等設置会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該執行役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。
1六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、執行役が指名委員会等設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該指名委員会等設置会社に回復することができない損害が生ずるおそれがあるときは、当該執行役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
2公開会社でない指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。