株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。
この条文の過去問 3問
正しい。会社は、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対し、その株式を会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる(174条)。
定款による譲渡制限は「譲渡による」株式の取得を会社の承認にかからせる定めであるから(会社法107条1項1号・108条1項4号)、相続や合併などの一般承継による株式の移転には承認の手続が及ばず、相続人は承認なしに株主の地位を取得する。その結果、会社にとって好ましくない者が株主となって閉鎖性が損なわれるおそれがあるため、174条は、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対し、その株式を会社に売り渡すことを請求できる旨を定款で定めることを認めている。この定款の定めがあれば、会社は、その都度株主総会の特別決議で請求する株式の数と相手方を定めて(175条1項・309条2項3号)売渡しを請求できる。その決議では相手方となる相続人は原則として議決権を行使できず(175条2項)、請求は会社が一般承継を知った日から1年以内に限られ(176条1項ただし書)、価格は協議か裁判所の決定で決まる(177条)。本肢は174条の定めをそのまま述べており、正しい。

株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。
- 対象:相続その他の一般承継で譲渡制限株式を取得した者。定款の定めが要る(174条)
- 決定:その都度、株主総会の特別決議で株式の数と相手方を定める(175条1項・309条2項3号)。相手方は原則として議決権を行使できない(175条2項)
- 期間:会社が一般承継を知った日から1年以内(176条1項ただし書)。会社はいつでも請求を撤回できる(176条3項)
- 価格:協議で定め、調わなければ請求の日から20日以内に裁判所へ決定の申立て(177条)
- 財源:自己株式の有償取得なので分配可能額の規制が及ぶ(461条1項5号)
誤り。違うのは「相続その他の一般承継による当該株式の取得について取締役会の承認を要する旨を定款で定めることができる」の部分である。定款で承認の対象にできるのは「譲渡による」取得であり(会社法107条2項1号)、一般承継による取得は対象にならない。
譲渡制限株式とは、「譲渡による当該株式の取得」について会社の承認を要する旨の定款の定めを設けた株式をいう(会社法2条17号・107条1項1号・2項1号)。定款で制限できるのは意思表示に基づく個別の権利移転である譲渡であり、相続や合併などの一般承継による取得はこれに当たらない。一般承継は被承継人の地位が包括的に移転するものであり、承認が得られない場合に権利の帰属者がいなくなりかねないので、承認の対象として想定されていない。このことは名義書換の手続にも現れており、一般承継により譲渡制限株式を取得した者は、会社の承認を受けることなく単独で株主名簿記載事項の記載・記録を請求できる(133条2項・134条4号)。したがって一般承継による取得に承認を要する旨の定款の定めは、会社法が認めた例外の枠を超え、効力を持たない。会社の閉鎖性を保つ手当てとしては、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対し会社への売渡しを請求できる旨を定款で定めることが認められている(174条)。承認制ではなく売渡請求で処理する点で、本肢は誤りである。

株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。
- 定款で定める事項: 譲渡による取得に会社の承認を要する旨(107条2項1号イ)と、一定の場合に承認をしたものとみなす旨とその場合(同号ロ)。承認を要する場面を一部に限ることができる
- 承認機関: 株主総会(取締役会設置会社では取締役会)。定款で別段の定めができる(139条1項)
- 一般承継: 相続・合併などによる取得は「譲渡による取得」でなく、承認の対象にできない。一般承継人は単独で名義書換を請求できる(133条2項・134条4号)
- 相続人等に対する売渡しの請求: 定款の定めがあれば、一般承継で譲渡制限株式を取得した者に会社への売渡しを請求できる(174条)。株主総会の特別決議(175条・309条2項3号)、一般承継を知った日から1年以内(176条1項)、分配可能額の範囲内(461条1項5号)
正しい。相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対する売渡しの請求の定めは、譲渡制限株式を発行していれば公開会社でも定款で定められる(会社法174条)。
会社法174条は、株式会社は相続その他の一般承継により当該会社の株式(譲渡制限株式に限る)を取得した者に対し、その株式を会社に売り渡すことを請求できる旨を定款で定めることができるとする。相続は譲渡ではないので譲渡制限の承認なしに株式が一般承継人に移ってしまうところ、会社にとって好ましくない者が株主になるのを防ぐための制度であり、請求のつど株主総会の特別決議を要する(175条1項・309条2項3号)。本肢を判断する鍵は公開会社の定義である。2条5号は、発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない会社を公開会社とするから、一部の株式にだけ譲渡制限を付けた会社も公開会社であり、公開会社でも譲渡制限株式を発行していることがある。その譲渡制限株式について174条の定めを置くことは妨げられない。本肢は譲渡制限株式に限った記述で条文に沿っており、公開会社においても定款で定めることができる。

株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。
| 定款の定め | 公開会社 | 根拠 |
|---|---|---|
| 相続人等に対する譲渡制限株式の売渡請求 | ○(譲渡制限株式を発行していれば) | 174条 |
| 株主総会の特別決議に基づく親会社株式の取得 | ×(定款でも不可) | 135条1項・2項 |
| 単元未満株主から株主代表訴訟の提起権を奪う | ○ | 189条2項・847条1項 |
| 種類株主総会で取締役を選任する種類株式 | ×(公開会社・指名委員会等設置会社は発行できない) | 108条1項ただし書 |
| 会社法に規定のない事項を種類株主総会の決議事項とする | ○ | 321条 |