会社は、その発行する社債を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集社債(当該募集に応じて当該社債の引受けの申込みをした者に対して割り当てる社債をいう。以下この編において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。募集社債の総額各募集社債の金額募集社債の利率募集社債の償還の方法及び期限利息支払の方法及び期限社債券を発行するときは、その旨社債権者が第六百九十八条の規定による請求の全部又は一部をすることができないこととするときは、その旨社債管理者を定めないこととするときは、その旨社債管理者が社債権者集会の決議によらずに第七百六条第一項第二号に掲げる行為をすることができることとするときは、その旨社債管理補助者を定めることとするときは、その旨各募集社債の払込金額(各募集社債と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この章において同じ。)若しくはその最低金額又はこれらの算定方法募集社債と引換えにする金銭の払込みの期日一定の日までに募集社債の総額について割当てを受ける者を定めていない場合において、募集社債の全部を発行しないこととするときは、その旨及びその一定の日前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
1 募集社債の総額
2 各募集社債の金額
3 募集社債の利率
4 募集社債の償還の方法及び期限
5 利息支払の方法及び期限
6 社債券を発行するときは、その旨
7 社債権者が第六百九十八条の規定による請求の全部又は一部をすることができないこととするときは、その旨
7 社債管理者を定めないこととするときは、その旨
8 社債管理者が社債権者集会の決議によらずに第七百六条第一項第二号に掲げる行為をすることができることとするときは、その旨
8 社債管理補助者を定めることとするときは、その旨
9 各募集社債の払込金額(各募集社債と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この章において同じ。)若しくはその最低金額又はこれらの算定方法
10 募集社債と引換えにする金銭の払込みの期日
11 一定の日までに募集社債の総額について割当てを受ける者を定めていない場合において、募集社債の全部を発行しないこととするときは、その旨及びその一定の日
12 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
この条文の過去問 5問
正しい。社債は会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であり(会社法2条23号)、ここでいう会社には合同会社も含まれる(2条1号)ので、合同会社は社債を発行できる。
会社法2条23号は、社債を、会社法の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、676条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものと定義する。そして同条1号は、会社とは株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいうとする。社債の発行手続を定める676条も「会社は、その発行する社債を引き受ける者の募集をしようとするときは」と規定しており、主語は株式会社に限られていない。したがって、合同会社を含むすべての種類の会社が社債を発行できる。社債は会社の借入れであり、株式と違って社員の持分や責任の構造を変えるものではないので、持分会社が社債を発行しても持分会社の仕組みと抵触しない。合同会社の社員は有限責任であるが、社債権者は会社財産を引当てに償還を受ける債権者であり、株式会社の社債権者と立場は変わらない。持分会社では社債の発行は業務執行の決定として社員の過半数(業務執行社員を定めたときはその過半数)で決める(590条2項・591条1項)。本肢は正しい。

一 会社 株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。
二十三 社債 この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第六百七十六条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう。
正しい。社債は「会社」が行う割当てにより発生する金銭債権と定義され(会社法2条23号)、会社には合名会社・合同会社も含まれる(同条1号)ので、いずれも社債を発行できる。
会社法2条23号は、社債を、会社法の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、募集社債に関する事項の定め(676条各号)に従い償還されるものと定義する。ここにいう会社は株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいい(2条1号)、社債の定義も募集社債の発行手続(676条以下)も会社の種類を株式会社に限っていない。したがって持分会社である合名会社も合同会社も社債を発行できる。旧商法の下では社債の発行は株式会社と有限会社に限られていたが、会社法は資金調達の手段を広げる観点からすべての種類の会社に開放したのである。募集社債の発行事項の決定について、株式会社では取締役会の決議によるとする特則(362条4項5号)があるのに対し、持分会社には特則が無く、業務執行の一般原則に従い業務執行社員の過半数で決める(590条2項)。この規律も持分会社が社債を発行することを前提にしている。本肢は正しい。

社債 この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第六百七十六条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう。
| 項目 | 合名会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 社員の責任(576条・580条) | 全員が無限責任社員。会社財産で完済できないときなどに連帯して弁済する直接無限責任(補充的) | 全員が有限責任社員。出資は設立の登記までに全額履行する(578条)ので、実質は間接有限責任 |
| 業務執行(590条) | 定款に別段の定めが無ければ各社員が執行。決定は社員の過半数 | 同じ |
| 社債の発行(2条1号・23号・676条) | できる | できる |
| 株式交換完全親会社(2条31号・767条) | なれない | なれる |
| 合名・合資・合同の間の変更(638条) | 定款の変更。組織変更計画は不要 | 同じ。株式会社との間の変更だけが組織変更(2条26号・743条) |
誤り。違うのは「社債券を発行しなければならない」の部分である。社債券を発行するかどうかは募集事項で定める任意の事項であり(会社法676条6号)、社債券を発行しない社債も認められる。
会社法676条は、会社が募集社債を発行するときに定めなければならない募集事項を列挙しており、その6号は「社債券を発行するときは、その旨」である。社債券を発行する場合にだけその旨を定めるという規定の形から分かるように、社債券の発行は義務ではなく、会社の選択に委ねられている。社債は会社を債務者とする金銭債権であり(2条23号)、有価証券化しなくても社債原簿への記載によって権利者を管理し、譲渡の対抗要件を備えることができる(681条・688条1項)。株券についても会社法は定款で定めた場合にだけ発行する不発行原則を採っており(214条)、社債券についても券面を発行しない制度を認めない合理的な理由が無い。社債券を発行しない社債は、振替制度の対象となる振替社債として流通させることもできる。社債券を発行する場合には、記名式か無記名式か、またその間の転換の可否も募集事項で定める(676条7号)。したがって社債券の発行を義務とする肢は誤っている。

社債券を発行するときは、その旨
誤り。違うのは「引受けの申込みがあった額においても,成立しない」の部分である。総額に達しなくても申込みのあった額で社債は成立するのが原則であり、全部を発行しないこととするには募集事項でその旨を定める必要がある(会社法676条11号)。
会社が募集社債を発行するときは募集社債の総額を定めなければならない(会社法676条1号)。しかし応募額がこの総額に達しなかった場合について、同条11号は、一定の日までに募集社債の総額について割当てを受ける者を定めていない場合において、募集社債の全部を発行しないこととするときは、その旨とその一定の日を募集事項として定めると規定する。この定めが無い限り、会社は申込者の中から割当てを受ける者を定めて(678条1項)、割当てを受けた申込者は割り当てられた募集社債の社債権者となり(680条1号)、応募のあった額の範囲で社債が成立する。これを打切発行という。社債は会社の借入れであり、予定額に達しなくても集まった分だけ借り入れることに不都合は無く、むしろ総額に達しなければ全部が不成立になるとすれば資金調達が不安定になるからである。総額に達しなければ発行しないという扱いは、会社があらかじめ募集事項で選択した場合に限られる。したがって申込みがあった額においても成立しないとする肢は誤っている。

一定の日までに募集社債の総額について割当てを受ける者を定めていない場合において、募集社債の全部を発行しないこととするときは、その旨及びその一定の日
正しい。社債は会社法の規定により「会社」が行う割当てにより発生する金銭債権であり(会社法2条23号)、会社には合名会社も含まれる(2条1号)ので、合名会社も社債を発行できる。
会社法2条23号は、社債を、会社法の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、676条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものと定義する。そして同条1号は、会社とは株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいうとする。社債の発行手続を定める第4編(676条以下)も「会社は」を主語としており、株式会社に限っていない。会社法制定前は社債の発行は株式会社と有限会社に限られていたが、社債は会社が多数の投資家から資金を借り入れる手段にすぎず、株式のように社員の地位と結びつくものではないから、どの種類の会社が利用してもよいと整理された。したがって合名会社も合資会社も合同会社も、募集事項を定めて社債を発行できる。持分会社では募集事項の決定は業務執行社員が行い、株式会社のような株主総会や取締役会の決議の規律はない。肢は正しい。

社債 この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第六百七十六条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう。




