1株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。事業の全部の譲渡事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えないものを除く。)その子会社の株式又は持分の全部又は一部の譲渡(次のいずれにも該当する場合における譲渡に限る。)当該譲渡により譲り渡す株式又は持分の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えるとき。当該株式会社が、効力発生日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき。他の会社(外国会社その他の法人を含む。次条において同じ。)の事業の全部の譲受け事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任、他人と事業上の損益の全部を共通にする契約その他これらに準ずる契約の締結、変更又は解約当該株式会社(第二十五条第一項各号に掲げる方法により設立したものに限る。以下この号において同じ。)の成立後二年以内におけるその成立前から存在する財産であってその事業のために継続して使用するものの取得。ただし、イに掲げる額のロに掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合を除く。当該財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額
1 事業の全部の譲渡
2 事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えないものを除く。)
2 その子会社の株式又は持分の全部又は一部の譲渡(次のいずれにも該当する場合における譲渡に限る。)当該譲渡により譲り渡す株式又は持分の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えるとき。当該株式会社が、効力発生日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき。
ア 当該譲渡により譲り渡す株式又は持分の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えるとき。
ィ 当該株式会社が、効力発生日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき。
3 他の会社(外国会社その他の法人を含む。次条において同じ。)の事業の全部の譲受け
4 事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任、他人と事業上の損益の全部を共通にする契約その他これらに準ずる契約の締結、変更又は解約
5 当該株式会社(第二十五条第一項各号に掲げる方法により設立したものに限る。以下この号において同じ。)の成立後二年以内におけるその成立前から存在する財産であってその事業のために継続して使用するものの取得。ただし、イに掲げる額のロに掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合を除く。当該財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額
ア 当該財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額
ィ 当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額
2前項第三号に掲げる行為をする場合において、当該行為をする株式会社が譲り受ける資産に当該株式会社の株式が含まれるときは、取締役は、同項の株主総会において、当該株式に関する事項を説明しなければならない。
この条文の過去問 9問
誤り。違うのは「事業譲渡の方法による場合のみである」の部分である。吸収分割では承継会社である乙社の反対株主に買取請求権があり(会社法797条1項)、事業の一部の譲受けをする乙社の株主には469条1項の買取請求権がない。
吸収分割では、承継会社である乙社の株主も組織再編の当事会社の株主として保護され、乙社の反対株主は乙社に対し自己の有する株式を公正な価格で買い取るよう請求できる(会社法797条1項)。簡易吸収分割に当たり乙社の株主総会の承認が不要になる場合にはこの請求は認められない(同項ただし書)が、規定自体は置かれている。他方、事業譲渡について反対株主の株式買取請求権を定める469条1項の主体は事業譲渡等をする株式会社の株主であり、事業譲渡等とは467条1項1号から4号までの行為をいう(468条1項括弧書)。本問の乙社は譲受会社であるところ、乙社が譲り受けるのは甲社の事業の一部にすぎず、467条1項3号の他の会社の事業の全部の譲受けに当たらない。そのため乙社では株主総会の承認も不要であり、乙社の株主に469条1項の買取請求権が生じる余地もない。本問の事案で乙社の反対株主に買取請求権があるのはむしろ吸収分割の方法による場合であり、事業譲渡の場合のみとする本肢は結論が逆である。

吸収合併等をする場合には、反対株主は、存続株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。ただし、第七百九十六条第二項本文に規定する場合(第七百九十五条第二項各号に掲げる場合及び第七百九十六条第一項ただし書又は第三項に規定する場合を除く。)は、この限りでない。
| 吸収分割 | 事業の一部の譲渡 | |
|---|---|---|
| 甲社(分割会社・譲渡会社)の株主 | あり(785条1項)。簡易分割なら無し | 重要な一部の譲渡なら あり(469条1項・467条1項2号) |
| 乙社(承継会社・譲受会社)の株主 | あり(797条1項)。簡易手続なら無し | なし(一部の譲受けは467条1項3号に当たらず、株主総会の承認も不要) |
正しい。判例は、事業の譲渡とは有機的一体として機能する財産の譲渡によって営業的活動を受け継がせ競業避止義務を負う結果を伴うものをいうとし、単なる営業用財産の譲渡は事業の譲渡に当たらないとした(最大判昭40.9.22)。
最大判昭40.9.22は、株主総会の特別決議を要する営業(事業)の譲渡の意義について、一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む)の全部又は重要な一部を譲渡し、これによって譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部又は重要な一部を譲受人に受け継がせ、譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に競業避止義務を負う結果を伴うものをいうとした。株主総会の特別決議(会社法467条1項・309条2項11号)を要するかどうかの基準を、取引の相手方から見て外形的・客観的に明確なものとし、取引の安全を図る趣旨である。この基準によれば、譲渡の対象が土地・建物・機械器具一式のような単なる事業用財産にとどまり、組織的一体性を備えた財産の移転と営業的活動の承継を伴わない場合には、それが譲渡会社の経営に重大な影響を及ぼすものであっても事業の譲渡には当たらず、株主総会の特別決議を要しない。同判例の事案もまさに個々の営業用財産の譲渡について事業譲渡への該当を否定したものである。本肢は正しい。

一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む。)の全部または重要な一部を譲渡し、これによって、譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部または重要な一部を譲受人に受け継がせ、譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に…(現行:会社法21条)に定める競業避止義務を負う結果を伴うものをいう
正しい。株式会社がその事業の全部を現物出資することは事業の全部の譲渡に当たり、現物出資をする会社で株主総会の特別決議を要する(会社法467条1項1号・309条2項11号)。
会社法は発起人の資格を制限していないから、株式会社も他の株式会社の発起人になれる。設立の段階で金銭以外の財産を出資できるのは発起人だけであり(28条1号・34条1項)、事業を現物出資する場面は発起人としての出資に限られる。株式会社がその事業の全部を現物出資すると、その会社は事業の全部を新しい会社に移転し、対価として設立時発行株式を受け取ることになる。対価が金銭か株式かは事業の移転という実質を変えないので、これは467条1項1号の「事業の全部の譲渡」に当たると解されている。したがって現物出資をする側の会社では、効力発生日の前日までに株主総会の承認を受けなければならず、その決議は特別決議である(309条2項11号)。事業の全部の譲渡は会社の営業基盤を失わせ、株主の投下資本の前提を根本から変える行為だから、株主自身の判断を求めるのである。事業の全部の譲渡には簡易手続(468条2項)の適用がなく、略式手続(468条1項)も相手方が特別支配会社である場合の規律なので、設立中の会社に出資する本肢では問題にならない。本肢は正しい。

株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。一 事業の全部の譲渡 二 事業の重要な一部の譲渡(…)
正しい。株式会社がその事業の全部を現物出資することは事業の全部の譲渡に当たり、現物出資をする会社で株主総会の特別決議を要する(会社法467条1項1号・309条2項11号)。
会社法は発起人の資格を制限していないから、株式会社も他の株式会社の発起人になれる。設立の段階で金銭以外の財産を出資できるのは発起人だけであり(28条1号・34条1項)、事業を現物出資する場面は発起人としての出資に限られる。株式会社がその事業の全部を現物出資すると、その会社は事業の全部を新しい会社に移転し、対価として設立時発行株式を受け取ることになる。対価が金銭か株式かは事業の移転という実質を変えないので、これは467条1項1号の「事業の全部の譲渡」に当たると解されている。したがって現物出資をする側の会社では、効力発生日の前日までに株主総会の承認を受けなければならず、その決議は特別決議である(309条2項11号)。事業の全部の譲渡は会社の営業基盤を失わせ、株主の投下資本の前提を根本から変える行為だから、株主自身の判断を求めるのである。事業の全部の譲渡には簡易手続(468条2項)の適用がなく、略式手続(468条1項)も相手方が特別支配会社である場合の規律なので、設立中の会社に出資する本肢では問題にならない。本肢は正しい。

株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。一 事業の全部の譲渡 二 事業の重要な一部の譲渡(…)
正しい。事業の全部の譲渡の承認(会社法467条1項1号)も吸収分割株式会社における吸収分割契約の承認(783条1項)も、ともに特別決議である(309条2項11号・12号)。
事業の全部の譲渡をするには、効力発生日の前日までに株主総会の決議によって譲渡契約の承認を受けなければならない(会社法467条1項1号)。467条は第2編第7章に置かれているので、第6章から第8章までの規定により株主総会の決議を要する場合として、309条2項11号の特別決議になる。吸収分割をする株式会社は、効力発生日の前日までに株主総会の決議によって吸収分割契約の承認を受けなければならず(783条1項)、783条は第5編にあるので309条2項12号の特別決議になる。事業の全部の譲渡は取引行為であり、吸収分割は権利義務を包括的に承継させる組織法上の行為であるという違いはあるが、いずれも会社の事業の基礎に重大な変更をもたらし株主の利害に大きく影響するので、会社法は同じ重さの決議を要求している。株主に反対株主の株式買取請求が認められる点でも共通する(469条・785条)。したがって決議要件が同じとする肢は正しい。

十一 第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
十二 第五編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
- 普通決議(309条1項):議決権の過半数の出席、出席者の議決権の過半数。定款で定足数を排除できる。剰余金の配当・株式の分割など
- 役員の選任・解任(341条):議決権の過半数(定款で3分の1以上まで)の出席、出席者の議決権の過半数。定足数は排除できない
- 特別決議(309条2項):議決権の過半数(定款で3分の1以上まで)の出席、出席者の議決権の3分の2以上。株式の併合・監査役の解任・定款変更・事業譲渡・解散・組織再編など
- 特殊の決議(309条3項):議決権を行使できる株主の半数以上、かつその議決権の3分の2以上。全部の株式に譲渡制限を設ける定款変更など
- 特殊の決議(309条4項):総株主の半数以上、かつ総株主の議決権の4分の3以上。株主ごとに異なる取扱いの定款の定め
誤り。違うのは「特別支配会社であるときであっても,譲受けをする会社において,株主総会の決議による承認を受けなければならない」の部分である。事業譲渡等の契約の相手方が自社の特別支配会社であるときは、株主総会の承認は要らない(会社法468条1項)。
会社法467条1項は、事業の全部の譲渡(1号)や他の会社の事業の全部の譲受け(3号)などをする会社に、株主総会の特別決議による契約の承認を求める。しかし468条1項は、同項1号から4号までの行為(事業譲渡等)に係る契約の相手方が、当該事業譲渡等をする会社の特別支配会社、すなわちその会社の総株主の議決権の10分の9以上を有する会社であるときは、467条を適用しないとする。本肢では、譲受けをする会社から見て、事業の全部の譲受けという事業譲渡等の契約の相手方である譲渡会社が、自社の特別支配会社に当たる。議決権の10分の9以上を持つ株主が契約の当事者なのだから、株主総会を開いても承認されることは目に見えており、開催を要求する意味が乏しい。そこで略式手続としてその会社の株主総会の承認を省くことにした。承認を省かれた側の少数株主は、反対株主の株式買取請求権(469条1項)によって保護される。肢は、略式手続が使える場面で承認を要するとしており誤りである。

前条の規定は、同条第一項第一号から第四号までに掲げる行為(以下この章において「事業譲渡等」という。)に係る契約の相手方が当該事業譲渡等をする株式会社の特別支配会社(ある株式会社の総株主の議決権の十分の九(これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)以上を他の会社及び当該他の会社が発行済株式の全部を有する株式会社その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人が有している場合における当該他の会社をいう。以下同じ。)である場合には、適用しない。
- 相手方が特別支配会社(議決権の10分の9以上)であるとき: 承認不要(468条1項)。反対通知があっても不要
- 事業の全部の譲受けで、対価の帳簿価額が純資産額の5分の1以下のとき: 承認不要(468条2項)。一定数の株主が反対を通知すれば承認が要る(同条3項)
- 事業の重要な一部の譲渡で、譲り渡す資産の帳簿価額が総資産額の5分の1以下のとき: そもそも467条1項2号に当たらない
- 略式・簡易で承認を省いても反対株主の株式買取請求権はある(469条1項。簡易の譲受けの場合を除く)
正しい。反対株主の株式買取請求権が認められるのは事業譲渡等をする会社の株主であり(会社法469条1項)、譲受けをする側では事業の全部の譲受け(467条1項3号)だけが事業譲渡等に当たるので、それ以外の譲受けでは譲受会社の株主に買取請求権はない。
会社法469条1項は、事業譲渡等をする場合に、反対株主は事業譲渡等をする会社に対して自己の株式を公正な価格で買い取ることを請求できると定める。ここでいう事業譲渡等とは467条1項1号から4号までの行為であり(468条1項)、事業の全部の譲渡、事業の重要な一部の譲渡、他の会社の事業の全部の譲受け、子会社株式の一定の譲渡がこれに当たる。譲受けをする会社の側から見ると、事業譲渡等に該当するのは他の会社の事業の全部を譲り受ける場合だけであり、事業の一部を譲り受けるにとどまるときは、譲受会社にとっては通常の財産の取得と変わらず、株主総会の承認も反対株主の株式買取請求権も予定されていない。事業の全部の譲受けは、譲受会社の規模や事業内容を大きく変えて株主の投下資本に影響するから、承認決議と買取請求権で株主を保護する必要があるが、一部の譲受けにはその必要が乏しいという考え方である。したがって、譲受けをする会社の株主に買取請求権が認められるのは事業の全部の譲受けの場合に限られ、肢は正しい。

事業譲渡等をする場合(次に掲げる場合を除く。)には、反対株主は、事業譲渡等をする株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
| 行為 | 承認決議(467条1項) | 反対株主の買取請求(469条) |
|---|---|---|
| 事業の全部の譲渡(1号) | 要る | ある(同時に解散決議をしたときを除く) |
| 事業の重要な一部の譲渡(2号) | 要る(5分の1以下は除く) | ある |
| 他の会社の事業の全部の譲受け(3号) | 要る(簡易は除く) | ある(簡易の場合を除く) |
| 事業の一部の譲受け | 要らない | ない |
| 事業の全部の賃貸・経営の委任等(4号) | 要る | ある |
正しい。吸収合併では消滅会社の権利義務が効力発生日に存続会社に包括的に承継されるが(会社法750条1項)、事業譲渡は取引行為であり、債務を譲受会社に移して譲渡会社を免責するには債権者の承諾による免責的債務引受けが要る。
会社法750条1項は、吸収合併存続株式会社は効力発生日に吸収合併消滅会社の権利義務を承継すると定める。合併は法律の規定による包括承継であり、消滅会社の債務は債権者の個別の同意なしに当然に存続会社に移転する。債務者が交替することによる債権者の不利益は、合併に先立つ債権者異議手続(789条・799条)によって手当てされる。これに対して事業譲渡は、事業を構成する財産を契約によって移転する取引行為であり、個々の財産は個別の移転手続によって移り、債務についても民法の原則が妥当する。債務を譲受会社に移転させて譲渡会社を債務から解放する免責的債務引受けは、債権者の承諾がなければ債権者に対して効力を生じない(民法472条3項)。したがって譲渡会社が債権者の承諾を得て譲受会社に免責的に債務を引き受けさせない限り、譲渡会社の債務は存続する。譲受会社が譲渡会社の商号を続用する場合には譲受会社も弁済責任を負うが(22条1項)、これは譲渡会社の債務を消滅させるものではない。肢は合併と事業譲渡の違いを正しく述べている。

吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。
| 事業譲渡 | 合併・会社分割 | |
|---|---|---|
| 承継のしかた | 契約で定めた財産の個別の移転(対抗要件を個別に備える) | 包括承継 |
| 債務 | 債権者の同意がなければ免責的に移らない | 同意なしに移る(債権者異議手続で保護) |
| 債権者異議手続 | 無い | 有る |
| 譲渡会社・消滅会社 | 事業の全部を譲渡しても解散しない | 合併の消滅会社は当然に解散 |
| 無効の主張 | 訴えによらず主張できる | 6か月以内に訴えによってのみ |
正しい。譲受会社に株主総会の特別決議が要るのは他の会社の事業の全部の譲受けであり(会社法467条1項3号)、事業の一部の譲受けは467条1項に掲げられていないので株主総会の決議を要しない。
会社法467条1項は、株主総会の特別決議による契約の承認を要する行為として、事業の全部の譲渡(1号)、事業の重要な一部の譲渡(2号)、子会社株式の一定の譲渡(2号の2)、他の会社の事業の全部の譲受け(3号)、事業の全部の賃貸や経営の委任など(4号)、成立後2年以内の事後設立(5号)を列挙する。譲渡会社の側では事業の重要な一部の譲渡にも承認が要るのに対し、譲受会社の側で承認が要るのは他の会社の事業の全部を譲り受ける場合だけであり、事業の一部を譲り受ける場合はどの号にも当たらない。他の会社の事業の全部を譲り受けることは、譲受会社の規模や事業内容を大きく変え、対価の支払によって財産状態にも影響するので株主の判断を仰ぐ必要があるが、事業の一部を譲り受けることは譲受会社にとって通常の財産の取得と変わらず、取締役会の決議(重要な財産の譲受けとして362条4項1号)で足りると考えられたのである。したがって譲受会社の株主に反対株主の株式買取請求権も生じない(469条)。肢は正しい。

株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。三 他の会社(外国会社その他の法人を含む。次条において同じ。)の事業の全部の譲受け
| 行為 | 承認決議(467条1項) | 反対株主の買取請求(469条) |
|---|---|---|
| 事業の全部の譲渡(1号) | 要る | ある(同時に解散決議をしたときを除く) |
| 事業の重要な一部の譲渡(2号) | 要る(5分の1以下は除く) | ある |
| 他の会社の事業の全部の譲受け(3号) | 要る(簡易は除く) | ある(簡易の場合を除く) |
| 事業の一部の譲受け | 要らない | ない |
| 事業の全部の賃貸・経営の委任等(4号) | 要る | ある |